いかにもな場所

 愛馬・ソラにまたがってツーリングを楽しんでいたさなか、紫の花が咲き乱れる不思議な土地に出会った……と前回の日記で書いた。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_01

 野球場くらいの広さの窪地に、無数の紫の花、古びた鳥居、いわくありげな祠、ナゾのあばら家、霊障がありそうなお墓……というアイテムが設えられた、

 「さあさあ、何か起こりますよ!!w こんだけわざとらしくセットが組まれているんだから、何もないわけがないでしょ!?www」

 てな感じの怪しい場所……。そこで、

 「よ、よーし! いつでも相手になったるで!! 隊長だろうがモノノ怪だろうが、何でも出てこいやッ!!!」

 と、気合を入れ直して待っていたんだけど……30分経っても何も起こらず(苦笑)。

 けっきょく、

 「んだよwww ホントにただのセットじゃねえかwww いやでも、ここまで準備しておいて使わないのは、逆に新しいわwww」

 なんて笑いながら、その場を後にしたのである。

 でも……。

 その土地から脱する道すがら、いくつもの“妙な事”に気付いてしまった。

 鳥居があった場所から道伝いに進むと、

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_05

 いかにも隠し通路的な場所に。スクショは残っていないんだけど、腹ばいになって進むところや妙な石碑があったりと、やっぱり怪しさプンプンなのである。

 そして、極めつけは↓コレだった。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_06

 !?!? な、なんだこの血痕は……。こいつは『ゴースト・オブ・ツシマ』の世界観から考えて野生動物のモノではなく、やっぱり人間のソレなんだろうな……。しかも量的にひとり分ではなく、いかにも、

 「ついさっきまで、ここに2、3人分の死体が転がっていました!」

 と主張している感じが……。

 しかし血痕を発見したそのときも、この場では何も起こらなかった。俺はしきりに、

 「怪しいんだけどなあ……。おかしいんだけどなあ……」

 と首をかしげながら、その場を離れたのである。

妙な既視感

 それから……リアル時間で2日後のこと。

 紫花の土地と血痕のことなどすっかり忘れたころ、俺はひとつのミッションを受注した。

 メインストーリーがらみなので詳しくは書かないが、とあるお地蔵さんの元で謎めいた地図を見つけ、それが示した場所を解読して現地に行くと何かが起こる……という類の物語である。

 見るとその地図には……目印として、紫の花が描かれている。

 でも、連日の散策で対馬のあちこちに紫の花が咲いていることを知っていた俺は、その地図を見ても例の窪地や血痕のことを思い出すことはなかった。ただ風の向くまま、地図の場所に走り出したのである。

 地図が示しているのは……おお、遠くに見える紫の花のゾーンだな。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_07

 高台から降りて、まっすぐに進む。するとまもなく、紫の花が群生するなだらかな丘陵地帯に着いた。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_08

 さらに走ると……。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_09

 俺はパンッと手を打った。

 「うひょ!w いかにもな隙間デターーーー!!ww この妙な石碑といい、腹ばいで進まなければいけない道といい、進んだ先に何かがあるのは明白やん!!w」

 そして、腹ばいで岩の下を抜けていく。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_10

 す、すると……w

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_11

 死体~~~~ん……

 岩の前に横たわる4名の死体と、その下に広がる大きな血痕……。

 ここにきてようやく、俺はやたらと鮮明なデジャヴを覚えた。

 あ、あれ……? 俺……このシーンに見覚えがあるような気がするんだけど……。い、いや、死体は知らないけど、血痕が、どうも引っ掛かる気が……。

 「お、おっかしいな……」

 頭の上から大量のクエスチョンマークを出しつつ、さらに進む。

 そしたら……。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_12

 「い、いかにも隠し通路的な場所……」

 俺の疑問がじょじょに収束し、ひとつの答えに達しようとしていた。

 そ、そして……w

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_02

 「あ」

 こ、この風景は……間違いなく、見覚えがある!!!w それも最近!!!w ていうか、ほんの2日ほど前や!!!w

 「はあはあはあ!!」

 荒い息をつきながら、さらに走る。

 そうだ。ここは、何かありそうで何もなかった紫の花の窪地だ! 奥に鳥居と、あばら家があるはず!!!

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_03

 あったーーーー!!!www

 なんだよ!w やっぱりここ、イベントで使う場所だったんじゃん!!ww

隠れて隠れて!

 そして実際、イベントが起こるんだけどさ。

大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記/其之十一「先回りして、すまんかったでござる」_04

 その内容自体は、ここでは関係がないので割愛する。ゲームを進めて自分で確認してくれ。

 俺がなぜ、こんな逆戻りする話を書いたのかというとだな……。

 2日前に偶然たどり着いてしまったとき、この場所では何も起こらなかった。あばら家には誰もいなかったし、血痕があった場所にも死体は転がっていなかったしな。

 でも、あれからたいして時間が経っていないのに、いまではこんな大掛かりなイベントが起こっている。ナゼこんなことに?

 しばし考えて、俺は気付いてしまった。

 じつは……この場の人物や死体たちはずっと準備していたんだけど、いきなり現れた俺を見て、

 「あ!! こいつ、まだ地図持ってねえよ!! 逆走して、先に来やがった!!!」

 とパニックになり、

 「ま、まだ姿見せちゃダメだよ!!! ホラ、死体役も隠れて隠れて!!! ……って、あああああ!! け、血痕も消さないと!!>< でも間に合わない!!!>< ととと、とりあえず死体さーん!! いますぐ岩陰にぃぃいいいい!!!><」

 ってことで、即座に役者、スタッフともに隠れて物陰で息をひそめていたのでは!!?w 『カメラを止めるな!』みたいな感じで!w

 ……そんなことを考えて、ひとりホッコリした気分に浸ったのでしたw

 おしまいw


 さて、『ゴースト・オブ・ツシマ』の発売日から11回にわたってお届けしてきた“大塚角満の『ゴースト・オブ・ツシマ』プレイ日記”ですが、ファミ通.comでの連載はこれにて終了です!! 今後は角満の個人ブログで展開する予定ですので、

 「まだまだ読みたい!!」

 という奇特な方は、ぜひぜひ下記のリンク先のブログをチェックしてみてください!!

大塚角満の個人ブログはこちら!

 では、短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました~!

大塚角満(おおつか かどまん)

元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。

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