2023年7月20日にリリースされたスマートフォン向けアプリ『Pokémon Sleep』(以下、『ポケモンスリープ』)は、睡眠をエンターテインメント化することで朝起きるのが楽しみになる睡眠ゲームアプリ。
2019年5月に発表されてから4年以上が経ち、いよいよリリース開始。先日、メディア向け先行体験会が行われ、ファミ通.comも参加した。詳しくはリポート記事をご覧いただきたい。
今回は本作の開発陣にインタビューを実施。構想からじつに5年半もの年月を費やした本作にかける想いやこだわりなど、これまで語られてこなかった『ポケモンスリープ』の開発秘話をお届けする。
中畑虎也(なかはた こうや)
SELECT BUTTON ゲームディレクター
宮川佳祐(みやがわ けいすけ)
SELECT BUTTON リードクライアントエンジニア
塚田拓実(つかだ たくみ)
SELECT BUTTON アートディレクター/UIデザイナー
小杉要(こすぎ かなめ)
『ポケモンスリープ』プロデューサー
首藤まり江(しゅとう まりえ)
『ポケモンスリープ』リードコーディネーター
寺田佑貴(てらだ ゆうき)
『ポケモンスリープ』リードコーディネーター
ゲームを遊ばせすぎない。睡眠計測アプリならではの工夫
――まずは『ポケモンスリープ』を制作することになった経緯を教えてください。
小杉約5年半前に睡眠計測の技術を知る機会がありました。睡眠は誰しもが行い、そのデータは蓄積されていくものです。これをゲームと組み合わせることで、これまでにないおもしろいものが作れそうだと思い、制作をスタートさせました。
――そもそも睡眠に焦点を当てられたのはなぜだったのでしょうか。
小杉『ポケモン GO』をリリースしたことによって、歩くことをエンターテイメント化し、楽しみをもたらすことができたと考えています。本プロジェクトはそのつぎの挑戦として位置付けています。睡眠に着目した理由は大きくふたつありまして、ひとつは睡眠をしない人はいないということ。そしてもうひとつは、自分の理想とする睡眠を取れていない人が多いということです。
――理想の睡眠ですか?
小杉睡眠に関する調査はさまざまありますが、日本人の平均睡眠時間は6~7時間と、ほかの国と比較して短いです。また弊社で行った調査では、睡眠を“できれば取りたくないけど取らなければならないもの”として捉え、義務的に眠っているという人もいらっしゃいました。
――たしかに、寝なくていいならずっと起きていたいですよね。
小杉実際は眠らないといけないですからね(笑)。であれば睡眠をエンターテインメント化することで、睡眠を楽しいものだと感じてもらいたいと考えました。毎日眠ることが楽しみになれば、よりポジティブで健康的な生活が送れるようになると思っています。
中畑問題は睡眠時間の短さだけでなく、“社会的時差ボケ”になってしまう人も多いらしいということです。平日は仕事があるから毎日規則正しく睡眠を取っていたとしても、金曜日は夜更かししてしまったり、土日は昼まで眠ってしまったりといった生活リズムのズレが原因で体内時計が乱れます。
――非常に心当たりがあります。
中畑本作は1週間ごとにゲームサイクルがリセットされるようになっていて、先週の睡眠リズムが月曜の朝に評価されます。規則正しいリズムで睡眠がとれていれば評価が高くなり、評価がいいほどゲーム内でよりよい報酬がもらえます。続けていると自然と睡眠が見える化されていきますので、よりよい睡眠を行うための参考にしてもらえればと思っています。
小杉本作はあくまでも楽しく睡眠を見える化するアプリであって、直接的に睡眠の質を改善したり不眠の悩みを解消したりするものではありません。しかしながら本作が睡眠に興味を持つきっかけとなることで、よい変化をもたらすことができればいいなという想いで制作をしています。
――そんな『ポケモンスリープ』の開発は、『はねろ!コイキング』でもおなじみのSELECT BUTTONが担当されています。これはどのように決まったのでしょうか。
小杉『はねろ!コイキング』の開発を通してポケモンに関する理解を深めてくださっていますし、我々としても信頼をしているというのが大きな理由です。また『はねろ!コイキング』のコツコツとプレイを重ねていくゲーム性は、毎日睡眠データを計測して記録する本作と似ている部分があり、そういう意味でも相性がいいと判断しました。
――構想自体は約5年半前からとのことですが、前例のないゲームで開発には苦労されたことも多かったのではないでしょうか。
中畑予定よりも大幅にリリースが延びてしまい、楽しみにしていただいていた皆さんにはたいへん申し訳なく思っています。時間がかかってしまった理由は大きく分けて3つあります。ひとつは、リリースと同時に“Pokémon GO Plus +”と対応させなければならなかったことです。
宮川デバイスとゲームを同時に出すというのが初めての経験だったので、苦労は多かったです。こういう使いかたをしたらどうなるかというパターンを片っ端から洗い出して検証と実装をくり返していくのですが、もう大丈夫だろうと思ったところに思わぬ不具合が発生して。その結果必要な機能が増えて“Pokémon GO Plus +”に機能を追加してもらったこともありました。
中畑もうひとつは、全世界同時リリースの対応です。ポケモン関連の作品だと当たり前のようになってきていますが、じつはかなりたいへんなことでして。日本のスマートフォン向けゲームで同じことをしているものは少ないのです。ポケモンさんの協力があったとはいえ、想定以上に労力がかかってしまいました。
――8言語対応で世界同時リリースはなかなかたいへんなことだと思います。
中畑そしてもっとも苦労したのが、“睡眠計測ツール”と“ゲーム”を両立させるためのバランス調整です。睡眠計測ツールとして最適化させすぎてしまうとゲームとしてつまらないし、ゲームとしてのおもしろさを追求しすぎるとそれはもうただのゲームになってしまいます。
宮川おもしろいならいいじゃないかと思われるかもしれないのですが、遊ぶのがおもしろくて夢中になりすぎてしまうと本来の目的である睡眠のための時間が削られてしまうんですよね。
――おもしろさを担保したうえで遊びすぎないという、ゲームとしてある種の矛盾を内包したことになるんですね。
中畑そこを解決するために、本作では意図的に“やめどき”を作っています。
宮川ゲームとしては珍しい作りだと思います。
中畑逆に言うと、ユーザーが熱中する要素を起床時にぎゅっと詰め込んでいます。その日の睡眠計測結果を確認して、集まってきたポケモンたちの寝顔をリサーチして、その中から気に入ったポケモンを仲間にする。本作の遊びの大部分が、この起床時に濃縮されています。
宮川日中は仲間にしたポケモンたちがカビゴンを育てるためのきのみや食材などを集めてくれますが、きのみであればアプリを起動しなくても自動で集めてくれます。ほかには朝昼晩と1日に3回カビゴンに料理を作ってあげることができますが、操作も簡単ですぐに終わりますので、自分がご飯を食べるタイミングでいっしょに作ってあげるのがよいと思います。
中畑あとは眠るときに睡眠計測を始めるだけなので、日中は自然とやることがなくなってアプリを閉じることになるはずです。もし遊び足りないと感じたら、『ポケモン GO』など別のゲームで遊んでもらえればと考えています。睡眠計測は毎日継続してもらうことで真価を発揮しますので、ぜひ長く続けて遊んでほしいです。
ポケモンの寝顔はリリース時点で100種類以上!
――本作の“遊び”の部分について、改めてお教えください。
中畑“ポケモン寝顔図鑑”の完成という長期的な目標を用意しています。ポケモンの寝顔や寝かたについてここまで詳しく取り上げているのは本作が初なので、生粋のポケモンファンの方であっても新たな発見をたくさんしていただけると思います。
首藤これまで解明されていなかったポケモンたちの睡眠の生態を新たに調査し、その結果を記録していくのが“ポケモン寝顔図鑑”です。好きなものを食べながら寝ていたり、仲間といっしょにいる夢を見ていたり、ときには野生らしからぬ気を抜いた姿を見せてくれたりと、さまざまな寝顔に出会っていただけると思います。今回はテキストも含めて、寝顔の情報をフィーチャーしたポケモン図鑑を新たに作成しました。
――図鑑テキストには重要な情報が書かれていそうですが、原作のゲームフリークさんによる監修も行われているのでしょうか?
首藤もちろんお願いしています。本作で見られるポケモンたちの寝顔や睡眠に関する生態の一部は、既存の“ポケモン図鑑”に載っている情報とリンクしているものもあります。そのあたりに齟齬が出ないようしっかり監修していただいておりますので“ポケモン図鑑”と“ポケモン寝顔図鑑”を見比べて楽しんでいただければと思います。
――本作ではユーザーおよびポケモンの睡眠タイプがうとうと、すやすや、ぐっすりの3つに分けられていますが、ポケモンの睡眠タイプはどのように決めていったのでしょうか。
寺田ポケモンの睡眠タイプは、ポケモンの持つタイプと関連しています。たとえばほのおタイプのポケモンは体温が高いです。本作の監修をしていただいている睡眠学の世界的権威・柳沢正史先生によれば体温が高いと眠りが浅くなりやすいとのことなので、ほのおタイプはすやすやタイプになっています。逆に、体温の低いこおりタイプのポケモンは眠りが深いぐっすりタイプです。
首藤基本はタイプによって決まっているのですが、中には例外もいます。
寺田たとえば、赤ちゃんはたくさん眠るからピチューなどの一部のポケモンはぐっすりタイプとか。
首藤例外となっている理由はポケモンファンの皆さんなら納得していただけると思うので、ぜひ探してみてほしいです。
――ちなみに、リリース時点では何種類くらいのポケモンが登場するのでしょうか。
小杉100種類以上のポケモンが登場します。また1種類のポケモンにそれぞれ複数の寝顔が用意されていますので、寝顔の数で言うとその何倍もの種類があります。中にはなかなか見られない珍しい寝顔もありますので、“ポケモン寝顔図鑑”のコンプリートにはかなり時間がかかるかもしれません。
――珍しい寝顔を見るためのコツなどはありますか?
中畑珍しい寝顔はねむけパワーが高くないと見られません。ねむけパワーはエナジーと睡眠スコア(ユーザーの睡眠時間)をかけ合わせた値です。毎日カビゴンにきのみや料理をあげて大きく育てたうえでたっぷり眠ることが重要です。
小杉睡眠時間が長いほど睡眠スコアが高くなり、8時間半以上(16歳未満は11時間以上)の睡眠で100点満点になります。また、ねむけパワーが高くなる週末には珍しいポケモンと出会うチャンスがあるかもしれません。
豪華スタッフとともにこだわりを詰め込んだ『ポケモンスリープ』の世界
――かわいらしいポケモンの寝顔やアニメーションも本作の大きな特徴のひとつだと思います。とくにこだわった部分について教えてください。
首藤アニメーションが特殊な方法で作られているんですよね。
塚田2Dアニメーションを作る際にはSpineやLive2Dといったアニメーションツールを使ってイラストにボーンを設定して、自動補完のアニメーションで動かすのが近年は一般的です。効率的だからこそ一般的なわけですが、今回は既視感のない画作りがしたかったので、コマアニメのようなイメージで、自動補完のアニメーションをベースにひとつひとつのコマをすべて手動でつけていく手法で作っています。
――それはまた膨大な作業量になりそうですね。
塚田寝顔ということで動きはゆっくりですから、ひとコマずつフレーム調整して作っています。また、ただ眠っているだけのアニメーションでは、かわいいけどすこし物足りないので、寝顔ひとつにつきワンアクションを付けるようにしました。ちょっと目をこすったり、あくびをしていたり。そういった部分をこだわるうちに、とにかく物量がものすごくなりました。
首藤細かいところまでこだわっていましたよね。
塚田そうですね、たとえばゲーム内における昼夜の表現も試行錯誤しました。本作の開発中にUnityに2Dのライティング機能が追加されまして、試しに入れてみたら感触がよかったので本格的に実装することにしました。またポケモンの影もアニメーションで動くようになっていて、2Dだとあまりない表現なのではと思います。
首藤先ほど話に出たワンアクションなど、演出上でどんな動作をさせるとポケモンがかわいく見えるかについては、アニメ『ポケットモンスター』シリーズを長年手掛けていらっしゃる湯山邦彦監督や、冨安大貴監督に協力していただいているんです。
――湯山監督や冨安監督も関わっていらっしゃるんですね!
首藤ほかにもさまざまなアニメ制作会社さんからアニメーターさんをアサインしていただいてアニメーションを作りあげたり、イラストレーターさんにもお手伝いしていただいたりしています。
小杉サウンドは『ポケットモンスター』シリーズの楽曲を多く手掛けてこられた景山将太さんにお願いして、音楽とサウンドプロデュースを担当してもらいました。また『Pokémon HOME』や『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』の開発もしていただいたイルカさんにも主にサーバーエンジニアリングを担当していただいています。ここまで混成チームでの開発というのはなかなか例のないことだと思います。
中畑僕らが自由に作っては壊してをくり返していくアジャイルな開発をしていく中で、イルカさんがサーバーチームとして支えてくれていたことが本当にありがたかったです。SELECT BUTTONの3人だけではマンパワーが足りないのですが、こうしてさまざまな方のサポートがあったおかげでここまで形にできたと思っています。
日中は『ポケモン GO』でたくさん歩いて、夜は『ポケモンスリープ』でぐっすり眠ろう
――システム面のお話もお聞きしたいのですが、そもそも睡眠の検知というのはどのように行われているのでしょうか。
宮川このシステム自体は私たちが作ったわけではありませんが、スマートフォンに搭載されている加速度センサーを使って、寝ているときの体動を検知して睡眠状態を計測しています。睡眠が深いときは体動がほとんどなく、逆に浅いときは体動が多いです。
――そうやって検知した睡眠の深さから睡眠タイプが決まるんですね。ユーザーとおなじ睡眠タイプのポケモンが集まってくるとのことですが、日ごとに睡眠タイプは変わるものなのですか?
宮川本作では、一定量の睡眠データが集まった後は、一般的なデータとの対比ではなく、自分の過去の睡眠との対比で評価がされるようになります。これまでのデータと比べてぐっすり眠っている時間が多いと判断されれば、その日の睡眠タイプはぐっすりになります。
塚田人によって特定の睡眠タイプが出やすいくらいの偏りはあるかもしれませんが、ある睡眠タイプがまったく出ないということはゲームデザイン的にないようになっています。
中畑計測期間が長くなってデータが増えれば増えるほど睡眠タイプ算出の精度が上がってくるので、最初のうちは焦らずコツコツと続けてみていただければと。
首藤逆に、特定の睡眠タイプを狙って出すことはできないとも言えます。
小杉そこはとくに気を付けた部分です。たとえばうとうとタイプのポケモンと出会いたいからといって、睡眠時間を削ったり質をわざと下げたりといったことはしても意味がないようになっています。不健康を促すようなアプリには絶対にしないよう注意を払っています。
――ほかに気を付けたポイントや苦労したことは何かありますか?
宮川テストプレイには苦労しましたね。寝ないといけませんから(笑)。基本的に1日1回しかテストプレイできないんです。仮の睡眠データを作って進めることはできるのですが、実際に眠ったときに意図していなかったことが起きる可能性があるので、なるべく本当に眠ってテストプレイをしてもらうようにしていました。
塚田演出面では起床時にプレイする際の時間的な負担をなるべく少なくするよう気を付けました。試作段階では演出が長すぎて朝の忙しい時間に待っていられないという意見が多く寄せられました。そこでアニメーションのスピードを調整してサクサクみられるようにしたり、ポケモンのリサーチも1度見たことがあるものはワンタップで全部一気にスキップできるようにしたりと負担を減らす工夫をしています。さらに、それでも時間がないという人のために“あとで見る機能”を用意しました。
小杉試作段階では、朝目覚めたときに定点カメラで撮影したポケモンたちの映像を見せる企画もあったのですが、それだと見ているあいだに2度寝してしまうことも……(笑)。いまはユーザーが能動的に操作をする必要があるので、むしろ目が覚めるような流れができていると思います。
――2023年7月14日に“Pokémon GO Plus +”が発売されましたが、本作と連携することになった経緯を教えてください。
寺田“Pokémon GO Plus ”、“モンスターボール Plus”に続く、『ポケモン GO』と連携する3つ目のデバイスとして作られたのが“Pokémon GO Plus +”です。睡眠計測のデバイスとしても使おうというアイデアは社長の石原恒和による発案でした。
――『ポケモンスリープ』自体はスマートフォンだけで遊べるとのことですが、“Pokémon GO Plus +”を使う利点はどこにあるのでしょうか。
寺田スマホをベッドに持ちこみたくない人は一定数いらっしゃると考えています。眠る直前に画面を見たくないという人や、物理的に充電ケーブルが届かない人など理由はそれぞれですが。そういった人にとって“Pokémon GO Plus +”はコンパクトだしバッテリーもかなり長持ちなので便利だと思います。
――確かに、アプリを起動して睡眠ボタンを押すにも寝ちゃうこともありそうですね。
寺田そうですね、ふだんはなんともない手間なのですが、眠る前だと眠さが勝っちゃうこともたまに……。“Pokémon GO Plus +”はベッドに置いてボタンを押すだけ。このちょっとした差が、毎日使っていると思ったより大きく感じてきます。また“Pokémon GO Plus +”の中にはナイトキャップをかぶった特別なピカチュウがいて、ピカチュウといっしょに眠ることでなかよくなれます。そしてゲーム内では特別なおてつだいポケモンとして活躍してくれるんです。
――“Pokémon GO Plus +”を介して『ポケモン GO』とも連携できるんですよね。
寺田そうなんです。“Pokémon GO Plus +”を使って『ポケモン GO』でポケストップを回すとその回数が保存されます。その後『ポケモンスリープ』と同期した際に、回数に応じてちょっとした報酬がもらえます。
――日中は『ポケモン GO』で、夜は『ポケモンスリープ』でと使い分けられるんですね。
寺田ちなみに記録するデータをポケストップを回した回数にしたのには理由がありまして。ポケストップをたくさん回そうとすると、たくさん歩き回る必要がありますよね。日中『ポケモン GO』をしながらたくさん歩くと『ポケモンスリープ』でいいことがある。実生活でも昼間たくさん歩くことで夜にぐっすり眠れるようになりますので、どうぞ“Pokémon GO Plus +”を活用して『ポケモン GO』と『ポケモンスリープ』をあわせてお楽しみいただければと思います。
イベントやアップデートで随時ポケモンを追加予定!
――本作の運営方針について教えてください。
中畑基本プレイは無料で、アイテム課金とサブスクリプションパスを用意しています。パスを購入すると睡眠ツールとしてより便利になり、ゲームとしてもちょっとお得に感じる報酬がもらえます。ただ課金はもちろん必須のものではなく、毎日寝て起きるだけでゲームは進行します。ほかの人よりもたくさんポケモンを捕まえたいとか、今日出会ったポケモンを絶対に捕まえたいといった場合には、すこし課金をしていただくのもよいかと思います。
首藤お金さえ払えば眠らなくても睡眠リサーチができる、というつくりにはなっていないので、課金の有無にかかわらずよく眠ることがいちばん重要だということに変わりはありません。
中畑多くのスマートフォンゲームでは最初にまとまった金額を課金して最強パーティーを組んでスタートするという遊びかたができますが、本作ではできないです。理想のチームを作るには何回も何回も眠る必要があります。課金よりも睡眠が大事です!
――今後、追加でポケモンを登場させる予定はありますか?
中畑アップデートによるコンテンツ追加で新しくポケモンを登場させたり、いわゆるイベントの開催時にテーマに沿ったポケモンを登場させたりといったことを予定しています。なおリリース時点では『ポケットモンスター 赤・緑』および『ポケットモンスター 金・銀』に登場するポケモンが中心になっていますが、今後はいろいろな地方からポケモンを追加していきたいと考えています。
――機能面で追加したいものはありますか?
中畑目覚ましのアラーム音と睡眠導入サウンドのバリエーションは随時増やしていく予定です。睡眠ツールとしての利便性を高める方向でもアップデートを行っていきます。
――将来的にスマートデバイスと連携する可能性はありますか?
中畑まだまだ先の話にはなりますが、構想はあります。なるべく多くの人が気軽に睡眠を計測できるようになって『ポケモンスリープ』を遊んでもらいたいと考えていますので、その入り口となるデバイスの調査はすでに始めています。
――『ポケモン GO』で登場した幻のポケモン・メルタンのように、本作で初お披露目となる特別なポケモンが登場する予定はありますか?
小杉現段階で準備しているのは、 “Pokémon GO Plus +”と連携することで仲間になってくれる、ナイトキャップをかぶったピカチュウのみです。
――ユーザーに向けてアピールしておきたいことはありますか?
宮川スマホゲームを遊んでいて、急にメンテナンスに入っちゃうことってあると思います。本作においてはメンテナンス中だからといって睡眠の計測ができないなんてことはあってはならないので、メンテナンス中でも計測できるように作っています。ですので皆さんメンテナンスのお知らせがあっても、安心して寝ていただければと思います。
――それはすごいですね。あと気になるのは、ソーシャル機能の共有範囲です。睡眠時間がバレたくない人もいると思うのですが……。
中畑フレンドとの睡眠データの共有について懸念がある方が多いようなのですが、そこはかなり配慮をしています。たとえば起きた時間は4時間刻みで表示されるようになっていて、具体的に何時何分に起きたというのは分かりません。また、睡眠スコアや睡眠タイプなどはオプションから共有のオンオフを切り換えられます。オフにしても得られる報酬などは変わりませんので、ご自身の状況に合わせて設定していただければと思います。
――UIに関しては、睡眠計測ツールとしての側面とポケモンのゲームとしての側面をどちらも考える必要があるので、かなり苦労したのではないでしょうか?
塚田UIのスタイルはバランスがすごく大変でした。睡眠計測ツールの側面を出しすぎると楽しさが伝わりにくいものになってしまいますし、逆にゲームの側面を出しすぎるとツールっぽさが消えてしまうので、画面の明暗を含め、両方のバランスをどこに着地させるかはすごく苦労しました。
――最後に、読者の皆さんにひと言ずつメッセージをお願いします。
寺田睡眠の世界的権威を持つ教授に教わりながらゲームを作るという経験は純粋におもしろかったです。睡眠に関する部分もかなりこだわって作っていますので、これまでになかったポケモンと睡眠のコラボレーションをぜひ楽しんでください。
首藤どんなに熱心なポケモンファンの方であっても、ポケモンの寝顔にすごく詳しいという方は少ないと思います。『ポケモンスリープ』でたくさんの寝顔に出会って、詳しくなってもらえたらうれしいです。
小杉本作を通してふだんの睡眠を楽しんでもらえたらうれしく思います。長く遊び続けていると、うっかり睡眠計測を忘れたときに「もったいないことをした」と思うようになるんです。そう思えるくらい長く遊び続けてほしいなと思います。
宮川仕事が忙しくなるとついつい睡眠時間を削ってしまいますよね。その翌日は頭がぼーっとしてしまい、やっぱり睡眠時間は大切だなと実感します。1度1週間連続で100点を取り続けるプレイに挑戦してみてほしいなと思います。翌週は頭が冴えているのが実感していただけると思います。
中畑アプリを制作するうえで意識したのは、子どもからゲームに慣れていない大人まで遊べるようにという点です。操作はシンプルに、タップしただけで計測やゲームが進んでいくように作ったので、ふだんゲームに慣れ親しんでいないという人にも遊んでみてほしいです。
塚田かなり長い期間、ユーザーの皆さんをお待たせしてしまいました。そのぶん睡眠計測ツール、そして睡眠データを使ったゲームとして最大限チームで考えて作りました。このインタビューでそれが少しでも伝わっていると嬉しいです。ぜひ1度使ってみて、感想をシェアしていただきたいです。よろしくお願いします。