オリンピックeスポーツウィーク1日目の夜、ダンスと音楽に包まれた
2023年6月23日~25日の期間で開催中のオリンピックeスポーツウィーク(開会式は6月22日)。
Day1となる6月23日には、セーリングや自転車競技などが催され、日本人選手が銅トロフィーを獲得するなど初日から注目の展開となった。
中でも初日のハイライトとなったのが、19時45分(現地時間)から行われたダンス競技。『ジャストダンス2023エディション』を使用してのダンス対決となる。
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ダンスやってるからな
このステージがほかの競技と異なる点は、とにかく、その派手さ!
派手!
ド派手!!
ライトは縦横無尽に疾走してステージの音響は低音もよく響き、ほとんどディスコかクラブの様相を呈しているような感じがしたような気がした(表現が自信なさげなのは筆者はディスコもクラブも行ったことがないから合ってるかわからないからだ)。
とにかく、オリンピックの舞台はにわかにダンスフロアと化した。登場するのは8ヵ国から選りすぐられたジャストダンサーたちである。
参加したのは
- フランス Amandine “TheFairyDina” Morisset
- ブラジル Diego “Diegho San” Dos Santos Silva
- フィンランド Aleksanteri “TheAllu” Landström
- イタリア Antonino “JustNino” Pomilia
- アメリカ Joseph “Aazzlano” Cordero
- インド Adithiyan “Arms73” Armstrong
- 中国 Elsie Fang
- シンガポール Siti Zhywee Ramle
の8ヵ国から8名。過去の“ジャストダンスワールドカップ”決勝参加者、各地の競技者、そして開催地であるシンガポールから選ばれたのだという。
まずは8名がステージ上に呼び込まれた。司会が巻き舌の英語で紹介するその様子はさながら総合格闘技PRIDEのあのアナウンスを彷彿とさせるものだった。
さらに対戦形式はふたりが並んで同じ曲を踊るというスタイルで、各国選手のキャラクターがそれぞれ際立っており、世界中の選手がひとつの舞台で(ダンス)バトルする様はなんだか『ストリートファイターII』を思わせるほどだ。それほど各選手は個性的で観ていておもしろい。
『ジャストダンス』はゲームとはいえ、実際にダンスを踊ってモーション入力をして遊ぶタイトル。つぎつぎとダンサーが現れるが、みんなスポーツマン体型というか、細身でキレのある動きができそう。
そんな中……
……んっ?
……ダンサー体型では、ないな……。
現れたのはフィンランドのTheAllu選手。突如として降臨したいい体格のダンサーに筆者は共感の念を抱かずにはいられなかった。
後から調べてみると、Allu選手はジャストダンスYoutuberとして自身のチャンネルにダンス動画を多数アップしている模様。大きな体を揺らして踊る様子に多くのファンが生まれているようだ(筆者もチャンネル登録した)。
そのほか、どのダンサーも個性が際立っており、フランスのDina選手は青色の衣装もバッチリ決まっており、地元シンガポールのSiti Zhywee Ramle選手が登場した際には会場が大いに沸いた。
この8名で準々決勝からダンスバトルを行い、決勝戦まで最大3試合を踊り抜くこととなる。
ユービーアイソフトのディレクターなど3名が審査員となり、それぞれの審査点とゲームのスコアを加えて最終的な勝敗が決まるというルールだ。
1回戦から各ダンサーはキレッキレのダンスを披露! ある意味それはそうで、1回戦とは言えこのステージに立っているのは世界中から選ばれた8名。世界大会の準々決勝なのだ。
個人的に注目のフィンランド・Aleksanteri “TheAllu” Landström選手は、インドのAdithiyan “Arms73” Armstrong選手と対戦。
……切れてる! めっちゃダンスのキレあるよ!!
恵まれた体格から繰り出されるダイナミックなダンスにがっちり心をつかまれた筆者。準々決勝を突破したTheAllu選手を推そうと心のなかで決めたのだった。
準決勝はフランス・TheFairyDina対イタリア・JustNinoとフィンランド・TheAllu対アメリカ・Aazzlanoの対決に。準決勝からは曲数が増え、最大3曲を踊っての審査となる。
準決勝第1試合は、フランスのDina選手が勝利。そして第2試合にはフィンランドのTheAllu選手が登場する……。
大きなカラダを揺らしながらキレのあるステップを踏むTheAllu選手。
しかし、3曲ぶっ続けでのダンスは不利だったのか、遠目から観てもじょじょに苦しそうな表情になっていく。
が、がんばれ! がんばれTheAllu!!
思わず手に汗を握って応援してしまう筆者である。
けっきょく試合は、2019年のワールドチャンピオンでもあったAazzlano選手の勝利に。さらに、本来であれば3位決定戦が開かれる予定だったが、そのまま決勝戦へと突入した。TheAllu選手が棄権したのかと思われる。ちょっと心配した(その後、無事ステージに現れていました)。
TheFairyDina選手VSAazzlano選手の決勝戦!
決勝戦は日本語の電波ソング『Chiwawa by Wanko Ni Mero Mero』と、インド風の『Yameen Yasar Extreme』に決定。
両選手とも決勝戦とあって力を振り絞ってのダンスに。最後の審査ではパワフルさや表現力が決め手となり、Dina選手が勝利を得て、優勝決定となった。
優勝したDina選手へのインタビューをお届け!
優勝の興奮冷めやらぬ中、ステージ上のDina選手に直撃! ミニインタビューに答えてもらった。
――いまのお気持ちは?
Dinaどう言葉にしたらいいかわかりません。夢見ていたこと……叶わないと思っていたことを達成できました。初めてのオリンピックeスポーツで、いままで女性が『ジャストダンス』の国際大会で優勝したことはありませんでした。自国、コミュニティ、世界の女性の代表としてうれしく思います。
――これまでどのような練習をされてきましたか?
Dina1ヵ月半から2ヵ月ほど前に、選手として選ばれたことを伝えられ、3週間ほど前にステージで使用される楽曲候補が知らされました。楽曲を知る前にはストレッチや体のコンディションを整えて準備して、セットリストが公開されてからは、本当に優勝したかったので、1日2時間から8時間ほど練習しました。
――8時間! では最後に、あなたにとってダンス、『ジャストダンス』とはどのようなものか教えてください。
Dina人生そのものです。私はプレイヤーであってゲームの開発はしませんが、心の底からジャストダンサーです。数年前の初めての大会は人生を変える経験でした。友だち、大きな経験をもたらし、今日この舞台に立つこともできました。シンガポールでこうしてインタビューにも応じています。オリンピックに出るなんて思いもしませんでした。信じられない思いです。ありがとうございます。
Switch『ジャストダンス2023エディション』の購入はこちら(Amazon.co.jp)記者の目 ただ踊れ、ジャストダンス!
想像以上に盛り上がったし、観ているだけでも楽しかった『ジャストダンス』。
司会は底抜けに明るく、音楽はどれもアップテンポで楽しく、眺めるだけで思わずカラダが踊りだしてしまいそうなほどだ。
2024年のパリオリンピックでも、リアルスポーツとしてのダンス・ブレイキンが導入されることが決定しているが、いわばそれに先駆けるかたちでの実施となったオリンピックeスポーツウィークのダンス競技。
もちろん両者は比較するようなものでもないのだけど、元来運動神経のない筆者は、恐らく、ブレイキン競技を見てもそれをやりたくはならない、というか、できる気がしない。だけど、『ジャストダンス』を観ると、やっぱり踊りだしたくなる。なぜなら選手がみんな、とても楽しそうに踊っているから。
観ているとやってみたくなる。それはスポーツにとって、とてもよいことだと思う。
また、本ステージのハイライトとして、配信には載っていなかったようだけど、試合終了後、司会が観客を呼び込んで子どもたちを含む大勢でダンスを踊るというひと幕があった。
そこには優勝したDina選手もいれば、準優勝に終わったAazzlano選手もいたし、そのほかの選手も息を合わせて踊っていた。友情と尊敬。それはオリンピック精神の重大な要素であり、eスポーツでも育まれるものであると思う。それを実感する美しい時間だった。
※画像の一部は配信をキャプチャーしたものです。