2020年始めに、PLAYISM水谷氏にお話をうかがったときの、「生き残りをかけてさらなる上を目指したい」といった趣旨の発言が印象的だった。
その時点でリリース予定のタイトルは15本を数えていたが、インタビューでの「2020年もつねに新作ラッシュ」とのコメントに偽りはなく、続々とさらなるタイトルを発表、そして発売した。
圧巻だったのは、東京ゲームショウ2020 オンラインに合わせて開催された“PLAYISM Game Show”で、初お披露目を含む20タイトル近くを発表。溢れんばかりのタイトルラッシュに、取材している側はうれしい悲鳴を上げたものだ(うれしい悲鳴というのは便利な表現であります)。
さらに、PLAYISMの勢いを感じさせたのは、次世代機のローンチ時において。Xbox Series X/Sが船出した11月10日は『Bright Memory』を、プレイステーション5がユーザーの手に渡った11月12日は『Godfall』を、それぞれリリース。「異なるプラットフォームのローンチに、それぞれ違うタイトルを発売させるとは豪腕だなあ」と編集部でひとり感心していたものだ。
ちょいと話は前後するが、そんなPLAYISMが勢いのままに臨んだのが、11月7日に行われたオンラインのインディーゲームのイベントの“INDIE Live Expo II”。水谷氏もコメンテイターを務める同配信にて、気になるタイトルの進捗を明らかにした。
と、前置きが長くなってしまったが、同イベントで紹介されたPLAYISMタイトルの中から、いまの同ブランドの勢いを象徴する5タイトルを紹介しよう。今回、PLAYISMの担当者からコメントをもらっており、また違った角度から各タイトルの魅力に迫っているので、じっくりとお読みください。
『常世ノ塔』
24時間ごとに変化する“塔”で世界ランキングトップを目指す
- タイトル:常世ノ塔
- プラットフォーム:Steam
- 2020年11月7日アーリーアクセス開始
- 価格:980円[税込]
- ジャンル:アクション
- 開発://commentout
24時間でその構造が変わる不思議な塔“常世ノ塔”を攻略していく“ソーシャルローグライクアクション”。待ち受けるのは、凶悪なモンスターや一筋縄ではいかないトラップ。
登場する4人のプレイアブルキャラクターには、通常攻撃は存在せず、うまくかわしたり、逃げたり、アイテムなどを駆使することでダンジョンを攻略していくことになる。カギを握るのは、各プレイアブルキャラクターがそれぞれ持っている“攻撃スキル”。キャラクターのカスタマイズの自由度の高さも魅力。
プレイヤーがゲームオーバーになると、倒れた場所に墓石が建ち、最後に持っていた“遺品”と“最後の言葉”を選んで、ほかのプレイヤーのゲームに出現できる。そんな“ゆるめのソーシャル性”が楽しい1作だ。
アーリーアクセス版でのユーザーからのフィードバックを経て、2021年春に正式版を配信予定。
PLAYISM 代表 水谷俊次氏のコメント
以前からインディーゲームイベントで出展されるたびに大きな注目を集めていたタイトルが、ついにSteamアーリーアクセス開始となりました。24時間に一度構造が変わる塔を登り詰めていく、結構なガチアクションを求められるゲームです。毎日違うステージになりますから、今日はクリアーできなくても、もしかしたら明日はクリアーできるかもしれません。また、MODに対応しており、自分のオリジナルキャラクターをゲームに登場させることも可能。あなただけのキャラクターで実況プレイをするなど、いろいろな楽しみかたを発見してください。
『ウムランギジェネレーション』
“破滅が迫るクソみたいな未来で写真を撮るゲーム”
- タイトル:ウムランギジェネレーション
- プラットフォーム:Steam
- 2020年5月20日配信
- 価格:本編/1520円[税込]
- 開発元:ORIGAME DIGITAL
※ダウンロードコンテンツ“ウムランギジェネレーション マクロ”が11月7日配信、価格は1010円[税込]
Steamストアの威勢のいい惹句をそのまま引用すると“破滅が迫るクソみたいな未来で写真を撮るゲーム”。プレイヤーは、荒廃した未来のニュージーランドのタウランガ市で配達人として働きながら、カメラを手に、ステージごとに決められた目標を撮影して、クリアーを目指すことになる。カメラの機材や現像の方法によって、多彩な写真撮影の技術が満喫できる。
11月に配信されたばかりのDLC“ウムランギジェネレーション マクロ”では、VIPたちが優雅に過ごすラウンジ“ゲーマーズパレス”や下水道で政府への反抗心を燃やす人々が住まう“ハキダメ”などのステージ、さらには高速移動ができるローラースケート、政府への反抗心を示せるスプレー、ISOやシャッター速度調整などの新装備が楽しめる。
PLAYISM パブリッシング部 山中琢氏のコメント
個人的にもカメラは使っており、マイカメラだと、以前より室内で撮影すると色が抜けてしまう現象に悩んでいたのですが、最近『ウムランギジェネレーション』のDLCのチェックでISO切り替えをテストしていて、ふと気づきました。強制的にISO100にしたらいいのではと。あっさり解決しました。カメラのオートISOがお間抜けだっただけだったようです。そんなカメラ勉強ツールにもなる『ウムランギジェネレーション』、ISOやシャッター速度、絞り値変更はDLCのみなので、ぜひセットでどうぞ!
『くちなしアンプル』
ダンジョン育成ローグライクアドベンチャー
- タイトル:くちなしアンプル
- プラットフォーム:Steam
- 配信日:未定(近日公開予定)
- 価格:未定
- ジャンル:アドベンチャー
- 開発元:CAVYHOUSE
『わすれなオルガン』や『マヨナカ・ガラン』といった独特な作風で知られるCAVYHOUSEによるダンジョン農地化ローグライクアドベンチャー。
主人公である新米錬金術師のイレーヌ・モルガンは、潜ったダンジョンで集めたアイテムを活用しながら、より冒険を効率的に進められるように、そのダンジョンを“育成”していくことになる。ダンジョンを攻略していけば、仕掛けられた謎が徐々に明らかになっていく……と極めて気になる内容の1作。
イレーヌ役の伊藤静さんを始め、豪華声優陣が起用されているのも魅力だ。
PLAYISM パブリッシング部 山中琢氏のコメント
前作『わすれなオルガン』を遊んだ方ならおわかりになると思うのですが、このゲームも“育成”がメインです。ローグライクやストーリーはオマケ!(と言っては言いすぎですが)ローグライクはあくまでもダンジョンを育成するための素材集めの場所でしかありません。主人公のイレーヌも強くなりますが、どちらかと言うとダンジョン育成の余った素材を使うようなイメージです。序盤は育成よりもローグ要素強めですが、ダンジョンを“農地化”できるようになると一気に変わります。何と敵自体いなくなり、歩くだけでそのフロアの素材が手に入るようになります! 農業のオートメーションを体験できるローグライク! ジャンルの情報が混雑していますが、ゲームとしては気軽に遊べるので、ぜひダンジョン育成の楽しさを味わってみてください。
『REPLICA(レプリカ)』
他人の携帯を覗き見る……背徳的な“インタラクティブノベルアドベンチャー”。
- タイトル:REPLICA(レプリカ)
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- 2020年11月7日発売
- 価格498円[税込]
- ジャンル:アドベンチャー
- 開発:Somi
『REPLICA(レプリカ)』は、韓国の個人インディーゲームデベロッパーであるSomi氏が開発した、携帯電話とソーシャルメディアを題材とした“インタラクティブノベルアドベンチャー”。
本作のモチーフになるのは、主人公が拾った持ち主のわからない携帯電話。本作では、携帯電話を探りながら、持ち主の情報や行動記録を調べて、テロリストの証拠を集めて国家保安部へ申告することになる。
ひと通りのストーリーを見るだけなら、人によっては2時間程度で終えられるというコンパクトなゲームだが、“他人の携帯電話を覗き見る”という行為は、なかなかにうしろめたくて刺激的だが、それが国家の安全に寄与するのか……? という、中々に不思議な感覚のタイトルだ。
PLAYISM パブリッシング部 村林小百合氏のコメント
皆さんは他人の携帯電話をこっそり覗いたことはありますか? え? 私? 私はありませんよ……(微笑)。このゲームは携帯電話一台ですべてが進行するという尖ったゲーム。しかも国家に囚われ監視されて、隣の部屋にいる他人の携帯電話からテロリスト容疑の証拠を集めて報告するなんて背徳的。しかもキャッチコピーが「他人の携帯電話の中にある私生活を覗きみる変態行為が、貴方をこの国最高の愛国者にしてくれるはずです」なんて痺れないわけがない。
ヒントはほとんどないので難易度は非常に高いですが、この世界観にピンときた方はぜひ。ワンコインですし。しかしなんでタイトルが『レプリカ』なんでしょうね?
.……君はもう少し鋭い人間かと思っていたよ。すぐ迎えに行くよ。
『シルバー2425』
須田剛一氏の名作アドベンチャーがワンパッケージに
- タイトル:シルバー2425
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- 2021年2月18日配信予定
- 価格:5980円[税抜]
- ジャンル:アドベンチャー
- 開発元:グラスホッパー・マニファクチュア
グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏による名作アドベンチャー『シルバー事件』と『シルバー事件25区』がひとつのパッケージになってNintendo Switchでリリース。
『シルバー事件』では、新興都市“カントウ24区”の警察署である24署の捜査官である主人公が、収容中の病院から脱走した殺人犯ウエハラカムイ”を追いかける顛末が描かれる。
その6年後の出来事が描かれる『シルバー事件25区』では、凶悪犯罪二課のクサビが、帰宅途中に突如何者かに発砲。そこからつぎつぎと謎の連続殺人事件が発生し、事件を追ううちに、20年前の伝説的事件“シルバー事件”の犯人ウエハラカムイに行き当たることに……。
ミステリアスなシナリオと、スタイリッシュな演出が冴え渡る 1作だ。
PLAYISM 代表 水谷俊次氏のコメント
もうかなり古い話となりますが、本作はニンテンドーDS版が予定されていたのですが、諸般の事情により中止になりました。そのため、いつかは任天堂プラットフォームで出したいなあと長年思っておりましたが、ついに実現できました。さて本作は、フィルムウィンドウと称される、ゲーム画面に現れるテキストや画像のウィンドウが一切固定されておらず、そのウィンドウは物語とシンクロするかのように躍動感をもって変化していきます。また、何よりそこで描かれる物語が「カッコいい!」としか言いようのないセンスの塊のようなタイトルです。とにかくもう、皆様にお伝えしたいことはただひとつ、「5万貸してくれ」。