スクウェア・エニックスが9月4日に発売予定のアクションアドベンチャー『Marvel's Avengers (アベンジャーズ)』のメディア向けベータテストが、一般公開に先駆けて行われた。その後日、プレイしたメディア向けインタビューが行われたので、本稿ではその内容をお届け。今回のインタビューで回答してくれたのは、クリエイティブ・ディレクターのShaun Escayg氏と、ウォーゾーン・ディレクターのPhil Therien氏のおふたり。
Shaun Escayg
『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』クリエイティブ・ディレクター
Phil Therien
『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』ウォーゾーン・ディレクター
――本作の物語はアベンジャーズファンのカマラ・カーン(ミズ・マーベル)の視点で描かれ、ベータテストでも、たとえばカマラがファンフィクションを手掛けていることがわかるなど、随所に彼女の「好き」の片鱗が見えます。これはやはりプレイヤーの感情とリンクさせる狙いがあるのでしょうか?
Shaun仰る通り、カマラ自身がアベンジャーズのファンであるということにより、プレイヤーとの繋がりが引き出せるという狙いはあります。また、彼女はアベンジャーズをアイドル視していますが、物語を進めて彼らと接することで、彼らの欠点も見えてくるのです。この部分にも着目していただきたいですね。もちろん、欠点があるからダメなのかと言えばそういうことではなく、それをチームで補い、ともに成長していくことこそ本作の醍醐味になっていると思います。物語はカマラを中心に描かれていますが、それは本作のメインヴィランであるモードック(ジョージ・タールトン)と同じように、A-Dayの事故で特殊な能力を身につけてしまったからでもあります。それぞれが特殊な能力を得たキャラクターであるにも関わらず、その後に歩む道が表裏一体になっているわけですね。ストーリー全体では、その対比についても描かれているがゆえに、カマラを主人公にすることが適切だったと思っています。
――ゲーム内に、カマラのファンフィクションがオーディオログの形で収録されているとは思いませんでした(笑)。
Shaunオーディオログは全部で10個用意しています。また、それ以外の形でもファンフィクションが登場するのですが、いまはまだ言えません(笑)。製品版でプレイをする際のお楽しみにしていてください。
――お楽しみと言えば、追加キャラクターとしてはホークアイが公開され、2021年にはPS4版限定でスパイダーマンが追加されることも明らかになりました。それぞれどのようなキャラクターになるか、言える範囲で教えていただけますか。
Shaunホークアイ(クリント・バートン)が追加されると、彼を中心としたオリジナルストーリーも展開されます。彼がどのようなキャラクターとして描かれているかという部分ですが、大きくインスパイアされているのはコミックの名場面ですね。ホークアイのオリジナルストーリーは、本作全体のストーリーにもつながっていくものになります。バトルの面では、高精度の弓矢による射撃攻撃を得意としていて、テックアローやトリックアローという弓矢の技を武器に戦います。なお、ホークアイの物語が紡がれるミッションはソロでも協力プレイでも遊べるものになります。そしてスパイダーマンに関してもホークアイと同じく、本作オリジナルのスパイダーマンの物語になるということです。いま言えることはそれだけですね。
※画像は配信をキャプチャーしたものです。
――本作のバトルにおける、キャラクターのバランスについてはどのように考えられていますか?
Phil開発サイドが本作の動きのデザインとして念頭に置いていたのは、ヒーローごとに「こういうプレイスタイルがいい」というものをプレイヤーに押しつけないということです。とにかく自由に動かし、試していただいて、自分なりの動きかたを探ってほしいという意図でデザインしています。
――そういう意図がキャラクターの育成やギア(装備品)収集などにも反映されている?
Philはい。本作の特徴のひとつに、各アベンジャーズのカスタマイズ要素が豊富であることが挙げられます。代表的なものとして見た目(スキン)やエモートなどがあるのですが、その中のひとつとしてギアを用意しました。ギアを導入することで、多くのファンの皆さんに自分の思い描いていたアベンジャーズを再現できるようにしたかったのです。プレイヤーの選択次第では、たとえば近接攻撃が得意なアイアンマンにすることもできますし、遠距離射撃が得意なアイアンマンにカスタムすることもできますので、楽しんでいただきたいです。
――キャラクターの育成に関する素朴な疑問なのですが、スキルツリーのポイントの振り分けに関しては、途中で振り直しができますか?
Philベータテストでは、1種類のスキルツリーしかありませんが、製品版ではスキルツリーが2種類あります。ひとつは基本スキルで、もうひとつが上級スキルですね。基本スキルはポイントの振り直しができないのですが、そこから発展して習得する上級スキルは、ポイントの振り直しができるようになっています。
――育成要素とは少しズレるかもしれませんが、拠点となるヘリキャリア内も、物語を進めるとどんどん変わっていくのですよね?
Shaunヘリキャリアの復旧はストーリーに直結する部分のひとつになります。ヘリキャリアが復旧すれば、その見た目も変わりますし、新たなコンテンツが解放されていくことにもなります。当然、各ヒーローの部屋にも入れるようになったりします。
――「序盤からキャプテン・アメリカで遊びたい!」という人もいると思うのですが、本作ではストーリーの進行に応じて使用できるキャラクターが増えていくのでしょうか。
Shaunおっしゃる通り、本来であればストーリーに沿った形で登場していきますが、「どうしても!」ということであれば、ストーリーで解放されていないキャラクターで遊べる“アベンジャーズ・イニシアティブ”というモードがありますので、そこで遊んでいただくことが可能です。ただ、その場合ストーリーのネタバレになってしまうようなことが発生するので……あまりオススメはしません(笑)。
――ベータテストのミッションには、敵の殲滅、特定目標の発見や破壊、特定エリアの制圧などがあるようでしたが、ほかにどんなものがありますか?
Phil目標物を破壊するとひと口に言っても、ミッションごとにさまざまな変化があります。例に挙げていただいた3種類以外だと、SHIELDの捜査官を護衛するミッションや、パズル要素があるようなミッションも用意していますね。
――そのパズル要素というのは、レイドのように協力してプレイするようなものですか?
Philレイドに近いパズル要素は用意する予定です。こちらも詳細は追って公開していきたいと思います。
――ベータでは、くり返し選べるミッションが中心になっていたものの、メインキャンペーンに該当するヒーローミッションが遊べるのは一度きりでした。「もう一度あのシーンを見たいな」なんて思ったりもしたのですが、製品版も同様の仕様なのでしょうか。
Shaunヒーローミッションは、本作のメインキャンペーンのストーリーが進行するミッションになります。残念ながら、そこは何度もプレイできる形にはなっていません。
――ウォーゾーンでは同じミッションでも敵の種類が変化したり、保管庫の扉を開けるギミックが異なっている場合がありました。これは、決まっているいくつかのパターンからランダムで決まるようになっているのですか?
Philご指摘いただいたウォーゾーンのランダム要素は、すべてのミッションにではないものの、用意しています。システム的な話をすると、敵の種類に関しては、挑戦するチャレンジレート(難度)によって変わることもありますね。保管庫の扉を開けるギミックに関してはおっしゃる通り、いくつかのバリエーションがあります。また、一部のミッションでは、挑戦時にフィールドの時間帯が変わるものも用意しています。
――仲間がAIかほかのプレイヤーかでミッションの難度は変わりますか?
Phil 協力プレイ時は、仲間がAIでもほかのプレイヤーでもミッションの難度自体は変わりません。ただ、ミッションの難度の調整はできるので、より強力なアイテムを手に入れたいのであれば、難度の高いミッションに挑戦するということは可能です。
――ミッションプレイ中にフィールド全体を見られるマップはないのか、少し気になりました。“戦術意識”はあるのですけれど……。製品版もこの仕様なのですか?
Philそうですね。“戦術意識”で目標物や仲間の位置関係を確認していただければと思います。フィールドの全体マップについては用意していません。
――ベータでは敵の遠距離攻撃が強い印象があったのですが。
Philベータなどでのプレイ状況は、データとして開発チームにフィードバックされ、スキルの能力などの調整に役立てます。敵の遠距離攻撃が強いというご指摘ですが、開発側のチューニングの問題である可能性もありますが、ギアやプレイスタイルによってもそう感じる可能性がありますので、今後、バランス調整は製品版後以降も含めて吟味したいと思います。ひとつアドバイスをするなら、ブラック・ウィドウは回避能力に優れていますので、彼女を使うことで解決するかもしれません。また、敵の攻撃を回避することでそのヒーローが強化されるギアを装備したり、アイアンマンを操作しているのであれば、エネルギーシールドを発動して遠距離攻撃を防ぎ、ほかのプレイヤーに倒してもらう、という戦法もいいかもしれません。
――ベータで遊べるミッションは限られていましたが、製品版でのミッションのボリュームはどのくらいに?
Philベータはほんの一部であり、製品版には多くのミッションがあります。ベータではひとつのミッションをくり返し遊ぶことになるかもしれませんが、製品版ではそういったイメージにはならないと思います。また、発売後にもどんどんコンテンツが追加されていく予定です。さらに補足をすると、使っているキャラクターやそのレベルによってもミッションの印象も変化します。使うキャラクターをローテーションすることで、また違った楽しみを見出せるのではないかと思います。
――製品版発売後にウォーゾーンのミッションも随時追加されるとのことですが、時間限定、あるいは季節限定のミッションなどが用意される可能性はありますか?
Phil詳細についてはまだ語れませんが、ひと言で言えば、時間限定イベントやシーズンイベントは構想しています。その中でも、時間限定のイベントは、イベントを開催するだけではなくてストーリー要素を盛り込もうと思っています。そういったイベントが開発、実装しやすいシステムを構築していますので、期待してください。
――ベータでは、巨大兵器のウォーボットと戦えました。製品版では、こういったボスと戦えるミッションは用意されるのでしょうか。また、ボスにはメジャーヴィランのほか、どのようなキャラクターがいるのでしょうか。
Phil製品版ではボス戦に特化したミッションも用意しています。本作のヴィランはAIMということもあって、ロボット型の敵は多くなるのですが、有名なヴィランもボスとして登場します。また、ストーリー上に登場するボス、たとえばタスクマスターやアボミネーションとは一度戦っただけで終わりではない、ということだけお伝えしておこうと思います。しかも、ウォーゾーンミッションで戦う際には、ストーリーで戦ったときとは少し違います。いまはまだ詳しく言えないので、後日明らかにする予定です。
――ミッションをクリアーするとミッションスコアが表示されますが、このスコアが高いほどいいことがあるのでしょうか?
Philミッションスコアは、文字通りミッションをどれだけうまくクリアーできたかの指標になるものです。ミッション中に“戦術意識”を使うことで、スコアを稼ぎやすい行動を確認することもできます。ミッションスコアが高ければ高いほど、クリアー時の報酬がいいものになりやすいので、ぜひハイスコアを狙ってみてください。
――ギアに付与されているギアパーク(特殊効果)の付け直しは可能ですか?
Phil入手したギアのギアパークは変えられません。好みのギアパークがあればいったん取っておいて、よりよいギアが出た際に、取っておいたギアを解体してギアパークを取り出し、付けたいギアのリソースにするのがいいと思います。
――メディア向けのベータを受けて、製品版で調整しようと思ったフィードバックはありましたか?
Shaunフィードバックは社内社外を含め、多方面からいただいています。多くは、まだベータであることに起因する不具合で、それは現在進行中です。ほかにもたくさんの意見をいただいているのですが、現段階でひとつ言えるのは、修正タイミングは1回限りではないということです。発売直前や発売後にも、要望が多い部分は修正していきたいですし、パフォーマンスの改善もつねに行っていきたいと思っています。
――ズバリ、このベータのボリュームは、製品版の何パーセントくらいに該当するのでしょう?
Shaun具体的な数値は言えないですが、今回のベータの内容はごくごく一部です。製品版は、皆さんの期待を裏切らないだけのボリュームになっていますので、期待してください。
――これからいよいよ本格的にベータテストが始まりますが、皆さんに注目してほしいポイントはどこでしょうか。
Shaunとにかくファンの皆さんにいち早く触れていただき、さまざまな要素がある本作でアベンジャーズを総合的に体験してほしいと思っています。また、今回のベータテストは、今後プレイヤーの皆さんとどのようにコミュニケーションを取っていくかの土台を作りだとも思っています。あくまでもベータは出発点ですので、皆さんに多くのフィードバックをいただいて、よりすばらしいゲームを作り上げていきたいです。
Philまだ公開していない要素をたくさん内包したとてもエキサイティングなゲームなので、とにかく楽しんでほしいですね。皆さんがヒーローをどう育成し、どうやって遊ぶかを見るのも楽しみです。私自身も夜遅くまでプレイして楽しむと思いますので、もしかしたら皆さんとどこかで出会えるかもしれませんね(笑)。
ベータテストは8月7日から9日までのプレイステーション4版の予約特典ベータから始まり、8月14日から16日まではXbox One、Steamの予約特典ベータとプレイステーション4版ではオープンベータ、8月21日から23日は全機種でのオープンベータが実施されるので、この機会にぜひ触れてみてほしい。