巨大な塔『バベル』。
文明を失いかけた人間たちが住む街、それは静かに死に向かう街でもあった。
街は広大な森に囲まれ、森は高い岩壁に囲まれていた。
誰も壁の外のことを知らなかった。
誰も壁の外に行けるとは考えていなかった。
彼を、のぞいては。
17歳の少年ライ。
彼は隔離された自分の部屋から、一度も外に出たことがない。
いつか自由を手に入れ、外の世界を知りたい。そう願い、暮らしていた。
少年の願いは、いつもの街を襲う異変をきっかけに、叶うこととなる。
塔紀1119年——
少年は鳥籠の中の少女と出会う。
その出会いは彼に世界を翔ける翼を与える。
そして二人は、それぞれの運命にむかって羽ばたき始める。