THQ Nordic傘下のHandy Gamesが、The Wild Gentlemenによるアドベンチャーゲーム『Chicken Police』(チキンポリス)のXbox One/PC版を配信開始。なおプレイステーション4/Nintendo Switch版の配信を12月10日に予定している。
【本日発売】獣人たちの怪演に注目!
名コンビ刑事の活躍を描くノワールアドベンチャー !
『Chicken Police (#チキンポリス)』
Steam版⇛https://t.co/0DmzM5Crqr
Xbox版⇛… https://t.co/UwaV0JOtWe
— THQ Nordic Japan (@THQNordicJapan)
2020-11-06 17:54:05
本作についてはデモ版配信時にその内容をご紹介しているが、あらためておさらいしておこう。
『Chicken Police』は、獣人たちが暮らす世界を舞台にしたノワールテイストのアドベンチャーゲーム。かつて活躍したニワトリ刑事コンビ“チキンポリス”が、肉食獣と草食獣(と一部昆虫)が混じり合って暮らすクロービル市に潜む闇に迫っていく事になる。
キャラクターは俳優による実写演技に動物の頭部を合成してアニメーションさせたものとなっており、ヌルヌル動くなんとも言えないインパクトが印象的。日本語ローカライズは完全にハードボイルド小説のような力の入った翻訳となっており、動物たちが詩的で皮肉な丁々発止の会話劇を繰り広げるという、シブすぎる内容となっている。
推理要素やパズル要素がありつつもストーリー体験重視
さてプレイヤーは、引退間際の刑事サニーとして、かつてのチキンポリスの相棒マーティとともに、助けを求めてきたマフィアの情婦ナターシャ・キャッツェンコ(猫)の脅迫事件を追っていくことになる。
ゲームの作りとしては、ミニゲームを織り交ぜつつのポイント・アンド・クリック型のアドベンチャーゲーム。さまざまな場所に行き、関係者に話を聞いたり、時にパズルを解いたりしながら進んでいく。
相手の性格なども踏まえつつ選んだ質問をぶつけていく尋問パートや、集めた手掛かりを組み合わせて推理を組み立てるパートなど、探偵アドベンチャーっぽい要素もあるのだが、間違っていてもだいたい最終的には大事な情報を得られて先に進める親切設計。あくまでテイスト程度の軽めのもので、ハードボイルドな物語を体験する方に比重が置かれている印象だ。
肝心の事件の真相やそれに至る道のりも、推理モノ的な展開やカタルシスを期待すると少々異なるかもしれない。多くは触れないが、これは恐らく推理モノ的なカタルシスよりも、ビターな喪失感を拭い去れない、ある種の“ノワールっぽさ”のようなものを重視したからだと思われる。
ひとつ残念なのは、パズル要素とストーリーの結びつきが少々弱いことだ。「このキャラはこういう背景を持っているからこういう正解のパズルに違いない」といった推理が成立するような複雑な物にはなっておらず、物語とあまり関係なくただヒントとして配置されたヒントがそのまま答えに繋がっているという、ちょっとシンプル過ぎる出来。
本作、元々はゲームではなく映像化を目指していたそうなのであまりゲームデザインに凝るつもりはなかったのかもしれないが、もうちょっと作り込まれた世界設定やキャラのバックストーリーに絡めたものにしても良かったのではないかと思った次第だ。
刺さる人にはぶっ刺さる、見た目も内容もクセのあるゲーム
というわけで本作、獣人モノ+白黒ノワールという見た目だけでなく、シナリオを含めたゲーム的な作りも少々トリッキーなクセがあり、“クチバシに合う合わない”があるだろう内容となっている。
しかし、記者はどうなのかと問われれば、完全に大好物。飲めないバーボンを片手に、外の濡れた路面を見て遠い目をしたい気分だ。チキンポリスの二羽の、お互い意地を張りつつも底に信頼が生きているベタなバディもの描写とか、出会う男を虜にしてしまうナターシャのファム・ファタール(運命の女)っぷりとか、ストリートでたくましく生きる獣たちの粗野な軽口とかいろいろ最高!
クリアーまでは、解決まで一直線に進むか、余計な会話も含めて楽しむかどうかによって大分違ってくると思うが、目安を提示するならば4~6時間程度といった所。なおプレイによってアンロックされるギャラリー系や収集要素なども用意されているし、横道に逸れないと会わないキャラクターなどもいるので、自分のペースでじっくり遊ぶのをオススメしたい。