GDC 2018会期3日目の3月21日には、ここ数年のGDCでおなじみとなったエピック・ゲームズによる講演“State of Unreal(Unrealの現状)”が開催。例年通り、てんこ盛りの内容で新情報が公開された。以下、その内容を見ていこう。

 アメリカ・サンフランシスコにて、2018年3月19日から23日まで行われる、ゲームクリエイター向けの世界最大規模のカンファレンス、“GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2018”。会期3日目の3月21日には、ここ数年のGDCでおなじみとなったエピック・ゲームズによる講演“State of Unreal(Unrealの現状)”が開催。例年通り、てんこ盛りの内容で新情報が公開された。以下、その内容を見ていこう。

 講演では、まずはエピック・ゲームズ CEOのティム・スウィーニー氏が登壇。ここ最近の流れとして、ゲームはハイエンド(PCとコンソール)とモバイルにくっきりわかれたとしたうえで、これまでカジュアルなゲームが多くて長く遊ばれるものはなかったモバイルが、「最近より本格的に遊べるゲームの時代に突入してきた」と分析した。たとえば、『リネージュII レボリューション』は韓国で大人気を博し、すぐにランキング1位を獲得。『ARK:Survival Evolved』や『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』や『フォートナイト』など、PCやコンソールのタイトルのモバイル版が配信される流れが来ているという。「モバイルは変化を遂げ、そこでもUnreal Engine 4は多く使われるようになりました」とスウィーニー氏。

エピック・ゲームズ CEOのティム・スウィーニー氏

 そのため、昨年300万人だったライセンス数は、現時点で500万人を突破。新規ユーザーは学生や別のゲームエンジンから乗り換えた人たち、そしてゲーム以外の分野まで多岐に渡るという。「レベニューシェアモデルであるUnreal Engine 4は開発者の成功で収益が上がる仕組みをとっており、つまり文字通りの意味で“皆さんの成功は私たちの成功”なのです」とスウィーニー氏。一方で、自分たちでゲームを作ることでエンジンの改善も行ってきたという。

 その代表例が、大ヒットを記録している『フォートナイト』だ。一方で、同社が展開していた『Paragon』のアセットが、Unreal Engine 4のユーザー向けに無料で提供されることも改めて紹介された。

 講演のホスト役は、ここでエピック・ゲームズのCTO、キム・リベリ氏に交代。まずリベリ氏は、ゲーム以外でのUnreal Engine 4の活用事例を紹介した。建築関係で、顧客にリアルタイム3Dでデモを見せるときなどに駆使されるほか、映画やテレビ番組、アニメーションでもUnreal Engine 4は使われているという。

 映画『アバター』で知られるFOX VFX LABも映像制作にUnreal Engine 4を使用しており、採用により映画の作りかたが大きく変わったようだ。

 テレビ番組では、Digital Dimension社もUnreal Engine 4を採用。リアルタイムで作業できるため、従来のパイプラインではできなかったようなイテレーション(試行錯誤)の方法が可能になったとのこと。また、Unreal Engine 4内でそのままアニメーションも作れるような体制になっているという。

 パキスタンでは、3rd World Studioが60人ほどのチームで、Unreal Engine 4マーケットで販売されているアセットなどを活用して、フル長編アニメを制作している。少人数でもこれだけのことができるようになったという好例だ。

アカデミー特別業績賞を受賞した短編VR映像『Carney Arena』にもUnreal Engine 4が使用されている。

 講演では、リアルタイムレンダリングでモーションキャプチャーも音声もリアルタイムで演者の動きが人間と同じように反映される“デジタルヒューマン”のテクノロジーを遺憾なく活かしたNinja Theoryの『Hellblade: Senua's Sacrifice』も紹介。2年前のお披露目時よりも、表情はさらにリアルになった。

 さらに、“デジタルヒューマン”の最新事例として、60fpsでリアルタイムに動作するデモ“Siren”が紹介された。これは、不気味の谷を超える上で重要になるであろうデジタルフェイスキャプチャの新技術を駆使したもので、パートナーの3Lateralのテクノロジーによるもの。3Lateralはデジタルライフや人間の表現に注力するセルビアの企業だ。

 そして、来場者の目を奪ったのが、『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム役などでおなじみのモーションアクター、アンディ・サーキスを起用しての、シェイクスピアの『マクベス』の演技を披露したリアルタイムレンダリングによる映像。これも3Lateralの技術を駆使してのもので、「プリレンダに見えますが、リアルタイムです。これだけのことをリアルタイムにやるには、従来ではとても速度が追いつかないほどの膨大なアセットが必要でしたが、最大100万倍の圧縮率を実現したために可能になりました」と3Lateralの創業者&CEO、ウラジミール・マストロビッチ氏。しかも、ただリアルタイムなだけでなく、簡単に演者の表情を調整することも可能。さらに、作成したアニメーションはまったく調整することなく、エイリアンのようなクリーチャーにも流用できるという。「こういったデータは保存しておいて、後から利用することもできます。もしかしたら、20年後に彼はいまの顔で何かの役を演じているかもしれませんね(笑)」と冗談半分に担当者は語る。「これで“デジタルヒューマン”の存在意義は変わる」とのことで、映像制作における実用性が圧倒的に向上しそうだ。

こちらが本物のアンディー・サーキス氏。
Magic Leapとのコラボも発表された。