残暑も非常にきびしい8月下旬、2K主催による『NBA 2K21』の合同プレゼンテーション&インタビューの機会が持たれた。このご時勢を反映しての、オンラインによる開催だ。
『NBA 2K』シリーズと言うと、ご存じの通り2Kの看板シリーズと言ってもいいであろう人気フランチャイズ。“NBAをモチーフにしたバスケットボールゲーム”として、確固たる地位を築いている。「毎年楽しみにしている」というゲームファンも多いのではないかと思われる。
ことに昨年は、ワシントン・ウィザーズに入団した八村塁選手が日本オフィシャルアンバサダーに就任したということもあり注目度はひときわだったようで、記者がこっそり調べたところでは(まあ、こっそりではないけど)、昨年発売された『NBA2K 20』は、プレイステーション4版とNintendo Switch版を合算して、累計販売本数が前年比50%プラスくらいだったようだ。
八村塁選手は今年も日本オフィシャルアンバサダーに就任することが発表されており、『NBA 2K21』にとって追い風になるのではないかと思われる(ちなみに、言うまでもなく八村塁選手をゲームで再現するにあたっては研究を重ねているとのこと)。
ちなみに、情報メディアとして必要事項なので早めに触れておくと、『NBA 2K21』はプレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox One、PC向けに2020年9月4日発売予定。さらに、次世代機であるプレイステーション5とXbox Series X向けにもリリースされることが決定している。
さて、時間がないから巻き気味で進めますと、合同プレゼンテーション&インタビューに参加したのは、『NBA 2K』シリーズを開発するVisual Conceptsのエグゼクティブ・プロデューサー、エリック・ベニッシュ氏、シニア・プロデューサー、ベン・ビショップ氏、プロデューサー、ジョン・スミス氏、ゲームプレイ・ディレクター、マイク・ワン氏、制作開発ディレクター、チェン・ユー氏の5名という、『NBA 2K』シリーズの開発の中枢を担うそうそうたるメンバー。ここ数年、毎年シリーズの発売にあわせて来日しているエリック・ベニッシュ氏の「今年はうかがえなくて残念です」との言葉が胸に染みた。
ちなみに、当日のゲームのプレゼンに用意された時間は15分。「15分で『NBA 2K21』の魅力を語り尽くせるはずがないじゃないか!」という感じだが、そこは慣れたもので、皆さん本作の魅力を4つの項目に分けて紹介してくれた。
左からエグゼクティブ・プロデューサー、エリック・ベニッシュ氏、シニア・プロデューサー、ベン・ビショップ氏、プロデューサー、ジョン・スミス氏、ゲームプレイ・ディレクター、マイク・ワン氏、制作開発ディレクター、チェン・ユー氏。
ゲームプレイはシリーズ史上最高の操作性
シリーズ史上最高の操作性を実現したという『NBA 2K21』。シリーズを重ねるごとに進化する『NBA 2K』シリーズからすれば、それは“命題”とも言うべきものだが、本作では、選手のシュートやドリブルを操作する“プロコントロール”を大幅に強化。 “シュートメーターを、タイミングバーから照準システムに変更”や“新しいシュートタイプや選手のディフェンス・シグネチャームーブ、体格のよい選手のコートにおける存在感の強化”、“プレイヤーがポイントガードを作成する際、身長を最大203cmまで設定可能にした”といった点で強化が図られたようだ。
ちなみに、操作性を向上させた理由に関しては、このあと行われた質疑応答の答えを先取りして紹介してしまうと、「バランスです。操作性を向上させて技術があるプレイヤーに対して、それに応じた“リワード”(報酬)を与えたいと思ったんです」とのこと。一方で、「初心者も楽しめるようにバランスは調整しています」という。
毎年操作性を洗練させていこうという開発陣の姿勢には本当に頭が下がる。具体的な変更点は以下の記事に詳しい。
[関連記事]『NBA 2K21』公式サイト“現世代機版 - コートサイド・レポート”
“マイチーム”は、1年を通して楽しめる施策を用意
選手のカードを集めて、自分だけのオリジナルチームを組んで戦う“マイチーム”は、1年を通して楽しめる施策を用意するとのこと。週末だけ対戦できる“リミテッド”があり、カードの進化もさらに多様化するとのことで、楽しみかたがさらに広がりそうだ。また、プレイステーション4、Xbox Oneから、プレイステーション5、Xbox Series Xにセーブデータをリンクできるとのことで、次世代機版の購入を考えているユーザーも気兼ねなく楽しめそう。
10の大学が公認された“マイキャリア”
NBAの選手となっての、オリジナルのストーリーが展開されるおなじみの“マイキャリア”。タイトルはずばり「The Long Shadow “その道の先に待つもの”」で、NBA行きが叶わなかったバスケットボール選手を父に持つ主人公のジュニアが、みずからの手で進むべき道を切り拓いていくことになる。今年の大きな特徴は、10の大学のプログラムが公認されたこと。高校生からキャリアが始まり、高校から大学、そしてNBAへとつながっていくことになるようだ。
アメリカでは、フットボールにしてもバスケットボールにしても、大学リーグの人気が高いのはご存じの通りだが、ついにここまで来たか! という感じだ。公認大学は、ミシガン州立大学、コネチカット大学、フロリダ大学、ゴンザガ大学、シラキュース大学、テキサス工科大学、オクラホマ大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ビラノバ大学、ウエストバージニア大学。日本人のさほどバスケに詳しくない記者にはピンとこないが、見る人が見れば、「おおお!」と唸らせる大学が揃っているのであろう。
“マイキャリア”恒例のキャスト陣は今回も豪華とのことで、ジェシー・ウィリアムズ(『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』)、マイケル・ケネス・ウィリアムズ(『THE WIRE/ザ・ワイヤー』、『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』)、ジャイモン・フンスー(『ブラッド・ダイヤモンド』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)、ミレイユ・イーノス(『THE KILLING ~ 闇に眠る美少女 』、『ワールド・ウォーZ』)などが登場するという。さらに、カバー選手であるデイミアン・リラード選手とザイオン・ウィリアムソン選手が本人役で出演するのだとか。
ちなみに、プレゼンを担当した、ベン・ビショップ氏からは、「前作に比べてゲームプレイの特徴が強化している」、「フィーチャーされる選手がどのようにキャリアを伸ばしていくか、キャリアの先に待つものに注目してほしい」との気になる発言も。まあ、タイトルがずばり“その道の先に待つもの”だものなあ……と思いつつ、「まるで映画のような豪華なキャスト&演出」という“マイキャリア”が楽しみ!
本作のいちばんの注目ポイントか? “ネイバーフッド”の新ロケ-ション“2Kビーチ”
プレイヤーが“マイキャリア”で作成したオリジナルキャラクターが“日常生活”を送れるバーチャル空間である“ネイバーフッド”。3-on-3のストリートバスケなどが楽しめるこの空間。『NBA 2K21』で新たに加えられたロケーションが“2Kビーチ”。何と優雅な……という感じだが、“2Kビーチ”には、Swag's、The Rec、NBA Storeなどがある近代的な施設が軒を連ねているとのこと。開発陣は、プレイヤーが一年中何度でも訪れたくなるように、“2Kビーチ”でたくさんのイベントを開催していく予定なのだとか。
「“2Kビーチ”は、実際のビーチをモデルに、いちから作り上げました。野外で太陽の光を浴びながらバスケをできるのが最高! 開発者としては、ありったけの思いを込めました」とはチェン・ユー氏の言葉。「ビーチにありったけの思いを込めたとはどういう感じなんだ?」といったところだが、百聞は一見にしかず……ということで、本記事の公開に合わせて“ネイバーフッド”の最新動画が公開されているのでチェックしてみてください。
新型コロナウイルスにも負けず、いいものができた
プレゼンのあとは開発陣への質疑応答に。ちなみに今回集まったメディアは、ゲームメディアとバスケットボールメディアを合わせて11媒体(!)。これだけの数が集まるところに、『NBA 2K』シリーズの日本における広がりを実感したりもする。各媒体はそれぞれ思い思いの気になる質問を投げていったわけだが、図らずも多かったのは、やはり……と言うべきか、新型コロナウイルスに関すること。
新型コロナウイルスの影響により、Visual Conceptsの開発陣もテレワークでの作業が主体となったようだが、ベニッシュ氏は、「直接会って会議ができないので、テレビ会議などの通常とは違った形でコミュニケーションを取らねばならず、たいへんでした」と、コロナ禍による開発には苦労が伴ったことを述懐。ただし、「チームとして、コロナ禍に適応していいゲームができました。“こんなにすばらしいことができたんだ!”ということに注目してほしいです」と誇らしげに語った。
また、ご存じの通り新型コロナウイルスの影響により、NBAのシーズンも変則的となることを余儀されてしまったわけだが、「選手のレーティングに影響はなかったのか?」との質問には、「イレギュラーではありましたが、私たちは選手に対する知識があるので経験で補うことができました。イレギュラーなシーズンの障壁にはならなかったです」とのこと。シリーズとしての蓄積の重みを感じさせた。
ちなみに、選手の動きは、さすがにはモーションキャプチャーを使ったようであるが、選手たちにはマスクを着用してもらうなどの配慮をしたようだ。
また、コロナ禍のいま、NBAの試合も無観客で行われているが、「『NBA 2K21』では、無観客は再現するのか?」との問いには、どうやらその点は開発陣も考えたようだが、最終的には「観客がいることがプラスになると考えました。高揚感や臨場感があるからです」と、観客を描くことにしたようだ。記者にはこれは、「早くゲームで描いている状況に戻ってほしい」というメッセージとも、NBAに対する応援とも受け取れて、ジーンとなる返事であった。
ちなみに、NBAでは無観客試合の静寂への対策として、『NBA 2K』の歓声音を使用することを検討していたようだが、これはNBAからの提案とのこと。この火急の事態を、協力して乗り切っていこうとの姿勢が見える。
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また、『NBA 2K21』では、『“マンバ フォーエバー” エディション』にこの1月に事故で亡くなった故コービー・ブライアントさんをフィーチャーしているが、「ユーザーさんの反響は?」との質問には、「(フィーチャーしたことが)べつの形であったらと残念に思いますが、たいへんな反響があります。開発者にとってもファンにとっても、彼の情熱がレガシー(亡くなった人が残した財産)として残される『“マンバ フォーエバー” エディション』は、取り組みとして誇らしく思います」とのことだ。
最後に「『NBA 2K21』の改めての見どころと、日本のファンにメッセージ」を求められたベニッシュ氏は、“3ポイントシュート”にあやかって(オシャレ)3つ挙げてくれた。
「『NBA 2K21』は、ひとつふたつではなくて、いろいろとよくなったので、とにかく楽しんでほしい。 “ネイバーフッド”やゲームプレイだけではなくて、いろいろとアップデートされています」
「2Kのスタッフと決めたことなのですが、現行機版の『“マンバ フォーエバー” エディション』を購入すると、次世代機版のゲーム本編が無料でもらえます。ゲームはすばらしいので体験してほしいです」
「日本のファンの皆様に感謝します。今年は日本に行くことはできなかったのですが、来年はそういう機会があることを願っています。私たちは世界のファンの皆様に支援されながらゲーム開発をしていますので、その支援に感謝しています」
しっかりブザービーターが決まったというところか。何はともあれ、見どころの多い『NBA 2K21』の発売日を楽しみに待ちたい。