エロティックなこだわりについて開発者に話を聞いた『Scarlet Blade』

公開日時:2013-10-19 00:00:00

 2013年9月7日に悩殺系MMORPG『Scarlet Blade』のテストプレイリポートを掲載した。

 戦闘やシステムなどのゲーム的な部分にはほとんど触れず、“エロティック”な部分を抽出した記事にしたので、運営のネクソンさんが不快に感じたらどうしようと心配を抱えて約1ヵ月半。もやもやしているうちに「開発者にインタビューしませんか?」という提案をいただいた。

 開発者直々に怒ってもらおうということだろうか。

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▲すごく簡単に説明すると、半裸の女子が大暴れするSF系のMMORPG。それが『Scarlet Blade』。

★インタビューの方向性を考える

 この時点で、僕の目の前にある選択肢はふたつ。

(1)きちんとゲーム全体の話を聞く。
(2)エロティックな部分をさらに追求する。

 当然、(2)を選んだ。突き抜けたエロティックさが『Scarlet Blade』の魅力のひとつなんだから、そこを掘り下げるのがゲーム系メディアの使命と言うものだ。僕なりのジャーナリズム精神である。

 とは言え、エロティックな話題ばかりと言うのも話しにくいだろう。中学生じゃないんだし。まずは全体の概要を聞きつつ、仲よくなってから切り込むことにした。

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LIVEPLEX/Scarlet Blade日本担当PM ナム・ドヒョンさん(左)
LIVEPLEX/Scarlet Blade開発PM チェ・ジュンヨルさん(右)
おもにチェさんがインタビューに答えてくれた。

 ひとつ問題があるとすれば、通訳さんが女性だったことだ。僕のエロティックな質問は、女性を介してチェさんに伝わる。これ、セクハラなんじゃないか。

★徐々に心の距離を詰めていくターン

 いきなり大振りをしてはいけない。まずはジャブだ。

ユースケ「最初に、本作を企画された経緯を教えてください。セクシーなゲームですので、やはり男性をターゲットにしたのでしょうか?」

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チェさん「ほかと似たようなMMORPGにしても意味がないので独特な素材を探していたんです。アイデアを練っているうちに“SFを中心とした女性キャラだけのゲーム”を企画しようと思い立ちました。たしかに男性ユーザーをターゲットにしてはいますが、女性ユーザーも多数いらっしゃいます」

 たしかに、セクシーでかっこいい女性像に憧れる女子も多いだろう。気持ちはわかる。が、“なぜ女性だけなのか”という気になる部分は教えてもらえなかった。まだ心の距離が離れている。

ユースケ「世界的に展開をしているタイトルですが、日本向けに調整した部分や日本のユーザーに見てほしい部分を教えてください」

チェさん「他国とは違って全年齢向けタイトルですから、キャラクターの顔や表情、コスチュームは日本用に修正しました」

ユースケ「年齢制限があるのはどこですか?」

ナムさん「韓国、北米、ドイツ、台湾です。年齢制限を設けているのは日本だけですね」

 他国ではいろいろオープンなのだ。丸出しなのだ。だが青少年たちよ、悲観してはいけない。大人になれば見えないことのよさにも気づくはずだから。あの偉人も言っているではないか。「心の目で見よ」と。

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▲隠しているほうがエロティックですよね。

ユースケ「青年向けとして展開している、ほかの国のユーザーの反応に興味があるのですが」

チェさん「セクシーなゲームがほとんどない国でもサービスをしているので、やはりインパクトは大きかったみたいですね。その後も人気は続いています」

ナムさん「台湾に“Bahamut”という大きなゲーム情報サイトがあるのですが、そこで2位を獲得できました」

 台湾も日本や韓国と同じくPCオンラインゲームが非常に盛んだ。そこで高評価を得ているのは素直にすごい。

 少し打ち解けてきた気がする。徐々に本題に入っていこうか。

★好きな女子のタイプを聞く

ユースケ「『Scarlet Blade』では外見の好みでキャラを選ぶ人も多いと思います。いちばんの人気キャラ(職業)は誰なんでしょうか?」

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▲ディフェンダー。横から見ると、ほぼ裸。

▲シャドウウォーカー。つやつやのボディースーツ。

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▲ウィッパー。褐色の肌。パンツの形がすごい。

▲パニッシャー。大事なところを隠していない。

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▲センチネル。幼さの残る美少女。

▲メディック。ミニスカ。見えそうで見えている。

チェさん「国によって傾向が違うんですよ。たとえば、韓国ではウィッパーとセンチネル、北米ではディフェンダーとパニッシャー、台湾ではメディックとシャドウウォーカーが人気です」

ナムさん「全体を通してみると、ウィッパーの人気は高いと思います。やはり鞭だからでしょうか」

 ナムさんはこちらに歩み寄って来てくれている。そう、そういう話が聞きたいのだ。ここで、インタビューに同席してもらっているネクソンの『Scarlet Blade』担当者、阿曽沼義典さんもトークに巻き込む。

ユースケ「日本だとセンチネルあたりでしょうか? 阿曽沼さんはどう思いますか?」

阿曽沼さん「う~ん、そうですね。やはりセンチネルなんじゃないかと」

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 小柄な美少女キャラは人気が高い。と、なるとやはりセンチネルだろう。場が暖まってきた。

ユースケ「僕はウィッパーが好きなんですけど、キャラクター人気の傾向は開発当初から想定されていましたか?」

チェさん「最初はセンチネルとシャドウウォーカーの人気が高くなるだろうと予想していて、ウィッパーの人気は予想外でした。韓国のゲームでは鞭を使うキャラクターが少ないからかもしれません」

 みんな鞭を使う女子を求めていたのだ。ご鞭撻をいただきたいのだ。

ユースケ「チェさんは誰が好きですか?」

チェさん「メディックです」

ユースケ「じゃあ、メディックは少し画像を大きめにしておきますね。好きな理由はキャラクターの外見ですか、それとも回復職がお好きなんですか?」

チェさん「外見です(笑)」

 チェさんは正直者だった。いいぞ!

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▲チェさんが好きなメディックの画像をもう一度掲載。大きめのサイズで。

ユースケ「ナムさんは誰が好きですか?」

ナムさん「シャドウウォーカーですね。私はよくPvPを楽しんでます。シャドウウォーカーに攻撃されて、「あぁ、いいなぁ」と(笑)」

 ナムさんのサービス精神がすごいことになってきた。たぶん、僕の意図を何となく察してこういう話をしてくれているのだと思う。

ユースケ「阿曽沼さんはどうですか?」

阿曽沼さん「私もメディックです」

 男子4人が好きな女子について語り合う。マンガやアニメの修学旅行の1シーンみたいだが、ここはネクソンさんの会議室だ。先生は見回りに来ないので好きなだけ話していられる。

 ただ、チェさんと阿曽沼さんのタイプがかぶってしまったのが気がかりだ。友情にヒビが入ったりしないだろうか。

 ここで、もうひとつ気になることを聞いてみる。

ユースケ「そう言えば、開発スタッフに女性はどれくらいいらっしゃるんですか?」

チェさん「『Scarlet Blade』のキャラクターのコンセプトはほとんど女性スタッフが考えました。グラフィック担当者は女性が多いんです」

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▲フェティッシュなデザインのパワードスーツ。かっこいい。

ユースケ「SFとアングラを足しているというか、女性ならではの感性なのかもしれないですね。僕、パワードスーツのデザインが好きなんですよ」

チェさん「『Scarlet Blade』は最大200人が参加できる大規模なPvPがウリのひとつなんですが、そこでは全員パワードスーツ姿になります。キャラクターが多いとラグが発生しがちですが、装備のリソースを統一することでラグを解消するという意図もあるんです」

 実用性もしっかり考えられている。プロの仕事だ。

ユースケ「ちなみに、ネクソンさんの『Scarlet Blade』運用スタッフのなかに女性はいますか?」

 通訳さんが挙手。翻訳を担当しているとのこと。

ユースケ「このタイトルを見て、最初はどう思いましたか?」

通訳さん「はぁぁぁ……! って」

 通訳さんは当時を思い出してびっくりしたような顔をした。ここまで直球のタイトルはそうそうないし、驚くよな。

通訳さん「私も韓国人ですけど、軽いカルチャーショックです。母国のものにカルチャーショックを受ける日が来るなんて思いませんでした」

ユースケ「もう慣れました? いまになって女性目線で見た場合、誰が好きですか?」

通訳さん「パニッシャーですね。いちばんセクシーだと思います。お尻が出てるから」

ユースケ「パニッシャーは背中のラインがきれいですよね。広報さんはどうですか?(同席していた広報さんも女性)」

広報さん「メディックです。ピンクが好きなんです」

 メディックは男女から大人気だった。かわいいお姉さんといった感じなので、好印象を持たれやすいのだろう。南半球は丸出しだけど。

★エルカナクラブについて聞く

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▲エルカナクラブにはプールもある。六本木あたりに行けばこういうお店もあるのだろうか。

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 続いて、エロティックでアングラでエキセントリックな空間“エルカナクラブ”の話題に。前回の記事でも思い切りフィーチャーしたが、僕のなかでは話題沸騰のコンテンツだ。

ユースケ「エルカナクラブのコンセプトがすごく好きなんですが、どうしてこういうエリアを作ったのでしょうか?」

チェさん「理由はふたつあります。ひとつは同時接続を維持しつつコミュニティーを活性化させるため。ペットを連れて行くと獲得経験値がアップするというメリットも持たせています」

 これはすごく大切だ。『Scarlet Blade』はプレイヤーがふたつの勢力に分かれるのだが、敵対勢力とはチャットができない。だが、エルカナクラブ内は非戦闘区域なので、みんなが等しくコミュニケーションを図れる。

チェさん「ふたつ目は、『Scarlet Blade』のコンセプトである“セクシーさ”に由来するものです。バーやダンサーといったラグジュアリーな雰囲気を楽しんでもらおうと思いました」

ナムさん「派手なネオンが印象的なアメリカのクラブなどの影響も受けているので、ややアングラ風になっています」

 ちょっとイケない場所というイメージが、絶妙に『Scarlet Blade』にフィットしている。単純に交流の場を設けるならクラブ風じゃなくてもいいが、こういう場所にもセクシーな要素を含ませているのが、とてもいい。

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▲女子たちが下着で踊る。なんだここは。エルドラドか。

ユースケ「エルカナクラブに入場するとキャラクターが下着姿になりますよね。この仕様には何かこだわりはあるのでしょうか?」

チェさん「エルカナクラブのステージに立つとキャラクターが踊り出すのはご存知ですか?」

ユースケ「はい。“クラブだから踊る”という発想がいいですよね」

チェさん「キャラクターごとに振り付けが違ったり、こだわって作っているんですが、鎧を着て踊ると違和感があるんですよ。そこで、『Scarlet Blade』には女性から見てもかわいい下着がたくさんあるので、強制的に脱がすようにしました」

 キャラクターの動きを楽しんでほしかったのか。セクシーなダンスはよりセクシーに。チェさんがそういうクラブに通っているから、というわけではないようだ。

ユースケ「人がたくさん集まることを想定していて、グラフィックの負荷を減らすために下着になるのかなと思っていました」

チェさん「エルカナクラブ内では戦闘時のようなエフェクトの負荷は発生しませんので、どちらかと言うとクラブの雰囲気を出すための仕掛けですね」

 雰囲気重視なのか。一応、真面目な理由もあると思って話を振ってみたのだが、一蹴された。クラブっぽさが大切なんです、と。

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▲VIPルームのステージにはショーダンサーが。近くで見ると大変なコスチュームなので、遠目でお楽しみください。

ユースケ「VIPルームも雰囲気作りの一環ですか?」

チェさん「クラブ内よりセクシーなダンスが楽しめますからね」

 ここで、通訳さんが笑い出した。ゲームに無関係のこだわりを真剣に話し合うのがツボに入ったようだ。

チェさん「ほかにも、ペットの獲得経験値がエルカナクラブ内より多かったり、VIPルームでしか買えないアイテムがあったりもします」

 ここでしか買えないアイテムがあるって、すごく大事なことだと思うのだけど、セクシーなダンスの前では補足でしかない。

チェさん「それなりに高い金額(課金ではなくゲーム内通貨)を払って入場するので、特別な経験を提供したいんです」

ユースケ「サービスの一環ですよね。入場料はどれくらいですか?」

阿曽沼さん「一般のエルカナクラブ内の約5倍です」

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▲VIPルームではNPCも下着姿。しかも踊ってる。

ユースケ「NPCたちも下着になっているのを見て「やられたー」と思いました。下着になる必要ないのに」

チェさん「街にいるNPCのほかにも、バニーガールのようなキャラクターも見られます。エルカナクラブは戦闘で疲れた体を癒す場所でもあるので、今後はちょっとした報酬が得られるようなミニゲームの追加も予定しています」

ユースケ「チェさんも疲れたらクラブに行くんですか?」

チェさん「クラブが家みたいなものです」

 この日のインタビューでチェさんがもっとも力強くうなづいた瞬間である。

ユースケ「じゃあ、『Scarlet Blade』がヒットして、2回目のインタビューをするときはクラブでやりましょう」

チェさん「ぜひ(笑顔で)」

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★インタビューを終えて

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▲韓国で作られたフィギュア。日本でも作ってほしい。

 怒られるんじゃないかと思っていたが、インタビューは無事に終了。その場にいる人がみんなトークに加わり、和やかな雰囲気で楽しかった。

ユースケ「最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします」

チェさん「『Scarlet Blade』は単純にキャラクターがセクシーなだけのゲームではありません。派手なエフェクトや打撃感が爽快な通常の戦闘のほかに、緊張感あふれる大規模戦闘も用意されたゲーム性も高いタイトルになっています。長くプレイしていただければと思います」

ナムさん「『Scarlet Blade』にとって、PvPはとても大切なコンテンツです。積極的に挑戦してみてください。それ以外のコンテンツも豊富ですので、いろいろと試して自分の好きな遊びかたを見つけてください」

 やっぱり戦闘などのコンテンツをアピールしたかったみたいだった。すみません。

 もうすぐオープンβテストが始まる予定なので、自分の目で確かめよう!(この締めの言葉、すごく便利!)

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▲仲よくなれました。

『Scarlet Blade』公式サイト

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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