初日から日本人選手がトロフィーを獲得
2023年6月23日~25の期間、シンガポールで開催中のオリンピックeスポーツウィーク。
『WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球』や『グランツーリスモ7』といった、日本人にもおなじみのゲームを使った競技などが、エキシビション含め全15競技の開催が予定されている。本稿では競技1日目となる2023年6月23日の模様をリポート。
自転車競技(『Zwift』)外が蒸し暑くても関係ない! 応援もできるチーム戦
自転車『Zwift』LIVE オリンピックeスポーツウィーク 決勝
記念すべき大会の口開け、第一競技となったのは画面と連動するフィットネスバイクを漕いで走る距離を競う『Zwift』を使用して行われる自転車競技。
Zwiftグランプリ・サイクリング・シリーズと2023年UCIサイクリング・エスポート世界選手権の上位16名(女性8名、男性8名)が出場した。
- エリミネーター:13.3km
- スプリント:3.2km
- クライム:2.7km
という3つのレース形式によるチーム戦となっており、男子8名・女子8名の16名のファイナリストが4つの男女混合チーム(男子2名、女子2名)に分かれて競った。3種目終了後、もっとも多くのポイントを獲得したチームが勝者となる。
eスポーツというジャンルの中でも、実際にカラダを動かす必要がある“バーチャルスポーツ”といったジャンルに属するタイプで、かなりリアルスポーツに近い本競技。
アイテムを拾って先行する相手を攻撃するようなゲーム的な要素もなく、かなりストイックにペダルを漕がなければならない。
プレイヤーの手もとの画面には、ペダルを漕ぐのに連動して風景が移り変わっていったり、漕いだ量に応じてそれぞれのキャラクターが速くなったり遅くなったりして、リアルロードレースの駆け引きのような攻防が楽しめる。
会場内に設置された『Zwift』ブースで実際にプレイしてみると、ある程度は設定可能なのだとは思うが、ペダルの重たさに驚く。いや、というかこれ、ふつうにスポーツ自転車(ロードレーサー)漕ぐよりもしんどいのでは……。
リアルロードレースと異なるのは屋内競技になるため風がなく、天気や気温の影響も受けないこと。
たとえば6月のシンガポールは非常に蒸し暑く、気温は30度以上で湿度も80%近かったりする。そういう地域ではリアルに“ツール・ド・◯◯”的な大会は開きづらいだろうけど、バーチャルスポーツであれば可能でもある。それもまたeスポーツが持つ可能性のひとつなのかもしれない。
また、ゴール寸前のラストスプリントでは、まわりのチームメンバーが「漕げ! 漕げ!」とか「行け! 行け!」というようなことを恐らく叫んでプレイヤーを鼓舞していた。これも通常のロードレースでは見られない光景でおもしろい。
アーチェリー『Tic Tac Bow』日本人選手が初のトロフィーを獲得!
アーチェリー『Tic Tac Bow』オリンピックeスポーツ シリーズ決勝
ふたりの日本人選手が出場したアーチェリー競技。スマートフォン向けゲームアプリ『Tic Tac Bow』を使用して行われる。
今回のルールはアーチェリーと3並べ(◯×ゲーム)を組み合わせたようなルールで、自転車競技とは打って変わってぐっとゲーム的な戦略性があるものに。
【ルール】
- ゲームは3マス×3マスのマス目の上で行われる
- プレイヤーは交互に空いているマスに矢を当て、マークする
- 最初に自分のマークを3つ(上、下、横、斜め)に並べたプレイヤーが勝者に
- プレーヤーは、より高い得点を得ることで、相手のボードを乗っ取ることができる
- 5各プレイヤーの9つのショットがすべて決まったらゲーム終了。3つ並べたプレイヤーがいない場合点数が多い方が勝利
ポイントは、一度相手にマークされた的でも、より中心に近いところに矢を射って高得点を得られれば、自分の色に塗り替えられるという点。
これで「素直に空いているマスを狙うのか、それとも難しいのを承知で相手のマスを乗っ取るのを狙うのか」という戦略性が生まれる。
競技では、日本人プレイヤーの象先輩選手が惜しくも準決勝で敗退となったが、3位決定戦で勝利し、銅トロフィーを獲得! 今回のオリンピックeスポーツウィークで初の日本人受賞者となった。
シンガポールで開催中のオリンピックeスポーツファイナルズ2023
Tic Tac Bow(アーチェリー)では日本から参加したTakebayashi Kyosuke - ‘ZouSenpai’が3位✨
大会の模様は明日もウェブサイトからライブ配信します
ライブ配信
https://t.co/RCVn3Vyp6j
#OlympicEsportsWeek https://t.co/sZrhKhIdKa
— オリンピック (@gorin)
2023-06-23 20:47:47
『ロケットリーグ』エキシビション試合の実施で会場も大盛り上がり
『ロケットリーグ』ライブ オリンピックeスポーツ エキシビション
男子2チーム、女子2チームの計4チームが参加したエキシビションマッチ。配信で人気のタイトルなだけあって、リアル会場のメインステージにもほぼ満員(約1000人)の観客が訪れた。
空中にも吹っ飛ぶ勢いのクルマで戦うサッカーといったルールの『ロケットリーグ』、ルールがわかりやすくeスポーツ観戦初心者でも楽しみやすいタイトルだ。そんなゲーム性もあって、ゴールが入るたびに会場は拍手と歓声で大いに盛り上がっていた。
セーリング『バーチャルレガッタ』日本人選手も健闘
セーリング『バーチャルレガッタ』ライブ オリンピックeスポーツシリーズ 決勝
セーリング(ヨット)競技が楽しめる『バーチャルレガッタ』。
決勝戦では、11名のファイナリストが7レースで競い、そこでの上位5名(ポイントにより決定)がメダルレースへ進む。
日本人選手もFune Yuko選手とFune KG-R選手が参戦。残念ながらメダルレースへの進出はならなかったものの、試合の中盤ではふたりの日本人選手が1位、2位を独占するというシーンもあり、レースを盛り上げた!
『ジャストダンス』盛り上がった者勝ち! 世界各国のダンサーがシンガポールに集結
『ジャストダンス』ライブ オリンピックeスポーツシリーズ決勝
2024年のパリオリンピックからスポーツ競技としても種目に加わるダンス。リアルスポーツ競技ではブレイキンが加わるが、eスポーツでは『ジャストダンス』が種目に並ぶ(ソフトはNintendo Switch版『ジャストダンス2023エディション』を使用)。
ふたり対戦モードで、ゲームのスコアに加えて3人の審査員のポイントを加味し勝敗を決する。世界中から招待された8名のプレイヤーが、準々決勝から最大3試合を戦う形となる。
【ルール】
- 各ルーティンは、一定の基準に基づいて審査員団によって評価される。
- 決勝進出者には、各カテゴリーでポイントが与えられる。
今日行われた競技中、リアル会場がもっとも盛り上がったと言ってもいいのがこのダンス競技。というのも、地元シンガポールのSiti Zhywee Ramleさんの出場があったり、彼女が準々決勝で踊った曲が『Chiwawa by Wanko Ni Mero Mero』で日本語(?)が入り乱れるカオスな電波ソングで、会場をメチャクチャに温めたりしていたため。
リアルスポーツのオリンピックよりもひと足先に実施されたeスポーツのダンス競技。ほかのどの競技と比べてもシンプルに観ていて楽しい。音響もよく、まるでダンスフロアであるかのようなステージで会場は大いに盛り上がった。
優勝したのはフランスのダンサー、Amandine “TheFairyDina” Morissetさん。優勝後にはプチインタビューを実施したので関連記事をチェック!
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※画像の一部は配信をキャプチャーしたものです。