選択――その決断がみずからの運命を変える

　『アサシン クリード オデッセイ』の特徴は、何と言ってもプレイヤーの選択がストーリーに影響を与えていくところだろう。まず、プレイヤーは男性キャラクターのアレクシオス、女性キャラクターのカサンドラから主人公を選択することになる。ふたりの能力に差はなく、物語の内容が変わるということはないが、たとえば同じ装備でも体格が異なるので、見た目が大きく変わる。日本語版ではアレクシオスを佐伯匠さん、カサンドラの声を清水理沙さんが演じるので、声で選ぶのもアリだ。

　ストーリーを進める中でも、選択肢が要所で発生する。選んだ結果で戦闘が発生することもあれば、無益な血を流さずに済むこともあったり、戦況を大きく左右する選択肢や、恋人との甘い時間を過ごせる選択肢が生まれる場合もある。もちろん、そこに正解・不正解はなく、自分の選択で展開が変わる物語を、自分の目で確かめてほしい。

　どのようにして、古代ギリシアの世界を生き抜いていくのか。そのプレイスタイルも選択のひとつだ。アサシンらしく、誰にも気づかれずに目的を果たすのか。それとも、その力と武器を活かして正面から挑むのか？　それはプレイヤーが決めることであり、どんなスタイルにも対応する懐の深さが、本作にはある。敵や戦況を分析して、もっとも適した戦術を選んでみよう。

戦闘――あらゆる力を駆使して過酷な戦場を進め

　スパルタの英雄・レオニダス1世の血を受け継ぐ主人公。傭兵に身をやつしているが、アテナイとスパルタによるペロポネソス戦争を通して、みずからの英雄の血脈、そしてそこに秘められた謎に迫っていくことになる。激動の時代を生きる主人公の戦闘能力は非常に高いが、敵は屈強な兵士や傭兵だけでなく、盗賊のような悪党たち、危険な野生動物、そして神話の存在が目前に立ちはだかる。プレイヤーはレベルを上げて能力を強化し、より強い武器や防具を手に入れ、多彩なアビリティを駆使して戦い抜く。

　剣や斧、メイスなど、主人公は多彩な武器を操ることができる。武器の種類に応じて攻撃範囲やコンボが変わるので、プレイスタイルや戦況に合わせて好きな武器を選ぼう。また、主人公のアビリティはハンター、ウォリアー、アサシンの3系統に分かれており、多彩なアビリティと武器の組み合わせでさまざまなプレイスタイルが楽しめるのも、注目のポイントだ。さらに、主人公が受け継いだレオニダスの折れた槍によって、プレイヤーは伝説の力を発揮できるのだ。

　傭兵たる主人公は、敵味方が入り乱れる集団戦で、自軍を勝利に導くべく戦うこともある。集団戦では周囲を把握する冷静さも必要だが、四方八方から迫る敵をなぎ倒す爽快感は格別だ。さらには広大なエーゲ海を舞台にした、船による海戦も展開。船どうしによる近接戦闘だけでなく、甲板での肉弾戦も発生するなど、多彩な戦闘が楽しめる。船員を雇用して航海の仲間を選んだり、船の外見や装備をカスタマイズしたりと、グレードアップ要素も豊富。自分の船で美しく危険な海を闊歩できる。

オープンワールド――こだわり抜いたディテールが未体験の世界を生む

　綿密な調査とフィールドワーク、圧倒的なグラフィックと優れたAIで、舞台となる時代をリアルに再現してきた『アサシン クリード』。本作でも、紀元前431年の古代ギリシアをこだわりのディテールとともに描き出している。現代に残る世界的な遺跡に生命を取り戻すだけでなく、当時の文化様式を再現し、資料が現存していない“伝説”を構築するなど、古代ギリシアの“教科書”となり得る内容に仕上がっている。

　美しい緑に覆われた大地、岩と砂だけで構成された不毛の地、地獄のような光景が広がる火山……。そして、大小さまざまの島が点在するエーゲ海。琥珀に輝く海面の下には、いまだ人の目に触れていない遺跡や神殿が眠り、財宝に満ちた難破船が横たわっている。そのすべてが冒険の舞台であり、プレイヤーはこの古代ギリシアを訪れるたびに、新たな発見を見出せるはずだ。そして、そこでは未知の出会いも待っている。人々と会話し、交流を深め、新たな道を切り拓いていこう。

　完全な自由が約束された本作のオープンワールドで、プレイヤーがやれることは多い。メインストーリーをひたすら追うもよし、ふんだんに用意されたサブクエストに専念するもよし。未踏の大地を踏破するのも、狩りをのんびり楽しむのも、傭兵として名を挙げるのも自由。膨大なデータで表現された世界すべてが、プレイヤーのものになる。

　ざっと『アサシン クリード オデッセイ』のポイントを解説してきたが、もちろん本作のおもしろさはまだまだたくさんある。このサイトでは、さまざまな視点でその魅力に迫っていくので、お楽しみに！