チェイサーゲーム

現代のゲーム業界を舞台にくり広げられるお仕事マンガ。月曜日配信予定。漫画掲載の翌月曜日には、原作者であるサイバーコネクトツー松山洋(まつやまひろし)社長のエッセイ「デバッグルーム」を配信。単行本第5巻が好評発売中!

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【マンガの裏側を語る!】『チェイサーゲーム』原作コラム デバッグルーム第30回

2020-07-27 11:00:00

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 第30話 破邪の封印(2)

高校生


【高校1年から独学】

ハードルをあまり上げるようなことは言いたくはありません。しかし、専門学校や大学で技術を学んでゲーム会社に就職するというイメージがある一方で、けっきょく合格する人の大半は高校時代からプログラムやCGを独学で学んでいたという人が多いです。

もちろん専門学校や大学に入ってからゼロから勉強して就職する方もいらっしゃいますが、やはりかなりの努力が求められます。

早ければ早いほど差がつくというのは当然のことです。

2サイバーコネクトツーにはいるため


【サイバーコネクトツーに入社するために】

高校のときから就職する会社を自分で決めて勉強していた、なんて人は確かにレアケースかもしれません。が、魚川はそうでした。

これは実在する魚川自身がそうだったということです。「高校のときから入社することは自分の中では決まってましたね」と本人の談。

まぁ言い方はともかく早い段階で目指す企業を決めておくと具体的に何を勉強すれば良いのかということも絞りやすいのでかなり有効な手段です(どこでもいいからゲーム会社に入りたい、がいちばん不明瞭で良くないということです)。

3入社予告


【入社予告】

実話ですね。

実際には楽屋ではなく制作展で私が展示を見学していた時にふらっとやってきて同じことを言いました。「ボク4年後に御社に入社しますんで挨拶に来ました」と言ってのけましたね。

実際の話こういうのはやはりうれしいですし非常に頼もしく感じます。もちろんそれだけで入社が確定するほど甘い世界では決してありませんが企業側も100%顔と名前を覚えますし意識しますね。

4確定申告


【確定宣言】

これも実話です。

面接の最中にまだ結果も出ていない時点で「入社した後に手掛けるゲーム作品の心配をした男」は後にも先にもこの男ただひとりです。

もちろん、そのとき面接官からの「いやそもそもいま何を作っているかは誰にも言えないし君はまだ入社も決まってないでしょ?」という返しに対して、「ですよね、言えませんよね」と。

本当に不遜で不躾な男でした。

5席


【座席指定】

これも実話です。

入社後の社内案内の最中に開発中の『NARUTO-ナルト-』の画面を見ながら、「間に合った」とボソリと呟いたところまで本当のことです。

自分で席を指定したのはあくまでマンガ的演出ですが、所属するチームを指定してきたところは同じです。「え、じゃあ逆にボクをどのチームに配属するつもりなんですか? 絶対ココ以外ありえないでしょって思ってました」とは本人の談です。

6


【主役強奪】

これはチーム配属後に「ボク、ボルトの演出やりますわ」といきなり発言して上司をムっとさせて「やれるもんならやってみろ、その代わり中途半端なデータ上げてきたら捨てるからな」と言われ、見事実行して採用されたということです。これは次の【一発合格】の伝説と重なっています。


【一発合格】

ゲーム内のシネマティック(奥義演出)はすべて私が絵コンテから最終的なシーンの仕上げまで必ずチェックを行い細かく修正指示を入れます。

このときはまとめて10個くらいの奥義をチェックしていて、ひとつだけ一発合格で何も修正指示をする必要がない奥義がありました。

しかも、いままでのスタッフのセンスとも違っていて新鮮なカッコ良さを持つ奥義だったので「これ作ったの誰?」と私が尋ねると担当上司が苦い顔をしながら「……魚川です」とつぶやいたのを覚えています。

スペシャル


【スペシャリストでいたい】

これは現在のどのゲーム会社でも抱えている深刻な問題です。

「ずっとデータだけ作っていたい、人の管理なんかしたくない」とみんな思っています。恐らくゲーム業界以外の方から見ても「え、ずっとゲームのデータを作るんじゃないの?」と思われている方は少なくないのではないでしょうか。

しかし、ゲーム会社もやはり会社であり組織なのです。集団で開発する以上は誰かがチームを率いて管理監督しなければいけません。それを「誰かがやればいいのに」と思っていると誰もやりませんし、いつまでもまわりや部下(後輩)は育ちません。

龍也が言うようにいつかは誰しも人の上に立って導く側になることが基本であり前提なのです。

31話予告カット

【第31話の予告カットを公開】

第30話は、魚川さんの話が続いていくのだと思いきや、龍也や魚川さんと同じチームで働いていた久井田さんが、じつは退職していたという衝撃のラストでした。

続きの気になる第31話ですが予告カットを見てみると、松島先生の苦悩が描かれています。もしかしたら第31話には勇希と久井田さん。或いは、美園さんとマコが同時に登場するページでもあるのでしょうか。その辺りも注目しながら、8月3日(月)に配信予定の第31話をお楽しみください!