中国のPS4とPS Vitaのローンチに立ち会えてうれしい
既報のとおり、ソニー・コンピュータエンタテインメントが中国でカンファレンスを開催。プレイステーション4とプレイステーション Vitaを中国市場で、2015年1月11日に発売することを明らかにした。ここでは、カンファレンス直後に行われた、コーエーテクモゲームスの鈴木亮浩氏と森中隆氏への合同取材の模様をお届けする。
――まずは、カンファレンスを受けてのご感想をお願いします。
鈴木 三国志発祥の地である中国で、来年15周年を迎える『真・三国無双』シリーズ最新作の『真・三国無双7 with 猛将伝』を発表できたことを、非常に喜ばしく思っています。同時に、発表のときに会場のファンの皆様が盛り上がってくださって、とてもうれしかったですね。
森中 ちょうどプレイステーション20周年の節目のタイミングで、中国でコンシューマーゲーム機がリリースされるというのは、すごく長いようで、とても感慨深いです。そこにタイトルをリリースする立場として立ち会えて、いっしょにスタートを切れるのが、すごくうれしいです。
――森中さんとしては、中国に対して思い入れもひとしお?
森中 そうですね。個人的にも中国がけっこう好きで、旅行とかにもよく行っていました。私も『真・三国無双』シリーズには、『1』から『5』まで関わらせていただいていますし、コーエーテクモゲームスには『三國志』シリーズもあります。私も『三國志』シリーズが好きで育ってきた世代ですので、その舞台となった中国でコンソールゲームをリリースできるようになった状況がうれしいです。「中国でプレイステーションが発売される」という話をうかがって、「ぜひに!」という思いが強かったですね。そこに悩む余地はなかったです。「ああ、行こう!」と思っていました。さらに言えば、『討鬼伝』シリーズはSCEさんとタッグを組んでやってきたタイトルなので、プレイステーション Vitaが行くところには、『討鬼伝』はついていくというのはあります。プレイステーション Vitaがリリースされているほぼすべての地域で『討鬼伝』シリーズは網羅できていると思います。
――中国のユーザーに、ご自身のゲームのどんなところを楽しんでもらいたいですか?
鈴木 『猛将伝』には呂布の物語が入っているんですよ。中国だと、呂布はただの裏切りもので、あまり人気がないというのはよく言われるんです。「なぜ、呂布を主人公にするんだ?」というご意見もいただいたのですが、まあ、そういうところもありつつも、日本では“三国志最強”と目されているところにスポットをあてて、『無双』シリーズならではのキャラづけをして、ストーリーもしっかり作ってあります。中国では人気のない呂布だからこそ、そのストーリーはぜひ楽しんでみてもらいたいなと思っています。
森中 私はふたつあります。ひとつは、マルチプレイをぜひアドホックモードで楽しんでもらいたいです。携帯ゲーム機を持ち寄ってアドホックで遊ぶという文化が、おそらく中国ではない状態だと思うので、その先駆けとなる作品となっていければいいなと。もうひとつは、『討鬼伝極』は日本の歴史を扱っているゲームなので、本作をプレイすることで、日本に興味を持ってほしいなという気持ちがあります。
鈴木 日中の架け橋ですね。
森中 先生に黙って学校に持っていったりとか(笑)。そうなってくれるとうれしいですね。
――『真・三国無双』シリーズは、中国でどのように受け入れられているのですか?
鈴木 ストーリーやキャラクターは、わりと素直に受け入れられていますよ。けっこう人気があります。ただ、典韋がスキンヘッドだったり、張コウ(※コウは合へんにこざと)が独特のキャラ設定がなされていたりと、強い武将に関しては「違うよ」という意見が、日本と同じようにあったりするのですが、それはそれで、『真・三国無双』キャラクターとして受け入れられていますね。
――『真・三国無双』として、しっかりと受け入れられている?
鈴木 そうですね。日本でも、すべての人が戦国時代に詳しいわけじゃないですよね。中国でも、歴史好きの人とかは三国志を知っているようですが、一方では、だいたいの概要とか有名な武将だけ知っているという感じの方もいらっしゃるらしくて、逆にコーエーテクモゲームスの『三國志』シリーズや『真・三国無双』シリーズを遊んで、歴史に興味を持って、三国志に詳しくなったという方もいらっしゃるみたいですね。そういう意味では、『真・三国無双』シリーズのキャラづけやビジュアルが、中国の方に影響を与えているという面もあって、中国国内でも三国志を題材としたゲームがたくさんあるんですけれど、よく見ると、キャラづけやビジュアルが、うちのに似ているなあ……と思うこともあります(笑)。
――今後は中国を意識したゲーム作りというのは考えていますか?
鈴木 いまは、当社のタイトルは、基本的には全世界向けに展開しています。アジアに関しても、日本で発売したものは台湾で発売して、それが香港に入って……という感じになっています。そういう意味では、全世界向けにリリースするものを、中国のお客様にも遊んでいただける……という方針です。ただ、今後中国市場が爆発的に大きくなる可能性がありますので、そうなった場合は、当社には三国志を題材にしたゲームをたくさん持っていますので、それを中国市場向けに展開する……というのは、あり得る話だと思います。
森中 当社は、『水滸伝』や『ジンギスカン』も作っていましたしね。わりとアジアに関連のあるIPを持っていますので、そちらの展開も考えられる可能性はありますね。一方で、今回『討鬼伝』を作ってみて思ったのですが、いろいろな国の人が同じゲームを楽しめるというのは、ワールドワイドで展開するコンシューマーゲーム機の楽しみではあると思います。全世界のユーザーさんに響くようなゲーム作りを心掛けていきたいなと。
――ずばり聞いてしまいますが、プレイステーション4とプレイステーション Vitaは、中国市場で成功すると思われますか?
鈴木 成功すると思います。理由は……希望的観測もかなり含まれてはいるのですが、昨年は台湾と香港のローンチイベントに参加させていただいたのですが、盛り上がりぶりがすごいんですね。「注目度が非常に高いんだな」と実感しました。その1年後に上海で発表会が行われたわけですが、価格の発表を見れば、SCEさんの本気度がわかるので、きっと成功すると思います。
森中 私も、希望も込めてですけど、成功すると思っています。成功に必要なものというと、いかに情報が伝わるかというところだと思うんです。昨日上海市内を視察させていただいたのですが、プレイステーション4とプレイステーション Vitaが中国で正式に発売されるということが、わりと伝わっていない感じでした。そういう意味で、プレイステーションプラットフォームが、正面から中国のゲーム市場に参戦して、その情報がメディアなどを通して、幅広いゲームファンの方に伝わっていって、「うちの国にもあるんだ」ということで、実際にゲームを購入されるというサイクルができてくると成功すると思います。ハードメーカー、ソフトメーカー、メディアと3者が協力して作り上げていくものなのかなと思います。
――最後に、中国市場に向けての意気込みをお願いします。
森中 中国でコンシューマーゲーム機がスタートするタイミングに立ち会えて、たいへん幸せに思っています。SCEさんともども、成功につながるようなタッグを組んで、広げていきたいという思いでいっぱいです。
鈴木 三国志のお膝元である中国で、何としてでも成功したいと思っています。力を入れて、がんばっていきたいです。
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