スクウェア・エニックスより発売中のプレイステーション4、PC用ソフト『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』と同一の世界観で、男性キャストのみで演じられる『舞台 少年ヨルハVer1.0』と、女性キャストのみで演じられる『音楽劇 ヨルハVer1.2』。このふたつの舞台の顔合わせが都内で行われた。

『NieR:Automata』と同一の世界観で上演される『音楽劇 ヨルハVer1.2』、『舞台 少年ヨルハVer1.0』チケット先行予約が10月25日よりスタート_16
『NieR:Automata』と同一の世界観で上演される『音楽劇 ヨルハVer1.2』、『舞台 少年ヨルハVer1.0』チケット先行予約が10月25日よりスタート_14

公演日程
『舞台 少年ヨルハVer1.0』 2018年1月31日~2月4日
『音楽劇 ヨルハVer1.2』  2018年2月9日~2月13日

 顔合わせとは、キャストやスタッフなど舞台関係者全員を集めて行われる会合のこと。『音楽劇 ヨルハVer1.2』の顔合わせが1月4日に、『舞台 少年ヨルハVer1.0』は1月5日に実施され、それぞれ同日に本読み(出演者による脚本の読み合わせ)も行われて、舞台の稽古がいよいよ本格的にスタート。

 本稿では、その顔合わせの際と本読みのあいだに、原作・脚本を担当するヨコオタロウ氏を始めとするメインスタッフに少しだけ話を聞くことができたので、その内容をお届け。

 まずは、1月4日に顔合わせが行われた『音楽劇 ヨルハVer1.2』について、原作・脚本担当のヨコオタロウ氏、演出を担当する松多壱岱氏、音楽を担当する岡部啓一氏に話をうかがった。

 ちなみに、『音楽劇 ヨルハVer1.2』は、『NieR:Automata』の発表前、過去二回上演された『舞台 ヨルハ』(前回公演のリポートは下記)をベースに、物語の変更、生演奏を加えた新たな舞台として生まれ変わったものになっている。

<『音楽劇 ヨルハVer1.2』あらすじ>
遠い未来、機械生命体によって地球を侵略された人類は、月へと逃れていた。
衛生軌道上に存在する人類の防衛拠点では、アンドロイドたちが人類に代わって侵略者たちと戦っている。
第十四次降下作戦において予想外の攻撃を受けた実験部隊『ヨルハ』はたったの四機を残して全滅……。
しかし、地上に残って抵抗運動を続けていたレジスタンスと合流したヨルハたちは司令部の過酷な運命に応え、機械生命体へと決死の戦いを挑むのだった。

ヨコオタロウ氏

ブッコロ代表取締役社長。『NieR』シリーズ、『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズなどでディレクターを、スマホゲーム『SINoALICE(シノアリス)』では原作・クリエイティブディレクターを担当。舞台『ヨルハ』やマンガ『君死ニタマフ事ナカレ』(ビッグガンガンで連載中)では原作を手掛けている。

岡部啓一氏(おかべ けいいち)

MONACA 代表取締役社長。『NieR』シリーズや『ドラッグ オン ドラグーン3』、『SINoALICE(シノアリス)』など、ヨコオ作品の音楽を多数手掛ける。

松多壱岱氏(まつだ いちだい)

Actor's trash ASSH 主宰 / オッドエンタテインメント所属の脚本、演出家。『音楽劇 ヨルハVer1.2』の演出を担当。おもな作品に『プリズムナナ ザ・スターリーステージ』(演出)、『TRICKSTER~the STAGE』(脚本・演出)、『新・戦国降臨ガール』などがある。ヨコオタロウ氏原作の『舞台ヨルハ』や『君死二タマフ事ナカレ 零』の演出も手掛ける。

谷 碧仁氏(たに あおと)

劇団時間制作主宰。脚本家、演出家。『舞台 少年ヨルハVer1.0』の演出を担当。おもな作品に、時間制作第十五回公演『手を握ることすらできない』などがある。

『音楽劇 ヨルハVer1.2』&『舞台 少年ヨルハVer1.0』本格始動! コンサートのあの感動をもう一度……!!?_01
『音楽劇 ヨルハVer1.2』顔合わせには、スタッフ、二号役の石川由依さん(前列左から4番目)を始めとした演者の皆さん、歌を担当する エミ・エヴァンスさん(前列右から3番目)や河野万里奈さん(前列右から2番目)らが参加。

――本日(1月4日)、『音楽劇 ヨルハVer1.2』の顔合わせということで、本格的な稽古というのは……。

松多 明日(1月5日)から始まります。舞台という形にしていく作業を、これからひと月のあいだにやっていく感じになります。

――顔合わせのあと、これから本読みということですが、台本の内容についてのスタッフから感想などを聞いたりは?

ヨコオ ないです……。なぜなら、今日の早朝、台本が書き上がったからです!

――えっ!?

松多 2時半くらいにメールで届いていて、僕は朝6時ごろに読みました(笑)。

――舞台を取材する機会はあまりないんですが、顔合わせの直前で脚本があがってくるっていうのは……。

松多 なくはないです。ただ、今回のような大掛かりな舞台では……(言葉を濁す)。

ヨコオ お待たせしてスミマセンでした!

――年末のファミ通誌面でコメントされていた「脚本はまだできてない」というのはネタじゃなかったんですね……。“音楽劇 ヨルハ”に関しては、再々公演ということで、物語のベースができていると思いますが、脚本がそれだけ難産だったということは、内容はけっこうな変更があるということですか?

ヨコオ 前回までの舞台では、僕は原作で脚本は麻草郁さんに書いていただいたんですが、今回はその麻草さんの脚本を自分なりに解釈して変更を加えています。登場人物も少し減らしているんですが、マリア ユリコさん演じるデイジーという新キャラクターが登場します。

――新キャラ! 名前からするとレジスタンスの一員のようですが。

松多 ぜひ注目していただきたいですね。今回の台本を読むと、登場人物が減ったことで、キャラクターの関係性が明確になって、より深みが増したとういか……僕はすごくよくなっていると思います。

ヨコオ 前回までは“ガールズ演劇”という枠組みの中でやったので、若い女の子がたくさん出るということが重要だったんですが、今回は、ムリして登場人物を増やす必要がなかったので、適切な人数に抑えてみました。

――松多さんは、『舞台ヨルハ』や『君死二タマフ事ナカレ 零』といったヨコオさん原作の舞台の演出を担当されていますが、『舞台ヨルハ』の最初の印象は?

松多 『舞台ヨルハ』で最初に打ち合わせさせていただいたときに、目隠しの女の子たちが出てくるという設定をうかがって、「舞台で目隠し!?」と衝撃を受けたことを覚えています(笑)。

ヨコオ その打ち合わせで、「どこかで目隠し取りませんか?」と言われ、「じゃあ途中から目隠しを取りますか」と渋々承諾させられて。

松多 (苦笑)。でも、二号が最後に●●●を●●たのはよかった。しかも、ゲームが発売されて見たとき、ちゃんとゲームにつながっているなと感心しました。

ヨコオ コンセプトとしてゲームにキチッとつなげられてよかったです。そういう、あたかも最初から考えていたかのようにこじつけるのは得意なので。

――演出する側から見て、ヨコオさんが描く世界観をどう感じていますか?

松多 設定やディテイルが細かく、「これはこうだから、こうだよね」という感じで、理詰めで考えてくださるので、演出する側としてはすごくやりやすいですね。そういうところは、ヨコオワールドのベースになっているんじゃないかなと思います。

――ヨコオさんは松多さんの演出をどう見てらっしゃるんですか?

ヨコオ 僕もゲーム開発中は、演出みたいなこともたくさんやるんですけど、松多さんは音のタイミングやリズムをすごく上手くとる方だと。同業種だからこそわかる仕事の細やかさをすごく感じます。今回の音楽劇でも、ここはこの曲というのをビシバシ当てはめていって、プロの舞台演出家って判断が早くてすごいなとビックリしました。

――演出上、今回の舞台で心掛けていることがあれば教えてください。

松多 前回は、まだ『NieR:Automata』の存在が世に出てない状況の中での舞台だったんですが、今回はゲーム発売後、ファンの方が舞台の世界観を知っている中での上演ですので、細かいところまでゲーム世界に寄せていく作業は必要になると思っています。生演奏の音楽の力も強いので、それに負けないよう役者を導くということも大切だと感じています。

ヨコオ 単にゲームに寄せるだけではなく、舞台なりのよさが出せるところは、そのよさが出ればいいな、出してもらえばありがたいなと思っています。たとえば、衣装は舞台で見たときに見栄えのいいデザインというのがあるので、そこはゲームと少し変えたデザインをオーダーして、衣装は舞台に映えるすごくいいものになっています。

岡部 演奏する側の方々にも衣装を作っていただいていて、エミさん(『NieR』シリーズで歌を担当しているエミ・エヴァンスさん)もすごく喜ばれていて。コンサートのときの衣装は、基本的な方向性は決めて、衣装に関しては基本的にそれぞれが用意してくださっていたんですけど、今回は専用の衣装を作っていただけて、みんなすごくテンションが上がっていました。

松多 キャストも、ヨコオさんにもオーディションに立ち会っていただき、ヨコオさんのイメージにより近いキャスティングになっていると思います。

ヨコオ 前回は若い女の子がキャラクターと同一化するような勢いや味わいがあったんですが、今回はキャリアのある方もキャストに加わってくださっているので、別の方向性で完成度の高い舞台になると思います。前回と今回の舞台でどういった違いが出るのか、僕も楽しみにしています。

――今回は、生演奏で舞台を盛り上げる“音楽劇”ということで、コンサートとはまた勝手も違うと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

岡部 2017年のコンサート“人形達ノ記憶”では朗読劇が入っていましたが、今回はその朗読劇が演劇になり、その演劇がメインになるというイメージを持っているんですが、形になるのはこれからなので、いろいろと試行錯誤はあると思います。

――舞台→生演奏→舞台という流れになっていくんでしょうか?

松多 そうですね。生演奏は場面転換だったり、キャラクターの心情に合わせて差し込んだりといった感じです。

ヨコオ 生演奏だけではなく、舞台の最中にBGMとして鳴らす曲もあります。

岡部 ここぞという場面で、生演奏で盛り上げられるといいなと思っています。

――そもそも“音楽劇”としたというのは、ヨコオさんの希望で?

ヨコオ いえ、前回よりも会場のキャパが大きいので、松多さんが「バリューを出したい」というところから、音楽劇という話が出てきたんです。

――あ、音楽劇ありきではなかったんですね?

ヨコオ はい。コンサートはお陰様で好評だったようなので、ファミ通さんには「あのコンサートの感動をもう一度!」という方向で、誤認を促す記事にしていただいて、残りの席を埋めたいなと思っています!

――では、あえて見出しにしておきます(笑)。まだ、A席が若干残っているようですね。演奏される楽曲については、もう決まっているんですか?

松多 事前の打ち合わせで決まりました。

――コンサートで演奏されなかった曲を今回の音楽劇で演奏する予定は?

岡部 けっこうあるんじゃないかなと。

――前回は『舞台ヨルハ』用の曲もありましたが。

岡部 前回の舞台用に作った『ノルマンディー』と『ガダルカナル』という2曲があるんですが、それもアレンジを変えて使う予定です。

――楽しみですね。今回の舞台はヨコオさんたっての希望だとうかがいましたが、ヨコオさんが感じている舞台の魅力とは?

ヨコオ ゲームは全部コントロールできるんですけど、舞台は生なのでコントロールできない。それが生きている感じがして、すごくいいなと思っています。

――では、最後に公演に向けて、意気込みを!

岡部 昨年のコンサートも、朗読劇が合わさったものを見たとき、想像していた以上にいいなと感じました。今回の音楽劇も、きっと想像以上のものになるだろうと僕自身も期待しています。見に来ていただいた方が満足してもらえるように、これから僕もがんばろうと思います。

ヨコオ 今朝、台本を書き上げたので、あとはこれを手直しするだけだと考えると気が楽になりました。よろしければ見てください。

松多 生演奏に役者の演技やダンス、殺陣などが加わる、舞台ならではのヨルハを体感しにぜひ来ていただきたいなと思っております。よろしくお願いします。

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こちらは『舞台 少年ヨルハVer1.0』の顔合わせの模様。
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『音楽劇 ヨルハVer1.2』&『舞台 少年ヨルハVer1.0』本格始動! コンサートのあの感動をもう一度……!!?_08
本読みは、作家や演出家が脚本の意図を説明しながら、演者も物語の理解を深めていく大切な作業。顔合わせでは和気藹々としていた稽古場に、ピリッとした空気が漂う。

 『音楽劇 ヨルハVer1.2』の顔合わせの翌日に行われた『舞台 少年ヨルハVer1.0』の顔合わせでは、原作・脚本担当のヨコオタロウ氏、音楽の岡部啓一氏、そして演出を手掛ける谷碧仁氏に話をうかがった。

<『舞台 少年ヨルハVer1.0』あらすじ>
自動歩兵人形ヨルハ。
その男性型モデルのテストケースとして創設されたM部隊。
そこは少年達が訓練する学校のような場所だった。
物語は主人公九号を含む二期生達の入隊から始まる。
先輩モデルとの交流を通しながら学園生活に慣れてゆく新人達。
しかし、そこには、ヨルハ部隊に対して
疑念を抱く者が現れるようになっていった……。

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『舞台 少年ヨルハver1.0』で九号を演じる斎藤直紀さん(前列右から3番目)を始めとするキャストの皆さん。

――昨日の『音楽劇ヨルハVer1.2』の本読みはいかがでしたか?

ヨコオ 昨日、本読みをやらせていただいて、雰囲気もわかりましたし、キャラクター性もつかめて、具体的に見えてきたかなと。その分、ちょっとシナリオを足したりしないといけないところも判明して、作業が増えました。逆に『少年ヨルハ』は書き過ぎて、削らなきゃいけないという……。ゲームは尺が決まってないようなものなので、そこを考えずに好き勝手に書けるんですが。舞台はある程度の尺の中で収めないといけないという制約があるので、そこはなかなか慣れないですね。いつも勢いで書いているので。

――舞台は時間はだいたい2時間くらいがふつうですか?

 2時間くらいのものもありますが、1時間40分から45分くらいが観劇する方の集中力が最後まで保てる時間かなと思いますね。

――『少年ヨルハ』は谷さんが演出ということで、ヨコオさんから見た谷さんの印象は。

ヨコオ 谷さんは脚本も書かれるんですけど、手掛けられた舞台のDVDを観させていただくと、どの舞台も暗い話のものばかり。精神病の人の話とか誘拐された人の後日談とか、トラウマと心の内面に迫るような、もう、びっくりするくらい暗い話ばかりで。

 (苦笑)。

ヨコオ しかも、最初から最後まで救いがないという、地獄のような内容で(笑)。『少年ヨルハ』のようなポップな舞台の演出をやっていただいていいのかなと思っています。

――『少年ヨルハ』がポップな内容というのも信じ難い……。救いがない物語という点では、ヨコオさんも定評がありますが(笑)、シンクロする部分もあるのでは?

ヨコオ 僕の作品はしょせんエンターテインメントを意識した商業ベースのものですが、谷さんの作品は“本物”です。本当にヤバイです(笑)。『少年ヨルハ』の物語なんて谷さんの舞台と比べると、明るいお話です。お遊戯みたいなもんです。

 いやいやいや、そんなことないです(笑)。

――『舞台 少年ヨルハ』の脚本はもうできているんですか? 音楽劇の台本は昨日上がったとのことでしたが……。

 えっ!? 昨日?(笑)。

ヨコオ 『舞台 少年ヨルハ』のほうは昨年末に書き上げました!

――谷さんはもう台本をお読みになったと思いますが、いかがですか?

 よかったです。とくに後半はずっと夢中になって読みました。ラストは自分の好みで、電車の中で興奮しながら読んでました。

ヨコオ 今回はゲームにつながる前日譚を描いているんですが、『音楽劇ヨルハ』と対になるようなことがあったんだな、と感じてもらえる内容になっていると思います。じつは最初、『少年ヨルハ』は『音楽劇ヨルハ』の脚本をそのままに、性別を入れ換えただけのものにしようと思っていたんですけど、やっぱりオリジナルの内容にしたほうがいいと思い直して、新たに物語を考えました。ただ、テーマや物語の骨格自体は似ているので、『音楽劇ヨルハ』との違いをぜひ楽しんでいただけるといいかなと。

――両方観ることで楽しめる部分もあるということですね。その話を聞いて、音楽劇のほうが気になったりしますか?

 『少年ヨルハ』の色というのがあると思うので、音楽劇のほうは意識せず、そこを突き詰めていこうと思います。

――『少年ヨルハ』の音楽はどんなものに?

ヨコオ 岡部さんは音楽劇のほうとは違って何もやらなくていいので、ボンヤリしています。今日もなんならいなくてもよかったくらい。

岡部 今日の顔合わせも「明日来れる?」って昨日言われたんですよ(笑)。それぐらいの扱いなんだなと(笑)。

――使う楽曲については谷さんが決めていくという感じに?

岡部 そうですね。『NieR:Automata』の楽曲中心で使っていただけるのかな、という感じで。ただ、『NieR:Automata』の曲は静かな曲かスケール感のある曲が多いので、もしかしたら、荒々しい曲が必要なシーンなら『ドラッグ オン ドラグーン』からの曲を使ったりすることもあるのかな、と。

ヨコオ 楽曲に関しては、まだ何も決まってないので、谷さんがシーンに合わせてアサインした曲を、岡部さんがチェックしていく、という感じになると思います。

岡部 『音楽劇ヨルハ』と同様、『ノルマンディー』と『ガダルカナル』という舞台用の曲は使われると聞いていますが、それすらもまだ確定じゃないです(笑)。音楽劇のほうも、昨日の本読みで音楽面ではこれをやらないといけないんだな、というのが明確になった感じなので、『少年ヨルハ』のほうも、今日の本読みでいろいろ決まってくると思います。

――完全新作ということで、『NieR』ファンも楽しみにしていると思いますが、最後にひと言ずついただけますか?

岡部 まだほとんど決まってないので、どう言っていいかわからないんですが(笑)。なので、ちょっと関係ない話していいですか? 僕はヨコオさんと付き合いが長いんですが、昔から「イケメン死ね」みたいなことをずっと言い続けて生きてきた人なんですよ。今回、『NieR:Automata』では田浦さんもイケメンで、谷さんも若くてイケメン。『少年ヨルハ』のキャストさんももちろんイケメンで、ヨコオさんの思いとは裏腹にイケメンを引き寄せ付ける何かがあるんじゃないか、というのが今回の舞台で感じたことです(笑)。

ヨコオ 『少年ヨルハ』が終わったら、出演しているイケメンたちは全員死んでいいなと思います。谷さんも含め。なんなら即死で。

――すごい発言(笑)。このインタビューを読んだキャストさんビックリしますよ(笑)。

ヨコオ 記事になったら、それを素直に書いた人もどうかしてると思います。

――ヨコオさんの発言なら、アリかなと思います(笑)。記事で使えるコメントもひと言お願いします。

ヨコオ ヨルハの世界は舞台から始まり、その後、ゲームになってコンサートで朗読劇もやり、最後にもう一度舞台で終われる、というのは象徴的だなと感じていて、素直にうれしいですね。

――では最後、谷さん、キレイに締めていただければ。

 谷です、死にます(笑)。世界観をとても大事にしつつ、僕が演出として参加する意味があるものと言いますか、やり過ぎたところはヨコオさんが修正してくださると思うので、最後の最後まで挑戦して、僕自身も登場人物と同様に足掻き、もがき苦しみ、いい舞台になるよう血反吐を吐いてがんばろうと思います。ほかのスタッフさんやキャストさんのスキルが圧倒的なので、そこに自分もついていきたいです。よろしくお願いします。

――顔合わせの挨拶の際、ウソのない舞台にしたい、と仰られてましたけれど、あれはどういう意味なんですか?

 舞台というものがそもそもフィクション、ウソのものなので、さらにもう1回ウソをついてしまったら終わりだ、という理念が自分の中にありまして。その世界観の中ではウソをつかず、すべてを真実として見せる。舞台は、そこまでやって初めてお客さんが観てくれると思っています。『少年ヨルハ』もそんな舞台にしていければと思っています。

 今回の舞台では、企画・協力で参加するスクウェア・エニックス『NieR:Automata』プロデューサーの齊藤陽介氏(画面右上)からもコメントをいただいた。

『音楽劇 ヨルハVer1.2』&『舞台 少年ヨルハVer1.0』本格始動! コンサートのあの感動をもう一度……!!?_02
画面右上は『NieR:Automata』プロデューサーの齊藤陽介氏。

 ふだん自分からは「これをやりたい」と言わないヨコオさんが、ゲームの開発中からずっと舞台をやりたいと言っていて、その夢がようやく叶うので、きっとおもしろいものになると思います。アンドロイドなのに人間味溢れる物語というのがテーマのひとつだと思うので、そこは自分も楽しみにしていますし、会場にお越しの皆さんもニコニコ生放送でご覧いただく皆さんも素晴らしい演者、個性的なキャラクターに注目してください。音楽劇のほうは、“世界の岡部”率いる岡部組の演奏が生で聴けるチャンスはそうそうないので、これがラストチャンスかも? というくらいの気持ちで観に来ていただければと思います。(齊藤陽介氏)

 顔合わせ&本読みを経て、いよいよ本格的な稽古に入る『音楽劇 ヨルハVer1.2』&『舞台 少年ヨルハVer1.0』。『舞台 少年ヨルハVer1.0』のチケットはすべて完売しているが、『音楽劇 ヨルハVer1.2』のほうは会場のキャパが大きいということもあり、まだA席に若干空きがあるようなので、本記事で舞台の存在を知った方はお早めに。

 『NieR:Automata』発売からもうすぐ1年。プロジェクトの最後を飾る催しとなる『音楽劇 ヨルハVer1.2』と『舞台 少年ヨルハVer1.0』は、ゲームの前日譚を描く、『NieR:Automata』好きには見逃せない内容。もちろん、ゲームを知らなくても舞台単体でも楽しめる物語になっているので、舞台好きな方にもオススメ。また、両舞台ともニコニコ生放送による生中継とBlu-ray化も決定しているため、スケジュールや距離などの関係で会場に足を運ぶことができない人は、そちらでチェックしてもいいだろう。ニコ生は『舞台 少年ヨルハVer1.0』は、2018年2月4日の夜公演(千秋楽)を配信。『音楽劇 ヨルハVer1.2』は、2018年2月12日夜公演を配信する。どちらもニコニコ生放送での配信で、チケット販売は2017年12月29日22時よりスタート(各2500ニコニコポイント)。Blu-rayについての詳細は後日発表される。