発売直前『オービタルズ』レビュー。1980~90年代SFアニメ風絵柄がすげえ! ギミック設計もばっちりで名作の予感なふたり協力プレイアクション【gamescom 2026】

発売直前『オービタルズ』レビュー。1980~90年代SFアニメ風絵柄がすげえ! ギミック設計もばっちりで名作の予感なふたり協力プレイアクション【gamescom 2026】
 「このゲーム、“よさそう”だな」とにらんでいたゲームを遊んでみたら実際にいい、そのうれしさというのはじつに格別のもので。
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 何の話かというと、2026年8月26日~30日(現地時間)にドイツ・ケルンで開催中の欧州最大のゲームイベント“gamescom 2026”で、Nintendo Switch 2用ソフト『オービタルズ Orbitals』の試遊があって、それがよかったという話。

発売迫る注目作『オービタルズ』


 Nintendo Switch 2向けに2026年9月3日発売予定の本作。2025年冬に情報が公開されて、発表時から何より目を引いていたのは1980~90年代の日本アニメ風の絵柄だ。
 その再現度の高さというか表現は、ぱっと見でも「おお」とうなってしまうような出来栄えで、個人的にけっこう、いやかなり楽しみにしていた。

 それが任天堂ブースに出展するというので、若手編集者のエムエス西本とともにgamescom開幕直後にさっそく試遊を行ってきた。結論としては、冒頭にも書いた通りとてもいい。絵柄だけじゃなくてゲームとしてのデキも文句なし。製品版もぜひ遊びたくなった。

 ゲーム概要や開発の経緯などはファミ通.comに掲載中の別記事にも書いてあるのでそちらもご参照いただきたい。

日本アニメへの熱い愛

 開発者が「このゲームは、自分が幼少期から見てきた日本のアニメに対してのラブレターのようなものです」(Shapefarm『オービタルズ』クリエイティブディレクター/Marcos Ramos氏)と、もうド直球に日本アニメへの愛を語ってくれていて、なんだか筆者まで「へへっ、照れちまうぜ!」と人差し指で鼻の下をこすりたくなるような気分だ(別に自分の手柄ではないのに)。

 やっぱり特筆すべきは、その愛がほとばしりまくっている昭和末期~平成初期ごろのアニメへのリスペクトと再現度。

 現代アニメのデジタル彩色とはちょっと異なる“セル画”に絵の具を塗って色付けしたような風合いだとか、人間の手が鉛筆を握り紙に描いているのだと伝わるような“かすれ”であるとか、撮影のときにセル画と背景のわずかな隙間に生まれる細い影であるとか、本当に芸が細かい。

 このあたりは言葉を連ねるよりも実際にプレイ動画やPVをご覧になっていただいたほうが伝わりやすいと思う。一見の価値ありというやつだ。

 見ての通り多くの昭和・平成アニメにインスピレーションを受けて、また参考にしているらしいけど、強く影響を受けたのは『らんま1/2』、『美少女戦士セーラームーン』、そして『新世紀エヴァンゲリオン』などだそう。納得。そして共鳴。
※影響を受けた作品についてはこれ以外にも多くのタイトルが各メディアのインタビューで語られている。
 そしてその懐かしいアニメ風絵柄は、プレイ中もそのままの感覚で動かせる。なんでもアニメ感を出すために、わざとfps(動きのコマ数)を抑えているところもあるのだという。さらに昔のスタジオジブリなどで使われていた画材まで用意し、必要な部分では実際にアナログで描いたものを取り込んだりしているとのこと。「昔のアニメ風なゲームが作りたいなあ」→「描いちまえばいいじゃん、直に」という直球の解決策を採用したわけだ。

 そういう細かな工夫が積み重ねられている上に、なんでもアニメパートにはベテランのアニメーターを起用したり、手描きの2Dパートには東京・杉並のアニメスタジオStudio Massketと共同制作したりして制作を行ったらしい。つまりそれは「本物の日本アニメやんけ!」というツッコミすら思い浮かぶ。往時の日本アニメの再現というか、できる限り“昔のアニメの新作”(変な日本語)を作ろうとしているような姿勢だ。

 もうできあがっている完成品だけを見ると、「へーそうなんだ、なるほどね」と、さらっと流してしまいそうなくらいにすごくきちんとできている。だけど、おそらくそれはとても……難しかったはずで、プレイヤーからは想像するしかないのだけど……
いやこれ、作るのめちゃくちゃたいへんだったんじゃねえの!?!?!? と、その裏側に重ねられた作業と熱量に圧倒される、ちょっとぞっとするような熱意を感じる。
このシーンがわかりやすいのだけど、輪郭線の外側にわずかに影が落ちていて「ああ~昔のアニメってこんな感じだったなあ~」感がすごい。
 いや、君たち2026年に紙で描いて色塗って取り込んで、それゲームにしたん?? わざわざ当時のフィルムカメラによる撮影工程を3D上でシミュレートしたん??? なにゆえ??? え?? 「日本の昔のアニメが好きだから」っていう理由で??????? そう……。

 ヒエ……。

 軽く引く。

ゲーム部分もいいデキ!


 本当に引いているわけじゃないのだけど、まあとにかくその“愛”に圧倒されるのだ。

 では、「アニメ好きな人が古いっぽいアニメを作っただけ?」かというと、決してそんなことはない。ゲーム部分の作り込みもすばらしい。

 ゲームとしては非対称Co-op(協力)プレイアクションというジャンル。このジャンルの代表作といえば2021年のTGAゲーム・オブ・ザ・イヤーにも輝いた『
It Takes Two』で、必ずふたり同時でプレイし、お互いに助け合いながらゲームを進行するというもの。
プレイヤーはオムラかマキのどちらかを選択してプレイする。
 ワイワイとボードゲームを遊ぶような、リアルに人とやるからこその楽しさがある。試遊では、若手編集者エムエス西本が爆弾を爆発させ、筆者がうまくジャンプして進む……というようなシーンがあった。プレイ中のエムエス西本は、先輩である筆者に対し「ちゃんとやってくださいよ!」とか「そこに書いてあるでしょ!」とか、じつにフランクに語り掛けて来た。ゲームを通じて仲よくなれる実例と言える。舐められているわけではないぞ。
ふたりがそれぞれ正しい入力を行なうギミック。
 この協力ギミックも、多くの種類を考えて作るとなるとなかなか難しそうだけど、開発には同ジャンルの『スプリット・フィクション』の開発にも携わっていたスタッフがいるとのことで、そのデキは折り紙付き。アクションに失敗した際のリスタートも早く、プレイヤーのストレスを溜めない設計がうれしい。

 (余談だけどジャンルはSFであるゲーム内設定的にはリスタートの際は“リプリント”が行われているそうで、それはつまりリプリント前の個人の人格というか認識としては“死”にほかならないのでは……というちょっと怖い感想も抱いた)。

 わかりやすい宇宙SFアニメという設定は『It Takes Two』や『スプリット・フィクション』よりも幅広い年齢層が楽しめそうという感もあり、協力プレイアクションの入り口としてもオススメしたい。
ちょっと『タイムボカン』っぽいシーン。もはや1970年代じゃないかよ!(笑)

まとめ:偏愛が生んだ傑作の予感!


 それにしても、当初情報を見たときはてっきり“日本のレトロアニメが好きすぎる外国スタジオ”が作ったのかと思ったら、開発のShapefarmは、東京・三鷹駅のそばにあるのだという(おお、三鷹と言えばジブリ。ひょっとしてジブリの近くだからそこにしたのかな……)。

 日本のスタジオが日本人アニメーターを起用して日本のアニメ会社と共同制作しつつ、1980~90年代アニメを愛して作ったゲーム……そりゃあ日本人である筆者が好きになるはずである。ただ、ここがちょっとおもしろいというか不思議なところで、開発のコアスタッフは外国人が占めているからか、ではすべてを日本メーカーが作った感じのゲームかと言うと、やっぱりちょっと外国の風味を感じる。

 もちろん、日本製のゲームだろうが海外製のゲームだろうがおもしろければ何でもいいと言えばいいんだけど。本作の場合はその“和洋折衷”の感じがおもしろい。苺大福を初めて食べた人とか、アンパンを初めて食べた人はこんな感想を持ったかもしれない。しかも最新の技術(たとえばゲームはUnreal Engine 5で制作されている)を駆使して、いわば“新古折衷”というのも絶妙で、本作ならではの独自の味わいにつながっている。

 “最新の技術であえて昔風のものを作る”というのは、建築界では“擬古建築”というらしいんだけど(ロンドンのタワーブリッジとか東京駅舎とか)、本作は言ってみればゲームの擬古建築。見た目は懐かしいアニメの表現にこだわってこだわり抜いた、手間もエネルギーもかかっているもので、中身は最新のUE5で作られた協力アクション。本稿では触れるのが後回しになってしまったけど、アクション部分のデキもいいんだこれが。

 見た目もユニークだし、中身はしっかりと作られていて掛け値なしに楽しい。

 「あのころのアニメが好き、セル画の塗りって独特の“味”があって最高だよね」という人や、「『It Takes Two』みたいな協力アクションが好き」という人にもぜひ遊んでみてほしい。もちろん筆者のように「どっちも好き!」という人にも自信を持っておすすめしたい1本だ。

 今回プレイできたのはわずか30分程度なので序盤以降の難度設定やストーリー展開についてはもちろんわからないのだけど、しっかりした制作と、こだわり抜いた愛情の両者に支えられている、2026年トップクラスの良作である予感がしている。
本作メインビジュアル。ほらこの元気な謎ポーズ……いいよね……いいでしょう……。

作品概要

  • タイトル:『オービタルズ Orbitals』
  • 対応ハード:Nintendo Switch 2
  • 発売日:2026年9月3日
  • 価格:6980円[税込](ダウンロード版は5980円[税込])
  • メーカー:Kepler Interactive
  • 対象年齢:CERO 12歳以上対象
  • 備考:開発 Shapefarm ダウンロード専売のデラックスエディションは6980円[税込]

      担当者プロフィール

      • 堅田ヒカル

        堅田ヒカル

        ギリ昭和生まれのファミ通編集者。富山県出身。秋葉原と神宮球場に出没。酒とゲームとスワローズと本と旅と犬と猫を適量かき混ぜたら完成。『パワプロ』、『シェンムー』、『ドラクエ』、『逆転裁判』、『グランツーリスモ』が好きな雑食系ゲーマー。内野手。右投げ右打ち。

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