2020年3月10日、サイゲームスが手掛けるソーシャルゲーム『グランブルーファンタジー』(以下、『グラブル』)は、サービス開始から6年の節目を迎えた。流行り廃りの激しいソーシャルゲーム業界の中で、『グラブル』は最前線を走りながらサービスを継続。テレビアニメ化やコミカライズなど、メディアミックス展開はもちろん、リアルイベントにも力を入れている。

 さらに近年は、コンシューマーゲームにも進出。対戦アクションRPGの『グランブルーファンタジー ヴァーサス』(以下、『GBVS』)が発売され、アクションRPG『グランブルーファンタジー リリンク』(以下、『リリンク』)も控えている。Mobageのいちタイトルとして誕生した『グラブル』は、6年のあいだに日本を代表するコンテンツへと成長を遂げた。

 作品の垣根を超えて広がりを見せる『グラブル』は、どこを目指しているのか? プロデューサーの木村唯人氏とディレクターの福原哲也氏を直撃した。(聞き手:週刊ファミ通編集長 林克彦)

週刊ファミ通2020年4月9日・16日合併号(Amazon.co.jp)

木村唯人氏(きむらゆいと)

『グラブル』のプロデューサー。『シャドウバース』や『プリンセスコネクト! Re:Dive』など、サイゲームスの人気作の数々を手掛ける、稀代のヒットメーカー。(文中は木村)

福原哲也氏(ふくはらてつや)

『グラブル』のディレクター。開発の中心人物のひとりとして立ち上げからチームに参加。近年はPS4用ソフト『GBVS』や『リリンク』のディレクターも務めている。(文中は福原)

『グラブル』が多くの人に長年愛され続ける理由とは

――『グラブル』が6周年を迎えました。2020年2月6日には『GBVS』が発売され、今後は『リリンク』も控えていますが、現状の広がりや規模感に、どういった手応えを感じていますか?

木村サービスを始めた当時では、想像がつかなかった展開になっているなと思います。最初はMobageのいちブラウザゲームからスタートしたので、まずはおもしろさや革新性、表現方法などを含めて、Mobageのタイトルの中でいちばんのゲームを目指そうと考えていました。

 その後、アプリ版がリリースされテレビアニメや家庭用ゲームを手掛けるなど、この6年間で『グラブル』の世界は加速度的に広がっていきました。

――『グラブル』の世界が想像以上に広がった、いちばんの転機は何だと思いますか?

木村転機になった出来事はいくつかありますね。アプリ版のCM、『アイドルマスター シンデレラガールズ』とのコラボ、ガチャピン・ムックの無料ガチャキャンペーン……。

福原直近ですと、一昨年のグラフェス(※大規模な『グラブル』のリアルイベント)や5周年記念シナリオイベント“000(トリプルゼロ)”も盛り上がりましたね。

木村『グラブル』は、もともと男性のユーザーが多かったのですが、3~5周年のタイミングで開催した“どうして空は蒼いのか”シリーズのシナリオイベントから女性ユーザーも増えたと思います。

3周年に公開されたシナリオイベント“どうして空は蒼いのか”(左)と、4周年時のシナリオイベント“失楽園 どうして空は蒼いのかPart.II”の1シーン。どちらも現在はSIDE STORYで楽しめる。
5周年時のシナリオイベント“000 どうして空は蒼いのか Part.III”で、“どうして空は蒼いのか”シリーズ3部作が完結。

――確かに『グラブル』は、外への打ち出しかたも革新的でしたよね。CMやコラボは話題性があって、大規模だったのも印象的でした。

木村初期から大規模なプロモーションは行ってきましたが、規模が大きければよかったかと言うと、そうではないと感じていて。もちろんプロモーションは大切ですが、コラボやイベントでユーザーにどういった楽しさを提供できるのかをよく考えて、実現することも大切です。しっかりと作り込んだ結果、好評価につながったのではないかと思います。

――なるほど。先ほど挙げていただいた転機となったタイミングでは、やはり新規のユーザーも増えているのですか? 6年も続いているとユーザーの離脱率も気になりますが。

木村新規のユーザーは増えていますね。ゲーム内に攻略情報やガイダンスを入れるなどして、初心者向けの施策も数多く行ってきたこともあり、定着してくれる初心者の方も増えています。

 また、離脱率ですが、長く遊んでくれている人ほど、離脱率は低いと感じていて。コラボやイベントをきっかけに復帰してくれることが多い印象です。

――ユーザーが増え続けているのはすごいですね。どこに注力したから、ユーザーが定着してくれているとお考えですか?

木村全部に注力しているからではないでしょうか。『グラブル』は総合力で勝負をしていて、ストーリー、キャラクター、ゲーム性など、あらゆることに力を入れています。

 人によって好みは違いますが、すべてに力を入れているからこそ、何かしらの要素が響いてゲームを始めてくれるし、継続して遊んでくれているのではないかと思います。

―― すべてに全力投球だから、ということなのですね。ちなみに、今後もファンを増やして継続して遊んでもらうためには、どういったことが課題だと考えていますか?

木村サービスを続けていくためには、変化が必要ですが、6年続いていると“『グラブル』はこういうゲームだ”というイメージもできています。そこを変えてしまうと、ファンの方はストレスに感じてしまう。いかにストレスを与えず、変化させていくのか。バランスよく両立させていくのかが、今後の大きな課題だと思います。

福原僕も木村と同じ考えです。運営型のゲームはどのタイトルもそうですが、よかれと思って変更しても、別物になってしまい、ユーザーが離れてしまう可能性があるので。

 あとは、6周年を迎えたタイトルなので、「いまから始めるのは……」と、躊躇される方も多いと思います。そういった方たちにどのようにアプローチをしていくのかも、つねに考えていることではありますね。

人気キャラクター“ベリアル誕生秘話”

――この6年のあいだに、たくさんの人気キャラクターも誕生しましたよね。ファミ通の表紙(2020年2月6日発売号)を飾ったベリアルとベルゼバブも大きな反響がありました。

木村それはとてもうれしいですね。

週刊ファミ通2020年2月20日号(Amazon.co.jp)

――新キャラクターを作るときは、こういう要素を取り入れると受けるだろうな、人気が出るだろうなと考えながら進めるのですか?

福原そうですね。基本的にどのキャラクターも例外なく人気者にしたいと思って考えています。まんべんなく手をかけているつもりですが、やはりその中でも、強い手応えを感じることがあるキャラクターはいますね。

――福原さんや木村さんたちの、想像以上に人気が出たキャラクターは誰ですか?

木村やっぱりベリアルじゃないですか。

福原ですね。木村は当初、“4周年のタイミングでこんなピーキーなキャラクターを出して大丈夫?”と心配していましたが(苦笑)。

木村そうだったね(苦笑)。ベリアルは出していいのか、悩んだ記憶があります。

――ベリアルは登場人物の中でも、ひときわ個性が強いですよね(笑)。

福原もちろん、ベリアルにもちゃんとした役割や理由があって、ああいうキャラになっているのですが、下品な言動が目立つだろうというところで多くの人は嫌悪感を抱くのではないかと予想していました。

 ただ、それ自体は敵としての憎らしさを狙った要素だったのですが、フタを開けてみると逆に好かれてしまったのは意外でしたね。

木村でも、ギリギリを攻めた結果、多くのファンに受け入れられたのはよかったよね。

福原ベリアルのセリフは、放送禁止用語をすべてチェックして、本当にヤバいものはいくつか直したりしましたからね(苦笑)。

――そんな苦労もあったのですね(笑)。

福原あと、ベリアルといっしょに表紙を飾ったベルゼバブに関してお話しすると、『グラブル』と『GBVS』の連動がうまくできて、認知されたキャラクターだと思います。

―― 連動がうまくできて認知されたとは?

福原もともとベルゼバブは、『GBVS』のラスボスとして生み出されたオリジナルキャラクターでした。でも、いきなりゲームに登場して「私が最強です」と言われても、長年のキャラクターのエピソードなどの積み重ねがある『グラブル』においてはうまく行かないだろうと考えるようになりました。

 そこで、『GBVS』に先駆けて『グラブル』に登場させることで、ベルゼバブに自然と興味を持ってもらえる流れができました。

木村『GBVS』に限らず、つねにそういった仕掛けを考えていて、いろいろ並行させて動かしてはいます。

 ただ、『GBVS』に関してはかなり計画的に開発を進めていて、『グラブル』とうまく連動させて、ベルゼバブを人気のキャラクターにできたと思います。

女性だけでなく、男性からも圧倒的な支持を得ることとなったベリアル。週刊ファミ通の騎空士アンケートでも、さまざまな項目でランクインした。
“黒衣の男”こと、ベルゼバブ。こちらは『GBVS』での姿。

――なるほど。ちなみに、新キャラクターが必要になったとき、キャラクターの素案はチーム全体で考えているのですか?

福原キャラクターの素案の多くは、基本的に僕が考えるようにしています。イラストレーターやライターからアイデアが出てくることもありますね。

 こんなキャラクターのイラストを描いてみました、こんなキャラクターのシナリオが書いてみたいですと、チーム内から持ち込まれることはあります。最近は方向性だけ決めて、ライターチームでどうしたいか揉んでもらうことも多々あります。

6周年シナリオイベントのタイトルに込めた思いと7年目のテーマ

――6周年では、十天衆をフィーチャーしたシナリオイベント“こくう、しんしん”が開催されました。3~5周年のタイミングで行われた “どうして空は蒼いのか”シリーズの後、単発のシナリオイベントを実施した経緯を改めて教えてください。

福原“どうして空は蒼いのか”で、周年のシナリオイベントをやった手前、また前後編です、三部作ですといったイベントを行うと2、3年かかる同じパターンを同じペースで続けるのはよくないと考えたのと、「単発というパターンもありますよ」と提案するのはこのタイミングしかないと思い、今回はそうしました。

―― “こくう、しんしん”という名前も印象的ですが、どのような意味があるのですか?

福原同じ周年シナリオイベントの“000(トリプルゼロ)”は、タイトルにいろいろな意味を込めていたのですが、もちろん今回もちゃんと意味があります。

 ストーリーを表面だけなぞるとおそらくわかりづらくはあると思いますが、“こくう”には何もない空間や大空の“虚空”と、作物を潤して育てる雨の“穀雨”。そして、“しんしん” には、“ 静かな様子” や“ 親”、“ 信”、“心”、“新”など、いろいろな“しん”の意味を込めています。そのそれぞれの言葉の意味が複合的に込められていて、シナリオイベント全体のストーリーを形容するようになっています。

――深い意味が込められているのですね。ストーリーはシスがメインですが、ほかの十天衆の物語も描かれていました。

福原シスを語るうえで、彼を取り巻く状況やほかの十天衆のエピソードも厚めに描く必要があると考えました。ひとりひとりに役割があり、問題が発生したとき、どんな感情で動いているのか、等しく描きたいなと。

 今回のシナリオイベントは、“どうして空は蒼いのか”より話のスケールは小さいですが、十天衆でスケールの大きい話をやるとどうしても大味になってしまうと考え、あえて小さい人間関係に集約させることで、個々のドラマをしっかりと描くようにしています。

6周年のシナリオイベント“こくう、しんしん”。十天衆のメンバー総出演の物語となった。

――ちなみに、シナリオイベントに登場するキャラクターは、どのように決めているのですか?

木村シナリオでやりたいことがあって決めるときもあれば、深掘りしたいキャラクターで決めることもありますね。

福原そうですね。難しいのは、選ぶキャラクターのペース配分と言いますか。『グラブル』では大枠として、シリアスなイベントを3回やった後は、コミカルなイベントを1回は挟むようにしています。

 また、シリアスなイベントが連続する場合も、似た系統のお話にならないように注意していますね。たとえば、2020年1月末のシナリオイベント“Spaghetti Syndrome”と翌2月末開催の“こくう、しんしん”はどちらもシリアス要素が強いシナリオですが、前者はSF要素強め&環境変化大、後者は小さな舞台で人間ドラマ重視、などの方向性の違いがあります。

 シナリオ自体はまずどういうテーマのものをどのような順番で実施していくか考えるので、その流れの中で登場するキャラクターが自然と決まる感じです。“四騎士”や“組織”など、定番化しているテーマは別ですが、基本的にキャラクター優先でシナリオを決めることはないかもしれません。

――イベントで、レアのキャラクターがフィーチャーされることは、今後もありますか?

福原もちろんあると思います。去年開催したイベントでは、“ノーレイン、ノーレインボー!”も好評でした。

 ただ、似たようなイベントを年に何回もやっても同じようなお話になってしまうと思うので、つぎのアプローチを考えているところです。喜んでいただけたのはすごく伝わってきたので、何かしらやりたいとは思ってますね。

――“こくう、しんしん”でも、シナリオに絡めたミニゲームがあって印象的でした。本格的なミニゲームは去年の夏から追加されるようになりましたが、これらはどういった発想から生まれたのですか?

福原シナリオイベントはソーシャルゲームの花形のイベントと考えています。毎月末に開催し、新しい物語と新キャラクターの登場なども相まって、話題性の高さやプレイ人口の多さなどで実際人気の高いイベントです。

 難易度は『グラブル』内でいえば“初心者向け”のイベントでもあります。なので、“四象降臨”や“決戦!星の古戦場”などのイベントと比較して、長年にわたってゲーム的な変化の少ないイベントになっています。

 それは「シナリオを楽しんでもらうこと」を重視しているからですが、とはいえ毎月“それだけ”というのもゲーム的にはダレてしまうので、シナリオとゲームを紐づけつつのアクセントとしてミニゲームを実装してみました。

――ミニゲームとはいえ、かなり作り込まれていますよね。開発は、どれくらい時間がかかっているんですか?

木村1ヵ月強くらいかかっているんじゃないの?

福原企画の準備を含めると、3ヵ月くらいはかかっていますね。プランナーも多数の施策を兼任している中で担当することがほとんどなのでたいへんですが、ミニゲームでも手を抜かず、ふつうのゲームを1本作るような感覚で手掛けています。

木村ただ、『グラブル』はブラウザゲームなので、ほかのゲームと比べて制約が多くて。ミニゲームはアクション系が多いと思いますが、ブラウザゲームだとそれが難しいといった問題もあります。

――これまで周年ごとに、今年はここに力を入れますというお話をうかがっていますが、6周年で意識しているところは?

木村6周年は全方位に広げようと思っています。十天衆の解放やアーカルムの転世のアップデートもあるので、コンテンツ全体の幅を広げることが6周年のテーマになります。

福原バトルシステム Ver.2なども、それにあたりますね。6年経ち、基本システムにも大なり小なり変更を加える時期になってきています。

 コンテンツに関しては、現状のユーザーボリュームとしては中級くらいか、ちょっと上の方が多いので、そこに向けた施策が多くなっていくかと思います。

木村ガイド機能は初心者向けですが、現在の『グラブル』は初心者の方がすぐに中級者の方々と遊べるようになっていますしね。

福原より楽にとか、難しいことを緩和させるといった手法で、初心者の方々も遊びやすいゲームにしたいと思っています。

バトルシステムVer.2が採用されたマルチバトル“リンドヴルムHL”。ガードシステムや予兆といった新たな要素が追加されている。
どうやったら戦力をアップできるのか? など、『グラブル』の基本を学ぶことができる“遊び方ガイド”。プレイの指針になるので、ぜひ一度は見ておきたい要素。

生放送で公開された『グラブル』の最新情報を深掘り!

――ここからは、『グラブル』の中身に関して、より詳しくお聞きしたいと思います。2020年3月7日の生放送で、十天衆の最終上限解放IIの情報が公開されました。驚いたファンも多いと思いますが、こちらを実装することになった経緯は?

福原十天衆の加入や最終上限解放は、ユーザーさんのキャラクターへの愛着もあって、いつの間にか“『グラブル』を代表するコンテンツ”になっていると感じていました。

 アーカルムの十賢者との差別化も図りたいと思いつつ、十天衆自体にもさらなる活躍の場を作りたくて実装することになりました。十天衆の最終上限解放IIを行うと、レベルを150まで上げられるようになり、その過程でアビリティを強化できるものを検討中です。

 レベル150というところでインパクトもあると思いますし、“最終上限解放II”は当面は“全空最強”と言われる十天衆だけのものとするつもりです。続報を楽しみにしてください。

――なるほど。あくまで現状は十天衆用のもの、という認識なんですね。最終上限解放IIを行うために必要な素材は、やはり集めるのに時間がかかりそうですが……。

福原十天衆が初めて実装されたときは「こんなの1年かかる! ムリ!」と言われていましたが、いまはプレイの方法によっては、やる気になれば数日とかで楽に仲間にできますからね。少なくとも最初は「キツイ」と思われるものにはなるんじゃないかと……。

木村まだまだ『グラブル』で楽しめますよ(笑)。

一同 (笑)。

――生放送では、新ジョブの“ランバージャック”と“キャバルリー”も公開されましたが、新ジョブのコンセプトを教えてください。

福原ランバージャックとキャバルリーは、特定の武器種の活躍の場を広げたくて企画したジョブになります。

 さまざまなジョブがある中でどうしても“使いやすい武器種”、“活躍の幅が少ない武器種”は生まれるものと思っています。一時は“刀”が不遇と言われていましたが、剣豪とクリュサオルでだいぶ活躍の幅が増えたと思います。ですので、現状においてメイン武器として扱う機会が少ない斧、楽器、槍、銃の中でどういうモチーフのジョブにしようと考えました。

 斧と楽器なら木こり、銃と槍なら騎兵というモチーフを思いつき、皆葉さんにデザインを起こしていただきました。つぎとしては、格闘もほぼレスラーのジョブしか選択肢がないので、こちらも新ジョブを実装して選択肢を増やしていく予定です。

 レスラー自体はだいぶ強いですが、ほかのジョブでも、格闘武器をメイン装備で活躍させられたらなと。

――ファンにとってうれしい試みですね。新ジョブは、取得条件もこれまでにない仕様になっていました。

福原ジョブに関しては多くのユーザーに遊んでもらいたいので、それほど難しい取得条件にはしないように調整しています。

新Class.IVジョブ、ランバージャック。
新Class.IVジョブ、キャバルリー。

――ランバージャックとキャバルリーは、Class.IVのジョブでしたが、Class.IIIなどではなく、いきなりIVになった理由は?

福原これまでは、Class.II、IIIと段階を踏んで強化していく流れがありましたが、いまClass.IやIIを追加しても、ただの通り道になってしまってほとんどのユーザーは不要と思うはずです。

 そこで、Class.IVにクリュサオルを追加する際は、Class.3.5(ゲーム中ではClass.III)に相当するグラディエーターからこれまでとは異なる強化の流れを実装していて。それも受け入れていただけたと感じたので、今回の新ジョブのランバージャックとキャバルリーでさらに幅を広げた感じになっています。

――なるほど。続いてイラストやSDキャラに関する質問ですが、5周年のときにファイターのイラストが変更されました。この経緯と、今後も既存のイラストを変更する予定があれば教えてください。

福原ファイターは、“グラン・ジータ”としてアニメやグッズなど、ゲームの外で活躍する機会の多い、ある意味で特別なジョブというか、『グラブル』そのものといってもいいビジュアルと思っています。

 ただ、もとのイラストは5年も前のものなので、新しいジョブのイラストと見比べるとどうしても古く感じてしまう。アニメなどを見て、『グラブル』を始めた新規のファンには、とくに違和感が強くなってしまうと考えて、5周年のタイミングで一新することにしました。

 そのため、ほかの既存イラストは、ファイターのように何か特別な理由がない限り、変更することはありません。

――“こくう、しんしん”では、十天衆の新しいイラストが登場しましたが、そういったことは今後もあるのでしょうか。

福原キャラクターの新しいイラストが登場することはあります。もとのイラストがアクロバティックなポーズを取っていて会話時の立ち絵として相応しくないときは、工数に余裕があるときに、会話用として自然なポーズのイラストを描き下ろすようにしています。

もともとのイラストがアクロバティックだったソーンなどは、会話用の立ち絵が追加された。

――『グラブル』は、SDキャラの動きにも力が入っていますが、動きのアイデアはデザイナーさんから出てくるのですか?

福原SDキャラの作画班がコンテも担当しているのですが、そのチームから提案されることが多いです。ただ、イラストレーターからアイデアが上がってくることもあるので、そのときは共同で考えるようにしています。

 ちなみに、最初の1年ぐらいは僕がSDキャラのコンテを担当していたのですが、仕事量が増えてきたので、十天衆のコンテを最後に卒業しました(笑)。

――(笑)。SDキャラと言えば、『GBVS』のダウンロードコンテンツ(以下、DLC)の “ナルメア”の購入特典で、『グラブル』内のナルメア専用スキンが入手できるのも新しい試みだと思いました。スキンを変えると、『GBVS』でのモーションを再現したアニメーションへと変化するこだわりもすごいですよね。

福原『GBVS』には、『グラブル』にはない格闘ゲームならではのオリジナルのモーションがありますが、『GBVS』からファンになって『グラブル』を始めてくれた人には、『グラブル』内で見るモーションが『GBVS』とまったく違うと違和感になると思いました。

 そこで、少しでも違和感をなくすために、スキンとしてモーションを変化させることにしました。DLCの購入特典がスキンであれば、ゲームの強さに直結せず、ファンの方も喜んでくださるのではと考えました。

木村ただ、『グラブル』本編と『GBVS』で連動する特典の仕組みを実装するのはいろいろたいへんだったよね。

福原そうですね。SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)さんがとても協力的だったので、何とか実現できました。この仕組みはゲーム業界史上初な気がします。

――そういう協力あってのDLCだったのですね。つぎはコンテンツに関する質問です。イベントの“ブレイブグラウンド”は、かなり洗練されてきた印象ですが、引き続き改修を行っていくのですか?

福原細かい調整は引き続き行っていきますが、大きな仕様変更は予定していません。追加機能や便利要素などの細かいものは段階的に実装していきます。

――ブレイブグラウンドの開催頻度が増えることは?

福原いまはだいたい3ヵ月前後くらいの間隔を空けていますが、短期的に短くなることはあっても全体的なペースは変えない予定です。

 複数編成を行うこと自体がユーザーさんの負担が大きいというのもあるので、つかれないように少し長めのスパンで開催しています。

 複数編成自体は「したい」という声が数年前からありましたが、とはいえシステムである程度自動化するなどカバーしないと「面倒」という声が上がるだろうと思い、ふたつ目のパーティーを自動編成できるようにして、ユーザーさんがあまり深く考えずとも“複数編成を組むこと”が達成できるようにしました。

 しかし開催を重ねるごとにユーザーさんも慣れてきて、オートではなく自分で編成したい、むしろオートがジャマという声も大きくなってきました。それらの声をもとに少しずつ改修していきつつ、ほかのかたちで複数のキャラクターを使うコンテンツを発展させられたらなと思っています。

――『グラブル』のプレイヤーは、やり込み好きな人が多い印象ですが、そういった側面もあって、今後もブレイブグラウンドの強化や新しいコンテンツの実装に力を入れていくのでしょうか?

木村やり込みが好きな方が多いのは、サービスを開始してから6年経っているからだと思っています。長く遊んでいただく中で、“やり込みが楽しい”という方も増えているのかなと。

福原去年の前半までは、強くなって腕試しできる機会が古戦場だけだったので、やり込み好きなファンの方たちに向けて、古戦場以外のコンテンツを拡充させるべく、イベント内のPROUDや天上征伐戦などを登場させました。

木村なかにはあまりやり込み要素が好きではない方もいるので、その辺はバランスなのかなとも思っています。

――まさにバランスに関する質問があって。弊社の『グラブル』担当ライターから、“アーカルムの転世”の仕組みを改修する予定があるか聞いてほしいとお願いされています(苦笑)。現在は、どうしてもプレイに時間がかかってしまうということで。

福原時間がかかる、かからないは、個々のコンテンツの立ち位置によるものと考えています。

 今後、アーカルムの転世と同じようなプレイ感で、同じように時間がかかるコンテンツが増えたら、アーカルムに掛かる時間や手間というのは緩和することになると思います。

木村あくまで僕の個人的な見解ですが、アーカルムの転世に関してはプレイヤーの血液型的なものも大きく影響していると思っていて。

――血液型ですか?

木村アーカルムの転世は、コツコツプレイするのが得意なA型タイプの人は向いていますが、マイペースなB型の人は苦手だと思うんですよ。ちなみに、僕もB型なのですが、アーカルムの転世を毎日継続するのは得意ではないです(苦笑)。

――(笑)。

木村集中しているときはずっとできるんですけど、気分が乗らないとダメなんです。だから、毎日コツコツとアーカルムパスポートを消費することができなくて。

福原僕はO型ですが、一定のペースでずっと遊んでいますね。パスポートは、1度もムダにしたことがないですよ。

木村うそ!?

福原本当に(笑)。30枚になりそうなギリギリまで溜めちゃいますが、そのときは一気に3枚~6枚消費します。

――血液型が影響しているかどうかはわかりませんが(苦笑)、人によってけっこう違うんですね。

木村この問題は、ゲームの善し悪しではなくて、プレイヤーの性質に関わってくるので、難しいんですよね。1日に配るパスポートの枚数も、当初1枚にするか2枚にするかで、ギリギリまで悩みました。コツコツ消費できるユーザーにとっては、多いほうがいいんでしょうけど、僕のようなタイプは逆にストレスになってしまうので。

――消費しきれないと、ムダになっているなぁって思います。

木村ムダにし続けると、多くの人は嫌になるじゃないですか。それで配布するパスポートは1日1枚に決めました。

――ただ、2020年3月10日のアップデートで、パスポートの最大所持上限が30枚から90枚に増えたので、ムダになりにくくなっていますよね。溜めこみ過ぎてしまいそうではありますが(笑)。アーカルムの転世自体、“レプリカルド・サンドボックス”という新コンテンツも発表されています。

福原“レプリカルド・サンドボックス”は、今年の夏ごろを目標に鋭意開発しています。近くなったら新情報もお伝えできると思いますので、お待ちいただければと。

木村詳しいことは言えませんが、十賢者を仲間にするスピードは上がるかもしれません。もしかしたら、年内に10人揃える方が多く出てくるかもしれませんね。

ちなみにB型の担当編集のアーカルムチケットはこのような状況。この説、もしかしたら有力……?

――続報を楽しみにしています。あと、この機会にうかがいたかったのですが、5周年のインタビューのときに、福原さんからルーム機能を追加して猫が飼えるようにしたいというお話もありましたが……。

福原それはたぶん、こういう機能も考えられますよと例を挙げただけで、実際に予定しているわけではありません(苦笑)。

 当時、シナリオイベント“猫島狂詩曲”をきっかけに、猫が思ったよりも世間的に話題になっていたのでそう答えたのかもしれませんね。

――そうだったんですね(笑)。『グラブル』のシナリオイベント“メイクアップ&ゴー!”で、工房の模様替えを行うひと幕もあったので、ついにルーム機能も登場するのかなと。

福原確かにシナリオイベント中で、銃工房をカスタマイズするというものはやりましたね。

 じつは、ルーム機能に関しては、弊社のほかのタイトルが取り入れていることもあって、「『グラブル』でもやらないんですか?」と昔からたくさんの意見が届いています。ファンの要望に応えるために何度も議論を行いましたが、『グラブル』で実装してもあまり意味がないのではないか、という結論に至っています。

 というのも、『グラブル』でいわゆるルーム機能を実装するなら、ゲーム的な意味をもたせようとして、この家具を置くと攻撃力が何%アップするといった要素が必要になりがちで、そうすると必ずこれを置かなければいけないということなりそうで、それは違うなと。

 また、カスタマイズ要素のみを純粋に楽しんでくれるユーザーの方もいるのは理解しているのですが、『グラブル』の場合は大多数はそうではないと思い、そうなると継続的に家具を追加していくようなこともできなくなってしまい、逆に残念な思いをさせてしまうのではという懸念もありました。

木村グランサイファーをコンテンツ化したいという思いはあるので、いい方法はないか思案中です。

 もしかしたら、『グランブルーファンタジー スカイコンパス(グラパス)』の中に作ってもいいかもしれませんね。

 あと、ルームという意味で、“グラフェス”でグランサイファー内の一室を再現するという施策は行っていますので、皆さんに楽しんでもらえたらと思っています。

――確かに、グランサイファーの内部を見たいというファンは多いと思います。

木村個性豊かな仲間が多いので、それぞれ自分好みの部屋に改造していそうですよね。ファスティバのバーがあったり、カリオストロの錬金実験室があったりして。

――新たな仲間が増えるたびに、グランサイファーの内部がどうなっているのか気になります。この人数、どこに入ってるんだろう?って(笑)。

木村グランサイファーは、星晶獣のノアが作っていますからね。もしかしたら、内部の空間がねじれていて、見た目よりも広いのかもしれません(笑)。

 とはいえ、グランサイファーはアニメや『GBVS』に登場しているので、あのサイズよりも大きいことはないんですけど。

福原まぁ、そこを明らかにするのは野暮ってものかと(笑)。

ファンを喜ばせたくて生まれるコラボイベント

――『グラブル』はコラボイベントも作り込みがすごいですよね。コラボする相手の作品に対して、毎回強い愛情を感じています。

福原せっかくコラボをさせていただくからには、毎回相手の作品のことをしっかり勉強するようにしています。

 『グラブル』はオリジナル作品なので、どうすれば喜んでもらえるかは自分たちが手さぐりで考えていますが、コラボ作品には往年のファンがいるので、どのようにすれば喜んでもらえるのか、分析することである程度わかるんです。

 もちろん開発スタッフの中にもファンがいるので、これは絶対に押さえておくべき、やるべきだよねというのはわかるんです。ファンが求めていることに対して、喜んでもらおうと全力で取り組んでいる結果、コラボする作品への愛情を感じてもらえるのだと思います。

――作品をちゃんと読み込んでいるからこそ、ファン心理をくすぐるネタを入れているのですね。コラボをするときは、サイゲームスさんからお願いすることが多いのですか?

木村そうですね。こちらからお願いすることが多いですが、最近だと、原作者の方が『グラブル』のファンだからということで、コラボが実現することもあります。

――それは開発者冥利に尽きますね。『グラブル』のようにファンが多い作品だと、「うちとコラボしませんか」と声をかかることも多いと思いますが。

木村それが、じつはそんなにこないんですよ(苦笑)。

――え、そうなんですか?

木村門戸を閉ざしているわけでは決してないのですが。うちは他社さんのIP(知的財産)をお借りすることは多くても、お貸しすることはあまりなくて。

――あぁ、それでコラボしないという印象があるのかもしれませんね。サイゲームスさんからお願いするときは、コラボする作品をどのように選ばれているのですか?

木村そのときに大きな動きがあるものといっしょにやらせてもらうこともありますが、基本的には我々が「『グラブル』に登場するとおもしろいのでは?」と思った作品や、ファンの方が喜んでくれるような作品とコラボできるように選んでいます。

家庭用ゲームで新たなファンを獲得!

――『GBVS』や『リリンク』のお話もうかがいたいと思います。まずは、『GBVS』の反響を受けての手応えを教えてください。

木村反響は、我々の想像以上によかったです。いろいろなところで好評をいただいてますし、みんなもっと早く飽きてしまうのでないかと少し不安でしたが、オンライン対戦も盛り上がっていてホッとしました。『GBVS』から『グラブル』に興味を持ってくれた方が多かったのもうれしかったですね。

――格闘ゲームから、ソーシャルゲームのプレイヤーが増えるのはすごいですね。

木村格闘ゲームのファンはストイックな方が多く、原作のキャラクターのことを知らなきゃいけないという想いもあるみたいです。

――なるほど(笑)。操作するからには、原作の設定や背景をちゃんと知っておきたいと。

木村そうみたいですね。格闘ゲームのファンは、勉強熱心なんだなと感心しました。

――ちなみに、『GBVS』の購入者は、『グラブル』のファンと格闘ゲームのファンのどちらが多いと思いますか?

木村いまの感じだと、おそらく半々じゃないでしょうか。格闘ゲームのファンの購入者が多かったことも、手応えを感じています。海外での展開はこれからですが、日本での展開は成功と言えるのではと思います。

――発売時期は未定ですが、コンシューマーでは『リリンク』が発表されています。こちらの進捗と、いまの手応えはどうですか?

木村先日発表したところから、引き続き粛々と進んでいる感じです。

 残念ながら具体的にお話しできないのですが、遊んでみて、おもしろいなと感じるところまではできているので、このまま開発が順調に進めば、皆さんが満足してくれるタイトルを届けられるという手応えはありますね。

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――公表できないと思いますが、社内でこのタイミングまでには『リリンク』を出すぞという目標は、決まっているのですか?

木村発売時期の目標はあります。

福原「そこまでにマジで出すぞ」と緊張感を持って開発に臨んでいますね。

木村発売時期に関しては、もう少し現実味を帯びてきたら発表したいと思います。

――楽しみにしておきます。これは『リリンク』に限った話ではありませんが、今年はプレイステーション5 やSTADIA(ステイディア)など新しいプラットフォームの登場が期待されます。ゲーム市場は群雄割拠を迎える中で、それらの対応はどのようにお考えですか?

木村マルチプラットフォームで、なるべく多くの人に遊んでもらいたいと思う一方、なるべく早く出すのも大事なことだと考えています。

 新しいプラットフォームへの対応を同時にするかどうかは、まだわかりませんが、移植は後からでもできるので、まずは皆さんのもとへ早く届けることを重視したいです。

――ちなみに、『GBVS』や『リリンク』のほかに、『グラブル』を使った新作のタイトルを、水面下で何か検討していることは……。

木村いくつか作ってみたいゲームはあるので、何かできればな、とは考えています。

福原僕もアイデアはぼんやりとはありますが、『GBVS』が発売したとはいえ、アップデートやDLCの開発はしばらく続きますし、『リリンク』もあるので、まずはそちらに注力したいですね。

木村『リリンク』も簡単に作れるゲームではないですからね。並行してそんなにたくさん作れないのですが、『グラブル』のカジュアルなゲームは手掛けてみたいなと思っています。

メディアミックスやリアルイベントもガチ!

――『グラブル』はマンガや小説、アニメなどのメディアミックス展開や、リアルイベントにも力を入れています。これまでの手応えや、今後の展開を教えてください。

木村まずメディアミックスの戦略ですが、いろいろやる中で、準備にかなり時間がかかることがわかりました。いい作品を生み出すためには、計画的に進めないといけないというのが率直な感想です。

 これまでは王道的なストーリーを描いてきたのですが、ユーザーの皆さんに新しい体験を提供するためにも、今後は振り幅が大きいシナリオにもチャレンジしていきたいですね。

――チャレンジという意味では、昨年放送されたテレビアニメのシーズン2も挑戦的に感じられました。各島のエピソードをシーズン1よりも長く描いていましたね。

木村シーズン2は、1と違う展開にしたいというのがありました。シーズン2で冒険する島は、ストーリーの深掘りができる島が続くこともあり、各島のエピソードを丁寧に描くことにしました。

 メインストーリーでは描ききれなかった部分を、ファンの方は肯定的に受け止めてくれたようですが、丁寧に描きすぎたせいで、テンポがゆっくりしているなという側面もありました。今後は、じっくり掘り下げるもののほかに、にぎやかなドタバタ劇も描いてみたいです。

福原ちなみに、2020年3月27日に放映されるテレビアニメ2期EX“ジータ篇”は、けっこうハチャメチャな内容になっていますので、ぜひお楽しみに(笑)。

――そうなんですね。観るのが楽しみです。

福原各種展開でグランがフィーチャーされがちで、それ故に王道少年主人公を地でいっています。

 その反面でジータにも活躍の場というのも用意したいと思っていて、王道主人公であるグランでは出来ないネタを拾ったりなどで多少の差別化を図ったりはしています。

 よく「グランと比べてジータは強キャラ」と言われることがあるのですが、そういう差をつけたいとは思っていません。本編以外のメディアに登場する際、グランとまったく同じバランスにすることは退屈でしかないので、王道主人公とはちょっと味付けの違うコミカルさであったり、よりゲーム要素の強いネタが盛り込まれることが多いので見かたによってはそう見えるかもしれませんが、公式として強さの優劣の差などは考えていません。

 とはいえ活躍の場が現状限られているのは事実ですし、ウチのスタッフにもジータ好きが多くて、『GBVS』のジータを見せたら「これであと5年はがんばれる」と言っていました(笑)。

一同 (笑)。

――メディアミックス展開で、新たにチャレンジしてみたいことはありますか? 劇場版や朗読劇を見たいという声をよく聞きますが。

木村オーケストラは過去にもやりましたが、そういった音楽系のイベントをまたやりたいです。『グラブル』の音楽はどれもすばらしいので。いまお話に出た、劇場版もやってみたいですね。毛色の違ったアニメ作品も作ってみたいです。

 朗読劇はじつは見たことがないので、どんなものになるのかイメージができなくて。一度見に行かなければと思っています。

――朗読劇は人気なので、ファンの方も喜ぶと思います。あとは、朗読劇のシナリオが本編の裏話的なものになっていると、ファンの方は喜びますよね。

木村ウチの場合は、本編の裏話的なシナリオは、ビジュアル込みでやりたくなっちゃうんですよね。そういうのを作ると、規模がどんどん大きくなる傾向にあります。

福原それに、『グラブル』のストーリーは6年かけて積み重ねてきたものなので、その場にいた人だけが知っていて、ゲーム本編で確認できない裏話や設定などがあると、嫌がるファンもいるのだなと思うことはありました。とはいえ全部がそうではなく、程度の問題とは思いますが。

――朗読劇に参加したファンだけが知ることができるのではなく、プレイヤーの誰もが平等に体験できる必要があるのですね。

木村そうですね。『グラブル』は、いまもなお続いているコンテンツなので、気をつけていますね。

――では、リアルイベントを開催してきた手応えと今後の展開をお願いします。

木村ほとんどのエンターテインメントがインターネットに集約されている現在は、友だちもネット中心という人が多いと思います。そういった方たちからすると、リアルで集まって交流できる場はとても貴重です。『グラブル』のリアルイベントは、ファンサービスの一環で始めましたが、ユーザーどうしで触れ合える場にもなっているんです。

 もちろん我々運営とユーザーが交流できる場としてもとても重宝しています。東京以外にも4都市で開催することで、喜んでくれるファンの方も多いですし、ゲームよりもリアルイベントに参加することが目的のファンもいるので。

――リアルイベントが目的のファンとは?

木村これは、当初考えもしなかったことなのですが、リアルイベントを続けるうちに、友だちといっしょにリアルイベントに参加するために、『グラブル』を始めるというユーザーさんもいらっしゃって。本来は好きなゲームのリアルイベントがあるから参加するはずなのに、目的が逆になっているんです。

 リアルイベントを楽しみにしてくれているファンのためにも続けていきたいですね。

――『グラブル』のイベントは規模が大きくて派手なので、魅了されるのもわかります。

木村リアルイベントでも年々新しいことにチャレンジしていますからね。キャラクターライブを開催したり、プロジェクションマッピングを使ったりして、ここだけの体験を楽しんでもらえるように意識しています。

――想いの根底には、ファンに喜んで欲しい、驚いてほしいというものがあると?

木村それもありますが、いちばんは『グラブル』の世界を感じてほしいんです。スマホは画面が小さいので、画面から飛び出した『グラブル』の世界をリアルに体験してほしいという想いが強いですね。

――リアルイベントの企画も、木村さんや福原さんが最終的にはジャッジをしているのですか?

木村ジャッジはしていますが、専門で引っ張ってくれているスタッフがいます。もちろん、監修などもしっかり行っていて、やりたいことがあれば伝えています。

――今年のリアルイベントの予定もだいたい決まっているのですか?

木村今年はけっこう決まってはいますね。

――今年も『グラブル』から目が離せませんね。7年目に向けた意気込みをうかがえれば。

木村僕は2年ほど開発から離れていたので、6年経ったと言われても、じつはピンときていなくて(笑)。ほかの作品と比べてもまだ若いタイトルだと思っていますし、やっていないこと、やれていないこともたくさんあると感じています。

 7年目ですが、気持ちとしてはどんどん新しいことに挑戦したいです。あと、6という数字にひとつ意味があるとすると、十二神将の折り返しの年になります。

 当初は「12年続けていくのはかなりのチャレンジだな……」と思っていましたが、ファンの皆さんのおかげで折り返すことができました。これなら残り半分もいけそうなので、ふつうの目標として残りの6人もがんばりたいですね。

福原ただ、十二神将はデザインの難度が毎年上がっていて(苦笑)。いちばん新しいビカラ(2020年1月に登場した十二神将)は、本当に苦労しました。

新たに登場した十二神将、ビカラ。

木村福原たちが苦労したぶん、ビカラはすごくいいキャラになったよね。こんなキャラが出てくるんだって感心した。

福原イラストチームの血と汗と涙が滲みまくっているので……。ビカラはラフ案が400もありますからね。これまでの十二神将は、だいたい200ぐらいだったんですが……。

――400!? それだけあって、よく決まりましたね。

福原本当にたいへんでした(苦笑)。6年間続いているゲームはいくつかありますが、『グラブル』のような規模を維持しているタイトルは、国内だと珍しいと思います。これもひとえに、応援してくれているファンの方たちのおかげです。

 今後は本編以外にも『GBVS』のアップデートや『リリンク』の発売も控えています。我々としては目の前の仕事をひとつずつ丁寧にこなしていきながら、いいものをお届けしていきたいと思います。