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『コール オブ デューティ ブラックオプスII』プレイインプッション――そのトリガーは軽くて重い
公開日時:2012-12-21 00:00:00
ついに日本語吹き替え版、Wii U版が発売された『コール オブ デューティ ブラックオプスII』。この日本語吹き替え版、もしくはWii U版を待っていた人もいるだろう。今回は字幕版、日本語吹き替え版が出揃った、ということで、あらためてプレイインプレションをお届けしよう。
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●そのトリガーは軽くて重い†
戦争物FPSがビデオゲームのメインストリームに躍り出て久しい。このムーブメントを牽引しているフランチャイズ、『コール オブ デューティ(以下、COD)』シリーズは毎年ホリデイシーズンに新作を投入し、その度にギネス級の売り上げを達成。最新作『ブラックオプスII』は、アメリカ市場だけを見ても、発売から2週間ほどで約750万本を売り上げており、最終的には世界的に数千万本を売るビッグヒットを達成するのは間違いない。
こうした勢いはもちろん日本にも飛び火しており、ソフトの売り上げも好調なほか、最近はサバイバルゲーム業界も活性化していると聞く。トイガンメーカーの業績は好調、サバイバルゲーム用フィールドも大盛況で、最近サバゲーを始めた人たちは、ゲーム中で愛用していたモデルのトイガンを購入し、参加する人も多いという。さらに実際に参加してみて、「FPSで覚えた動きが実際のサバゲーでも役に立った」という意見もあるほどで、『COD』シリーズが牽引してきたFPSブームは、思わぬ形で発展、活性化している。
この流れは、アメリカでは早くから着目されてきた。アメリカ陸軍は『America’s Army』という実際の戦闘訓練内容を織り込んだPC用FPSをオンライン上で無料配布し、新兵のリクルートに役立てている。つまり、「たかがゲーム、されどゲーム」であり、モニター上の疑似体験が実際の訓練に相当すると、世界最大の軍事組織であるアメリカ陸軍が判断しているのだ。あくまでも噂だが、『America’s Army』の成績上位者には直接アメリカ陸軍からスカウトが行くという話もあるほどで、こうなってくると、眉をしかめる人たちが出てくるのもわからなくはない。「いまウチの子供が遊んでいるこのゲームは、キルマシーン養成プログラムなのか」と。確かに、まったくプレイしていない人と比べれば、FPS経験者は少し戦闘訓練に秀でて見えるだろう。しかし、実際の銃を扱うとなると、話は別だ。火薬の圧倒的なパワーの前では、ゲームの経験など全く役に立たない。
昔、取材で訪れたラスベガスでガンショップに立ち寄り、実銃射撃を体験した。9ミリ口径のハンドガンを撃つだけでも、その衝撃と音、そして眼前に広がるマズルブラストの大きさに驚かされた。それは間違い無く武器であり凶器だった。手にシビレにも似たじんわりとした感触が残ったままシューティングレンジを出ようとすると、隣のレンジから「ズバババン!」と凄い音が聞こえてきた。そこでは、屈強な黒人男性がアサルトライフルのフルオート射撃に挑戦していた。もう一度引き金を引く。「ズバババン!」。あまりの衝撃の強さに、その屈強な男性の腕がグラグラと揺れまくり、慌ててインストラクターが横から支えていた。「あんなガタイの良い人でも撃てないの!?」。その時初めて、ブートキャンプ(新兵訓練所)の必要性を実感したし、ビリー軍曹のDVDがヒットした理由がわかったような気がした。
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そう、生身の人間にはPerkスロットは付いていない。ブートキャンプには“ライトウェイト”も“タフネス”も“ゴースト”も無い。あるのは生身の肉体だけ。FPSでキルレシオを上げることと、20キロの装備を背負って戦うことは別次元の話なのだ。昨今はeスポーツなるものもメジャー化し、そこでは戦争物FPSが種目にもなっているが、やはりこれは“バーチャル・スポーツ”であり、“バーチャル・ウォー”ではない。実銃のトリガーは、ゲームコントローラーのトリガーほど軽くはないのだ。
過日、興味深いドキュメンタリー番組を観た。NHKスペシャルで放映された『貧者の兵器とロボット兵器』。これは相当に衝撃的な内容だった。テーマは“非対称戦争”。アフガニスタンで行われていた、アメリカ軍とタリバンの戦いにスポットを当て、そこで展開している“非対称”な新しい戦争について迫る内容だ。いったい何が非対称なのか。それは使用する兵器、ひいては戦争における命の価値だ。旧式の武器で戦い、時には命をも武器とする自爆テロを敢行するタリバン。一方で、アメリカ軍はこの戦場に続々と無人のロボット兵器を投入し、安全な場所からの戦争を模索している。
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『COD』シリーズにも度々登場するUAV(無人航空機)もここで登場するが、その運用の実態が衝撃的だった。アフガニスタン上空でタリバンを攻撃している無人機は、どこで操縦しているのか。それは、アフガニスタンでも中東地域でもなく、アメリカのネバダ州にある空軍基地だった。GPSと衛星通信システムを介し、パイロットはエアコンの効いた基地内のコントロールルームでタリバンに向かってトリガーを引く。任務が終わればクルマに乗って自宅に帰り、妻の手料理を食べ、食後に子供と一緒にNFLを観る。休暇となれば、ラスベガスに行ってカジノに興じることも可能だろう。タリバンは、この姿無き相手に向かって、“貧者の兵器”で戦いを挑んでいる……。
米軍のこうした無人兵器開発は活発化しており、ベンチャー企業の参入も相次いでいる。2025年の戦いを描いた『ブラックオプスII』では、この無人兵器が大きくフィーチャーされているが、これはフィクションではなく、来るべき未来の姿なのだ。そしてロボット兵器がリアルな存在になるほど、ビデオゲームとの距離は縮まっていく。モニターを覗き、コントローラーで操作するその姿は、もはやゲームと何も違わない。テスト中のロボット兵器の画像などを見ると、その入力デバイスはコンソールゲーム機のコントローラーに酷似している場合も多い。
ゲーム機のトリガーを引いて、画面の中のアサルトライフルを撃つ。コントローラー内部のバイブレーション機能がブルンと震えてリコイルを再現するが、それは実銃が発する衝撃からはほど遠い。しかし、操作するのが画面の中のロボット兵器だったら、それは恐らく本物と何も違わない。
そのトリガーの“軽さ”が、本物の兵器と変わらない日がそこまで来ている。
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■著者紹介ポルノ鈴木
元週刊ファミ通編集者。現フリーダムライター。ゲームは『COD』シリーズしかやらなくなって数年経ちました。サバイバルゲームもやりたいけど、電動ガンは思いのほか初期投資が必要なので尻込み中。タニオ・コバのVP70一丁持って参加したら笑われるんでしょうか?
※『コール オブ デューティ ブラックオプスII』の公式サイトはこちら
(C)2012 Activision Publishing, Inc. Activision and Call of Duty are registered trademarks and Black Ops is a trademark of Activision Publishing, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
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