『ヒットマン2』プレイ&インタビュー、「47はキャンバス。思うがままに自由になりきれるのが魅力」【E3 2018】

ワーナー ブラザースで『ヒットマン2』を試遊。開発者へのインタビューを交えて、その模様をお届けする。

 2018年6月12日~14日、アメリカ・ロサンゼルス、コンベンションセンターにて、世界最大規模のゲームイベントE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2018が開催。例年E3を賑わせているワーナー ブラザースは、今年『ヒットマン2』と『レゴDC スーパーヴィランズ』という、E3のタイミングに合わせて発表された2タイトルを展開した。ここでは、BCD(ビハインド・クローズド・ドア)で体験できた『ヒットマン2』の試遊と、開発元であるIO Interactiveのクリエイティブ・ディレクター、ジェイコブ・ミケルソン氏へのインタビューの模様をお届けしよう。

 『ヒットマン』シリーズは、ご存じの伝説的な暗殺者エージェント47として、数々のミッションをこなしていくアクションゲーム。2001年にシリーズ1作目『Hitman: Codename 47』がPC向けにリリースされて以降、ゲームファンのあいだで親しまれている。2007年には映画化も果たした、ゲームを代表するキャラクターのひとりだ。

 『ヒットマン2』は、2016年にプレイステーション4とXbox Oneで展開された『ヒットマン』の続編にあたり(日本語版は2017年リリース)、次世代機ならではのハイクオリティーのグラフィックと自由度の高さがいかんなく味わえる。そのゲーム性を考えると、次世代機ならばこそ、さらにゲームプレイに膨らみが生まれ得るであろうタイトルとも言える。

 試遊を体験して実感したのは、まさに溢れんばかりに自由度の高さ。今回の試遊で遊べたのは、女性レーサー、シモーラ・ノックスを暗殺するミッションの途中までのプロセス。エージェント47は、単身シモーラがいるマイアミのサーキットに乗り込みシモーラを暗殺することになる。“単身”というのは文字通りの意味で、47はセキュリティーチェックをパスするために丸腰でサーキット施設に入る。

 ここからいったいどうするんだろう……と、プレイヤーながら他人事のように気になった記者だが、そこは伝説の暗殺者。試遊をサポートしてくれたガイド役の方から、まずは地下駐車場で、セキュリテイから服を奪い変装。その服装ならば入れるVIPにエリアに潜り込み、メカニックに近づき服を奪ってさらに変装していくのだと教えてくれた。まさにわらしべ長者のような……。

 そこで記者は教えられるがままに地下駐車場に行き、セキュリティがモニターで管理している控室に近づくことになる。そこで教えられた行動は、部屋の出口付近で音を立てて中のセキュリティをおびき出し、こっそり柱の影に隠れていて、出てきたセキュリティに消化器を投げてダウンさせ服を強奪する。そこで倒れたセキュリティは部屋の中に隠すのを忘れずに……というもの。なんともまどろっこしいが、この作業がなんとも楽しい。実際のところ、「本物の暗殺者もこのシチュエーションに置かれたらこうするんだろうな」と思うと、リアリティーの高さにわくわくする。

 というわけで、記者はさっそくVIPエリアに侵入。思わず走りたくもなるが、「セキュリティが走っていると不自然に見られて、通報される恐れがありますよ」とのアドバイスに従い、地道に歩くことに。そんなところでもリアリティーが保たれているんだと関心。で、さらに驚いたのが、セキュリティに変装したからといってけっして万全というわけではなくて、VIPルームにも複数セキュリティがおり、そのうちの一部は47の顔を見ただけで、ニセモノであることに気づいてしまう。そこで、そういった存在は避けていかなければならないということだ。そんな要注意のセキュリティは頭の上に“白い丸”が表示されているのだが、記者はアドバイスをもらっていたにも関わらず、セキュリティにニセモノであることがバレてしまい、逃走するもあえなく撃たれてしまった。「まあ、しょうがないよ。僕も最初はそうだった」とは、ガイドを担当してくれた方の慰めの言葉。

着ぐるみを着て潜入という手もあるようだ。

 このままでは引き下がれぬ……ということでもう1度最初からトライ。そこで気づかされたのが“なりきり感が楽しいのだ”ということ。プレイにあたっては、「47だったらどうするだろう?」、「こうもできるのでは?」と適宜判断しながらゲームを進めていくことになるのだが、47になったつもりでプレイすることで、楽しさはさらに深まる。実際のところ、今回はセキュリティに変装してメカニックに近づいて……というプロセスをたどることになるわけだが、自分なりの47の作法にしたがって、ターゲットに近づく道筋はいくつか用意されているはずで、その自由度の高さが、“なりきり感”を盛り上げてくれる。

 さて、その後記者は再度セキュリティに変装してVIPエリアに侵入。メカニックの後を追いかけて今度はバーのウエイターに変装して、メカニックの飲んでいるお酒に毒を盛って……ということであえなく与えられた時間が終了した。まあ、試遊では見どころらしい派手な立ち回りは一切なし。それでもこの充実感たるや“47になり切れた”という、満足度のゆえだろう。と、長々と書いてしまったが、『ヒットマン2』は、相当に歯ごたえのあるステルスアクションだ。

前作からさまざまな改善を施した

 充実した気分で試遊を終えた記者は、IO Interactiveのクリエイティブ・ディレクター、ジェイコブ・ミケルソン氏にショートインタビューをする機会を得た。なお、ミケルソン氏は前作ではレベルデザインやチュートリアルなどを担当し、本作からクリエイティブ・ディレクターを務めている。

――本作で心掛けている点は?

ジェイコブ まずは前作のストーリーを継続することです。前作ではエージェント47と“影のクライアント”の謎の人物と賭けをすることになるのですが、本作ではその先が描かれることになります。47と“影のクライアント”の関係が明かされるのです。今回プレイしていただいたバージョンは、「何かすばらしいものを提供したい」と思って制作しました。おもしろいイベントや多くのバックステージエリア、ターゲットに到達するまでのさまざまな方法を用意しています。

――ゲームシステムは?

ジェイコブ 大きく改善しました。(特殊能力によって群衆の中から注意人物などをスキャンする)ビジョンシステムも改善しています。そのほか、群衆の中に隠れることができるようにしました。また、スナイパースーツケースを再登場させました。これにより、人に気づかれずにスナイパーを入れたケースを持って運ぶことができます。これはしばらく採用していませんでしたが、ファンの皆さんのご要望によるものです。

――ちなみにゲームエンジンは?

ジェイコブ “Glacier engine”という自社のエンジンです。すでに6~7年使っているのですが、ゲームを作り上げるにあたっては、ビジュアル面は大切ですが、使い勝手のよさを重視しています。ゲームエンジンは何度も改善していますよ。

――ストーリー面で訴えたいことは?

ジェイコブ 47というのはとても興味深いキャラクターです。彼はプレイヤーにとってキャンバスのような存在です。プレイヤーがプレイしたいようにすればいいのです。もちろん、47には彼なりのやりかたというものがありますが、プレイヤーに好みにしたがって、毒を使いたい人、偽装を多用したい人などさまざまです。
 ストーリーについては、本作のミッションはストーリーにしっかりと根付いたものになっています。前作は少し距離を置いていたと思いますが、本作では最初のレベルからストーリーラインにきっちり沿っていますよ。

――ストーリーはどのようなものに?

ジェイコブ メインストーリーについて現時点でお話しできるのは、47と“影のクライアント”の関係が主軸になっているということです。ミッションのあいだでストーリーの説明があり、つぎのミッションがメインストーリーにどうつながっているのかがわかります。ストーリー自体はとてもリッチなものになっています。ターゲットがお互いに話をしたり、ほかの人と話しているのを聞くと、それぞれのレベルの中に多くのストーリーがあることがわかります。メインストーリーという大きな背景があり、ミッションの中に細かいストーリーがあるのです。すべてを経験すればさまざまなゲームの進めかたがあることがわかります。多くの詳細情報が含まれているのです。プレイの仕方によってプレイヤー自身のストーリーが作れるという言いかたをしてもいいかもしれません。

――今回ワーナーと仕事をすることになっていかがですか?

ジェイコブ ゲームを作ることができてとてもうれしいです。前作の開発が終わってすぐにこのゲームに着手したのですが、チームにとってはゲームのビジョンを継続することができてとてもハッピーでした。

――最後に、ジェイコブさんにとって47とはどんな存在でしょうか?

ジェイコブ さきほども少しお話しましたが、プレイヤーにとって彼はキャンバスだと思います。彼は世界一の暗殺者で凄腕です。自分が47になって、ストーリーの中で彼がどう考え、どう行動するのかを覗き見ることができます。47になって隠れながら動き、人を傷つけないように行動するわけです。そんな醍醐味を味わってください。