『龍が如く』の常識を全てリセット。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、大東真の50年の生き様を訊くインタビュー【gamescom 2026】

『龍が如く』の常識を全てリセット。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、大東真の50年の生き様を訊くインタビュー【gamescom 2026】
 RGGスタジオのアクションアドベンチャー最新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』(STRANGER THAN HEAVEN)。
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 1915年から始まる5つの時代・5つの舞台で、主人公の大東真の一生を体験する。『龍が如く』シリーズとはリンクする設定もありつつ、システムや雰囲気はまた一線を画した内容となっている。

 2026年8月26日~30日にドイツ・ケルンで開催されたgamescom 2026に本作が出展。開発キーマンのふたりに話を訊く機会を得た。バトルシステムや発売に向けた現在地まで訊いたインタビューをお届けする。

阪本寛之 氏さかもと ひろゆき

RGGスタジオ所属『ストレンジャー ザン ヘヴン』プロデューサー。(文中は阪本)

阿部幹信 氏あべ みきのぶ

RGGスタジオ所属『ストレンジャー ザン ヘヴン』ディレクター。(文中は阿部)

欧州でも高まる『龍が如く』人気

『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】
――gamescom会場の本作ブースもすごいですね。

阪本
 昔の町並みを再現してね。年齢制限があるから外からは見えないけど、試遊ブースの中も作品に合わせてジャズクラブ風にしているんですよ。こちらのお客さんも喜んでくれているようです。

――『龍が如く』シリーズはアジアでの人気が強い印象でしたが、ヨーロッパやアメリカの反響はいかがでしょう。

阪本
 北米・欧州ファンの熱量はこういったイベントの形でも表れていて年々上がっている印象です。いまはもうかなりこちらのファンもアグレッシブな感じがしますね。

―― 『Yakuza』から『Like a Dragon』にタイトルが変わったあたりで風向きが変わった感じですか。
※『龍が如く』シリーズの英題はかつて『Yakuza』という直球タイトルだったが、2020年から『Like a Dragon』が副題に採用され、2023年から完全に統一されている。
阪本 
そうそう。あのあたりで本当に大きく変わりましたね。

―― 今回のgamescomでのデモの反響はいかがですか。

阪本 
今回のデモはバトルをちょっと体験できる内容なのですけど、イベントの限られた時間ということもあり、なかなか伝えるのが難しい部分もありました。

 ですが、独自操作、いままでと違った操作感で生々しいバトルができるというところはおおむね好評をいただいている印象ですね。

――6月のSummer Game Fest 2026(SGF)でもデモを出展されていましたね。今回はほぼ同内容で?
阪本 
SGFはメディアやインフルエンサー限定のイベントでしたが、反応は今回と近かったですね。

 gamescom版のデモは、SGF版からさらにいくつかブラッシュアップを加えて、ロケーションも少し変えています。SGFでも今回も、「このバトルはエキサイティングだ」という反応をしてもらえています。
『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】
――SGFから今回の出展まで、具体的にどういった点を調整されたのでしょう。
 
阪本 
見た目的には変わらないのですけど、ゲームの中身、裏側部分ですね。

 ガードの戦略性だったりとか、エネミーAIの動きかただったり、ほんとに細かいんですけども、そこを今回に合わせて調整しました。SGFのバージョンから確実にアップデートできているので、その点も評価してもらえている感触はありますね。

――6月のSGFでは「ボスが強い」という声があったと思うのですが、難易度は変わりましたか。

阪本 
強敵は強敵らしく、すごく集中してバトルに没頭できるというニュアンスは、製品版でもカラーとして残したいなと思っています。

 それ以外の、いわゆる雑魚戦で爽快に倒せるテンポ感みたいな部分はちょっとチューニングして、「こういう感じかな」というのをいままさに試している最中です。

主人公の成長とプレイヤーの上達がシンクロ。ナラティブと同期する難度設計

『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】
――『龍が如く』シリーズは「全員にエンディングを観てほしい」という意識で作られ、高いエンディング到達率を誇っていたかと思います。一方で本作では“歯ごたえのあるバトル”を用意すると、そちらが難しくなる部分があるのではないかと思いますが、アクションが苦手な人向けの救済策は何か用意されるのでしょうか?

阪本 
あります。ゲーム全体の難易度設定の項目は設けます。

 ダメージ量だったり敵の硬さだったりといった部分で、アクションが苦手な人でもプレイしてもらいたいので、そういう難易度設定はもちろん設けますね。

 それ以外にも、さらに初心者向けの救済策のようなものも用意するつもりです。使うか使わないかはプレイヤーにお任せしますが、そこから徐々にデフォルトの操作に慣れてもらうような、間口の広い入り口を用意しようと思っています。

――阿部さんはディレクターの立場から難度設計についてどのようにお考えですか。

阿部 
本作でいちばん大事にしていた部分は、操作が直感的で、プレイヤーと主人公のシンクロ具合がすごく高いということなんです。

 主人公・大東真の50年の人生の中で、プレイヤーがすこしずつ上達していく過程と、大東真というキャラクターが物語を通して年を重ね、戦いに慣れていく過程。これがすごくシンクロするような、ナラティブとの同期感をすごく意識して設計しています。

――ゲーム序盤は操作に若干戸惑うかもしれないけど、物語が進むにつれて「あれ、俺、バトルに慣れてきたな、強くなってるな」と実感できるような?

阿部 
そうですね。とくに今回のデモは戦闘にフォーカスしているので、いきなり触ると「難しい」という印象を受けるかもしれません。

 ですが、製品版では、ゲームの中で大東が成長していく過程を、プレイヤーもちゃんと体験できるように設計しています。チュートリアルなどを通して少しずつ慣れていってもらい、操作を意識せずにできるようになったころには、すごく物語に没入できるんじゃないかなと思っています。

『龍が如く』の常識をゼロから見直す

『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】
――本作はRGGスタジオ制作であり、世界設定のつながりもにおわせながらも、完全新規タイトルですよね。そのあたりでシステム設計の難しさはありませんでしたか。つまりまったく新しい、恋愛シミュレーションゲームとか、完全なる別ジャンルにはできないだろうけど、『龍が如く』とまったくいっしょだと新規タイトルの意味がないし、というような。

阿部 
『龍が如く』とはまったく違うものをゼロから作るにあたって、開発の過程では『龍が如く』のいろんな設計や、当たり前になっていたものをすべて一度リセットして考え直しました。

 「ミニマップの位置はここであるべきなのか?」とか、本当にそういった根幹的なところをひとつひとつ見直して、丁寧に組み上げていったという感じです。

――ナンバリングで最新の『龍が如く8』ではコマンドバトルでしたが、今回はアクションバトルになりました。このあたりの理由というのは?

阪本 
「大東真の物語にいちばん親和性が高いゲームシステムは何か?」という考えかたで決めています。

 ひとりの人生を50年かけて遊ぶうえで感情移入のしやすさを考えると、アクションがベストだろうと。『
龍が如く7』、『龍が如く8』をRPGのコマンドバトルにしたのは、パーティーで仲間とともに戦うゲームだったからです。

 そういう意味で決まったテンプレートはないのですが、物語にとっていちばん望ましい形を、たとえジャンルを変えてでもゼロから作る、というのが我々のポリシーですね。

――開発もストーリードリブンというか、物語があって、そのドラマをプレイヤーがもっとも効果的に享受できるシステムはどのようなものか、という進めかたなのですね。

桐生一馬は最初から強い。大東真は違う

『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】
――『龍が如く』との違いと言えば、これまでの道端の自転車を振り回すような武器攻撃ともまた異なって、本作ではドスやハンマーといった装備武器での攻撃もありますね。
阿部 
大東真の人生を描く際に、原点回帰的な意識がすごくありまして。

 昔の任侠映画のような“生々しくて泥臭い喧嘩”を取り入れたいと思っていました。桐生一馬は最初から喧嘩がすごく強い前提でゲームを作れます。

 でも、幼少期に日本に来て50年かけて成長していくキャラクターが最初から強いとやっぱり説得力がない。素手だけでなく、武器なども通じて、大東がどんな人生を歩んでいくかをプレイヤー自身が決めていけるような設計にしたい、という思いで取り入れたものなんです。

――ゲーム的に野暮な質問だというのは承知の上で……あの、ドスで思い切り刺されても敵の体力がちょびっとしか減らないですよね? ボス戦。

阪本 
そこはいままさにしっくりくる形を模索してチューニングしているところです(笑)。

 ただ、今回はナンバリングタイトルのような派手なオーラが出たり、スーパーナチュラルな表現に頼ったりせず、“生々しさをどう出すか”をかなり大きなテーマにしていますね。

阿部 
大東真も、最初はドスをうまく使えないところから始まります。でも、ひとりの人間が30年間同じものを使っていれば、徐々に道具の扱いに慣れていく。

 そういった形で年を重ねるにつれてどんどん強くなっていくように設計しています。実際にゲームを遊んでいくと今回のデモ版よりも納得感はすごく上がっていくと思います。

人生はひと筆書き

――本作では戦闘中の選択肢によってその後の展開が変化するというのも特徴とのことですが、この選びかたによってストーリーはどの程度変わるのでしょう?

阪本 
物語本編の展開が大幅に変わるというものではないです。メインストーリーは決まっていて、その途中のちょっとしたバリエーションという形でプレイヤーごとに変化が味わえれば、という感じで作っています。

 このゲームは後戻りができないんです。本当に人生はひと筆書きのようで、「レベルを上げて再挑戦する」みたいなことをすごく排除したゲームになっています。

 そのときそのときの選択がすべてで、決定以降は何も変わりません。別のパターンをやりたければ2周目で試してもらう、という遊びかたが我々の想定にいちばん近いのかなと思います。

5つの時代、5つの街。『龍5』の5倍たいへん?

――時代が異なる舞台が複数あるということは、マップ制作も相当労力がかかるのでは。作業が単純に5倍になりませんか?

阪本 
いやもう、めちゃくちゃたいへんですね。

――(笑)。

阪本 
かつて『龍が如く5』で5つの都市を作ったことがありますが、今回はそれと比べ物にならないくらい緻密で、しかも現代じゃないんですよね。

 となると、看板ひとつ取っても時代ごとに使われている文字が違うし、住民の服、お店の様子、建築様式も全部違います。夜になると街灯なんてないエリアは真っ暗になる、といったところも時代に合わせて作っているので、本当に大変です。

――走っているクルマの形も変わってきますよね。

阪本 
そうなんです。路面電車が走っていても時代ごとに形が違ったり、テレビがブラウン管だったり、そもそもなかったり……。そういう小さい生活用品、小物ひとつひとつを全部調べて作ったので、本当に5倍かかっているんじゃないかと思いますね。

――日本のスタジオが日本の街を作るだけに、細部のリアリティも手を抜けない。

阪本 
当時の地図とかを忠実に再現しているわけではもちろんないのですが、「この時代に使われていないテクノロジーはいっさい入れない」といったルールを厳重に管理して作っているので、そのあたりは自信を持って言えます。うちのデザイナーの気合の入りかたは尋常じゃないと思いますね。

――時代がかなり違うので行ってもしょうがないのかなとは思いますが、現地取材も行かれて?

阪本 
ひと通り行きましたよ。

 もちろん町並みはぜんぜん違うと思うんですけど、当地の歴史資料館などを巡ってインプットはすべて行い、そこからどうやってゲームに落とし込むか、すごく時間をかけてやっています。

 時代考証の方にアドバイスをいただいたり、東映さんが持つ当時の資料を拝見したりとか、そういった部分はいい協力関係でやらせてもらっていますね。

新しい作品、新しい挑戦

『龍が如く』の“当たり前”を全て捨てた。RGGスタジオが新作『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描く、リセット不能な50年の人生をインタビュー【gamescom 2026】
――まだ開発中とは思いますが、開発の中でいちばんの山場はどこでしたか。

阿部 
まったく新しいゲームとして作り始める、本当に“初速”の部分ですね。

 開発としてはいちばん楽しい時期でもあったんですけど、新しい物語と舞台を描くために取材や資料集めをする中で、知らなかった当時の文化などをインプットし、それを自分たちの描きたい世界に落とし込んでいく作業がもっとも楽しくもあり、すごく苦労したところです。

――左右の半身を使い分ける操作やパリィの導入など、新しい戦闘システムへの不安はありませんでしたか。

阪本 
「これで本当にいいのか」という自問自答の連続でしたね。

 スクラップ&ビルドをくり返していて、それによって左右のバトル操作もモーションをひとつひとつ撮り直したりしているんです。最初に作ったものを確認して、「やっぱりこれじゃダメだ」と。

 ただ、「この新しい切り口は絶対に守ろう」と粘り強くやれたのが、苦労でもあり、価値でもあったのかなと。ダメだったら昔のバトル操作に戻すという保険はありましたが、それだとこのゲームのよさを生かせない。だから本当に、新作のための新しい魅力を生み出す、その戦いでしたね。

――開発的には、2027年1月の発売に向けてRGGスタジオはまさに調整の真っ最中だというところでしょうか?

阿部 
そうですね、本作をおもしろくするためにあらゆることを全力でやっています。

 細かい調整はもちろん、「もっとこういったものがあるといいんじゃないか」というのを、ものすごい熱量の高い状態でいままさに進行させています。発売までの間もまだまだたくさん情報を出していきますので、発売まで、そして発売後も楽しんでいただければと思っています。

阪本 
発売までまだ若干時間はありますが、興味を持っていただいている方々には体験会のような形でできる限りこのゲームにまず触れてもらいたいなと思っています。

――東京ゲームショウでも、今年の目玉になりそうです。

阪本 
東京ゲームショウも詳細が決まり次第、イベント情報をどんどん出していきますので、ぜひチェックして、参加可能であれば来ていただけるとありがたいですね。

――楽しみにしています、ありがとうございました!

      担当者プロフィール

      • 堅田ヒカル

        堅田ヒカル

        ギリ昭和生まれのファミ通編集者。富山県出身。秋葉原と神宮球場に出没。酒とゲームとスワローズと本と旅と犬と猫を適量かき混ぜたら完成。『パワプロ』、『シェンムー』、『ドラクエ』、『逆転裁判』、『グランツーリスモ』が好きな雑食系ゲーマー。内野手。右投げ右打ち。

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