『Detroit Become Human』の映像の迫力に圧倒される

 2017年11月1日~5日まで(現地時間)、フランス・パリにてゲームイベントParis Games Week 2017が開催。同イベントに先駆けて10月30日に、“Playstation Media Showcase 2017”が行われた。

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ(SIEE)主催によるこのカンファレンスは、年末から2018年以降にかけてのプレイステーション4のタイトルラインアップをお披露目すべく催されたものだ。カンファレンス自体は、2017年に行われたSIEの主要な催しである、E3 2017時の“PlayStation Media Showcase”や、【【東京ゲームショウ2017時の“2017 PlayStation Press Conference in Japan”の演出スタイルを踏襲するかのように、登壇者は必要最低限に抑えて、とにかく豊富なタイトルラインアップを映像で紹介するという内容。“Playstation Media Showcase 2017”ではその傾向がとくに顕著で、今回登壇したのは、SIEE CEO ジム・ライアン氏のみという潔さ。あとは、プレイステーション4向けタイトルの映像ラッシュに終始した。E3 2017、東京ゲームショウ2017を経て、Paris Games Week 2017でのSIEのカンファレンスを見て改めて思わせられるのが、映像の圧倒的な存在感。それは映像をメインに据えているのだから当たり前だが、むしろSIEではゲーム映像が何よりのインパクトになると信じているからこそ、カンファレンスでは映像推しで行くのではないか……と思われた。

“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_05
ソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ CEO ジム・ライアン氏。

 その顕著な例が、今回であればQuantic Dream開発による『Detroit Become Human』。近未来を舞台に、アンドロイドたちを描いて前評判も極めて高い本作だが、今回の“Playstation Media Showcase 2017”では、主人公のひとりであるカーラのエピソードが紹介された。それによると、カーラはとある家庭のお手伝いさんで、父親の虐待に苦しむアリスを思いやる……という境遇にあるようだ。アリスを救うためには虐待する父親と相対せねばならず、かといってそれは人間に敵対するアンドロイドとしては、絶対に取ってはいけない立場であり……と、見ているこちらからしてが、身を締め付けられるようなシチュエーションになっている。「よく、こんな重いことを突きつけるなあ……」というのが率直な感想だが、映像の圧倒的な力に目が離せない。とにかくズシンとくる内容で、「やっぱり『Detroit Become Human』は大傑作なのではなかろうか?」と思わせられてしまうような映像だ。自分がプレイするときに、どんな選択をするのだろう……と、いまから想いを馳せてしまった。

 一方で、“Playstation Media Showcase 2017”の最後に紹介された『The Last of Us Part II』の映像もインパクト大だった。2016年12月に、アメリカ・アナハイムで開催された“PlayStation Experience 2016”にて初お披露目され大きな反響を集めた『The Last of Us Part II』だが、今回の映像では、文明が崩壊した世界での、ギリギリの生き残りをかけた戦いが描かれていた。その描写はなかなかに激しい内容で、そういった表現が苦手な方はご注意いただきたいところだが、心に突き刺さる映像ではある。

※以下映像には一部過激な表現があります。閲覧される場合はご注意ください。

 映像の力という意味では、カンファレンスで初お披露目された新作も相当なもの。まずは、『inFAMOUS(インファマス)』シリーズなどでおなじみのSucker Punch Productionsによる『Ghost of Tsushima』。“Playstation Media Showcase 2017”の“オープニングアクト”として度肝を抜いた本作は、日本を舞台にしたオープンワールドワールドアクション。あえての日本を舞台にした(おそらくは)ソードアクションというところに、こだわりを感じるが、開発開始の経緯など気になるところだ。

 もう1本が、2014年にリリースされた『Entwined(エントウィンド)』の開発元PixelOpusの第2作目『Concrete Genie』。同作は、主人公である少年が壁に描いたクリーチャーの絵が動きだし……という幻想的なタッチのアドベンチャーゲーム。カンファレンスで公開されたトレーラーでは少年が周囲からいじめられる様子なども描かれており、いじめが何らかの形でテーマに関わってくるのではないかと思われる。いままでにないテイストの、気になる1作だ。

 さらに新作と言えば、“PlayLink”対応の『Erica』もアナウンスされた。“PlayLink”と言えば、プレイステーション4とスマートフォンを連動して遊ぶという、SIEが提案する新しい遊びかた。先日日本での展開も正式に発表されたばかりだが、“Playstation Media Showcase 2017”では早くも新作がお披露目されている。“インタラクティブライブアクションドラマ”と銘打たれた『Erica』では、主人公の行動などにプレイヤーが関与できるといった内容になるようだ。

 といった具合に最新映像尽くしだった、“Playstation Media Showcase 2017”。新情報として見逃せないのが、『モンスターハンター:ワールド』と『Horizon Zero Dawn』とのコラボ。よく考えてみると、いかにも相性よさげな両作の組み合わせだが、『モンスターハンター:ワールド』のプレイヤーキャラクターを『Horizon Zero Dawn』のアーロイにしたり、オトモをウォッチャー風にできるようだ。両作のファンにとってはうれしいコラボ! また、Playstation Plusの会員を対象に、『モンスターハンター:ワールド』のワールドベータが12月9日より開始されることも明らかにされている。

 ちなみに『Horizon Zero Dawn』では、11月7日配信予定の新ダウンロードコンテンツ『凍てついた大地』の最新トレーラーが公開されている。

 ダウンロードコンテンツでは、バンジー開発による『Destiny 2』の“CURSE OF OSIRIS”がアナウンスされたのも、ファンにはうれしいところ。配信日は12月5日だ。

 また、カンファレンスでは『ワンダと巨像』の最新映像も披露され、巨像との新たな戦闘が披露。海外での発売日が2018年2月6日に決定したことが明らかにされた(その後、国内では2018年2月8日発売となることが発表)。

 さらには、『GOD OF WAR』や『Spider-Man』、『ファークライ5』などの最新映像も公開された。

 そのほか、“Playstation Media Showcase 2017”も含めた、SIEEによる情報番組“PlayStation Live From Paris Games Week 2017”では、ダウンロードタイトルやインディーゲームタイトルの新作が続々と発表。『ファイナルファンタジーXV』“エピソード イグニス”の配信日が12月13日になることが明らかにされたほか、『バイオハザード7 レジデント イービル』の無料ダウンロードコンテンツ“Not A Hero”の新トレーラーなども公開されている。

ライアン氏いわく、「ゲームをプレイする“ベストな場所”はさらによくなる」

 というわけで、充実のタイトルラインアップを改めて明らかにしたプレイステーション4プラットフォーム。SIEE CEO ジム・ライアン氏が、カンファレンスで終始強調したのも、クリエイターたちは、プレイステーション4向けゲームの開発に注力し、プレイステーションプラットフォームは“ゲームをプレイするベストな場所になっている”というエコシステムができているということ。

“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_06

 ライアン氏からは、「デベロッパーたちは、日々プレイステーション4のすぐれたパワーをさらに引き出し、心に思い描いた夢を実現し、すばらしい結果を出しています」、「プレイステーション VRの可能性をさらに追求していきます。プレイステーション4 Proは大きな可能性を秘めており、今後のイノベーションは加速していくでしょう」、「プレイステーション4 Pro向けタイトルは225本、プレイステーション VRと互換性を持ったタイトルは100を超え、プレイステーションはゲームを遊ぶベストな場所になっています」、「プレイステーションは20年を経たいまも、しっかりと地に足をつけて未来に向かっています。エコシステムはよりパワフルで魅力に溢れています。新しいタイトルを見ていただければ、ベストな場所はさらによくなっていることがわかっていただけると思います」といった、力強い言葉が聞かれた。

 ユーザーにとってゲームを遊ぶ“ベストな場所”であるプレイステーションプラットフォームのヨーロッパ市場での充実ぶりが、さらに明確になったカンファレンスだったと言えるだろう。

“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_01
会場となったGrande Arche。地下1階にイベントスペースにて“Playstation Media Showcase 2017”が行われた。
“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_03
“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_04
冒頭には特別映像が流された。プレイステーションのコントローラーのマークである△○☓□の□がGrande Archeに模してある。映像の匠さに会場からは思わず歓声が。
“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_07
“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_08
『GOD OF WAR』では煙が、『Horizon Zero Dawn』のダウンロードコンテンツ『凍てついた大地』では雪を模した紙吹雪が……と演出も楽しい。
“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_02
カンファレンスの前には、SIEEによる情報番組“PlayStation Live From Paris Games Week 2017”が配信。ダウンロードタイトルなどの新作が発表された。
“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】_09
カンファレンスのあとは、PlayStation Accessのホーリー・ベネット氏司会のもと、Supermassive Games エグゼクティブプロデューサー サイモン・ハリス氏、SIE ロンドンスタジオ ディレクター・オブ・エンターテインメント リズ・ワイリー氏、バンジー 『Destiny 2』デザインディレクター ルーク・スミス氏、Media Molecule 共同創業者&スタジオディレクター シヴォーン・レディ氏、そして、SIEワールドワイドスタジオ プレジデント 吉田修平氏という豪華は顔ぶれによる、“Gaming is for Everyone”とのテーマでのパネルディスカッションが行われた(並びは右から)。こちらの模様は追ってお伝えする。