第一印象を軽く凌駕するゲーム体験を秘めた、奥深いゲームたち
2018年5月12日、13日に京都勧業館 みやこめっせにて開催された、インディーゲームの一大祭典BitSummit Volume 6。今回は、記者が会場でプレイした出展タイトルの中から、実際にプレイするとその独自性がジワジワと伝わってくる、クセの強いインディータイトルを紹介する。
Counterhero Chapter1 / Qrostar
2018年初頭にitch.ioにて無料公開されたタイトル。一見ふつうのRPGだが、登場人物のセリフの中に登場する“数字”をストックし、それをほかのセリフに登場する数字と取り換えることで、ゲーム世界内の事象を改変してくことが、謎解きのポイントとなっている。とはいえガチガチのロジックパズル仕立てではなく、プレイヤーによってさまざまな道のりで攻略できる自由度の高さがうれしい。
今後はChapter2、Chapter3と続編を制作・リリースし、シリーズが完結したら有料コンテンツ化を検討していきたいとのこと。
GRAY GROFA / TPM.CO SOFT WORKS
1983年リリースの統一規格パソコン“MSX”の性能に準拠したゲーム開発をいまもなお行っているTPM.CO SOFT WORKSの新作。横スクロールシューティングゲームの基本的なシステムを踏襲しつつ、パイロットが搭乗している“アクティブな敵機”をどのタイミングで撃墜するか、あるいは放置するかによって進路を開くパズル要素がメインとなっている。
ゲーム自体はずっと前に完成していて、現在は出展イベントでプレイしたユーザーの反応や意見を、ゲームのとっつきやすさ・ルールの理解のしやすさにフィードバックしている段階とのこと。やや難解な印象の作風もさることながら、一度定めた軸をぶれさせることなく、いかにそれを伝わりやすくするかに時間を費やす制作スタイルそのものの異端さが際立つ。
GHOSTUS / Syake
2018年1月に投稿型PCゲーム販売サイト“SYAKERAKE”にてリリースされた、超時空多重リプレイシューティングパズル。特定ポイントを通過することで色を切り替えられる自機を操作して、自機と同じ色のターゲットをすべて破壊すればステージクリアー……と説明すると簡単そうだが、実際にプレイすると、色切り替えポイントの位置関係の問題で、一筋縄ではいかない。
本作の攻略に欠かせないのが、自機の挙動をレコード(記録)する機能。これを駆使して同じステージを何度も繰り返し、レコード通りに動く最大7機のゴースト自機と共闘(?)することが求められる。
「レコード中、ちょうどいいところでわざとミスする」、「ミス後のリスタート地点も重要」といった本作ならではのルールはやや複雑で、正直、記者の頭脳ではルールやセオリーを把握することができなかった。とはいえ、ふだん使っていない部分の思考力をフル回転させている感覚は味わえたので、簡単すぎるパズルゲームに飽き飽きしている人にこそおすすめしたい。
GRAY SCALE / チームGrayScale(NCSゲーム制作部)
NCS名古屋情報メディア専門学校の生徒ふたり組で開発中の、パズル要素のあるアクションゲーム。白の空間にいるときは黒、黒の空間にいる時は白が地形となるフィールドで、ゴールを目指して移動する。白と黒それぞれの空間は、ある程度助走をつけて地形にぶつかることで行き来できる。衝突の際には、(白と黒の中間色である)グレイのブロックが出現。それを足場に活用して思わぬルートを開拓……など、論理的思考と閃きが要求されるゲームプレイを展開できる諸システムが実装されていた。
今後はキャラクターの挙動を調整しつつ、ステージを増やしていくとのこと。もともとは学校の制作課題として開発していた作品ということもあり、現時点での正式なリリース予定はないそうだ。しかし、今回の出展でポピュラーセレクションアワード(来場者の投票でもっとも人気の高かった作品に贈られる賞)を受賞したことは、開発者たちにとって大きな弾みになるだろう。