2019年5月1日、東京・Zepp Tokyoにて開催された、“今井麻美アジアツアー2019「Anniversary」”東京公演のリポートをお届けする。

 声優、歌手として活動する、今井麻美さんのライブツアー“今井麻美アジアツアー2019「Anniversary」”の東京公演が、2019年5月1日、東京・Zepp Tokyoにて開催された。

 今回のライブはタイトルにもある通り、今井さんの歌手活動10周年を記念したツアーとなっており、福岡、東京、台湾の3公演行われた。

 本記事では、新旧さまざまな楽曲が披露され、まさに“Anniversary”に相応しいライブとなった、東京公演の模様をお届けする。

 開演に先駆けてステージに登場したのは、今井さんの楽曲も数多く手掛けている作曲家の濱田貴司さん。軽快なトークで会場を温めると、オープニングアクトを務める、シンガーソングライターの安月名莉子さんを呼び込み(安月名さんは、濱田貴司さんが代表制作責任者を務める会社“SPIKE”に所属)。安月名さんは、Zepp Tokyoという大きなステージに立てた喜びや、オープニングアクトを担当することへの感謝を述べた後、3rdシングルより『花』、『Shouting My Soul』の2曲を披露した。

 なお、1曲目に披露された『花』は、2019年6月13日発売予定のNintendo Switch、プレイステーション Vita、プレイステーション4、PC用ソフト『夢現Re:Master』のエンディングテーマ。作詞、作曲、編曲は今井さんの音楽活動のプロデューサーである、濱田智之さんが担当している。

 開演時間になると、デビューシングルの表題曲『Day by Day』をBGMにバンドメンバーと今井さんがステージに姿を現す。そして、歌手活動10周年記念シングルより表題曲の『Believe in sky』を爽やかに歌い上げ、ライブはスタートした。

 MCでは、ライブ当日が令和の初日ということで、元号に関する話題で盛り上がった。また、4月29日に行われた福岡公演と、東京公演当日が悪天候だったことに触れ、「私の晴女伝説は平成ともに終わってしまったのかな?」と残念がるひと幕も(※ここ数年の今井さんのイベントやライブや晴れが多かった)。しかし、雨の日にもメリットがあるそうで、それは「湿気が多いから喉が楽」とのこと。「これからは、野外ライブ以外は全部雨になってほしい」と語る今井さんだったが、雨だとお客さんが来るのがたいへんだと気付いて、「みんなが困るね。いい感じがいいよね(笑)」とすぐに訂正していた。

 続いて、セットリストに関する話題に。歌手活動を始めて2~3年のうちは、ライブのセットリストを決める際に今井さんも関わっていたものの、そうするとどうしても好きな曲を選んでしまい、歌う曲に偏りが出ることから、それ以降は濱田プロデューサーにおまかせしていたとのこと。しかし、今回は歌手活動10周年を記念するライブということで、今井さんがほとんど選曲したそうで、「(たいへんな楽曲が多くて)ちょっとだけ後悔した」と本音を吐露しながらも、「令和初日ということで、倒れてもいいくらいの勢いでがんばります」と意気込みを語った。

 つぎはアルバム表題曲メドレー1。曲名の“色の聖域”を表現するかのように客席が色とりどりのペンライトで染まった『COLOR SANCTUARY』に続いて、『Aroma of happiness』では、今井さんとファンがいっしょの振り付けを行い、会場全員が笑顔に。そして、最後の『Precious Sounds ~風が残していった~』では、パワフルなパフォーマンスで観客を魅了した。

 MCに入るとバンドメンバー紹介を実施。しかし、紹介する順番は一切決めていないそうで、最初に選ばれたのはギターの“天ちゃん”こと、中村天佑さん。中村さんは1stライブからのメンバーということで、そんな無茶ぶりにも動じることなく、見事な演奏を披露した(※今井さんのライブでは、バンドメンバーがたまにこういった無茶ぶりを受けている)。また、今回のライブ開演前に中村さんから、「初めて会ったときは大人しかったですよね」と言われたことを、今井さんがみずから暴露すると、会場は大きな笑いに包まれた。その後、ファーストバイオリンのAIさんが、今井さんからの“貫禄のある感じ”というリクエストをテーマに演奏を行い、再びライブパートへ。

※1stライブのリポートはこちら(古い記事のため、PCでのみご覧いただけます)

 ゆったりとしたメロディーが印象的な『Reunion ~Once Again~』。同曲は、今井さんとも関わりの深い『プラスティック・メモリーズ』関連の楽曲ということで、歌詞に込めたられた想いを伝えるように、ときにやさしく、ときに力強く歌い上げた。また、アウトロでは、メロディーに合わせて「ランランランラン」と歌唱するという、ライブならではのアレンジも。ステージに月が映し出される幻想的な雰囲気で披露された『蒼穹ノ月 ~Crystal Moon~』は、バラード調の楽曲ということで『Reunion ~Once Again~』に引き続き、観客は席に座り、今井さんの歌声にじっくりと耳を傾けていた。

 MCでは、またしても令和に関する話題に。今井さんは、新しい元号について漢字は違うものの“礼和(れいわ)”と予想していたそうだが、誰にも話していなかったため、「証人はぐーちゃん(※今井さんの愛猫)だけです」と残念そうに語っていた。

 そして、ここで今井さんが客席に「私に聞いてみたいことはありますか?」と問いかけると、「今日はどんな靴を履いているんですか?」という質問が。というのも、東京公演の前々日に行われた福岡公演の際に、今井さんが後ろの人たちにも見えるようにとヒールの高い靴を履いていたのだが、想像以上にステージが高く、靴を脱いでも十分に見えるという出来事があった。そこで、東京公演では『Believe in sky』のMVで青い洋服のときにも履いていたヒールが高くないブーツにしたそう。ちなみに、そのブーツが昨年11月に行われた香港公演の翌日に現地のアウトレットで、3足買うとさらに安くなると言われ、今井さんが2足、濱田プロデューサーが1足とふたりで協力して購入したうちの1足であることが明かされると会場は笑いに包まれた。

※香港公演のリポートはこちら

 続いては、東京公演限定となる『コープスパーティー』シリーズ楽曲のコーナーへ。今井さんは、同シリーズに声優として出演(※篠崎あゆみ役)しているだけではなく、ゲームや実写映画の主題歌も担当。そんな声優&歌手活動を代表する作品の中から『花の咲く場所』、『星屑のリング』、『Limited Love』の3曲を連続で歌い上げた。

 なお、福岡公演では、『今井麻美のSSG』コーナーとして、Webラジオ時代(※現在はニコニコ生放送の番組『今井麻美のニコニコSSG』を放送中)にリスナーとともに作り上げた『散花の祈り』、『regret』、『SPARKLE』の3曲が披露されていた。

 2回目のバンドメンバー紹介は、ベースの川村竜さんのことを“プロゲーマーのりゅうくん”と呼んだり、(※川村さんはミートたけしの名前でゲーム配信なども行っている)、紹介する予定がなかったというマニュピュレーターの濱田プロデューサーを指名するなど、アットホームな雰囲気で行われた。つぎに披露されたのは、今井さんの歌手活動の原点のひとつとも言える楽曲『The Azure ~碧の記憶~』。会場が青に染まる中、伸びやかな歌声を響かせた。

 ここで、今井さんは衣装チェンジのため一旦退場。その間には、5月29日に発売されたMISSON(※俳優の福士誠治さんと濱田貴司さんによるロックバンド)とのコラボCD『Over The Galaxy~メッセージ~』より、『Over The Galaxy』の音源が流されたほか、バンドメンバーによるInstrumentalで盛り上がる。

 そして、衣装を着替えた今井さんが登場。アルバム表題曲メドレー2として、『この雲の果て』、『little legacy』、『Words of GRACE~冬のダリア~』、『rinascita』の4曲を歌唱し、ライブ後半戦に突入。

 MCに入ると、歌手活動10周年、声優活動20周年を迎えたことを改めて報告。さらに、Zepp Tokyoも20周年、(今井さん自身でキリはよくないとツッコミを入れながらも)ぐーちゃんが4歳半であることが明かされると、大きな歓声が上がった。

 バンドメンバー紹介では、キーボードの奈央ちゃんこと、西村奈央さんが即興で演奏した曲や、ヴァイオリンのyuanさん演奏による『sp-RING-time』に合わせて、今井さんはダンスを披露した。また、ドラムの玄ちゃんこと、白川玄大さんを紹介していないにも関わらず、今井さんがわざと「全員紹介したね」とメンバー紹介を終えようとすると、白川さんが「俺、俺、玄大だよ!」とツッコミを入れるなど、バンドメンバーとの仲のよさがうかがえるやり取りが行われた。

 続いての楽曲は、『レプリカの森』。10周年記念シングルの収録曲の中で唯一のノンタイアップ楽曲ということで、ある意味、いまの今井さんを象徴するような楽曲となっているが、歌詞に「来ないで」という言葉が何度も登場することから、「心の奥底を読んでほしいです」と想いを伝えた。そんな『レプリカの森』は、気合を入れるため裸足になり、ステージを動き回りながらパワフルに歌い上げた。つぎの『海月~jellyfish~』もスローテンポな楽曲だが、『レプリカの森』とは対照的に水中を漂うクラゲのようにゆったりと動きながら、透き通るような歌声を響かせた。

 なお、『レプリカの森』に込められた想いなどは、以下のインタビュー記事で語られているので、チェックしてほしい。

 今井さんが“しんどいコーナー”と呼ぶブロックでは、100曲以上ある今井さんの楽曲の中でも、とくにアップテンポで激しい『Dear Darling』、『旅人』を連続で歌唱。『Dear Darling』の冒頭のコールは、「L・O・V・E ラブリーミンゴス 令和エンジェル プリティーミンゴス」と特別バージョンで行われ、今井さんもテンションが上がった様子で、最初から最後まで飛んだり跳ねたり、とにかく元気に歌い上げた(※ふだんのコールは、令和の部分をライブが行われている地名にすることが多い)。『旅人』では、山を登るかのように力を振り絞りながら歌い上げ、最後にうれしそうな笑顔を浮かべていた。

 『旅人』を歌い終えた、今井さんは「(歌うのがたいへんなので)『旅人2』は絶対に作らない」と宣言。しかし、バンドメンバーがアドリブで演奏を始めると、今井さんも歌い出すという、まさかの展開に。力強い『旅人』とは真逆の童謡のようなユルい曲調や歌詞に観客は大爆笑。また、平成の最後のドジエピソードがふたつ披露されるなど、アットホームなMCとなっていた。ちなみにドジエピソードの内容は以下の通り。

・福岡公演の翌日の朝に同行者よりも先にホテルのチェックアウトを済ませロビーで待っていたにも関わらず、いざ出発しようとしたところ部屋にスーツケースを忘れていることに気付き、けっきょく同行者を待たせることになってしまった。

・4月30日に東京公演に備えてマッサージ店に行ったときに、携帯電話を充電させてもらっていたことを忘れて、そのまま帰宅してしまった。また、その際、マッサージ店から共通の知り合いであるYさんに連絡があったそうで、Yさんから今井さんの携帯電話に「麻美さん、携帯を忘れたという連絡がありましたが大丈夫ですか?」とLINEが届いていたという、Yさんの天然エピソードが暴露されると、会場は笑いに包まれていた(※今井さんは携帯電話を忘れているので、LINEをチェックできなかった)。

 つぎの曲は、「声優として命を賭してきた、20年間の想いをフルに詰め込んだ1曲になりました」と今井さんが語る『AQUAMARINE』。曲中にセリフが入る、今井さんの楽曲の中でも珍しい同曲と、『夢現Re:Master』のエンディングテーマ『懐かしい街』の2曲を情感たっぷりに歌い上げた。

 今井さんは、『夢現Re:Master』に魔女役としても出演することが発表されているが、今井さんが出演を知ったのは『懐かしい街』を初披露した“Composers Summit Concert 2018”よりも後のことだったそう。先日、無事にゲームの収録も終えたということで、「『懐かしい街』を聴きながら、キャラクターのことを考えるとグッとくるようになりました」と、より想い入れが強くなったことを明かしていた。

※“Composers Summit Concert 2018”のリポートはこちら

 続いての楽曲は今井さんが作詞を行った『Blue Feather』。歌詞には複数の想いが込められており、そのひとつが昨年7月に発生した西日本の水害への気持ち。それ以外にもふたつの想いが込められているらしく、「このふたつは簡単には読み取ることができないのかなと思います。個人的には、2018年の私を象徴している曲になったかなと。いつかその内容をお話できる日が来るといいですが、少なくとも私が活動をしっかりと前向きに続けているうちは言いたくないのかなと思うので、それを聞かないことが、よしと思っていただければうれしいです」と胸内を明かした。その流れで披露された同曲は、感極まる様子を見せつつも、想いを伝えるように力強く歌い切った。その後、『朝焼けのスターマイン』を笑顔で歌唱し、今井さんはステージを後に。

 『Over The Galaxy~メッセージ~』の朗読パートのダイジェスト映像(※)を上映後、ライブTシャツに着替えた今井さんが登場。

※本公演で上映された『Over The Galaxy~メッセージ~』のダイジェスト映像は、MISSONの公式サイトで視聴可能。

 今井さんは、つぎに歌唱するテレビアニメ『シュタインズ・ゲート ゼロ』の後期エンディングテーマ『World-Line』について、「私にとってとてもとても大事な曲になりました」と紹介。今井さんが牧瀬紅莉栖として出演する『シュタインズ・ゲート』シリーズも今年で10周年を迎える関りの深い作品のひとつだが、今回のアニメの収録は不思議な感覚だったそう。というのも、『シュタインズ・ゲート ゼロ』で今井さんが演じたアマデウス(紅莉栖)は、ラボメンたちのことを見守る立場ということで、後半の辛いシーンの収録時に今井さんもほかのキャスト陣を見守るような形だったため、テレビで放送を見て、初めてみんなの辛さを理解できたとのこと。そんな『World-Line』のラストでは、劇中で鳳凰院凶真(岡部倫太郎)が行う中二病のポーズをバッチリ決めていた。

 そのまま、事前に行われた今回のライブツアーで歌ってほしい曲のアンケートで上位に入った『Faraway ~最後の夢~』を東京会場限定で披露(※福岡公演では『シャングリラ』が披露された)。同曲がフルで披露されるのは、2012年のバースデーライブ以来ということで、イントロが流れた瞬間に会場のボルテージは一気に上昇。それに応えるように今井さんが熱唱すると、大歓声が上がった。

※2012年のバースデーライブのリポートはこちら

 つぎが最後の曲となったところで、今井さんは今回のライブツアーに向けて準備を進めていたときに、突然、どうしたらいいのかわからなくなってしまったことを打ち明けた。そんなときに、今井さんは仲のいい友人のライブツアーを見に行ったそうで、その友人がすごく輝いていて、元気な曲を聴いているはずなのに泣けてきてしまったのだという。そこから、「どうやったら、そっち側の人間になれるんだ?」と考えた結果、「楽しめばいいんだ!」という結論にいたり、いつもの感覚を取り戻せたことを明かした。

 その後にも、ライブが終わってしまうのが寂しい様子で、バンドメンバーひとりひとりに感謝を伝えていく今井さん。しかし、時間は限られているということで最後の曲へ。最後は、今井さんが初めて作詞作曲を行ったチャリティーソングの『いっしょ。』を会場全員で大合唱。今井さんが曲の途中でステージを降りて客席を歩き回るといったサプライズも行われた。

 『いっしょ。』を歌い終えた後、今井さんとバンドメンバーで挨拶をして退場したところで、ライブは終了……かと思いきや、BGMとして流れていた『COLOR SANCTUARY』を歌いながら、今井さんが再び登場。そして、最後に「また会いましょう」とメッセージを贈りライブを締めくくった。

 歌手活動10周年、声優活動20周年の記念として行われた今回のライブツアー。衣装やセットリストを久しぶりに自身で決めたということもあり、今井さんらしさが詰まった内容になっていたと思う。そして、何よりも、最後のMCでも話していたように“とにかくライブを楽しんでいる”今井さんの姿が印象的だった。

 今年は今井さんにとってメモリアルイヤーとなっているが、3月中旬に実施したインタビューでは、今後の目標について、「まずは“Anniversaryツアー”を無事に終わらせること」と語り、福岡公演でも「今後の目標は今回のツアーで見つけられたら」と語っていた今井さんが今回のツアーを経て、どんな目標を見つけ、今後どんな活動を行っていくのか、楽しみにしたい。

“今井麻美アジアツアー2019「Anniversary」”東京公演セットリスト

  1. Believe in sky
  2. メドレー1(COLOR SANCTUARY→Aroma of happiness→Precious Sounds ~風が残していった~)
  3. Reunion ~Once Again~
  4. 蒼穹ノ月 ~Crystal Moon~
  5. 花の咲く場所
  6. 星屑のリング
  7. Limited Love
  8. The Azure ~碧の記憶~
  9. メドレー2(この雲の果て→little legacy→Words of GRACE~冬のダリア~→rinascita)
  10. レプリカの森
  11. 海月~jellyfish~
  12. Dear Darling
  13. 旅人
  14. AQUAMARINE
  15. 懐かしい街
  16. Blue Feather
  17. 朝焼けのスターマイン
  18. World-Line
  19. Faraway ~最後の夢~
  20. いっしょ。(Live ver.2019)