単行本第4巻が2020年7月6日(月)に発売予定の『チェイサーゲーム』。その単行本第4巻に収録されている話の中に主人公、勇希の妹であるカナンが声優を目指して養成所のオーディションを受けるお話があります。
この話の中に、声優事務所の代表兼声優として登場するキャラクターがいます。じつは、声優のこぶしのぶゆきさんをモデルにして描かれたキャラクターなのです。
以前、該当ツイートをリツイートされた中から抽選で3名をマンガに登場させるというリツイートキャンペーンをサイバーコネクトツーが開催していました。それに見事当選したのがこぶしさんだったのです。
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また、これが縁でこぶしさんにはカナンの声優オーディションの話を描くにあたり、声優事務所の養成所の実情やオーディションの描写などにアドバイスをしていただくようなこともしていただきました。
ということで、今回はこぶしさんにいろいろとお話を伺いましたので、ご紹介したいとおもいます。
こぶしのぶゆきさんインタビュー 『チェイサーゲーム』の毒加減が絶妙ですね
ー『チェイサーゲーム』の出演権をプレゼントするTwitterキャンペーンにへの応募のきっかけなどをお伺いできますでしょうか。
じつは、偶然なんです。もともと『チェイサーゲーム』を読んでいて共感できるところが多く好きでした。なので、もっと多くのひとに『チェイサーゲーム』を知ってもらいたいなという想いから、松山さんのツイートをよくリツイートしていたんです。その中にたまたまキャンペーン応募用のツイートがあって、それがそのまま当選してしまったのです。
ーでは、『チェイサーゲーム』を読まれていてどのようなご感想をお持ちでしたか。
マンガの着眼点や攻め方がうまいなと思っていました。最近、仕事を題材としているマンガやアニメをよく目にしますが、ものによっては綺麗に描かれすぎているものがおおいなと。しかし『チェイサーゲーム』の話には毒がおおいんですよね。
たとえば、第1話から年上の先輩相手に進捗を聞く後輩の苦悩の話なんです。
じつは、声優をやるまえにアニメーションの制作進行の仕事をしていたのですが、作画のスケジュールを管理しようとしても昼型のひともいれば、夜型のひともいる。中には失踪してしまうひともいたので、第1話の龍也の気持ちがものすごくわかりました。けっこう、昔のクリエイティブな業界では起きがちなあるあるですね。
―第一部は確かに、ゲーム会社のリアルなところが描かれていましたね。では第二部のほうはどのような感想をお持ちでしょうか。
専門学校でアニメーション声優科の講師をしているので、講師目線で読んでましたね。それこそ、こういうことあるあると共感していました。生徒たちは真剣に声優を目指すために学校に通ってはいるのでしょうが、授業までに台本をチェックしてこない、アフレコする映像をチェックしてこないというような子も多くいます。
でも中には、龍也や勇希たちのように、自主的に動いている子もいます。できないならできないなりに、どうしようかと試行錯誤するんです。
自分が声優を目指してきた中でもそういうようなタイプの人を何人もみてきましたが、そういう人がけっきょく声優として残っていくんですよね。どの業界でもいっしょなんだなと。
ただ、そんな龍也でさえも順風満帆にはいかず、第二部の最後の最後であんな展開がまっているんですもんね! やっぱり『チェイサーゲーム』の毒の加減が絶妙です。
―第二部のなかで声優プロダクションの代表として声優業界のことを語る人物として描かれていましたが、実際に描かれてみてどのような感想でしたでしょうか。
初登場のシーンですが、そのデフォルメ感がすごいんです。たとえば脚の長さは確実に実際の自分より短めに描かれているのですが、でもこの頭身バランスのほうが自分っぽいなと笑ってしまったんです。実際の本人よりも本人っぽく描かれているんです。
さらに、松島先生の観察眼がすごいなとおもいました。実際に松島先生と会ったのは2回程度で、あとは資料用に何点か写真をお送りしただけです。にもかかわらず、眼鏡をとって汗を拭く描写がその時かけていた眼鏡とまったく同じなんです。どこのメーカーか判別できるほどでした。
―なるほど(笑)。では最後に、こぶしさんが出演された話では、カナンが声優を目指すお話でしたが、こぶしさんが声優をめざした理由を教えてください。
もともと、高校生のときに、特撮が好きだったのでヒーローショーのスーツアクターのバイトをしていました。当時は、いまよりもっとすらっとしていたのでヒーローの中に入って演じていました(笑)。
ある日、ヒーローショーで悪の親玉にヒーローたちがやられピンチになるシーンで、倒れ込んでいる私の前に、突然ひとりの女の子が舞台の上にあがってきて私だけを守ってくれたんです。その場は、親玉を演じてくれているひとの機転でなんとか切り抜けたのですが、ショーが終わった後で先輩から、
「なんでさっきの女の子がこぶしだけをかばったかわかるか」
と聞かれ、わからないと答えると、
「それはだな、お前の芝居があの女の子に通じたからだ」
って言われたんです。ものすごくその言葉に痺れまして、そんなこと言われたらもう役者を目指さざるを得ないじゃないですか! そこで高校卒業とともに役者を目指して上京しました。
上京してからはアニメ―ションの制作の仕事で生計をたてながら、役者として活動していました。しかし、目標であった特撮ヒーローには身長が低いことが理由でなることはできませんでした。やりたかった夢は断たれたわけですが、その時
「自分は役者をやめない」
という答えがすぱっと出たのをおぼえています。
そこから何かが吹っ切れたか、お芝居の評価が上がるようになりました。また、よく仕事で会う人に声の仕事が向いていると言われるようになり、ヒーロショーのできごとをきっかけに、子どもに喜んでもらえるような仕事をしたいという想いもあったので、声優をメインに活動するようになりました。
以上、こぶしさんのインタビューでした。最後のお話を聞いているとき、こぶしさんの裏側にあの穴井さんの笑顔のシーンが思い浮かんできたのが印象的でした。今回の声優編ののストーリーも読むことができる『チェイサーゲーム』の単行本第4巻の予約はを受付中です。ぜひチェックしてください!
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