「私、シンを倒します。かならず倒します」
2019年の2〜4月。平成の終わり際に、Nintendo Switch、Xbox Oneで相次いで配信が始まった、リマスター版の『FFVII』、『FFIX』、『FFX/X-2』、『FFXII ザ ゾディアック エイジ』。
リマスター版の特徴に加え、オリジナル版を含んだ作品の基本と魅力を紹介していく短期連載の第3回。今回は『FFX/X-2』を振り返る。
連載のほかの記事は下記をチェック!
Switch版、Xbox One版、PS4版の特徴
価格は、Nintendo Switch、PS4のパッケージ版が6800円[税抜]、Nintendo Switch&Xbox Oneのダウンロード版が各6080円[税抜]、PS4のダウンロード版が6095円[税抜]。そのほか、PC(steam)版、PS3版、PS Vita版(PS Vita版は『FFX』と『FFX-2』が独立している)があり、PC版は、2倍速、4倍速にできる高速モードや、エンカウントなし、オートセーブ対応などの機能追加が行われている。
グラフィックの高解像度化
『FFX/X-2』のリマスター版は、グラフィックがフルHDに対応。さらに、Nintendo Switch、PS4、Xbox One版はPS3版よりもグラフィックのクオリティーがアップしているという。なお、プリレンダリングムービーもアップコンバートしたものを収録。
『FFX』楽曲のアレンジ
『FFX』オリジナル版の楽曲を担当した浜渦正志氏など豪華メンバーが、リマスター用に楽曲をアレンジ。しかも、コンフィグでオリジナル楽曲と、リマスター&アレンジ楽曲を切り換えられるため、グラフィックはリマスター版にしつつも、オリジナル音源版で楽しむといったこともできる。
“永遠のナギ節”&“ラストミッション”もHDリマスター
インターナショナル版に入っていた『FFX』のその後を描く映像作品“永遠のナギ節”と、『FFX-2』のその後、“ユリパ”の3人が“ヤドノキの塔”を探索するダンジョン型RPG“ラストミッション”もHDリマスターされて収録。インターナショナル版を触れていなかった人は新鮮に楽しめるはず。
これは“X-3”!? 『X-2』の1年後を描くボイスドラマ
『FFX』と『FFX-2』のシナリオを担当した野島一成氏による、新たな書き下ろしシナリオのボイスドラマを収録。『FFX-2』から1年後のスピラで描かれる、ティーダとユウナ、そして、新キャラクターによる新たなドラマは、まさかの展開が……! ボイスドラマに合わせて流れるスタッフクレジットには、いくつもの設定画が表示され、そちらも必見。
『FFX』あらすじ
大都市ザナルカンドでブリッツボールの選手として活躍していたティーダは、ある夜、街を襲う巨大な魔物“シン”に運ばれ、見知らぬ地へと辿り着く。
そこはシンが死と破壊をまき散らす、スピラという世界だった。彼はそこで召喚士になったばかりの少女ユウナと出会う。
シンを倒せる唯一の存在である召喚士は、スピラの人々の希望の光。ユウナもまたその期待を一身に背負い、シンを倒すための旅に出ようとしていた。
スピラのことを何も知らぬまま、もとの世界に帰る方法を探すため、聖地ザナルカンドを目指す旅に同行するティーダ。そこではいくつもの切ない真実が、彼を待ち受けていたーー。
『FFX』の主要キャラクター
仲間になるキャラクターを中心に、ストーリーに深く関わる主要人物を紹介。
ティーダ(声:森田成一)
1000年前に滅んだはずの、大都市ザナルカンドのブリッツボールチーム“ザナルカンド・エイブス”でエースとして活躍する少年。街がシンに襲われた際に異世界スピラに迷い込み、いつしかユウナの旅に同行することになる。ブリッツボールの伝説的選手ジェクトを父に持つ。
ユウナ(声:青木まゆこ)
10年前にシンを倒した大召喚士・ブラスカを父に持つ。シンを倒しうる唯一の方法“究極召喚”を得るため、聖地ザナルカンドを目指す。
ワッカ(声:中井和哉)
ビサイド島のブリッツボールチーム“ビサイド・オーラカ”の選手兼コーチであり、召喚士のユウナを守るガードでもある。
ルールー(声:夏樹リオ)
ユウナのガードを務める黒魔道士。ワッカの幼なじみで、ユウナを妹のようにかわいがっている。恋人をシンに殺された過去を持つ。
キマリ(声:長 克巳)
額にツノを持つ獣人種族“ロンゾ族”の青年。ユウナのガードとして、彼女を守る強い意思を持つ。ロンゾ族の誇りの象徴であるツノが折れているのは、過去のある出来事が関係している。
アーロン(声:石川英郎)
ユウナの父・大召喚士ブラスカとかつてともに旅をした、伝説のガードとして知られる剣士。ティーダやユウナを導くため、旅に同行する。
リュック(声:松本まりか)
スピラでは禁止されている機械の扱いに長けた、アルベド族の少女。究極召喚ではなく、別の手段で世界を救う方法を探しつつ、ガードとして旅に同行する。
シーモア(声:諏訪部順一)
グアド族の族長で、エボン四老師のひとり。人間とグアド族のハーフで、異種族間の架け橋となる人物として期待されている。
『FFX』のおもなシステム
『FFX』は、シリーズの代名詞とも言える“アクティブタイムバトル(ATB)”と異なる“カウントタイムバトル(CTB)”を採用したほか、成長システムもすごろくのような“スフィア盤”を使うなど、要所要所で意欲的なシステムを導入していたのが特徴。なお、リマスター版の『FFX/X-2』のスフィア盤は、インターナショナル版と同じく、自由度が高い盤面のものが選べるようになっている。前述のものも含め、『FFX』のおもなシステムの特徴を紹介。
カウントタイムバトル(CTB)
『FF』シリーズのバトルの特徴である、ATBとターン制バトルをかけ合わせたバトルシステム。キャラクターのすばやさや、直前に選んだコマンドに設定されている待機時間から、以降に行動するキャラクターの順番が算出されて表示される。そのため待機時間が短いコマンドを駆使して、敵のターンが来る前に倒すのがセオリー。行動順がつねに表示されているため、じっくりと考える楽しみがあった。
スフィア盤
バトルを重ねて溜めた“S.Lv(スフィアレベル)”とゲームのプレイ中に入手した成長スフィアを使って、キャラクターを成長させるシステム。すごろく状の盤面の上をたどりながら、キャラクターを成長させていくが、どのルートをたどるか、どの能力を優先するかといった、プレイヤーの意志を反映できた。
オーバードライブ
キャラクターとユウナが使う召喚獣は、オーバードライブゲージが満タンになると、それぞれ固有の強力な技が使えた。技の選択後には、画面に表示されるコマンドの入力や、タイミングよくボタンを押すといった特定のアクションを行うと、威力がアップ。多くは敵を攻撃するものだったが、なかにはHPを回復させるものもあった。
ブリッツボールなどのミニゲーム
ナギ平原のチョコボレースや、スピラの各地にいるサボテンダーとの“だるまさんが転んだ”など、『FFX』はミニゲームも充実。ミニゲームとはちょっと異なるが、雷平原での雷避けなどもあり、なかには最強武器“七曜の武器”を手に入れるための条件となるものもあった。そんなミニゲームでもあり、ストーリーに関わるものがブリッツボール。ライバルチームを相手に、パスをするかドリブルで抜くか、はたまたシュートを狙うか。選手ごとの能力差もあり、各地からスカウトするのも楽しかった。
『FFX-2』あらすじ
大いなる脅威・シンが破壊を繰り返す世界スピラ。召喚士ユウナは仲間たちとシン討伐のために旅立ち、犠牲を払いながらも倒すたびに何度も復活していたシンを完全に消滅させた。
シンの脅威が去って2年ーー。穏やかな、しかし何か物足りない日々を過ごしていたユウナはスフィアに残った不思議な映像を見る。
そこにはかつて一緒に旅をした、仲間に似た青年が映し出されていた。シンの消滅とともに消えてしまった"彼"なのだろうか? "彼"は世界のどこかに存在しているのだろうか?
真実を確かめるためにユウナは再び旅立つ。
『FFX-2』の主要キャラクター
ユウナ、リュック、パインの3人がプレイヤーキャラクター。パーティー全員が女性になるのは、シリーズでは初めて。また、青年同盟、アルベド族のマキナ派、新エボン党といった、平和になったスピラでの主導権争いも始まっており、各リーダーもストーリーに深く関わることに。なお、青年同盟などは“永遠のナギ節”からその名称が登場している。
ユウナ(声:青木まゆこ)
2年前にシンを倒した、偉大な元召喚士。リュックが見つけたスフィアの映像をきっかけに、スフィアハンター“カモメ団”として再び旅に出る。
リュック(声:松本まりか)
2年前にユウナの旅にガードとして同行していた、アルベド族の少女。アニキたちとカモメ団を結成し、ユウナを新たな旅に誘った。
パイン(声:豊口めぐみ)
ユウナより少し前にカモメ団に加入していた無口でクールな剣士。あまり過去を語りたがらないため、入団した理由などははっきりしない。シン消滅後にうまれた各派閥のリーダーとは面識がある様子。
ヌージ(声:神奈延年)
元討伐隊のメンバーのほか、スフィアを独占した新エボン党に反発する若者たちが結成した“青年同盟”の盟主。左半身は義手義足。
ギップル(声:鈴村健一)
リュックと同じアルベド族で、マキナ派のリーダー。マキナ派は政治的には中立だが、その技術力や機械兵器の保有数から一目置かれる存在。
バラライ(声:蘇部健治)
新エボン党議長。新エボン党はかつてのエボン寺院の流れを汲む組織で、“緩やかな変化”を目指し、年配の賛同者を多く集めている。穏やかな雰囲気だが、先代党首や議長を追放していまの地位を得ている。
『FFX-2』のおもなシステム
『FFX-2』のシステム最大の特徴はドレスフィア(詳細は後述)だが、バトルも意欲的な挑戦を行っている。『FFX-2』では、『FFX』のCTBではなく、『FF』シリーズでおなじみのATB(アクティブタイムバトル)を採用。使うアビリティなどによって、つぎの行動までの待機時間が長くなるため、行動順だけでなく、行動内容も考える必要があった。
また、敵への攻撃を間髪入れずつないでいくことによってコンボが発生。わずかながらダメージが上がる恩恵があったため、タイミングよく攻撃コマンドを選択するという、ATBならではの要素もあった。なお、従来の『FF』シリーズはパーティーメンバーが横並びになることが多かったが、パーティーメンバーと敵の数によって、立ち位置が変化。自動的に敵を取り囲むような隊形になることもあった。
ドレスフィア
『FF』シリーズおなじみのジョブに近いシステム。キャラクターのコスチュームを変えることで、さまざまな特技を持つドレス(ジョブ)に変身できる。ドレスフィアは複数セットできるため、バトル中に戦況に応じてドレスチェンジが可能。戦闘中のドレスチェンジの変身シーンと、ドレスごとの決めポーズが見られるのも楽しい。
ドレスフィアをセットするリザルトプレートには、セットできる箇所とそれぞれのドレスフィアをつなぐ経路が決まっていたため、ひんぱんに使うドレスフィアは中央に配置する、といった戦略性もあった。
また、リマスター版には、インターナショナル版から追加された“お祭り士”と“サイキッカー”のドレスも収録している。
次回の振り返りは『FFXII ザ ゾディアック エイジ』(FF12)。お楽しみに!(2019年5月19日夜頃掲載予定です)