ゲーム要素(ほぼ)ゼロでもオフラインイベントは面白い『World of Tanks』

公開日時:2014-08-08 00:00:00

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▲戦車 with 桜。

 オンライン戦車アクション『World of Tanks(以下、WoT)』でおなじみのウォーゲーミングジャパンさんは、イベント開催に熱心なメーカーのひとつだ。

 最近の企画としては、極限のシチュエーションでiOS版『World of Tanks Blitz』をプレイする写真のコンテスト“Extreme Blitz”が始まっている。

“Extreme Blitz”詳細はこちらの記事をどうぞ。
極限状態で『World of Tanks Blitz』をプレイ! エクストリームフォトコンテストが開催中

 僕も前にサンプル写真を撮った。
エクストリーム写真で家族の絆を深める

 このほかにもイベントの種類は豊富だ。

【これまでに開催されたイベント例】
・オンラインやオフラインでの大会
・スクリーンショットコンテスト
・ゲーム内イベント&キャンペーン
・花見
・Twitterを使ったキャッチコピーコンテスト
・イラストコンテスト
・みんなでプラモデルを作る会

 記憶にあるものを書き出してみた。花見とプラモデルが異質だ。ほとんどゲームと関係ない。

 そういうイベントを見るたびに「攻めてるなー」と感心する。そして「行かなきゃ」と使命感がわく。

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▲スタッフも参加者も、みんなが笑顔になるイベントでした。

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▲きれいな写真が撮れて満足。

★ゲームとは直接関係ないイベント&記事

 オフラインイベントの内容はゲームプレイを主軸に構成されることが多い。参加者はそのゲームが好きなんだから当然だ。ゲームをプレイしないイベントは珍しい。

 僕もよくゲームと(ほぼ)無関係の記事を書いているので、ゲーム抜きイベントを企画するウォーゲーミングジャパンさんにはシンパシーを感じる。

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▲『WoT』と人気アニメ『ガールズ&パンツァー』のコラボキャンペーンを最大限に楽しんだら最終的にこうなった。

 このブログはファミ通.comという情報サイトのなかにあり、“PCオンラインゲームのブログ”と銘打っているわりに、オンラインゲームの情報が少ない。

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▲映画シャイニングのパロディーポスターを作った。予想外の出来に満足。

 そして、ゲームの画面写真も少ない。大半が実写だ。“実写を多用したほうが面白い”というこだわりがあるわけではなく、単純に実写ネタばかり思いついてしまうのだ。そういう業を背負って生きている。

 このブログを書くのはとても楽しい。メーカーさんや知人のゲームライターさんから「あの記事、面白かったですよ」と褒めてもらえることもある。

 面白いと思ってくれているのに、誰もこういうノリの企画記事を書かない。なぜだ。この道は崖につながっているのだろうか。みんなそれを知っているのか。

 もっと記事を充実させたいという気持ちはある。同僚にサポートをお願いしたいが、「いっしょに崖から落ちよう」とは言いにくい。

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▲『World of Tanks Blitz』の“Extreme Blitz”記事では、同僚ではなく家族に協力をお願いした。

 不安を抱えながらブログを運営する僕の前にさっそうと現れたのがウォーゲーミングジャパンさんだ。やった、仲間がいたぞ。

★桜と戦車を愛でる“ミリタリーバスツアー in 土浦駐屯地”

 上記のリストに書いた花見とは、2014年4月5日に実施された“Wargaming Japan ミリタリーバスツアー in 土浦駐屯地”のこと。

 陸上自衛隊 土浦駐屯地 武器学校の一般開放日に合わせて開催された、戦車を見学しつつ花見もしようという交流イベントだ。

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▲30名ほどのユーザーを無料で招待。

 MMORPGでは「花が咲き乱れるマップでお花見をしよう!」みたいなゲーム内イベントが開催されたりするが、こちらはリアルの花見である。

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▲この日唯一の女子参加者は真っ先に戦車の写真を撮り始めた。熱心。

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▲敷地内には戦車や兵器が多数展示されていた。でかい鋼鉄の塊というだけでかっこいい。

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▲ウォーゲーミングジャパンのミリタリーアドバイザー・宮永さんに連れられて桜の下をぞろぞろ歩く。

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▲展示車両の解説を受ける。

 このイベントに参加して気づいたことがある。屋内で遊ぶときとは異なり、外だと開放的な気分になる。何だか気持ちいいのだ(アダルトな意味ではない)。

 交流イベントに参加しても、もともとの仲間内で遊んではいおしまい、なんてことはざらにある。わざわざ知らない人に話しかける人はレアキャラだ。

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▲僕はわりと参加者に話しかけるタイプ。この日はいつもより輪に入りやすく、弁当効果もあってすぐに打ち解けられた気がする。

 だけど、外だとテンションがいつもと違うようで、多くの参加者が積極的に交流を図っていた。日光を浴びてセロトニンが分泌され、プチ興奮状態になっていたのかもしれない。

 観客同士で妙な一体感が生まれる屋外型の音楽フェスに似ている。観に行ったことないけど。

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▲併設された広報施設も見学可能だった。戦車の解説文を読んで大興奮。

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▲解説文のフォントには創英角ポップ体がふんだんに使われていて、ぐっと身近に感じた。

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▲展示品の中には、ミリタリー好き声優・中村桜さんのサインも。違和感なく陳列されていて驚いた。

 「ゲームをやらなきゃ!」という常識に囚われすぎると、イベントが定型化してしまう。それではいつか飽きられる。

 ゲーム要素ゼロでも面白いオフラインイベントは作れる。そんな発見を胸に、売店で買ったビールを飲んだ(ちゃんと仕事を終わらせてから飲みました)。

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▲ちゃっかり集合写真に入る(右端)。

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▲このブログを読んだことがあるという少年と記念撮影。うれしい。

 なお、2回目のミリタリーツアーは「地方でもイベントを開催してほしい」という声を受けて広島県で実施された。僕は前日の遅くまでニコ生番組“月刊ファミ通feat.”に出ていたので、広島出身のスタッフに行ってもらいました。

『World of Warships』を控えるウォーゲーミングジャパンが広島で江田島や大和ミュージアムを巡るバスツアーを実施

★みんなでプラモを作る“World of Tanks 模型部”

 花見以上に気になる(よく分からない)のが、6月21日に開催された“第一回 World of Tanks 模型部”だ。少しだけ見学させてもらった。

 百歩譲って“戦車プラモデルをプレゼントするキャンペーン”ならまだ分かる。だが、開催されたのは“戦車プラモデルをいっしょに作ろう”というイベントだった。

 なお、プラモデルは参加者の持ち込みである。家で作れよと言ってはいけない。

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▲「うん、プラモ作ってるな」という感想しか出てこない光景。

 ベテランのモデラーさんもいれば初めて戦車プラモを作るもいて、現場は和やかな雰囲気。

 騒がしくもなければ、シーンとしているわけでもない。学校の休み時間みたいな、少しがやがやしている感じだった。何となく楽しそうにニコニコしている。

 みんなで集まれる場を提供することが大切なんだな、と感じた。

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▲工具類も持参。

 この模型部の運営担当はコミュニティスタッフの三輪木さん。三輪木さんはゲームと直接的には関係ないイベントに多く関わっている(ミリタリーツアーも三輪木さん担当だった)。

 発案者はミリタリーアドバイザー・宮永さん。「プラモ作りたいから、そういうイベントやってよ」と言い続けたら実現したそうだ。

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▲宮永さん(左)、三輪木さん(中)、オフラインイベントでカメラマンをしている林さん(右)。模型部参加者には3人が着用しているエプロンがプレゼントされた。

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▲見たことある女子がいるなと思ったら中村桜さんもプラモを作っていた。仕事としてオファーを受けたわけではなく、プライベートで参加。

 中村桜さんは周囲の人にお菓子を配って打ち解けようと画策していたが、勇気が出なくてあまり配れなかったらしい。シャイすぎないか。

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▲お父さんに連れられて男の子も参加。履帯パーツをちぎっていた。履帯切りは『WoT』内でお願いします。

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▲会場の隅には息抜き用の『WoT』試遊スペース。

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▲会場奥の別室でプラモを作る人もいた。

 この人、社長なのだ。ウォーゲーミングジャパン代表取締役社長の川島康弘さん。まさか社長がいるとは思わなかったのでびっくりした。

 自社イベントの様子を見に来たら思いのほか楽しそうで自分も参加したくなり、でも不慣れなプラモ作りを見られるのは恥ずかしいから別室で作業。

 取引先の社長のかわいらしさを発見したオフラインイベントであった。

★イベントはもっと自由でいい

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▲このツアーのおかげで数年ぶりに花見ができた。

 なぜ花見をするのか、なぜプラモを作るのか。

 三輪木さんに話を聞くと、「『WoT』を軸に、ミリタリーの面白さをいろいろ体験してほしい」のだそうだ。

 過剰なホスピタリティによってイベントは企画され、まれにおかしな方向に広がりを見せる。ふだんはゲームに関係するイベントもしっかりと開催しているので、多少は横道にそれても大丈夫だと思う。

 データをすべて確認できるゲーム内イベントとは異なり、オフラインイベントは効果が見えにくい。単体で見た場合、ほぼ確実に赤字である。

 それでも、交流イベントでコミュニティーが活性化されれば、いつか確実にプラスに転じる。戦車への興味が深まれば自然と『WoT』も好きになる。多少遠回りでも焦ることはない。

 目先の利益ではなく、未来を見据えて行動する。『WoT』の戦術も、各種イベントの企画も、本質はそれほど変わらないのである(うまいことを言いました)。

———

 ウォーゲーミングジャパンさんはネタに飢えているようで、『WoT』と全然関係ない企画を提案しても「それいいですね!」と食いついてくる。詐欺にあわないか心配だ。

 この記事はだいぶ前に取材をしたものの、原稿を書くタイミングを逸していた。ようやく書けて満足。

『World of Tanks』公式サイト

“コンテスト: Extreme Blitz”紹介ページ
みんなも投稿しよう。

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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