『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』と世界観を共有し、同作の前日譚が描かれた舞台作品『舞台ヨルハ』。その『舞台ヨルハ』はキャストを変え、演出や物語にも変化を加えて『音楽劇ヨルハ』や『少年ヨルハ』などの形でくり返し上演され、昨年12月には『舞台 少年ヨルハ Ver1.0』をベースに登場人物とキャストを女性に変えた『舞台少女ヨルハ Ver1.1a』が上演された。
その『舞台少女ヨルハ Ver1.1a』は、先日、Amazon.co.jp専売でUHDとBlu-rayが発売。8月9日にはそれを記念した上映会“舞台少女ヨルハVer.1.1a 最後の【極音】上映”が立川シネマシティ(シネマ・ツー)で開催された(13時からと17時20分からの2回)。各回の上映後には、出演者を変えてアフタートークも実施。本稿ではその模様をリポートする。
なお、アフタートークはネタバレの危険があるため、気になる方はUHD・Blu-rayを鑑賞してからご覧いただくと安全だ。
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— 舞台「ヨルハ」公式 (@YoRHa_STAGE)
2021-08-21 12:04:05
アフタートーク1回目
1回目のアフタートークの出演者は以下の通り。
進行役は舞台の原作・脚本を手掛けたヨコオタロウ氏と演出の松多壱岱氏が務めた。なお、大西さんは所属するアイドルグループAKB48のチーム8のメンバーが新型コロナウィルスに感染したため、大西さん自身は陰性だったものの、大事を取ってリモートでの出演に。
ひさびさのヨルハの衣装を身に纏った感想は?
今回のアフタートークでひさびさに舞台衣装を身に纏ったという出演者の皆さん。衣装についての感想からトークが始まった。
大西(九号) 去年のクリスマスぶりにこの衣装を着させていただいたんですけど、「(ゴールグルを付けると)こんなに視界が暗かったっけ?」と思いました。
小泉(二十一号) ゴーグルは(稽古しているうちに)慣れていきましたけど、舞台では暗転中のときは何も見えなかったので、感覚だけで生きていました。
野口(教官) 衣装はオーダーメイドでキャストそれぞれピッタリに作ってあるんですけど、着るとピシッとなって身が引き締まりますね。
春咲(スイレン) 舞台は冬でしたが、このパーカー、本番中は暑かったんですよ、すごく。照明とかあったし、逃げ回らないといけなかったり、自転車を漕がなきゃいけなかったりしたので(笑)。だから、パーカーを舞台のギリギリまで着るのを渋ってました。舞台が夏じゃなくてよかったです(笑)。
関谷(ハオウ) 「こんなに髪型すごかったっけ?」と思いました。でも、この会場に入る前に一瞬だけ外を歩いたんですけど、怪しまれず何とか大丈夫でした(笑)。
キャスト陣と初めて顔を合わせたときの印象は?
続いてはキャスト陣と初めて顔を合わせたときの印象、というお題でのトーク。キャスト全員が顔を合わせたのは栃木県足利市にあるリアルサイズで再現されたスクランブル交差点のオープンセットでの撮影時だったという。
大西(九号) キャストの方とも自己紹介をしていない状態で撮影が始まったので、誰がどの役の方なんだろうっていう……。
野口(教官) そうなんですよ! 私もまだ六号(谷口めぐさん)との関係性がそこまでつかめていないときに、2ショットの撮影があって、ちょっと微妙な距離だったんですけど。だからいま思うと、もっとあんなことすればよかった、こんなことすればよかった、と思うんですけど、その初々しい距離感を感じてもらいながら写真を見返してもらえると、おもしろいんじゃないかなって思います。
小泉(二十一号) 教官&六号と同じく、私も二十二号のあいか(園田あいかさん)とは初対面だったんですけど、そのときから彼女はけっこう寝てて(笑)。それで、こういうタイプの子か、なるほどね、ってその後から理解していきましたね。性格とか。
ヨコオ ちなみに自分は、小泉さんがものすごく怖かった記憶があります。ピクリとも笑わないし。
小泉(二十一号) それはちゃんと役になりきってたってことです!
ヨコオ そうだったんですね(笑)。では、春咲さんはどうでした?
春咲(スイレン) 私はけっこう人見知りなんですけど、ツルハナ役の二瓶さん(二瓶有加さん)とセキマユさん(関谷さんのこと)が、けっこうフレンドリーに話しかけてくださって。撮影時はまだ台本ができあがっていない状態だったじゃないですか? でも、この3人だったら大丈夫だな、っていう空気感の中で撮影できたので、すごく楽しかったです。
ヨコオ それは台本が遅かったことへのうっすらとしたクレームですよね?
春咲(スイレン) 違います違います(笑)。横断歩道で寝ている写真を撮ったり、ふだんできない撮影ができたのはすごい新鮮で楽しかったです。
関谷(ハオウ) いまの話にもあった通り、レジスタンス3人も、その日が初めましてで、私と二瓶ちゃんが同い年ということもあって、すぐに意気投合して、レジスタンス3人はその日のうちにすごく仲よくなっていましたね。
ヨコオ 僕、セキマユさんと初めてお会いしたときに、すごく喋る人だなって。ずっと喋ってるなって(笑)。
関谷(ハオウ) 本当にすみません(笑)。
稽古中の記憶、「知っとるよ」事件
松多 最初は稽古場が建て込み(舞台のセット)がなかったじゃないですか。でも、ちょっと狭くて。そのころ、メンバー全員のスケジュールもなかなか合わなかったりして、アンダーさんに入ってもらったりとかして。そのころの思い出とかありますか?
ヨコオ ちなみに、アンダーさんって何ですか?
松多 アンダーさんというのは、代役さんのことです。お休みの役者さんの代わりに入ってもらって立ち位置とかセリフのタイミングとか付けていただいて、後日、本来の役者さんに伝えるという。
ヨコオ なるほど。ではそういう、稽古の感想を大西さんから。
大西(九号) ツルハナ役の二瓶さんが、ひとりですごい長セリフを喋るところがあったんですけど。
ヨコオ (食い気味に)すみませんでした!
大西(九号) (笑)。そこのお稽古をする前に、二瓶さんがその長文を全部覚えてきていたんですよ。
ヨコオ そうですね……。
松多 思い出した……。
大西(九号) でも、いざそのシーンを演じるってなったときに、それが変更になって。
松多 そう! ヨコオさんが一回通しを見た後に、「ちょっと書き換えます」と。そのセリフが丸っと変わっちゃって。
関谷(ハオウ) あの日、めちゃくちゃ覚えてますよ。二瓶ちゃんが稽古場に入ってきた瞬間に、壱岱さんが、「ごめん!」って謝っていて。二瓶ちゃんも「な、なんですか!?」と身構えていて。
ヨコオ 本当にすみませんでした! では、引き続き、稽古の思い出のある方……。
関谷(ハオウ) 暖ちゃんは最初のころの稽古に参加できてなくて、ずっとアンダーさんが演じてくれていたんですけど、暖ちゃんってものすごくキャラが濃いじゃないですか? なので、暖ちゃんのスイレンが来た瞬間に、またガラッとレジスタンスが変わったというか。3人で話し合ったり、いっしょの待ち時間も多かったので、3人でレジスタンスを作り込めたなっていう記憶があります。
ヨコオ レジスタンスの3人は仲がよかったんですか?
関谷(ハオウ) 仲はよかった……(春咲さんを見ながら)よね?
ヨコオ いま、うすーく確認してなかった?
関谷(ハオウ) (舞台が終わってから)半年空いてますから少し自信が……(笑)。
ヨコオ そんな春咲さんはいかがですか?
春咲(スイレン) 私はセキマユさんがおっしゃった通り稽古の合流が遅れて、合流した次の日に「そろそろ前半を通してやるので、セリフを覚えて来てください」と言われて。でもスイレンって登場シーンから、めっちゃ喋るんですよ。オタク気質で、オタクだから早口で、特徴的なことをバーって言うから、セリフを覚えるのがすごくたいへんだったな、という思い出がひとつと、合流してしばらく経ったころに、「春咲さんって自転車は乗れますか?」という謎の確認をされて。「乗れます」って言ったら、自転車に乗って登場することに。ビックリしましたけど楽しかったです、自転車。
ヨコオ 自転車の登場を決めたのは誰だったんですか?
松多 あれはセットに自転車があったので、僕が「漕ごう、乗ろう」って言って。最初はグルグル回るということを思っていたんだけどそれは無理で。突っ切るだけが一番いい、という試行錯誤のうえでああなったっていう。
ヨコオ 小泉さんは稽古の思い出について、どうですか?
小泉(二十一号) 私もセリフの文量のお話になってしまうんですけど。二十一号もけっこう文量があるほうで、なかなか自分の中に落とし込めなくて。
春咲(スイレン) 稽古で一回、方言みたいの出てましたよね?
小泉(二十一号) クーデターのシーンで「知ってるよ」って言うはずなのに、なぜか「知っとるよ」って言ってしまって。
松多 でも、しばらくそのまま通そうとしたんだよね。なかったことにして。でも、だんだんみんな耐えられなくなって、全員で笑い出したっていう(笑)。あれはおもしろかったな。
野口(教官) 私は、稽古については楽しかった思い出しかなくて。稽古の思い出ではないんですけど、稽古の終盤は、都内からけっこう遠く離れた稽古場で乗り換えが難しかったじゃないですか。六号役のめぐちゃん(谷口めぐさん)が一回乗り間違えて、稽古場に遅刻しちゃったことがあって。「しっかりしなよ」みたいな感じで思ったんですけど、その次の日に私がそれをやってしまって(笑)。
松多 ぜんぜん気づかなかった。
野口(教官) じつはあったんですよ。入り時間より30~40分くらい遅れて。でも、そのとき稽古が押してたのかバレずに済んだんです。
松多 それをいま言う(笑)。
ヨコオ 劇場に入ってからは何かありますか? ステージのセットの感想とか。
大西(九号) 劇場のステージで初めて2階部分のセットを見たとき、「こんなに高いんだ」って思いました。二号が(青木志貴さん)高所恐怖症だったみたいで。
松多 そうそう。
ヨコオ 初めて聞きました。そうなんだ。
大西(九号) 登った瞬間に足が震えてて、それがかわいかったです(笑)。
もし再演されるなら、次は何の役をやりたい?
ここからは舞台の公式Twitterで募集していたDMでの質問から。
ヨコオ 「いちばん仲悪かった人は誰?」とか、そういう質問ですかね?
松多 ないない、来てない。
ヨコオ 「もし再演されるなら、次は何の役をやりたいですか?」この質問から。
大西(九号) 私は六号です。
ヨコオ えっ。どうして六号をやりたいですか?
大西(九号) 九号は自分そのままを出したので、演じた実感が薄いというか。でも、六号はけっこう激しめじゃないですか? だから自分とはまったく違うタイプの六号を演じて、悲鳴を上げてみたいです(笑)。
関谷(ハオウ) 私はオーディションのときに、二十一号のセリフをやらせていただいたんですよ。なので、二十一号をちょっとやってみたい気持ちはありますね。でもセリフ量が多くてたいへんそう。
ヨコオ 二十一号はオーディションのときに、声がデカい人じゃないとダメだと思って、そういう基準で選考したんですよね。
春咲(スイレン) 私は教官をやりたい。私もオーディションの話になっちゃうんですけど、ヨコオさん的には、私はスイレンか教官の二択だったというお話をされていて。
ヨコオ そうなんです。じつは、春咲さんと野口さんのどちらかが教官でどちらかがスイレンがいいなと思っていたんです。『舞台ヨルハ』の教官は身長が高いイメージだったので、今回ちょっと小さい教官にチャレンジしたい、そういうイメージでした。
野口(教官) 私がスイレンになる可能性もあったってことですか? いま初めて聞きいて、ビックリしました。
ヨコオ どっちにしようかなと悩んでいた時期もありました。では、続いて小泉さん、やりたい役はどうですか? 二十一号は「もう二度とやりたくない」って言ってましたよね?
松多 ずっと言ってたよね。
小泉(二十一号) そうですね。稽古中から、この世界観に入り込めば入り込むほど、辛すぎて。なんて現実は平和なんだ、と思うくらいだんだん辛くなっていったんです。でも……やっぱり二十一号が大好きでしたね。
松多 もう一回やって、また「やりたくない!」って言いたいと。
小泉(二十一号) はい。「やりたくない!」ってなると思います。だけど、汚染されちゃったシーンがあるじゃないですか。あれは楽しかったです。桃ちゃんと志貴くんの叫び声がすごく気持ちよくて(笑)。
松多 ヤバい扉を開いちゃったんだ(笑)。
野口(教官) 私は四号をやりたいです。ガンアクションがめちゃくちゃ格好よかったし、私は萌ちゃん(鶴見萌さん)の四号がめちゃくちゃ好きで。優等生だけど、内に秘めた葛藤とかある感じが大好きなので。
ヨコオ 鶴見さんって、実際に会うとすごくポヤッとした優しい感じの方ですよね。そうだ、その鶴見さんの誕生日。公演期間中に鶴見さんの誕生日があって、みんなでおめでとうと言おうっていう日に、大遅刻をしてきて。謝りながら「おめでとう」と言われる、異様な儀式がありましたね(笑)。(※こちらの遅刻ネタは2020.12.05ソワレ公演のアドリブパートでもイジられている。限定版の特典ディスクに収録)
『舞台少女ヨルハ』で唯一のほのぼのシーン? 伝説のアドリブパート爆誕
松多 では続いて。「小泉さん、春咲さんは、アドリブパートの出演がありませんでしたが、二十二号のオベンベンの回で唯一オチとして参加していた、あの名シーン(※)が死ぬほど好きです。あれは誰の指示で行ったのでしょうか」?
※編集部注……2020.12.05ソワレ公演のアドリブパート。二十二号が「人類がお弁当を見たときの反応」という一発ネタで、弁当を見たウキウキ感を「ベンベン、オベンベン♪」というリズムとともに行進することで表現。アドリブパートが終わり、本来なら二十一号とスイレンがシリアスなトーンで入ってくるところを、そのふたりも「ベンベン、オベンベン♪」と言いながら登場する。このシーンも限定版の特典ディスクの2020.12.05ソワレ公演のアドリブパートに収録)
小泉(二十一号) あれはもう勝手にふたりで、あれで入ろうって。その前もずっと変な空気感で。もう一回仕切り直して始まるって、前代未聞ですよ。本番中に(笑)。でも、空気を切り換えるために、後から来る教官はビシッと決めてください、と。
野口(教官) でもちょっとやりたかったよ、オベンベン(笑)。
松多 ヨコオさんは基本的にアドリブについては何も言わないんだけど、「アレはどうですかね」って初めてダメ出しされたからね(笑)。
ヨコオ いやいや、すごくよかったですよ。興味のある方はぜひ限定版の特典ディスクで見ていただければなと思います。
女の子がそこにいるリアリティを目指した
ヨコオ では、つぎは大西さんへDMからの質問。「Blu-rayのライナーノーツで桃ちゃんが、“しんどくなったり苦しくなったりしたらここに戻ってくる”と書いているのを見ました。物語も絶望が多く、初めての座長のプレッシャーや、歯の矯正で抜歯したばかりという中で、すごくたいへんだったと思いますが、それでもつらいときにまた戻ってきたいと思えるほどの、『舞台少女ヨルハ』は、桃ちゃんにとってどんな作品ですか?」
大西(九号) 役に入り込むと、本番中にまわりの大好きな仲間たちがバタバタ倒れていく姿を見て、すごくツラい気持ちでいっぱいなったり、歯列矯正で喋りづらくて思うようにいかなくて苦しかったり、初めての座長で、座長らしいことは何もできなかったり。でも、いっしょにやってきた皆さんが、「桃ちゃんが座長でよかった」と声を掛けてくださったことが支えになりました。私にとってはすごく苦しかったですし、たいへんだったんですけど、すごく幸せだった記憶もあるので、生涯忘れることのない舞台、作品になりました。
ヨコオ ありがとうございます。僕のほうからも少し補足させてもらうと、大西さんのナチュラルな演技がすごく好きで、オーディションのときに九号をお願いしたんですよね。今回の『舞台少女ヨルハ』で目指したかったのが、“上手くて楽しいエンタメ”じゃなくて、“女の子がそこにいるという感じ、リアリティを重視したい”ということを壱岱さんにも伝えていました。上手く喋るとかそういうのじゃなくて、あるがままでいてほしいとキャストの皆さんにもお願いしたら、ちゃんとそういう舞台になって、今日ご覧になった皆さんにもそう思っていただけたんじゃないかなと思います。
キャストの採用理由
ヨコオ じゃあ最後の質問にいきましょう。
松多 最後にヨコオさんにキャストの採用理由を教えてください。
ヨコオ では順番に軽く。九号役の大西さんは、いま言った感じで、僕の思うリアリティのある女の子、あまり役者さんっていう感じではなくて、ナチュラルな感じが決め手でした。
松多 等身大っていうことですね。そこにいる感じ。
ヨコオ そうですね。それがいちばん欲しくて。2014年の『舞台ヨルハ』の初演は、まだキャリアの浅い女の子ががんばって演じてくださって、その様がすごくよかったので。
松多 それは呪いのようにずっと言っていましたね。
ヨコオ ハオウ役は、威厳がある人ということで関谷さん。けっこう声を出さないといけないキャラで、威厳があるのがポイントだったので、それをやっていただきたかった。教官役の野口さんとスイレン役の春咲さんは、先ほども言ったように、まず小さく見えるというのがポイントで、その後に教官とスイレンのどちらが合うかなと考えていきました。野口さんはパリッとした教官らしさ、春咲さんは口がよくまわるということもあり、いまのキャラクターにアサインさせていただきました。小泉さんの二十一号役は難しい役どころで、選考が難しいキャラクターでした。今回の『舞台少女ヨルハ』のベースとなった『舞台少年ヨルハ』をご覧になった方だったらわかると思うんですけど、けっこう狂った役どころで、めちゃくちゃな動きをするんですよ。それに耐えられて、声がデカくて耐久力のある役者さんを求めていて、小泉さんにお願いしました。小泉さんはすごく女性らしさもあって、いいなと。とくに最後、下手からバーっと走って、刀を引きずりながら走ってくるところ、あれはスゴい。女の子なのに強そうでいいなと思いました。
小泉(二十一号) ありがとうございます。あれ、めっちゃたいへんでした。
松多 すごく練習したよね。止まるのが難しいんだよね。
小泉(二十一号) 靴もヒールが高いので、急に止まったらつま先がグーンってなるから、痛みも伴うんですよ。
1回目のアフタートーク終了&五阿弥ルナさんによる『Weight of the World』生歌唱
上映会ではアフタートークのほかに『舞台少女ヨルハ Ver1.1a』でもコーラスや歌唱を担当していた五阿弥ルナさんによる生歌唱の『Weight of the World / 壊レタ世界ノ歌』が披露。歌唱後はそれを最前列で聴いていた小泉さんが感極まって号泣するというひと幕も。
ヨコオ (小泉さんの様子を見て)小泉さん、泣いてます? 小泉さんは舞台が終わってバックヤードでみんなでニコニコ生放送を見ていたときも、目からビューって涙を縦に飛ばすほど号泣していて、感情豊かな方だなと感じました。よかったですね、生で聴けて。では、最後にひと言ずつ。壱岱さんから(※ヨコオ氏と五阿弥ルナさんの最後の挨拶は2回目にまとめています)。
松多 こうして『舞台少女ヨルハ』がBlu-ray、UHDという形になって上映会もできて。いつまでも皆さんの心の中に残る作品になれば幸いだと思います。本日はどうもありがとうございました。
野口(教官) この作品は、ズーンとなる部分もあるんですけど、皆さんの生きる糧になったらいいなと。皆さんの心にいつまでも残る作品であってほしいなと思っております。本当にありがとうございました。
関谷(ハオウ) 今回、こうしてヨルハの世界にまた戻って来られたようで、私自身すごくうれしい気持ちでいっぱいです。レジスタンスの3人は、あの後どうなったのかなと、私自身もすごく考えながら過ごしていたんですけど、皆さんの心の中にもレジスタンス、そしてヨルハが生き続けていてくれたらうれしいです。
春咲(スイレン) 『舞台少女ヨルハ』は本当につらくて、舞台袖から見ているときもすごく辛かったし、涙を何回もこらえた作品でした。スイレンは新しいシステムの形を模索して逃亡したので、この世の中、けっこう難しかったり、生きにくかったりしますけど、めげずに新しいシステムの形をみんなで探していけたら、いい世界になると改めて思いました。壮大な話ですみません(笑)。本当にありがとうございました。たくさん見てください。
小泉(二十一号) 昨年の12月から月日が経ったいまでも、歌を聞いただけで、辛さとか苦しみとかを、昨日のように思い出しちゃう作品なんですけど、そのぐらい、私にとって『舞台少女ヨルハ』はすごく大切な作品になりました。観ると、辛いな、苦しいなと思うかもしれませんけど、私たちが、ヨルハたちが、レジスタンスたちが生きていたということを、皆さんの心に残っていてくれたらいいなと思います。これからも末永く、楽しんでください! 本当にありがとうございました。
大西(九号) 今日、私はバンカーからお届けする形になったんですけど、こうして『舞台少女ヨルハ』を愛してくださる皆様と、こういう素敵な時間が過ごせて、本当に本当にうれしかったです。先ほども言ったんですけど、私にとって本当にすごく、いろんな感情をぶつけた舞台だったので、私の中でも、『舞台少女ヨルハ』は、一生、心のどこかにあるような状態で過ごしていくのだろうな、と思うんですけど、皆さんにとっても、辛いときとか、悲しいときがあったときに、私たちを思い出して、少しでも皆さんを元気にさせられるような、そんな存在であり続けたらいいなと思います。本当に本当に、ありがとうございました。
アフタートーク2回目
ここからは、2回目のアフタートークの模様をお届け。出演者は以下の通り。進行役はヨコオタロウ氏はそのままで、松多氏に代わってエグゼクティブプロデューサーの齊藤陽介氏が登場してスタート。
印象に残るあのシーン
ヨコオ さっそくですが、舞台での印象的なシーン、もしくはしんどかったシーン、二度とやりたくないシーンなど何でいいんですけど、何かありますか?
大西(九号) いちばんしんどかったシーンで言うと、第一幕のラスト、二十二号のあのシーンが精神的にはきつかったかもしれないです。
ヨコオ 最後に二十二号が剣でプスッと刺されて「ギャー」って言うシーンですね?(コミカル調な表現で言う)
大西(九号) はい……。あとは、二号の手に包帯を巻くところです。
ヨコオ あそこは、女子感があっていいですよね。かわいいなって思いながら見ていました。
大西(九号) あそこで九号と二号のあいだにいろいろな想いが生まれたと思うシーンだったので、私的にもすごく、好きなシーンでした。
松田(三号) 私は汚染され始めのシーンがいちばんツラかったというか……。三号の汚染ってけっこうジワジワきてたんですよ。なので、どのシーンで汚染された感を出していいのか、その瀬戸際がツラかったです。
青木(二号) いちばん印象に残っているのは、第一幕の最初、ずっと箱に入っていたことですかね(笑)。オープニングで流れていた『終ワリノ音』を聴くたびに、「あ、いつもこのあたりから箱に入ってスタンバイしてたな」というのが思い出されて。
ヨコオ 箱から出るときに煙もボハッと出てくるじゃないですか。ということは、出る直前の箱の中はモクモクの状態?
青木(二号) はい。だから息を止めていて。ゲネプロか初日だったか、まだ調整ができてない回があって、そのときの煙はハンパなくて。足もとも見えないときがありました(笑)。第二幕になってからは、みんなツラいシーンが続くのでどこも印象的だったんですけど、九号に包帯を巻いてもらうシーンとか、「この戦争が終わったら何がしたい?」みたいなちょっとした希望を抱いてしまうシーンとかがすごく印象に残っていますね。
谷口(六号) 私は、舞台後半の教官と六ちゃん(六号)が死んでしまうシーンなんですけど、六号的には「死ぬのは自分ひとりだけでいい」と思っていたシーンだと思うんですけど、教官が見捨てずに、いっしょに死のうとしてくれる教官の責任感というのをすごく感じて。私自身、「お願いだから近寄らないで!」って思いながら演技していたので、そのシーンが、いちばんつらかったですね。「大好きだからこそ、生きていてほしい」という六ちゃんの想いが。じつは六ちゃんって繊細なんですよね。ただ自分を表現するのが不器用なだけで、すごく繊細な子なので、そこが悲しい。
ヨコオ 谷口さんは、最後に六号が「止めろ」と叫んでるのは、「爆発させるのを止めろ」じゃなくて、教官に「いっしょに死ぬのを止めろ」と言ってるという解釈ですね?
谷口(六号) 私はそう思いました。
ヨコオ 解釈の仕方で演技の意味合いも変わっておもしろいなと思いながら見ていました。
ヨコオ では続いて二瓶さん、印象的なシーンはどこかありますか?
二瓶(ツルハナ) 後半、レジスタンスと、教官、六号の5人で演じる、殺されそうで殺されないシーン。レジスタンスは3人でいることが多くて、もう家族みたいな。スイレン役の春咲暖ちゃんが妹みたいな存在なので、スイレンがボコボコにされているのは見ていてすごくツラかったですね。
ヨコオ レジスタンスはスイレンの春咲さんが、じつはキャストの中でいちばん大人びているというか。
二瓶(ツルハナ) 年齢的には年下なんですけど、ハオウ隊長の真由ちゃんと私は、暖ちゃんに怒られてばっかりでした(笑)。もうひとつ思い出は、長セリフのシーンが途中であるんですけど……。
ヨコオ すみませんでした! 長セリフを差し替えたエピソードは1回目でも謝らせていただきました! じゃあ、次の質問行こうかな!
キャスト陣がメチャメチャ仲がいいのは舞台で殺し合っている反動?
ヨコオ キャストの皆さんは最初に顔を合わせたときの第一印象と、稽古を経て千秋楽にいたるまでに、その印象が変わっていったと思うんですが、どうでしたか?
大西(九号) もっとも印象が変わったのは二号の志貴くんですね。最初のビジュアル撮影をスクランブルエッグみたいなところでやったんですけど。
青木(二号) ちょっと待って、スクランブルエッグ? すみません、突っ込まずにはいられなかった(笑)。
大西(九号) スクランブル交差点(笑)。そこで初めて出会ったときは、ぜんぜん喋らなかったんですよ。二号とふたりの撮影もあったんですけど、ほとんど会話なく終わって。稽古をやり始めるようになっても、志貴くんはひとりでいることが多くて。なので、私は四号役の鶴見萌ちゃんに「喋りたいんだけど、なんて喋ればいいかな?」と相談していました。
青木(二号) なんかごめんね(苦笑)。
大西(九号) でも、稽古を重ねるうちに志貴くんとも喋れるようになって。クールだけどすごくおもしろい人だな、という印象に変わりました。
ヨコオ 二号の青木さんは九号の大西さんの印象はどうでした?
青木(二号) 役柄的に、変に仲よくなり過ぎると、中の人がにじみ出たら嫌だなというのも若干ありつつ、だから稽古中も喋らないようにしていたんですけど、桃ちゃんだけはずっと話し掛けてくれて。稽古の終わりに同じ方向の電車にいっしょに乗って帰ったりしたこともあったんですけど、本当にすごくピュアというか、マジで九号なんですよね。「なんて喋ったらいいかな?」なんてのも、「いやそれ、九号が二号に絶対やってるヤツやん」って思いながら聞いていました。
ヨコオ 松田さんはどうです? キャストの印象について。
松田(三号) 三号には鶴見萌ちゃんが演じる四号という相方的な存在がいますけど、最初、萌ちゃんは四号のように、少しお高くとまっているイメージがあって(笑)。でも、誕生日に遅刻してきたりとか(笑)、じつはけっこう抜けていて、それ以前にもいろいろ抜けている出来事があって親近感を感じるようになって、そこからギュッと近くなれたかな、という印象があります。
谷口(六号) 私は印象がガラリと変わったのは、二十一号役の小泉萌香ちゃん。最初は、もっと女の子らしい性格なのかなって思っていたんですけど、実際に話してみると、けっこうサバサバしているというか。すごくたくさん話せるようになったので、うれしいかったです。
ヨコオ 今回のキャスト陣は仲がメチャメチャいい、こんなに仲がいい座組は見たことがない、ってまわりのスタッフがみんな言ってるんですよ。自分もすごく雰囲気がいいな、と思って見ていました。
松田(三号) 多分、ずっと殺し合ってるから、その反動だと思います(笑)。
ヨコオ なるほど。レジスタンスの3人はどうでした?
二瓶(ツルハナ) ハオウ隊長の真由ちゃんとは、最初の撮影のときからピッタリ相性が合いまして、同い年ということもあって、いまでも仲よくさせてもらっています。私、お芝居の稽古は今回の『舞台少女ヨルハ』が初めてだったので、心強かったですね。スイレン役の暖ちゃんは、かわいい毒舌がポロリ、ポロリと出る子で。私と隊長にも鋭く突っ込んでいただきました。
エピローグは過去の話? それとも未来?
ヨコオ 皆さん仲がよさそうで何よりです。では、そろそろTwitterで募集した質問を。
齊藤 いくつか来ているんですけど、大西さんに質問です。「二号を失い、再フォーマットされる=記憶も消去されると予想できたであろう九号は、二十二号や四号と、素直にバンカーに戻ったと思いますか?」という質問です。たしかに逃げることも可能だよね。
大西(九号) 記憶を消されるというのはもちろん嫌だけど、九号としては、これも運命だと思って受け入れるんじゃないかと思います。
ヨコオ なるほど。ではバンカーに戻ったということですよね?
大西(九号) はい。
ヨコオ エピローグの学園モノみたいなのがあるじゃないですか。みんなでおしゃべりして、最後に白いスマホを見つけるシーン。大西さんはあのシーンは過去だったと思いますか? 未来だと思いますか?
大西(九号) 私は未来の話と解釈してやっていました。
ヨコオ では、あそこにいる全員がフォーマットされて記憶をなくしている、という解釈ですよね。
大西(九号) はい。
ヨコオ なるほど。ありがとうございました。では齊藤さん、次の質問にいきましょう。
殺陣やキャラについて。また『舞台少年ヨルハ』から引き継いだものなど
齊藤 次は青木さんに質問です。「二号を演じるうえで、ゲームの2Bの待機モーションを研究したと、オーディオコメンタリーでおっしゃっていましたが、なかでもお気に入りのモーションや仕草などはありますか?」
青木(二号) 待機モーションではないですが、戦闘モーションが全般的に好きです。ただ、あんなにカッコよくは戦えないんですけど。二刀流ってたいへんなんだなと思いました。
齊藤 映像に合わせた殺陣がけっこうあるじゃないですか。いわゆる遠距離攻撃的なヤツ。あれは演じるのは難しくなかったですか?
青木(二号) 映像は稽古の最後の段階にならないと出来上がってこなかったので、最初は何となくの立ち位置で稽古をしていました。舞台ではそのときの感情で芝居をしつつ、立ち位置を意識しながら、そのタイミングで技に合わせるという、殺陣に没頭しつつ理性を保つというバランスがけっこう難しいかったですね。
ヨコオ 映像の敵を斬る演出は、立ち位置が決まっていて、タイミングは映像のスタッフが演者を見て出しているんですよね。なので、映像の人が「そこに来い」って念じて、来たらスイッチを押す感じです。Blu-rayを観ましたが、映像とキレイに合っていて、すごいなと思いました。
青木(二号) よかったです。うれしい。
齊藤 では次の質問にいきますね。「三号は、六号に対してつねに厳しく接していて仲が悪そうに見えますけど、実際の三号は六号のことをどう思っているんでしょうか?」
松田(三号) 女の子同士のケンカと、男の子同士のケンカは少し違うじゃないですか。女の子同士のケンカは、言いかたはアレですけど、陰湿的なものが多少入ったりするけど、男の子同士はそのままダイレクトに相手にぶつける。『舞台少年ヨルハ』もそういうケンカで、そこは今回も引き継ごうと思っていました。
ヨコオ では、メンタルとしては、男性のつもりで六号とは接していた?
松田(三号) そうです。
谷口(六号) 確かにそんな感じは、いっしょに演じていて伝わってきました。
ヨコオ なるほど。三号は言ってしまうとバカキャラのポジションで、つまり、男はバカだという、そういう話ですかね、簡単に言うと(笑)。ありがとうございました。次の質問に。
齊藤 続きまして、六号役の谷口さんに質問です。「殺陣での華麗なステップが目に焼き付いています。動きを自分なりにアレンジした点はありますか?」
ヨコオ 殺陣はすべて殺陣師さんが動きを付けたんですか?
谷口(六号) はい。殺陣師さんが付けてくださった動きです。その殺陣師さんが作ってくださった動きが、私が理想とする六号の動きだったんですけど、殺陣師さんのほうが私より六号っぽいと思うことも多くて、それが悔しくて。稽古中は「絶対にあの殺陣師さんを超えるぞ」という気持ちでやっていました。
ヨコオ 殺陣師さんは、『少年ヨルハ』の四号(小栗諒氏)ですか?
谷口(六号) ですね。あともうひとり、門野翔さん。六号の動きは基本的に門野さんに付けてもらいました。
ヨコオ 最終的には女性の強いキャラっていう感じがすごくよく出ていたと思います。
齊藤 六号は話しかたも独特だし、殺陣もキレイなイメージがあるから、たいへんだろうなと思っていました。素晴らしかったと思います。
谷口(六号) ありがとうございます。小さいころ新体操をやっていたおかげで、そういう綺麗さが出たのかなと思います。
ヨコオ では門野さんはぜんぜん関係なかったということで(笑)。
齊藤 続いて二瓶さんに質問です。「二瓶さんは、以前所属していたユニット“PINK CRES.”のセクシー担当でしたが、ツルハナはけっこうボーイッシュな役ということで、どんなところに気をつけて演じられましたか?」
ヨコオ セクシー担当だったんですか?
二瓶(ツルハナ) 単に衣装の布がちょっとだけ透け感があっただけなんですけど(笑)。ツルハナは声の高さ、トーンはけっこう低めにするように気をつけましたね。稽古を撮ったビデオを見ながら、「女の子らしすぎたかな?」とか、「もうちょっとここをこう変えてみよう」とか研究していました。
齊藤 ツルハナってレジスタンスの3人の中でいちばん、ふつうのキャラじゃないですか。
二瓶(ツルハナ) そうなんですよ。
齊藤 ふつうが難しいだろうなと思って見ていました。
二瓶(ツルハナ) めっちゃ難しかったです! スイレンもハオウ隊長もすごくキャラクターが濃いので。でも、それをいい意味でまとめるのがツルハナなのかなと思って、一歩引いて、でも芯が通ったセリフが多かったので、そこは意識しました。
もし再演されるなら、次は何の役をやりたい?(2回目Ver)
アフタートークの最後の質問は、1回目でも盛り上がったこの質問。
齊藤 1回目にもあった質問ですけど、もし再演されるなら次はどの役をやりたいですか? 大西さんはくり返しになっちゃうんですけど、1回目は……。
大西(二号) 六号と答えました。
谷口(六号) えーっ!? 桃ちゃんが!? 想像できない、いい子すぎて。でも、うれしい(笑)。
ヨコオ ちなみに大西さん、いちばんやりたくない役は誰ですか?
大西(二号) やりたくないのは……教官とツルハナ(笑)。
二瓶(ツルハナ) 説明セリフが多いからだな?
大西(二号) うん(笑)。
齊藤 では、やりたい役を順番に聞いていきましょうか。松田さんから。
松田(三号) 私は四号をやりたいです。というのも、三号を演じて、その相棒的存在の四号をいちばん見てきたので。だから、逆に四号を演じるとどうなるだろう、というのは自分でも見てみたいです。そのとき三号は、逆に萌ちゃんにやってもらいですね。
齊藤 なるほどね、逆にして。では、青木さんは?
青木(二号) オーディオコメンタリーなどでも言わせていただいたんですけど、当初、六号でオーディション受けませんかと言われていて。六号みたいなクレイジーな役はやったことがなかったので、すごくおもしろそうだと思ってオーディション会場に行ったら、二号のオーディションをやって、そのまま二号で合格をいただくという。なので、六号をやってみたいなと思いつつも……なんだかんだ考えるとやっぱり二号がいいですね。
ヨコオ 二号はハマるキャストさんがなかなか見つからなくて。青木さんはオーディションの最後の方だったんですけど、そこで「青木さんで決まりだ!」という流れで、二号をいきなり投げつけました。
齊藤 青木さんはメチャメチャ二号感があって。説明が難しいんですけど、本当にまんま二号だなと思って。
ヨコオ ゲームの2Bによく似てますね。
青木(二号) うれしい。ありがとうございます。
ヨコオ では谷口さん。
谷口(六号) 私は、六ちゃんをやったいまだからこそ、彩希ちゃんと同じく、六ちゃんと関係性の深い教官をやってみたいなと。でも、セリフは多いし、難しい言葉も多いし、上手くまとめないといけないし、私には絶対にできないと思っていたんですけど、六ちゃんを演じたら、教官のことが好きになりすぎて、教官になりたいという気持ちのほうが勝ってしまいました(笑)。
ヨコオ それはちょっと危ないですね……。では、二瓶さん。
二瓶(ツルハナ) 私もオーディションでは六号のセリフで受けたので、六号をずっとやってみたいなと思っていたんですけど、いまは殺陣がカッコいい四号をやってみたいと思っています。
ヨコオ 今回の『舞台少女ヨルハ』で、『舞台ヨルハ』は最後になるんですけど、それを知った「ヨルハ部隊をやりたかった!」とおっしゃってくれる役者さんがたくさんいて。「早めに言ってくれれば!」と思いました。
二瓶 わかる! 私も着てみたかったです、セーラー服。
五阿弥ルナさんによる『Weight of the World』生歌唱と最後の挨拶
アフタートーク後は、1回目同様、五阿弥ルナさんによる『Weight of the World / 壊レタ世界ノ歌』の生歌唱。情緒豊かに歌い上げる五阿弥さんの歌声に1回目の小泉さんに続き、松田彩希さんが号泣。
青木(二号) (松田さんを見て)泣いとるやんけ。
ヨコオ いいぞ、その涙、いいよ! でもこのくらい、役者さんにもハマり込んでいただいて、ありがたい限りです。では、最後に本日の感想をひと言ずついただきましょうか。
齊藤 ヨコオタロウは、「スクウェア・エニックス、齊藤陽介からお金がもらえるなら何でもやる」というのが口癖なんですけど、先ほど、「『舞台ヨルハ』はもういいかな」と言っていましたけど、お金を払えばやってくれるみたいなので、皆さんの拍手が大きければまた『舞台ヨルハ』が見られるんじゃないかと思います。見たい方は拍手をお願いします(観客から大きな拍手)。はい、わかりました。ではヨコオさんにお金を払うので、いつかまた『舞台ヨルハ』をやってもらいましょう。
ヨコオ はい、そのときは齊藤さんから、75億円いただきたいと思います。では僕のほうからは2種類メッセージがあって、ひとつは、キャストさんのファンで、『舞台ヨルハ』や『ニーア』を初めて知ったという方がいらっしゃると思うんですよね。そういうキャストさんつながりで、『ニーア』や『舞台ヨルハ』という世界があって、そこでキャラクターたちが生きていたということを知っていただけるとすごくうれしいです。そしてもうひとつのメッセージは、もともとゲームの『ニーア』を知っていて、この舞台を見に来たという方もいらっしゃるかと思うんですけど、そういう方は、キャストさんの顔を覚えて帰っていただき、Twitterのアカウントもフォローしてあげてください。公式サイトのキャスト欄にリンクあると思うので。ひとつでも多く皆さんの声がキャストさんに届くといいなと思います。
五阿弥 歌唱を担当させていただきました。五阿弥ルナです。今回は、皆さんとすごく近い目線で、爆音ならぬ極音で、『舞台少女ヨルハ』の世界を楽しめて本当にうれしいですし、この場で歌うことができて光栄に思います。今日はこの場所にはいないんですけど、岡部啓一さんの本当にすばらしい音楽を、舞台では白須今さんのアレンジで、島田光理さん(ヴァイオリン)さん、百合香さん(ヴァイオリン)、青柳萌さん(ヴィオラ)、大浦萌さん(チェロ)、平田優奈さん(ピアノ)、Marie Kochoさん(コーラス)と一緒に生演奏でお届けしました。そしてその音を、今日のような特別な環境で皆さんにお届けできたことを、とてもうれしく思います。この物語を心の中にずっと残して、また振り返っていただければなと思います。
二瓶(ツルハナ) 最近は生きていくだけで大変と言いますか、毎日状況も変わるし、もう夏だし、暑いし。私も、すごくしんどいと思うこともあるんですけど、そういうときに、この『舞台ヨルハ』シリーズに勇気づけられていることが多くて。きっと皆さんも、生きていたらいろいろあると思うんですけど、このBlu-rayを観て、ちょっとでも没入し、勇気が出て明日からも頑張ろうと思ってもらえるとうれしいです。
松田(三号) いまだにヨルハロスしているぐらい、本当に『舞台少女ヨルハ』という作品に出会えたことがうれしかったです。今日の1回目で、萌香ちゃんが曲を聞いて泣いたと聞いて、「いやいやそんなわけ」と思っていた私が泣いてしまったですけど、それだけ、必死に生きた1ヵ月だったなと。舞台作品をUHDやBlu-rayで残してくれるスタッフさんは、なかなかないませんし、しかもあんな重量感のある限定版が出るとは思っていなかったし(笑)。お客様はもちろん、キャスト、スタッフを含めて愛がすごかった作品だなと改めて思いました。また、今日はこの場にいないんですけど、四号役の鶴見萌もすごく出演したかったと言っていました。こうして久しぶりにみんなに会えて、やっぱりいい座組だったなと思います。『舞台少女ヨルハ』は観るとツラいですけど、どこか前向きになれる作品ですので、これからも愛していただけたらと思います。
谷口(六号) 私はふだん、AKB48というアイドルグループに所属していて、そのグループ内で舞台をやったりすることはあるんですけど、こうして声優さんだったり女優さんだったりと共演させていただくのはこの作品が初めてでした。最初は、ちゃんとできるか不安だったんですけど、いまこうやって振り返ってみると、AKB48とは違った、もうひとつの自分の居場所ができた気がして、それくらい、稽古期間を含めて約2ヵ月、短い期間ではあったんですけど、私にとってこの先の人生で忘れることのできない、かけがえのない、大切な仲間ができたと思っています。たいへんな世の中ですが、そんなツラい環境の中で、一生懸命もがきながら生きているヨルハ部隊やレジスタンスのみんなの生き様を見て、自分ももっとがんばろうと思ってもらえる、明日の生きる活力になれたらいいなと思います。
青木(二号) これまで、いろいろな2.5次元的な舞台に出演させていただいたんですけど、この『舞台少女ヨルハ』は、稽古期間からとにかく本当に楽しくて、青春的なものをずっと感じている1ヵ月間でした。今日、こうしてまたヨルハ部隊として、そしてレジスタンスとともに、皆さんにお会いできたのを、本当にうれしく思っています。終わってしまうのは、本当に寂しいんですけど、きっとヨコオさんに57億円渡したら、「私は、いつかまた、君に会える気がする」っていう感じだと思うので期待したいと思います。
ヨコオ いや、75億円(笑)。
青木(二号) すみません、そこ大事なんですね(笑)。これからも応援よろしくお願いします。本当にありがとうございました。
ヨコオ では最後に大西さん、お願いします。
大西(九号) こういう情勢ですが、皆さんと集まって、こういう時間が過ごせたことが、本当に本当に幸せです。出演者のみんなも言っていましたけど、ストーリーだけで見れば、すごく苦しい部分だったり、つらい部分が多い作品かもしれないんですけど、勇気ももらえる作品です。私もツラくなったらここにまた戻って、生きる糧にしようと思うので、皆さんもぜひ、つらくなったりとか、しんどくなったときは、私たちヨルハのことを思い出して、明日からもがんばって生きてください。では、最後に。人類に、栄光あれ――。
各回1時間弱の濃いアフタートークも盛り上がりを見せて終了。ヨコオ氏が六号と教官の最期のシーンのセリフや、エピローグが過去の回想か未来の話かを出演者に尋ねるシーンがあったけれど、その解釈は演者に委ねているというのは、なかなか興味深い。また、上映会も“極音”の名にふさわしく、演者の足音の響き具合や爆発音や音楽の音圧のすさまじく、映像作品ならではのアップやカメラワークで、演者の細かい表情や論理汚染されたヨルハ部隊の目の赤さ具合、衣装のディテールなど新たに気づかされることも多々。限定版の特典ディスクにはさまざまな映像も収録されており、まさに『舞台少女ヨルハ』を凝縮した内容。限定版は少々値が張るけれど、その価値は十分にあると思うので、迷っている方はぜひ。
ちなみに、リポート写真にも登場したエミールマスクは舞台の小道具担当のスタッフが作ったシロモノらしく、今回の上映会で初登場。だが、ビニールのボールのような作りになっていて(実際に弾む)、被ることはできない。
※初出時、一部人名に誤りがありました。修正するとともに関係各位、並びに読者の皆様にお詫び申し上げます。
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