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『ライフ イズ ストレンジ 2』日本人にも刺さる作品が生まれた理由は日本アニメの影響も
公開日時:2020-04-10 18:00:00
世界のゲームファンに衝撃を与えたアドベンチャーゲーム『Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』の待望の続編『ライフ イズ ストレンジ 2』。そのソフト発売後、ネタバレを含む『ライフ イズ ストレンジ 2』情報第6弾は、開発を手掛けたDONTNOD Entertainmentからエグゼクティブ・プロデューサーを務めたルーク・バガドースト(Luc Baghadoust)氏とアソシエイト・プロデューサーのセバスチャン・ベラ(Sébastien Bérat)氏へのインタビューをお届け。
エグゼクティブ・プロデューサーのルーク・バガドースト氏(写真右。文中はルーク)とアソシエイト・プロデューサーのセバスチャン・ベラ氏(写真左。文中はセバスチャン) |
海外で『ライフ イズ ストレンジ』のEP1が配信されてから約5年†
――『ライフ イズ ストレンジ』のエピソード1が海外でリリースされて、5年が経ちましたが、この5年を振り返っていかがですか?
ルーク 私にとってはけっこうたいへんな5年間でした。5年前にはなかったヒゲの白髪も出てきていますしね(笑)。プロデュース業務はスタッフをまとめるだけでなく、お金の管理もしなくてはなりません。制限された予算の中で、クリエイターがやりたいことをできるように、いい作品にするための交通整理をするようなイメージです。ゲーム開発は必ずどこかで火が出るので(笑)、私たちはその火を消す消防士のような役割をしてきました。
『ライフ イズ ストレンジ』EP1より |
セバスチャン 私はルークとは長い付き合いですが、1作目の『ライフ イズ ストレンジ』にはあまり関わっていませんでした。私はシナリオとローカライズ担当ですが、商品をスケジュール通りにリリースするという、コーディネーターのような役割も担っていて、エピソード配信のスケジュール調整や、開発チームとのあいだに入って、作品を商品として出せるようにいろいろと動いたり、『ライフ イズ ストレンジ 2』を作っていた数年間は、本当にたいへんでした(笑)。もちろん、ローカライズ担当として日本語版にも関わっていますよ。
――苦労が多かった作品のようですが、その甲斐あって、『ライフ イズ ストレンジ』は世界中でヒットし、アワードも多数受賞しました。
ルーク 私自身、ここまでのヒットになるとは予想していませんでした。最初にエピソード1をリリースしたときには、スローペースのゲームを遊びたい層が一定数はいるだろうから、ある程度の人たちには受け入れられるだろう、くらいに考えていました。リリース後は、エピソードを配信するごとにファンがどんどん増えていることを実感できましたね。
――『ライフ イズ ストレンジ 2』は海外ではすでに最終エピソードがリリースされましたが(※インタビューは日本発売前の1月に行われました)、手応えはいかがですか?
ルーク 『ライフ イズ ストレンジ 2』は物語も主人公も前作とは完全に違うものだったので、最初に発表したときには、マックスとクロエの物語の続きが見たかった人たちからはネガティブな反応もありました。ただ、最終エピソードがリリースされて物語が完結したいま、改めてファンの皆さんの反応を見ると、兄弟のキャラクターや新しい物語を気に入ってもらえているようなので、本当に安心しましたし、うれしく思っています。
――『ライフ イズ ストレンジ 2』のリリース前に体験版とも言える『キャプテンスピリット』をリリースしたのは驚きました。しかも、無料配信というのは思い切ったなと。
ルーク スクウェア・エニックスとの話し合いで、短いストーリーで手軽に遊べるようなものを無料で出したいという話が出てきました。それが最終的に『キャプテン・スピリット』になるわけですが、『ライフ イズ ストレンジ』シリーズのDNAみたいなものを感じられる作品で、クリスという新しい主人公を操作することで、『ライフ イズ ストレンジ』のファンも、マックスとクロエではない物語に慣れることができたと思いますし、『ライフ イズ ストレンジ 2』へシフトしていくうえで、非常にいいステップになったと思います。
セバスチャン プレイアブルティザーとしてとくによかったのは、次回作の主人公ふたりが最後で登場するところです。『ライフ イズ ストレンジ 2』の導入としてすごくいい演出になっていて、前作と続編をつなぐ重要な作品になったと思います。
『キャプテン・スピリット』より |
『ライフ イズ ストレンジ』シリーズのアイデンティティー†
――ローカライズは何ヵ国語で行っているのでしょうか?
ルーク 言語としては9言語に対応しています。『ライフ イズ ストレンジ』では最初は5言語対応だったので、そういった面でもブランドが大きくなった実感があります。
セバスチャン ベースとなる言語は英語で、その音声に9言語で字幕対応している形ですね。
――対応言語が増えたことでローカライズもたいへんだったのでは?
セバスチャン そうですね。でも、ワード数で言えば、時間を巻き戻すことによって展開が変化する『ライフ イズ ストレンジ』もなかなかのものでしたよ。
――『ライフ イズ ストレンジ』シリーズがこれだけ多くのファンを惹き付ける魅力はどこにあると思いますか?
ルーク いくつか要素を挙げるとするならば、まずはジャン=リュック・カノが書いている物語。彼は本当に映画などがすごく好きで、いろいろなものから学んで、そこから彼自身の物語を書いています。もうひとつは、ラウルが非常にこだわっているシネマティックやカットシーン。そして、アートディレクターの経験があるミシェルがディレクションを行ったアートワーク。それらが複合的に合わさって、スローペースだけれどすごく特徴的で、味わいのある独特の雰囲気を持った、特別な作品になっているところだと思います。
セバスチャン ライティングや各ロケーションのアートがそういった要素を盛り上げていて、その結果として、いまある雰囲気が出ています。それこそが『ライフ イズ ストレンジ』シリーズのアイデンティティーだと思います。
『ライフ イズ ストレンジ』より |
――日本にも、『ライフ イズ ストレンジ』シリーズのファンは数多くいます。
ルーク 私が子どものころは日本のアニメがテレビで放映されていて、みんな夢中になって日本の文化に触れていました。自分たちが作ったものを日本市場にリリースするというのは、たとえるなら自分の作品を親に見せるような感覚です(笑)。DONTNODの第1作である『Remember Me』は、予算などの問題もあって日本語へのローカライズはされませんでした。ですので、『ライフ イズ ストレンジ』が日本でリリースされたときは夢が叶った気持ちでした。日本のプレイヤーがたったひとりでもおもしろいと言ってくれたら、それだけでもハッピーでしたが、実際は予想していたよりもずっと多くの方が作品を気に入ってくれて、日本ゲーム大賞2016ではゲームデザイナーズ大賞もいただき、本当に感激しました。『ライフ イズ ストレンジ 2』も、ファンの皆さんに楽しんでいただければと思います。
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セバスチャン 『ライフ イズ ストレンジ 2』をプレイして気に入ってくれた方は、もしかしたらフランスに興味を持たれるかもしれません。ただ、10年ほど前からパリには“パリス・ブルーズ”(パリ症候群)と呼ばれる現象があります。これは強い憧れを持ってパリに来た人が、イメージとの違い―たとえば、いつも曇っていたり、現地の人がやさしくなかったりと、ブルーな気持ちで帰っていく、ということを表した言葉なのですが、ルークが述べたように、いまパリにいる50歳以下の人たちは、『聖闘士星矢』や『美少女戦士セーラームーン』、『ドラゴンボール』など、日本のアニメを観て育ってきました。いまは(新型コロナウイルスの影響などで)状況的にはたいへんな時期ですが、落ち着いたらぜひ一度、パリの文化にも触れていただきたいですね。
取材時のパリ(今年1月)。それから世界がこんな状況になるなんて……。 |
――ちなみに、“ライフ イズ ストレンジ ユニバース”の今後のさらなる広がりを期待してもいいでしょうか?
ルーク それはどちらかと言えばプロダクションを行うスクウェア・エニックスへの質問だとは思いますが(笑)、我々としては、機会があればいろいろなことをやっていきたいですね。
セバスチャン 『ライフ イズ ストレンジ』シリーズの重要な要素として超能力があると思いますが、違う種類の超能力であったり、あるいはまったく違う国での物語など、やれることはたくさんあると思います。スクウェア・エニックスが「やろう」と言えばぜひ(笑)。
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