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『ライフ イズ ストレンジ 2』には日本のアニメの影響も。あのシーンにはこんな隠しネタが!――開発スタッフインタビューその1
公開日時:2020-04-02 18:00:00
世界のゲームファンに衝撃を与えたアドベンチャーゲーム『Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』の待望の続編『ライフ イズ ストレンジ 2』が発売されて1週間。そろそろショーンとダニエルの旅の行く末を確認した人もいるのでは!? というわけで、本特設サイトでは、今後、開発スタッフのインタビューを中心に、ネタバレも含んだ『ライフ イズ ストレンジ 2』情報を順次お届け。まずは、開発を手掛けたDONTNOD Entertainmentのクリエイティブ・ディレクターのひとり、ラウル・バーベット(Raoul Barbet)氏のインタビューからスタート。
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ラウル・バーベット氏(文中はラウル) |
※以下、ネタバレにご注意ください。
『ライフ イズ ストレンジ』の源泉†
――ラウルさんは『Remember Me』(※)の開発に携わった後、『ライフ イズ ストレンジ』のクリエイティブ・ディレクターとなったわけですが、『ライフ イズ ストレンジ』はどういったキッカケでスタートしたのですか?
※『Remember Me』……DONTNOD Entertainmentが開発を手掛けた最初の作品で、対応機種はプレイステーション3、Xbox 360、PC。海外のパブリッシャーはカプコンだが、日本では未発売。
ラウル 『Remember Me』には“メモリー・リミックス”という、他人の記憶を改変する能力があります。そこから着想を得て、『ライフ イズ ストレンジ』の企画初期段階では、主人公が時間を巻き戻し、それによって現実が改変される、というコンセプトが固まりました。その後、描くテーマとして、ティーンエイジャーの問題を絡めたらいいんじゃないか、という話などが積み重なって、いまの『ライフ イズ ストレンジ』になっていきました。
――『ライフ イズ ストレンジ』の舞台は現代ですが、BGMとしてはノスタルジックな音楽が使われているのがユニークだと思います。音楽についてはラウルさん自身の好みが反映されているのでしょうか。
ラウル 無意識にそうやって採用している部分はあるかもしれませんが、もっと重要なのは、その音楽がシーンと合うかどうかです。『ライフ イズ ストレンジ』と『ライフ イズ ストレンジ 2』では、フランスのバンドSyd Matters(シド・マターズ)のメンバーであるJonathan Morali(ジョナサン・モラリ)氏が音楽スタッフとして参加してくれているのですが、その関係もあって、開発中にはネオフォークと呼ばれるジャンルの音楽をすごく聴いていました。『ライフ イズ ストレンジ 2』ではエレクトロニック系の楽曲も取り入れています。また、今回は各エピソードにフランス人アーティストの楽曲を1曲は入れるようにしていて、そういった面ではより挑戦的になっていますね。
――『ライフ イズ ストレンジ』シリーズではキャラクターが佇んで、特別なカメラワークとともに音楽が流れる、といったシーンがあり、それを関係者は“禅モーメント”と呼んでいるそうですが。
ラウル はい(笑)。禅のように、心静かに浸れるシーンということで、そう呼んでいます(※オフィシャルの呼称は“A Moment of Calm”)。そのコンセプトを私が出したのか、ほかの誰かだったのかは記憶があいまいですが、開発の早い段階からそういったシーンを入れようというアイデアはありました。『ライフ イズ ストレンジ』は、先を急ぐゲームではないので、プレイヤーにゆっくりと楽しんでもらいたい、という気持ちから生まれた要素で、立ち止まった人だけが、そこでしか聴けない音楽、そこだけのカメラワーク、そこだけのセリフという3つを味わえる、プレゼントのようなシーンなんです。『キャプテン・スピリット』で言えば、クリスがツリーハウスで座っているシーンの音楽は、そこでしか流れないですし、クリスも「キャプテンスピリット参上!」と叫びながら特殊な動きをするんですよ(笑)。これもあそこでしか見られない、ツリーハウスで座ってみた人だけへのプレゼントです。『ライフ イズ ストレンジ 2』でも禅モーメントはありますが、ダニエルが急にちょっかいを出してきたりして、ふたりでいるからこその違いみたいなものはあります。
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ライフ イズ ストレンジ |
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キャプテン・スピリット |
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ライフ イズ ストレンジ 2 |
誰も気づいていない!? 小ネタ†
――『ライフ イズ ストレンジ』シリーズは、絵画的な絵作り、映画的なカメラワークやライティングも印象的ですが、影響を受けた作品などはありますか?
ラウル アートについてはミシェルの守備範囲なのですが、綺麗にする、写実的に描くことよりも、プレイヤーに何かしらの印象を与えるようなビジュアル作りをした結果、絵画的と言えるような表現になっていると思います。カメラワークや演出に関して言えば、アニメやゲームにあるような派手な動きはせずに、どちらかと言うと往年の名作と呼ばれるような映画を参考にしています。
――具体的に参考にした作品はありますか?
ラウル チームで作っているので、各スタッフの好みがミックスされているとは思いますが、ひとつ例を挙げるならデヴィッド・フィンチャーの作品は、多くのスタッフが影響を受けていると思います。
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クロエのピックアップトラックのナンバーは『TWIN PEAKS』モチーフ。 |
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こちらは『シャイニング』ネタ。 |
ラウル あとは、カメラワークや演出に関して言えば、アジア系の映画にも影響を受けています。アジア映画はハリウッド作品に比べて時間がゆっくり流れていて、『ライフ イズ ストレンジ』との親和性も高かったので、ゲームの画作りをする際の参考にしました。あと、この機会におそらく誰も気づいていないと思われる映画にまつわる小ネタも紹介しましょう。エピソード2の廃品置き場でクロエとマックスが射撃を練習するシーンがありますが、クロエが跳弾で弾を受けてしまうことがありますよね? 弾を受けないパターンもあって、そのときの跳弾の音が、『ターミネーター』のジングルと同じリズムになっているんですよ。「ダダン ダン ダダン」と(笑)。ジェームズ・キャメロン監督の作品が好きなので、そのオマージュとして入れています。
とくにこだわったシーン†
――海外では先行配信されていた『ライフ イズ ストレンジ 2』ですが、手応えはいかがでしたか?
ラウル 前作同様、結末はいくつかあり、すべてがハッピーとは言えませんが、ファンの方々が我々のやりたかったことを受け入れ、気に入ってくれたことは、個人的にはハッピーでした。エンディングを迎えたプレイヤーたちが、兄弟の結末に泣いてくれたり、ゲームを終えてふたりと別れることを寂しく感じてくれたりしていて、そういうコメントを読むと、「この作品を作ってよかった」という気持ちになります。
――今回はダニエルをどう教育するかで結末が左右される、というのがまた悩ましい部分ですね。ダニエルにモラルを守らせたことが、果たしていい結果につながったのか……みたいな。
ラウル 気に入っていただけてうれしいです。コンセプトのひとつとして、弟の面倒を見るということだけではなく、自分が家族や友だち、まわりの人と関わるときに、どう考えて接してほしいか、みたいなことを取り入れています。
――エピソード配信にこだわっている理由は何かあるのですか?
ラウル エピソード配信の決定は、おもにはスクウェア・エニックスですが、本作では兄弟たちが旅の中で感じる季節の変化を、現実の季節の変化とともにプレイヤーにも感じてもらうことができたと思います。たとえば、エピソード1なら秋のハロウィンの時期。エピソード2では雪が降っていて、エピソード3では夏。季節が変わることで、各エピソードを際立たせることができたので、そういった意味でも今回のエピソード配信は効果的でしたね。
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――開発側からすると、エピソード配信というのどうなのですか? たいへんですか?
ラウル ものすごくたいへんです(笑)。
――これまでの『ライフ イズ ストレンジ』シリーズを振り返ってみて、気に入っているシーンなどありますか?
ラウル このシーン、となかなか選べませんが、たとえばクロエとマックスがレイチェルの遺体を見つけて泣いてしまうシーンは、本当に音楽・歌詞の意味や演出にこだわっていて、すごく印象に残っています。あとはエピソード3のエンディングで、時間を変えたことによってクロエが重傷を負ってしまうシーン。あそこも音楽やカメラにはすごくこだわりました。もうひとつは、エピソード5でマックスが自分でクルマを運転してアルカディア・ベイの中心に戻るところです。嵐の最中、ネイサンから「気をつけろよ」という留守電が入っているんですけど、そのときすでにネイサンは死んでいますので、死人からメッセージが届くシーンになっているのですが、あそこでも音楽などの演出にはこだわりました。
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――『ライフ イズ ストレンジ 2』では?
ラウル やはり、エンディングですね。シアトルでの悲劇的な事件で日常が終わって、兄弟ふたりの旅が始まり、旅の果てにたどり着く最終盤では、現実世界でもある問題に直面することになります。すべてのエンディングで、物語の流れ、カメラワーク、音楽にこだわったので、すごく気に入っています。
――そのほか、こだわりがあれば。
ラウル 日本版は唯一、吹き替えに対応している、というのもこだわりのひとつです。私自身、日本文化に触れて育ってきて、その影響が『ライフ イズ ストレンジ 2』にも表れています。たとえば、『キャプテン・スピリット』なら変身のシーンは『美少女戦士セーラームーン』や『聖闘士星矢』を意識していますし、『ライフ イズ ストレンジ 2』なら、終盤のダニエルの破けた赤いTシャツと腕の包帯は、『AKIRA』の鉄雄のイメージです。そうした日本文化からの影響みたいなものも楽しんでいただければと思います。
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週刊ファミ通2020年4月9・16日合併号(2020年3月26日発売)より。
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