東京ゲームショウ開幕後に行った、SIEJA盛田厚プレジデントのインタビューをお届け。プレイステーションプラットフォームの現状や、今後の展望についてうかがった。

 2017年9月19日に行われた“2017 PlayStation Press Conference in Japan”で、充実のソフトラインアップを発表したソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(以下、SIEJA)。2017年9月21日に開幕した東京ゲームショウ(以下、TGS)2017では、試遊コーナーを中心とするブースを展開している。

 SIEJAは、プレイステーション(以下、PS)プラットフォームを取り巻く現状をどのように見ているのか、そして今後、ゲーム市場が盛り上がる時期に向けてどのような施策を実施していくのか。盛田厚プレジデントにお話をうかがった。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア
プレジデント 盛田厚氏
(文中は盛田)

――TGSがついに開幕しましたが、初めに、今年のPSブースのテーマや見どころを教えていただけますか?

盛田 まずは、『グランツーリスモ SPORT』と『モンスターハンター:ワールド』のふたつですね。我々も、皆さんも期待している大型タイトルですから。以前から「出さなきゃいけない、出したい」と思っていたタイトルは、ようやくこれですべて発表できたと思っています。それに加えて、『Detroit Become Human』のような新しいIPや、『コール オブ デューティ ワールドウォーII』のような人気IPがあります。バラエティーに富んだタイトルを発表できたと思っていますので、それを存分に試遊していただくことを中心に考えてブースを作りました。プレイステーション4 Proと4K/HDR対応のブラビアで、いちばんいいクオリティーで遊べるようになっています。また、これまで行っていたステージイベントの代わりに、生中継を実施していまして、TGS会場に来ている方には試遊していただき、来られない方には中継を見ていただいて、TGSを楽しんでいただくというのが今回のポイントです。

――試遊タイトルはかなり充実していますよね。先日のカンファレンスも、「こんなにソフトの厚みが増したんだ」と実感できる内容でした。『モンスターハンター』のような、誰もが知っているビッグタイトルから、PlayLink(仮称)シリーズのような挑戦的なタイトル、プレイステーション VR(以下、PS VR)タイトルもあり、本当の意味でソフトが充実したんだな、と。盛田さんは、どのような意図をもって、今回のカンファレンスを行われたのですか?

盛田 おっしゃる通り、深さも幅も広がったタイトルを用意できたと思っていますので、そこをまずお伝えしたいというのがもっとも重視したことです。それから、我々がいちばんやりたいことは“ゲームを文化として確立すること”ですので、それを目指す道へいよいよ進んでいっている、ということをお伝えしようと思いました。

――カンファレンスの最後でも、その夢について語られていましたよね。思い返すと、PS4の立ち上げのころは海外のメーカーが先行していて、国内のメーカーが追い付いていない状況がありましたが、当時から比べると、状況は本当に変わりました。

盛田 おかげさまで、毎年タイトルを発表したり、発売したりしてきて、それに合わせてハードウェアの施策も実施してきました。“ハードの普及が進んで、ソフトが売れるようになる”という、家庭用ゲームのいいサイクルができているなと思います。例年、4~6月というと、年末年始~決算期と夏休みの狭間となっていたのですが、いまはその時期もソフトがすごく売れるようになって。ゲーム業界が活気づいていると感じられ、すごくうれしかったですね。

――いまのプレイステーション4(以下、PS4)を取り巻く状況……たとえばユーザーの数だったり、PS4のゲームに対する意識については、どのように分析されていますか?

盛田 “PS4”という名前が話題になる頻度は増えた、あるいは広がったと思っています。PS4の地位が確立されてきたな、と。そして、ゲームファンの皆さんがサポートしてくれたから、ここまでこれたと強く実感しています。

――ゲームファンといっしょに歩んできているという実感があるということですね。

盛田 ゲームを待ってくれている皆さんに、ちゃんとタイトルを提供することは、ひとつの大きな目標でしたから。ですが、それと同時に、PSを知らない人にゲームの楽しみを知ってもらう、思い出してもらう活動も行ってきました。初代PSが発売されたころは、PSを知らない人に振り向いてもらうための取り組みをしていたわけですから、そのころの気持ちに戻って。

――後者の活動も、テレビCMなどで、確実に浸透してきたと思います。

盛田 「あの人もゲームを遊ぶんだ」と興味を持っていただけるように、山田孝之さんなど、ゲーム好きな方を起用させていただきました。地道な活動が実を結んできたと、手ごたえを感じています。

――続いて、PS VRについてうかがいます。PlayStation Camera同梱版の5000円の値下げが発表されましたが、これは本格普及に乗り出すターンに入ったということでしょうか。

盛田 10月14日のタイミングで新価格でご提供することにした理由としては、『グランツーリスモ SPORT』(10月19日発売予定)がVRに対応すること、『V!勇者のくせになまいきだR』(10月14日発売予定)がリリースされるからということが挙げられます。それから、10月にもう一度PS VRの生産体制を増強しますので、ハードウェアをもう一度訴求するタイミングとしていちばんいいと考え、新価格を発表させていただきました。

――年末年始以降の展開も見据えた生産体制が整ったということですね。

盛田 一方で、地道な活動は今後も続けていきたいと思っています。PS VRは、どうやっておもしろさを伝えようかと苦労してきて、ノウハウも溜まってはきたのですが、やはり体験に勝るものはないので。今後も体験できる場所は広げていきます。

――カンファレンスでは、PS VR用タイトルも多数発表されましたが、今後のPS VRタイトルについてはどうお考えですか?

盛田 まずは、ゲームとしてのPS VR用タイトルを揃えていきます。PS VRをリリース後まもなく買ってくださった方は、やはりゲームが好きな方ですので。つぎに、『傷物語VR』や『JAPAN Studio VR音楽祭』のような、新しい映像体験ができるコンテンツ。これは、コンサートや映画館に行かなくても体験できるというのも魅力なのですが、キャラクターが隣にいて、いっしょに映像を観てくれたり、プロジェクションマッピングのような表現が楽しめたりというのも魅力なんです。

――ゲームメーカーの皆さんも、新しいコンテンツを投入しています。『A列車で行こうExp.(エクスプレス)』だったり、PS VR用タイトルのほかにも、たとえば『LEFT ALIVE』だったり。PS4に向けてチャレンジをしていると感じます。

盛田 チャレンジすると、ユーザーから反応が戻ってくる状況になった、とメーカーの皆さんも受け止めてくださっているのだと思います。

――PS4でビジネスができる土壌が整ったということですよね。10万本を超えるタイトルを作るのがたいへんな時期もありましたが、そこを越えて、挑戦してもいいと思える時期になったと。

盛田 いろいろなチャレンジをしていただいて、幅広いタイトルが出てくると、ユーザー層もいっそう広がっていくと思います。本当に、いい循環ができたなと。

――これから、年末から3月くらいまで、ゲーム市場は盛り上がっていきますが、PS4、PS VR、プレイステーション Vitaに対して、SIEJAはどのように力を入れていくのでしょうか。

盛田 先ほどお話ししたことでもありますが、今後、力を入れていきたいことはふたつあります。ひとつは、バラエティーに富んだタイトルを軸に、ハードウェアも限定モデルを発売するなどして、“このコンテンツと、このハードをいっしょに購入する”という形をご提供したい。ゲームを待っている皆さんに、ちゃんと楽しんでいただけるための施策をするということです。もうひとつは、“ゲームを文化にすること”ですので、もっと広げていくために、PS VRの新しい体験などがポイントになると思います。「PS4を買おうか?」と家族で話しあったときに、たとえばPS VRや、ノンゲームのサービスがあるということで、背中を押してあげられればと。PS4が1台あれば、エンターテインメント全般が楽しめるので、「リビングルームに置いておこう」となりますよね。そうすれば、親子でゲームをプレイしたり、子どもが友だちを呼んできて遊んだりする機会も増える。ゲーム以外のものをきっかけにPS4を手に取った方が、ゲームに触れてくださるように、エンターテインメントの広がりに対してアプローチしていきます。サービスの強化なども行っていきたいですね。

――“一家に一台”が目標とのことですが、PS4立ち上げのころに思い描いていた道筋と、いまの状況は、近いものになっていますか?

盛田 はい。いろいろな山や谷はありましたけど、「ここまでは到達しなければ」と思っていたところには来れたと思います。

――では、山でたとえると、何合目くらいに到達しましたか?

盛田 “一家に一台”の目標達成までには、まだ真ん中くらいだと思っています。やることはたくさんありますが、“みんなのプレイステーション”という目標は明確です。楽しいゲームはすべてPSで遊べるという状況にしたいですし、PSがエンターテインメントとして楽しめるものでなければいけませんし。そうすると、PS VRがどういう存在であるべきかもわかってくると思いますので、着実に取り組んでいきたいです。