2010年4月22日にプレイステーション3用ソフトとして発売された『NieR Replicant(ニーア レプリカント)』をベースとしたバージョンアップ作品として、プレイステーション4、Xbox One、Steam(PC)用ソフトとして発売される『NieR Replicant ver.1.22474487139...』(以下『NieR Replicant v1.22』)。一方の『NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)』は、 『NieR』シリーズ初のスマートフォン向けアプリ。檻(ケージ)と呼ばれる世界で、『NieR』の新しい物語が紡がれていく。

 本稿では、両作のコンセプトアートとスクリーンショットを、週刊ファミ通2020年5月14・21日合併号(2020年4月30日発売)に掲載した『NieR』10周年記念特集内インタビューの発言とともに紹介していく。

ニーア レプリカント ver.1.22474487139...

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_01
キーアートで少年ニーアがいる場所は神話の森。「いくつかラフを提出した中にそれがあって「ほかのものと雰囲気が違っていいね」ということで採用されました」(幸田和磨氏。キーアートやコンセプトアートを担当)。

 『NieR Replicant v1.22』はグラフィックはもちろん、バトル、フルボイス化などさまざまな要素がパワーアップ。さらに、ウェポンストーリー(ディレクターを務めるヨコオタロウ氏の作品ではおなじみの、武器に用意されるミニストーリー。武器を強化していくと物語の続きが読める仕組み)や追加シナリオなど新規要素も用意されるという。

 音楽はもちろん、岡部啓一氏が担当。同氏が人気コンポーザーになったキッカケの作品でもある『NieR Replicant』、そのバージョンアップ版『NieR Replicant v1.22』の楽曲については、「生演奏の部分を増やし、エミさんの歌やコーラスを収録し直してクオリティーを上げる、といった感じでブラッシュアップする方向で進めています」。

 開発を手掛けるのはトイロジック。ディレクターを務めるヨコオタロウ氏曰く、トイロジックの開発ディレクターは「田浦さん(田浦貴久氏。『NieR:Automata』のゲームデザイナーを担当。プラチナゲームズ所属)に負けず劣らずのイケメンなんですけど、田浦さんがいかにまともだったかというのを痛感しています。だって会議に傷だらけの顔でやってきたりするんですよ? 理由を聞いたら……(以下、略)。もう人の力では制御できない!」というほどの逸材(?)らしい。ちなみに、田浦氏も「開発にがっつり関わっているわけではないので肩書はないですが、強いて言うならアドバイザーのようなものです。たまに進捗を見させていただいている」という形で参加している。本作のバトルについてはヨコオ氏は、「『NieR:Automata』のファンの方が、気持ちよく遊べないとダメだと思うんです。なので、前作の少しモッサリしたものも味わいがあるにはあるんですけど、そこでネガティブな気持ちにさせるなら変えたほうがいい、という思いは、トイロジックさんも持たれていました」とのこと。バトルは『NieR Replicant』をベースにしつつも『NieR:Automata』ライクなものになるかも?

 コンセプトアートは『NieR:Automata』やコンサート、『舞台ヨルハ』などのキーアートを手掛け、いまやヨコオ作品のアートには欠かせない幸田和磨氏が担当。ティザーPVにも使われ、今回公開されたアートは、オリジナル版のスクリーンショットをもとに描かれているため、遊んだことがある方は具体的な場所がすぐにわかるとものになっている。

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_12
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_11
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_13

スケール感を増した『NieR Replicant』の世界

 砂の神殿、崖の村、石の神殿の庭園のスクリーンショットが公開。現世代機で描かれるエリアはいずれも壮大な雰囲気が漂い、スケール感もアップ。砂の神殿の埃っぽさ、崖の村の淀んだ湿っぽさ、寒々しさ、庭園の一見暖かな感じなど、空気感も感じられるグラフィックに。

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_16
砂の神殿
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_14
崖の村
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_15
庭園

ニーア リィンカーネーション

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_10

 『NieR』シリーズ初のスマートフォン向けアプリとなる、『NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)』。メインキャラクターデザインは、『NieR:Automata』と同じく、CyDesignation(サイデザイネーショ
ン)の吉田明彦氏が担当する。檻(ケージ)と呼ばれる世界で、『NieR』の新しい物語が紡がれていく。世界観は、『NieR Gestalt/Replicant』や『NieR:Automata』とは「世界観の共有はされているが、されてないみたいな」(ヨコオ氏)と、ふんわりとしたコメントで、たとえば、前2作のようにエミールが登場する、といったいような直接的なわかりやすい共有ではなさそう。「いわゆるヨコオワールドのひとつ、と考えていただければ。遊ぶと「なるほど『NieR』だね」という感じにはなると思いますよ」(齊藤氏)

 『NieR Replicant v1.22』と同様、幸田和磨氏がアート全般を手掛ける。キーアートに描かれている少女はカイネ(の少女時代)にも見えるが、新キャラクターとのこと(キャラクターデザインはCyDesignationの吉田明彦氏が担当)。新キャラクターで描かれる「あくまで『NieR』の新作で、『NieR Gestalt/Replicant』や『NieR:Automata』のスピンアウトではないです」(ヨコオ氏)。

 その少女の側に浮かんでいるのは、名前をママと言い、少女の面倒見てくれるお母さんのような存在だという。
 

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_07
こちらはスクリーンショット。ママの観光気分な発言が微笑ましい(笑)。ママはこの世界を熟知しているワケではなさそう!?

檻(ケージ)と呼ばれる不思議な世界で描かれる物語とは

 本作では塔やダンジョンはすべて檻(ケージ)と呼ばれ、公開されたコンセプトアートではさまざまなケージが描かれ、幸田氏がベースのモデリングまでやったものもあるとのこと。「石造りで、各パーツをユニット化していろんな塔を作れるようデザインしています」(幸田氏)

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_04
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_03
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_05
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_06

『NieR Re[in]carnation』はかなり物語性の強い作品に

 まだまだ謎が多い本作だが、ヨコオ氏と若手を中心とした『NieR』シナリオ班がいっしょに作っているという。齊藤プロデューサー曰く「スマホアプリはある程度の期間、続くコンテンツになるので、テキスト量もいちばん多い『NieR』作品になるかもしれないです。かなり物語性の強い作品だと思います」とのこと。

 本作の音楽も岡部啓一氏が担当。曲はすべて新曲になるようで、メインテーマは「(ヨコオ氏には)10年越しでようやく褒めてもらえましたね」(岡部氏)というほどで、岡部氏も手応えを感じている様子。「そのほかの曲は、いままでとの違いは出したいとヨコオさんには言われていたので、『NieR』っぽい雰囲気は残しつつ、ジャンルが違う曲もたくさん用意しています。『NieR』の楽曲はメロディーがしっかりあるボーカル楽曲のような構成が求められるんですけど、今回は違った雰囲気も感じていただけると思います」(岡部氏)。

『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_08
こちらもスクリーンショット。齊藤プロデューサーが「コンソール向けに出したくなる」くらいのクオリティー。
『ニーア』新作2タイトルのコンセプトアートとSSを開発スタッフのコメントを交えて公開_09

 『NieR Replicant v1.22』の発売、『NieR Re[in]carnation』のリリース時期はまだ未定だが、齊藤プロデューサーは、「なるべく10周年以内にはローンチ……と考えています。(『NieR Re[in]carnation』については)クローズドβテストを実施する予定なんですけど、告知はそう遠くない未来にできると思います」とのこと。両作ともプレイできるのはそう遠くない未来になりそう。続報も含め、楽しみに待とう。