2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。会期初日の20日に、毎年恒例となったワーナー ブラザース ジャパンによるメディアセッションが、ホテルニューオータニ幕張にて行われた。今年紹介されたのは、『ヒットマン2』と『レゴ DC スーパーヴィランズ』の2タイトル。ここでは、開発元であるIO インらたラクティブのマーケティング・コーディネーター、ティーエヌ・スミス氏によるプレゼンの模様をお届けしよう。
この日、ティーエヌ氏によりデモプレイが披露されたのは、E3 2018やgamescom2018でお披露目されたのと同じ、マイアミのステージで、ロバート・ノックスとシエラ・ノックスを暗殺するミッション。プレイを進めながらティーエヌ氏の口からは、「200人のNPCがいる」といった気になる発言も聞かれた。2000人とは相当なスケールで、この人数感を出したいがゆえにステージにサーキットを選んだ一面もあるんだろうなあ……と改めて納得。この群衆があるがゆえに、“集団に紛れ込んで身を隠す”というゲームプレイも可能になったとのこと。のちのプレゼンで“草むらに身を隠す”というゲームプレイも採用されているとのことで、ステージありきで盛り込まれたフィーチャーも多そうだ。「殴り倒して服を奪えるNPCもたくさんいる」(ティーエヌ氏)とのことで、(クリアーに結びつくかどうかは別として)さまざまな衣装に着替える楽しさもありそうだ。
サーキットはあえて避けて、お隣のエキスポセンターに入ってプレイを進めていく過程で、ティーエヌ氏から明らかにされたのが「47は盗み聞きができる」(ティーエヌ氏)能力。ここで他人の話を聞くことで、“Opportunity”が解放された。“Opportunity”とは(おそらく日本語版では正式な名称が付くと思うが)、直訳すると“機会”という意味で、いわば暗殺へと至るためのヒントのようなもの。この場合は、エキスポセンターに置いてあるクルマに細工をすると、ターゲットであるロバート・ノックスが近づいてくるとのヒントが与えられた。そのあとは、整備員に変装して……というパターンだ。ちなみにこの“Opportunity”、あくまでヒントであって、これに従わないといけないというわけではない。ゲームの進めかたを案内するガイドのようなもののようだ。
もうひとつ紹介されたのが、“ピクチャー・イン・ピクチャー”。フィールドの中に置かれた監視カメラに自分がどこまで写されているかが表示される機能だ。これで、監視カメラに自身の姿が写されたことがわかったら、あとで、証拠隠滅のためにデータを破壊したり、カメラ機能を無化する必要がある。
さて、先述の通り、記者がマイアミを舞台にしたプレゼンを受けるのは、E3 2018、gamescom 2018に次いで3度目。相当おなじみになりかけているわけだが、驚くべきはプレゼン及びハンズオンで一度として同じ暗殺方法を体験しなかったこと。「どんだけ暗殺方法があるんだか……」という感じだが、その幅の広さは驚異的で、開発陣がアピールする「自由度の高さ」の面目躍如といったところ。
47は本物のプロ。仕事のためなら着ぐるみを着ることも厭わない……
おつぎは、セッション後に行われた、ティーエヌ・スミス氏へのインタビューの模様をお届けしよう。
――『1』を経て『2』がリリースされるわけですが、『2』でとくにフォーカスしているポイントは?
ティーエヌ 『ヒットマン2』は前作が終わった直後から始まるので、ストーリー的にはつながりを意識しました。前作の『ヒットマン』はエピソードごとの展開で、一部のファンには気に入っていただけたのですが、リプレイ性という意味やストーリーを深く理解するという点においては十分ではありませんでした。『ヒットマン2』では、すべてのロケーションをすべてだして、情報もどんどん出すことで、より深みのある物語も楽しめる。そしてエージェント47の過去も明らかになるというストーリーになっています。
――ストーリーラインについて聞くのは少し野暮だと思いますが、テーマはなんですか?
ティーエヌ テーマですか……。それは“発見”かもしれませんね。47は神出鬼没のシャドークライアントを追い続けていて、その過程で自分の過去についてもっと知ることになります。それを知ったら元に戻れない。
――本作には6つのロケーションがあるとのことなのですが、ストーリーありきでロケーションがあるのですか? それともロケーションから発想してストーリーが考えられたのですか?
ティーエヌ 両方かもしれません。ストーリーに関しては、社内にすばらしいライターたちがいますので、このゲームや方向性がどこに向かうのかをつねにビジョンを持って取り組んでいます。ただ、そのビジョンを100%反映できるかというと別の問題で、開発中に「ここはちょっと調整しないといけないな」というのは、適宜判断しながら進めています。それは物語の要請もそうですし、ロケーションの調整においてもそうです。
――ゲームプレイありきで、ロケーションを選ぶということはあったのですか? マイアミのサーキットではNPCが2000人出てくるとのことでしたが、これだけのNPCを出すためにサーキットを舞台に選んだといったような。プレゼンでは、茂みに隠れられるとおっしゃっていましたが、それはgamescomでちょっとだけ明かされたジャンルでのステージでのことですよね?
ティーエヌ 各ロケーションにはそれぞれ個性やフレーバー(味わい)があります。当然のことそこでのゲームプレイも変わってきます。マイアミではたくさんの人がいますから、隠れようと思ったら群衆の中に隠れることが容易なわけです。それとは別にジャングルだと、自分がまさにプレデター(捕食者)となって、茂みの中から手を伸ばして引きり込むこともできる。そこで、茂みの中に死体を隠すこともできます。または、茂みの中に武器を隠しておいて、後から取りに来るということもできるんです。
――IOインタラクティブは、47の性格付けをどのようなものだと思っているのですか? 47は無口で、なかなか性格がうかがいしれないのですが……。
ティーエヌ それに関しては、『ヒットマン2』の中で、彼の過去がどんどん明らかになっていくので、そこで知ることができると思います。彼が“どういう人か”ということに関しては、“マスター・アサシン”。プロ中のプロですよね。自分がいる環境をすべて支配することを得意としていますし、ほかの人よりも、2歩も3歩も先を考えていますし、何事も先を考えて行動しています。
――性格は緻密っぽいですね。けっしておっちょこちょいではなさそうだ。
ティーエヌ 違いますね(笑)。本当に“プレデター”で、“サイレントアサシン(沈黙の暗殺者)”と呼ばれているのですが、細部にいたるまで計算して、事故のようにみせかけたり、環境にあるものを利用したり、毒殺をしたり……。自然死に見せかけることがけっこう多いですね。
――一方で、着ぐるみを着たり、ふぐで殴ったりと、お茶目な一面もありますね。
ティーエヌ ああ(笑)。それはスタジオの味付けといいますか、我々が加えたものです。一方に“暗殺”というシビアなものと、他方に“ユーモア”があって、お互いにバランスを取っている感じです。ただ、着ぐるみを身にまとっているからといって、彼がお茶目というわけではなくて、彼はプロフェッショナルなので、ミッションを遂行するためには何でもするということです。
――先日マルチプレイヤーモードの“スナイパーアサシン”モードのベータ版が解禁されましたが、なぜ『ヒットマン2』にオンライン要素を入れたのですか?
ティーエヌ ゲームをいろいろな人にいっしょに楽しんでいただきたいですし、コミュニティからの要望も大きかったので実装することにしました。
――もしかして、もうちょっと複数で参加するモードがあるかもしれない?
ティーエヌ いまのところは考えていませんが、“スナイパーアサシン”モードにもっとロケーションが増えたり……ということはあるかもしれません。
――IOインタラクティブさんは今年が20周年のようですが、この20年はどのようなことを心掛けてきて、これからは何を目指すのかを教えてください。
ティーエヌ じつは今月なんですよ。まさに20歳です。私は20年IOインタラクティブに在籍しているわけではないので、的確なお答えができるわけではないのですが、会社のチームメンバーから感じ取ることは、とにかく私たち自身がゲーマーなので、私たちが楽しめるゲームを作りたいということです。もちろん、我々だけではなくて、コミュニティのみんなが楽しめるゲームを開発したいというのは、つねに意識しています。それはゲームプレイであったり、物語であったり、そしてユーザーさんに考えさせる要素であったりするのですが、“ゲームは楽しいもの”ということを前提にして、そういったことはつねに意識しています。
――『ヒットマン2』というのは、IOインタラクティブの20周年作品ということなんですねえ……。最後に日本にファンに向けてひと言お願いします。
ティーエヌ ゲームをプレイしていただいて感謝しています。私たちもこの新作にワクワクしています。前作でよかったところは『2』でも引き継ぎつつも強化しています。ロケーションのひとつひとつに個性をもたせて、すばらしい体験ができるようにしていますし、さらに新しい機能も付け加えています。本日紹介した“ピクチャー・イン・ピクチャー”や、群衆に紛れる、シリーズで人気のブリーフケースなどがそうです。オーディオも強化されていますし、見どころがいっぱいです。ぜひとも楽しみにしていてください。