“角川ゲームスタジオ”華々しく誕生!
2013年9月26日、東京・国際フォーラムにおいて、角川ゲームスによる新規プロジェクトの発表会“KADOKAWA GAME STUDIO MEDIA BRIEFING 2013 AUTUMN”が開催された。
この発表会は、角川ゲームスが“角川ゲームスタジオ”の設立を宣言するとともに、同スタジオで制作進行中の新規作品2タイトルと、1プロジェクトを発表するというものだ。
司会進行を務めたのは、角川ゲームスタジオ エグゼクティブ プロデューサーの安田善巳氏。
安田氏からは、まずタイトル発表に先立って、角川ゲームスタジオの概要が説明された。安田氏は、角川ゲームスタジオを設立した目的は、自分たちが主体となって新しいゲームIPを生み出すことにあると説明。そのために、“プロジェクトを通じて得た経験値をつぎのプロジェクトにつなげる”、“総花的に作るのではなく、自分たちの得意分野を持って技を磨く”、“時流や慣習にとらわれずに、自分たちがゲーム会社としてこうありたいというこだわりと信念を持つ”の3つの信念を貫くことが重要だと語った。
才能発掘プロジェクト“Project Discovery”再び!
そしてここからは、安田氏が“二人三脚で取り組んできた相棒”だと称える、角川ゲームスタジオ プロデューサー 開発本部 副本部長の田中謙介氏が登壇。ゲストも招きながら、2作品1プロジェクトが発表されていった。
最初の発表は、2013年9月26日より募集開始となった“Project Discovery 2nd season”。このプロジェクトは、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアと角川ゲームスが共同で進める、アマチュア、プロの垣根を越えた才能発掘プロジェクトで、2012年の開催に続いての第2弾となる。
※詳細は→【ユーザー参加型共同プロジェクト“Project Discovery 2nd Season”の募集が本日9月26日よりスタート!】
壇上には、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア パブリッシャーリレーション部ディベロッパーリレーション課 マネージャーの多田浩二氏も登場。多田氏は、2012年に開催した第1回を振り返り、500以上も集まった応募作品のレベルの高さを強調。現在は第一回受賞者、角川ゲームスと協力して、第一回受賞作品をベースにしたノベルゲームのプロトタイプ版が制作中であることを明かした。この作品は、2014年春にPS Storeで配信される予定で、「受賞者のいろんな想い、才能が詰まったすばらしい作品になります。期待してください」(多田氏)とのこと。
最後に多田氏は、「新しいものを作りたい、何かを表現したいとい熱い思い、才能を持っている方は、たくさんいらっしゃると思います。ぜひチャレンジしてください」と呼びかけた。
『艦これ』関連は新発表続々!
続いては、『艦隊これくしょん』に関する発表だ。
最初に発表されたのは、プレイステーション Vitaで2014年発売予定の『艦これ改(仮題)』だ。田中氏は、まず『艦隊これくしょん』の企画立ち上げ時期を振り返り、「もともとDMM.comさんと協力して企画を立ち上げるときに、ブラウザゲームとしてスタートするけれども、コンシューマゲームとして横にも展開し、可能であればさらに違う軸にも、さまざまな展開ができるIPにしようという想いがありました」と、当初から家庭用ゲームでの展開も視野に入れていたことを説明。
また家庭用ゲームのプラットフォームについても、当初からプレイステーション Vitaを想定し、1年前から準備を進めていたことも明かされた。
※関連記事→【【速報】『艦これ改 (仮)』PS Vitaで2014年発売決定 『艦これ』アニメ化企画も進行中!】
ここで、『艦これ』の世界を支えている重要な要素として、「我々の非常に無理なお願いに、演技の引き出しを全力で開けてキャラ作りをしてくださっている」(田中氏)、キャストを代表して、戦艦“伊勢”などを演じている声優の大坪由佳さんがゲストとして登場した。
大坪さんは、田中氏いわく、自分が演じる戦艦などを研究してからスタジオにきてくれるほど熱心に取り組んでくれているそうで、「戦艦に興味をもってしまって、プラモデルを集めようかと思っているくらい、ハマってしまいました」(大坪)。
その演技には安田氏も惚れ込んでいるようで、「毎日いちユーザーとして、大坪さんの声をお聞きしています。日向と伊勢、このふたりの娘は順調に育っていて、いまはレベル60と65です。いつもお世話になっています(笑)」と語り、会場の笑いを誘っていた。


さらにゲストとして、DMM.comでプロデューサーを務める岡宮道生氏も登場。岡宮氏はプロデューサーでありながら、ユーザーからの人気が高い夜戦の曲の作曲も手掛けている人物。作曲を手掛けることになった経緯については、「もともとやるつもりはなかったのですが、田中さんに、ボツ曲でもいいので何かやりませんか、締切は3日後ですが、と言われて(笑)。そのときはまだゲームの開発途中でしたが、とてもいいゲームになっていたので、これは気合い入れて書かなければ、と思いました。好評のようでうれしいですね」(岡宮氏)とのことだった。
また岡宮氏は、「『艦これ』はとても反響が大きく、たくさんの方に来ていただけている作品ですから、DMM.comの内部でも“全力でバックアップします!”という感じでまとまっていますよ」と語り、『艦これ』がDMM.comにとっても極めて重要なコンテンツとなっていることを説明した。
この発表のまとめとして、安田氏は、「まだまだ、全国のユーザーの皆様にご迷惑をおかけしているところもありますが、楽しんでいただいて、応援していただいている、その声援にお答えできるように、精一杯がんばります」とコメント。最後に安田氏、田中氏、岡宮氏、大坪さんの4人が揃って、全国の提督たちに「ありがとうございます!」と感謝の意を表した。

続けて、『艦これ』のアニメ化企画についての発表も行われた。発表内容については既報の記事を参照してほしい。
※関連記事→【『艦これ』アニメ化企画進行中! 声優は継承決定?……ほか気になる情報も】
野心的な完全新作『NAtURAL DOCtRINE(ナチュラル ドクトリン)』
最後に発表されたのは、これが角川ゲームスタジオの第一弾タイトルとなるシミュレーションRPG『NAtURAL DOCtRINE(ナチュラル ドクトリン)』だ。
※関連記事→【KADOKAWA GAME STUDIO第1弾タイトル『NAtURAL DOCtRINE(ナチュラル ドクトリン)』PV公開、ED楽曲はキング・クリムゾン】
本作は安田氏にとって、「このタイトルを作るために角川ゲームスタジオを立ち上げたといっても過言ではありません」と語るほど思い入れがあるタイトルだという。企画自体は約2年前から進行しているそうで、企画の根幹にあるのは、安田氏、田中氏に共通する、“シミュレーションゲームを愛する想い”。とはいえ、「せっかく作るのなら、先輩方の作った素晴らしいシステムを流用して作るのではなく、その、“つぎ”の何かをアプローチしたい」(田中氏)と、“新機軸を打ち出す”こともコンセプトとしているそうだ。制作にあたっては、「私は、世界観を含めてトリッキーになりすぎるクセがあります」という田中氏に、安田氏が「頼むから王道にしてくれ」とくり返し注文をつけながら進められているとのこと。いったいどんな仕上がりになるのか……?
発表会で初公開されたPVに続いて登場したのは、本作のキャラクターデザインを担当するufotableの碇谷敦氏と、ufotable代表取締役社長の近藤光氏。
近藤氏によると、企画立ち上げ当初、田中氏からオファーが来たのは、ufotableではちょうどアニメ『Fate/Zero』を制作中のこと。ファンからは“神回”との呼び声高い23話で、碇谷氏がすばらしい仕事をしているのを見て、「その勢いでそのまま入っていくのがいいだろう」(近藤氏)と、碇谷氏に白羽の矢を立てたのだそうだ。
そして碇谷氏の仕事振りについては、田中氏も舌を巻くほどだそうで、「ここの剣だけカットしてもらえれば……とお願いしたら、“はい、わかりました”と言って、全部書き直したものを提出してくれたり」(田中氏)といったエピソードも披露された。ufotableならではの猛烈なこだわりは、本作でもしっかり活かされそうだ。
続いて、本作のPS4、PS3、PS Vita同時リリースを実現するにあたり、重要な役割を果たしているというプログラマーチームを代表して、BBQ代表取締役社長の飯淳氏が登場した。壇上に立った飯氏は、「本作がPS4のロンチタイトルになったということで、今年いちばんの衝撃を受けました。田中さんと相談してこの時期に、と用意はしていましたが、まさかあちら(PS4)から合わせて来てくれるとは……(笑)。2014年2月22日に向かって、全力で取り組んでいます」と冗談交じりにコメントした。
また田中氏は、「飯さんは、ヘビーユーザー好みのゲームを、カジュアルなトーン&マナーで作れる希有な才能の持ち主です」と、独特な表現で称えつつ、「会議では怒号が飛び交っていて、周囲に心配されるくらい、激しく言い合う仲間です」(田中氏)と、妥協のないゲーム作りが進められていることを説明した。
つぎに登場したのは、本作の音楽を担当している朝倉紀行氏。朝倉氏は本作で、安田氏からのリクエストに応じて、バロック調の重厚な宗教音楽風の楽曲も制作している。そのために、田中氏といっしょにいろいろなオペラを見て、オペラ歌手を捜すことまでしているのだそうだ。そうして選んだのが、ティザーPVで流れていた楽曲でも歌声を聞かせてくれた、青木エマさん。朝倉氏は、「青木エマさんはとても美人なオペラ歌手なので、イベントなどで出演していただくと、華があっていいと思いますよ」とプッシュしていた。
また、既報の通り、エンディング曲にはキング・クリムゾンの『The Court Of The Crimson King』が採用されているが、これも安田氏のリクエストに朝倉氏が応えて、編曲を手掛けることになったもの。朝倉氏によると、「プログレは私も通ってきた道。アレンジするからには、そのままのテイストではなく、僕の世界観で作ろうと、いま制作中です。歌はオペラ歌手にお願いして、ちょっと変化球で……原曲の良いテイストは残しつつ、そのさじ加減でいま格闘しているところです」とのこと。仕上がりを楽しみにしたい。
この日最後のゲストは、SCEJA シニアバイスプレジデントの桐田富和氏。桐田氏は、角川ゲームスがいままでにリリースしてきた作品を振り返り、とくに桐田氏自身も大いにハマったという『デモンゲイズ』など、「熱いユーザーの支持を得ている作品を発売していただきました」と感謝するとともに、新たに設立された角川ゲームスタジオへの大きな期待を語った。
とくに『艦これ改(仮題)』については、「先日のプレスカンファレンスでは、無理をお願いして、ごくわずかに映像を流させていただきましたが、その反響たるや、想像を超えるものでした。正式に発表していただいて本当にありがたく思います。我々も積極的にサポートさせていただきたいと考えています」(桐田氏)と期待のコメント。
※関連記事→【艦これ』がPS Vitaでリリース!? 気になる情報について角川ゲームスに直接聞いてみた【SCEJAプレスカンファレンス】】
また桐田氏は、『NAtURAL DOCtRINE(ナチュラル ドクトリン)』についても、PS4の発表と同時に参入を表明してくれたことに感謝の意を表すとともに、マルチプラットフォームで、PSフォーマットならではのクロスセーブ、クロスプレイなどを活かした内容になることにも触れ、「まさにすべてのプレイステーションユーザーにお届けできる作品。家庭ではPS4やPS3で、外出先ではPS Vitaで遊んでほしいですね」とコメント。そして、「PS4と同日発売ということで、ひとりでも多くのユーザー様に手に取っていただけるように、フォーマットホルダーとして、積極的にサポートすることをお約束させていただきます」と強く語った。
最後に安田氏は、「角川ゲームスタジオでは、ひとえに、おもしろいことをやりたい、いいものを作りたいという想いで、上下の隔てなく、全員がスタッフという位置づけです。しっかりといいものをお届けできるように、毎日がんばっていきます」と改めて決意を語り、発表会を締めくくった。
