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『コール オブ デューティ ブラックオプスII』ゲームならではの感情表現を追及する作品
公開日時:2012-11-22 00:00:00
世界的な人気を誇るFPS、『コール オブ デューティ』シリーズの最新作である『コール オブ デューティ ブラックオプスII』。本作は2010年に発売された『コール オブ デューティ ブラックオプス』の続編にあたり、キャンペーンでのストーリーや設定は受け継がれている。ここではFPSというジャンルを超えた、本作ならではの映像的、ゲーム的な表現の魅力について、キャンペーンモードに絞ったプレイインプレッションをお届けしよう。
■物語の分岐により語られる重厚なストーリーライン†
本作のジャンルはFPSであるが、キャンペーンのストーリーや設定、ドラマがしっかり描かれているところに特徴がある。本作の主人公はデイビッド・メイソン。特殊部隊に所属しており、テロ組織と戦いを繰り広げている。デイビッド・メイソンは前作『ブラックオプス』の主人公であったアレックス・メイソンの息子だ。アレックス・メイソンはCIAの工作員を務めていたので、親子二代で過酷な職業を選んだことになる。
本作のキャンペーンの特徴は、近未来に生きるデイビッドと冷戦時代に任務をこなしていたアレックスとの、異なった視点で物語が進んでいくところだ。ストーリーが進むと、さらにここにテロ組織の親玉であるメネンデスの視点も加わっていく。
このように複数の視点で物語が語られることで、プレイヤーは複数の人物の視点から見聞きし、段階的に知識を得ていく。登場人物の主観視点で描くことで、よりリアルに事実を認識・体感しながら、ひとりの視点では知りえない物語の真相に迫っていくことができるのだ。
さらに本作ではプレイヤーの選択によりストーリーが分岐するため、登場キャラクターの生死や、それにともなって結末も変化する。グッドエンド、バッドエンドというよりは、「こういう終わりかたもありだな」と思わせてくれるドラマの奥深さを味わうことが可能だ。ひとつの結末を終えたら、「今度はあのシーンで、別の行動を取ったらどうなるか」と興味も出てくるはずだ。
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▲本作はステージによってプレイヤーの視点が変わる。それにより多くの情報を得ることができ、時代を超えた壮大なストーリーを体験することができる。 |
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■視点の変化によるプレイ感覚の変化†
本作は基本的に1980年代のアレックス・メイソンの視点と、2025年のデイビッド・メイソンの視点で語られるため、当然、舞台となるステージも変わってくる。2025年では、近未来兵器が登場するため、ゲーム性も変化するのがおもしろいところだ。
アレックスの記憶を追体験するステージでは、冷戦時代の設定なので使う武器がやや古い。いっぽうデイビッドの使う武器は銃の照準機に先進的な光学技術が使われており、そのほかにも数々のハイテク兵器を扱うことができる。これによってステージにより異なった銃撃、攻撃の感覚を楽しむことができる。
戦場の状況によってもゲーム性は変化する。内戦状態の戦場に放り込まれたときは、敵味方の区別がわかりにくい乱戦になっている。いっぽうデイビッドが特殊部隊でテロ組織と戦う場合は、チームの一員として戦略的に敵を撃破していく感覚が味わえる。ストーリーの変化に合わせて、さまざまなゲーム性が用意されているのでプレイヤーを飽きさせることがない。
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▲時代や状況の変化により、使う銃や兵器は変わってくる。それによってゲーム性が変化するので、ゲームが単調になることはない。バラエティに富んだ遊び方ができる。 |
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■主人公の感情をゲーム性で表現†
さまざまなゲーム性を用意して楽しませてくれる本作。だが筆者は、本作の本当の魅力はそれを超えたところにあると思う。単にゲーム性の種類が多いのではなく、ゲーム性によって人間性や感情を表現しているところがすごいと感じるのだ。
アレックスは冷戦時代に、数奇な運命をたどった人物といえる。その人生は波瀾万丈で、記憶も生々しい。ゲームの中でも乱戦や馬に乗っての戦闘など、活力に溢れ、印象的なシーンが多い。
いっぽうデイビッドは、最新兵器を用いて淡々と職務をこなし、現代風でスマートな印象だ。戦略的に、確実に敵を倒していくゲーム性は、デイビッドの置かれた立場やその性格を表しているともいえるだろう。
また、本作は単にシナリオが二転三転しておもしろい、というだけの作品ではない。理屈よりも先に、ガツン! とプレイヤーにぶつけてくるような熱情がゲームの中にある。それはゲームを通して、視点となる人物の感情が生々しく表現されているからであろう。本作が凡百のFPSと違うのは、まさにそこなのではないかと思う。
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▲慎重に進むシーンもあれば、怒りにまかせて突進することもある。ゲーム性による感情表現が秀逸だ。いまだ数列に悩まされるアレックス。それぞれのキャラクターが過去に背負ったものが2025年にどうつながってくるのかも物語のポイントだ。 |
■異質なおもしろさを秘める“ストライクフォース”†
本作には“ストライクフォース”と呼ばれるRTS(リアルタイムストラテジー)風のステージがある。このステージだけ見ればほかのFPSステージとはまったくゲーム性が異なっており、かなり思い切った試みといえる。
“ストライクフォース”は他のFPSステージとは異なり、決まった視点を持たない。部隊全体を見渡し、部隊を好きな場所に移動させることができる。また登場する歩兵、兵器のカメラ視点を自由に切り替えることができ、操作する兵士を変えながら任務を遂行することになる。他のステージとはまったく異なるゲーム性ながら、これはこれで完成されたおもしろさがあるので、ぜひチャレンジしてみてほしいと思う。
RTSに慣れているプレイヤーなら、“ストライクフォース”のルールをすぐに理解できるだろう。だがそうでなければ、まったくゲーム性が違うだけにとまどうかもしれない。ただし、このステージはクリアーできなくてもストーリーを進めることはできる。
興味深いのは、感情表現に長けたFPSの本作に、全体を俯瞰する“ストライクフォース”といういかにもゲーム的なRTSが含まれているというところだ。FPSを主観とするならば、“ストライクフォース”はまさに客観。兵士の視点に切り替えて操作できるとはいうものの、そこに個人としての名前や意識は存在しない。FPSが個人の視点で描かれているだけに好対照となっている。
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▲FPSステージと少し違ったおもしろさが味わえる“ストライクフォース”。視点を切り替えて重要な場所の兵士を動かし、効率よく敵を倒すことが必要になってくる。ひとりの兵士の視点で敵を倒していくという、通常と変わらぬプレイ感覚も楽しめる。 |
■本作でしか味わえない、鮮烈な体験とは†
本作は何も考えずに遊んでも楽しいし、ストーリーや設定を追及しても奥が深い。新たにRTSステージも加わって、さまざまな楽しさが味わえる。だがやはり本作の最大の魅力は、その生々しい戦場体験だろう。その迫力はどこから生まれるのだろうか? それは表面上のリアルを超えたところにある、人間の感情をゲーム内で表現しているからなのだと筆者は思う。その鮮烈な体験を、ぜひ自分自身で確かめてみてほしい。
筆者:石井ぜんじ
おもにファミ通Xbox 360誌で攻略、クロスレビューを担当してきた古株ライター。ゲームの文章を書き始めてから20数年、飽きずに続けております。過去に『NINJA GAIDEN』シリーズ攻略本、『シュタインズ・ゲート公式資料集』などに参加。
※『コール オブ デューティ ブラックオプスII』の公式サイトはこちら
(C)2012 Activision Publishing, Inc. Activision and Call of Duty are registered trademarks and Black Ops is a trademark of Activision Publishing, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
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