2009年10月15日に、5pb.(現・MAGES.)より科学アドベンチャーシリーズの第2弾として発売された『シュタインズ・ゲート』(通称『シュタゲ』)が本日(2019年10月15日)に10周年を迎えた。そこで本記事では、『シュタゲ』をより楽しむために、科学アドベンチャーシリーズの歴史や時系列をおさらい。

 なお、『シュタインズ・ゲート』の魅力や関連作品の紹介記事も掲載しているので、そちらも要チェック!

科学アドベンチャーシリーズ沿革

 『シュタインズ・ゲート』以外にも数多く展開する“科学アドベンチャー”シリーズに焦点を当てて、紹介・解説。科学を軸に、謎かけに満ちた物語は、プレイヤーの頭脳を刺激するものとなっている。

カオスヘッド ノア

発売日:2009年2月26日
※PCでリリースされた『カオスヘッド』は2008年4月25日発売。

それは現実か、妄想かその手で剣と真実をつかめ

【作品の特徴】美少女×サスペンスという新境地

 妄想科学アドベンチャーというジャンル名を冠するシリーズ第1弾作品。妄想というテーマに、科学的視点から切り込む異色作として話題を呼んだ。主人公の西條拓巳のずば抜けた妄想力が、プレイヤーをサスペンスの渦に誘う。本作はPC作品『カオスヘッド』にヒロイン個別ルートなどを追加したものとなっている。

 恋愛要素を前面に押し出したスピンオフ作品、『カオスヘッド らぶ Chu☆Chu!』も発売。本編とこの作品の両方が収録された『カオスヘッドDUAL』というタイトルもあった。

ロボティクス・ノーツ

発売日:2012年6月28日

オタクたちの絆が、世界を救う

【作品の特徴】少年たちの成長と冒険を描く群像劇

 拡張科学アドベンチャーと銘打たれた、シリーズ第3弾。廃部の危機に追い込まれた“ロボ部”の部員たちが“君島レポート”という怪文書を手にしたことで、世界は大きく動き始める。プレイステーション Vitaでは本作をより遊びやすく再構築した『ロボティクス・ノーツ エリート』が発売された。

ロボ部最大の目標は巨大ロボットの制作

主人公・八汐海翔の幼なじみである瀬乃宮あき穂。巨大ロボの建造を夢見ているが、部長を務めるロボ部は廃部の危機に。

壮大な陰謀の告発文 君島レポートの真偽は?

10年前に殺害された天才科学者・君島コウが残したとされる“君島レポート”には、悲劇的未来を描いた預言が記されている。

カオスチャイルド

発売日:2014年12月18日

再び、妄想の扉が解き放たれる

【作品の特徴】プレイヤーを裏切り続ける衝撃のシナリオ

 渋谷を舞台に、新たな登場人物たちの物語を描く妄想科学アドベンチャー。新聞部に所属する主人公・宮代拓瑠たちが追いかける不可思議で残酷な事件の目的とは? プレイヤーの疑心を逆手に取るかのようなシナリオが、高い評価を得ている。

怪死事件の真相を暴け!

科学アドベンチャーは、“トリガー”という独自の分岐システムを持つのが特徴。写真は本作のシステム“マッピングトリガー”。

 甘い恋愛描写を楽しめるスピンオフ作品、『カオスチャイルド らぶ chu☆chu!!』も発売中。キュートなイベントシーンの数々は必見だ。

オカルティック・ナイン

発売日:2017年11月9日

世界はインチキに溢れてる超常科学アドベンチャー開幕

【作品の特徴】濃厚な個性がぶつかり共鳴するオカルティックストーリー

 SNS連載を原作とするゲーム作品。オカルトをテーマにした“まとめブログ”の管理人である主人公は、“幽霊”の存在に関わる大きな陰謀へと巻き込まれていく。本作と『アノニマス・コード』は一時期、科学アドベンチャー外の作品として区分けされていたが、現在は志倉千代丸氏がこの区分けを撤廃。シリーズ作品として扱われることに。

※科学アドベンチャーシリーズとして扱われることになった経緯は以下のインタビューをチェック。

まとめブログの記事が分岐を作り出していく!

主人公・我聞悠太は、アフィリエイト目的で“キリキリバサラ”というオカルトブログを運営している。

ロボティクス・ノーツ DaSH

発売日:2019年1月31日

何度だって世界を救うのは―オタクだ

【作品の特徴】『ロボティクス・ノーツ』のその後を描く続編

 前作に引き続き、拡張科学アドベンチャーと銘打たれた本作では、かつての“ロボ部”のメンバーたちの新たな活躍が見られる。阻止されたはずの“人類牧場化計画”がネットワークの裏側で再び動き出すとき、少年たちは再び、大切なものを守るために立ち上がる……!

『シュタゲ』のダルも登場!

前作から約半年。高校を卒業した八汐海翔、瀬乃宮あき穂らが夢を模索する姿も描かれる。

アノニマス・コード

発売日:未定

世界の幕をくぐり抜け神をハッキングせよ!

【作品の特徴】未来の魔法使い“ハッカー”たちの物語

 志倉千代丸氏の新プロジェクトとして発表された『アノニマス・コード』。同作の舞台は、2037年の東京・中野。ハッキングを生業にする高岡歩論(通称:ポロン)が、突然セーブした時点に戻ることのできる“セーブ&ロード”の能力を得る。この能力を駆使して、謎に満ちた事件に身を投じていくポロン。彼がたどり着く、世界の真実とは?

ポロンの仲間・弓川十字(通称:クロス)。ハッキングの仕事をともにこなしているようだ。

物語の舞台中野はハッカーたちの戦場!

主人公のポロンは、セーブ&ロードの能力を駆使して、出来事を“やり直し”ながら物語を進めていく。

 なお、発売延期をくり返している『アノニマス・コード』だが、その制作状況や発売日については、志倉千代丸氏が別のインタビュー記事で下記のように言及している。ぜひその真意をインタビュー記事で、チェックしてほしい。

――最新作となる『アノニマス・コード』は、2019年発売というお話もありましたが、進捗はいかがですか?

志倉シナリオを書き続けている状態ですから、2019年には出ません。ただ、来年のオリンピックには先を越されたくないですね。

――難航している部分があるのでしょうか?

志倉いまからすごい言い訳をしますよ(笑)。これまでにいちばん遠い未来を描いたのが『ロボティクス・ノーツ』です。2019年の物語を2012年に出したので、発売時から見て7年先の未来。遠い未来を描くということは、未来のテクノロジーを自然に入れていかなければいけません。だからと言って、シンギュラリティ(技術的特異点)がどうだ、AIが人間をどうこう、みたいなことはあり得ない。
出典:MAGES.のKADOKAWAグループ独立を志倉千代丸氏に直撃インタビュー! 志倉社長が描くMAGES.の未来とは?

科学アドベンチャーの原点となった作品たち

 志倉氏は過去のインタビューで、下記の作品を「ある意味、科学アドベンチャーの原点」と語っている。両作品とも、氏が原案を務めており、意外性と奥行きのある物語が楽しめる。

Que〜エンシェントリーフの妖精〜

プレイステーション2
メーカー名:プリンセスソフト
発売日:2007年6月28日

アイテムゲッター〜僕らの科学と魔法の関係〜

ニンテンドーDS
メーカー名:5pb.
発売日:2009年8月6日

科学アドベンチャーシリーズの構造

 科学アドベンチャーシリーズには、時代は違えど同じ世界観を持つ作品が多い。本項では、作品を物語としての時系列順に並べつつ、そのつながりについて紹介する。世界線、世界層の違いにも注目だ。

シリーズにおける世界線と世界層という概念

 『シュタインズ・ゲート』では“世界線”という横の広がりを持つ概念が使われているのに対して、『オカルティック・ナイン』や『アノニマス・コード』では“世界層”という縦の広がりを持つ概念が使われている。世界線理論においては、世界はひとつの世界線の上に収束しており、並列世界が同時に存在することはない。世界層理論においては、世界がいくつもの層になっており、上下に無限に世界が存在しているという考えかたになる。

世界線のイメージ図
世界層のイメージ図
科学アドベンチャーシリーズの時系列イメージ図

『カオスヘッド ノア』

 『カオスヘッド ノア』では、“ニュージェネレーションの狂気”という猟奇連続殺人事件が発生。この事件の裏では、世界をディストピアに導こうとする計画が動いており、のちに渋谷大地震と呼ばれる大きな災害も起こる。主人公の西條拓巳は、否応なく陰謀に巻き込まれることになり、精神を削られていくが、その結果として妄想を具現化する剣“ディソード”を手に入れる。最強の能力者となった彼は、世界のためではなく、愛する人のために戦うことを決意するのだった。

拓巳はほかのシリーズ作品でも、“疾風迅雷のナイトハルト”というハンドルネームでたびたび登場する。

『シュタインズ・ゲート』

 『シュタインズ・ゲート』では、過去の改変という行為によって世界線が変動していくが、この変動は通常の人間には感知できない。しかし、主人公の岡部倫太郎は“リーディング・シュタイナー”という特殊能力で、世界線移動前の記憶を持った状態で新たな世界線へたどり着ける。岡部はこの能力を駆使し、椎名まゆりが死に、未来でディストピアが形成されてしまうα世界線、牧瀬紅莉栖が死んで第3次世界大戦が勃発してしまうβ世界線といった悲劇的な運命を回避できる唯一の世界線、“シュタインズゲート”を目指す。この世界線の上に、科学アドベンチャーシリーズの物語は広がる。

シュタインズゲート世界線とは?

 世界線は通常、“アトラクターフィールド”と呼ばれる世界線収束範囲の中に納まっている。このため、過程を変えたとしても、大きな出来事は決まった結果へと行き着く。この現象により、過去をどう変えようとも“紅莉栖の死”、もしくは“まゆりの死”という大きな壁が岡部の前に立ちはだかることになる。この悲劇を回避する唯一の世界線“シュタインズゲート”は、アトラクターフィールドの境界面上にあるとされている。この世界線は収束の影響を受けることがないため、未来は不明だが、可能性に満ちている。

『シュタインズ・ゲート ゼロ』

 紅莉栖を助けることをあきらめた、β世界線の物語。後悔と失意に沈み日常生活を送る岡部は、人間の記憶をコンピューターに保存し、活用する人工知能“アマデウス”を託される。この世界線での岡部の成長が前作につながり、奇跡を生むことに。

『シュタインズ・ゲート』の結末とは異なる世界線だが、ここでの出来事は、奇跡の糧に。

『カオスチャイルド』

 『カオスヘッド ノア』で発生した渋谷大地震の6年後を描いた作品。“ニュージェネレーションの狂気”の再来を思い起こさせるような凄惨な事件がつぎつぎに起こる。過去作とのクロスオーバー要素は薄めだが、あるルートでは、『カオスヘッド ノア』の主人公である西條拓巳が知恵を貸してくれる展開も見られる。

主人公たちは、事件を追い掛けるうち、引き返せない闇に足を踏み入れてしまう。

『ロボティクス・ノーツ』

 2019年を描いた『ロボティクス・ノーツ』。種子島を舞台に、“君島レポート”という告発文を見つけた主人公たちが、世界の裏側で暗躍する計画を阻止するために立ち上がる。ロボット工学やARといった要素が盛り込まれた同作は、2019年1月31日に、『シュタゲ』のダルが活躍する新作『DaSH』もリリースされた。

『ロボティクス・ノーツ』の世界では、“ポケコン”というタブレット端末が普及している。

『オカルティック・ナイン』

 256人もの人がつぎつぎに池へ入水し、自殺を図るという不可解な事件が発生する。『シュタインズ・ゲート』と同一の世界線上ではなく、主人公たちが同作をゲームだと認識している、異なる世界層の物語の作品。しかし、『カオスヘッド ノア』などに登場した“300人委員会”の影も見え隠れする。

怪現象を科学で射抜き怪事件の真相を暴け!

オカルトを科学で暴く、という『オカルティック・ナイン』。謎が謎を呼ぶ物語は、多くのユーザーの心を惹き込んだ。

『アノニマス・コード』

 こちらも『オカルティック・ナイン』と同様に、『シュタインズ・ゲート』とは世界層が異なる作品。本作では地球シミュレーターという、地球を丸ごとシミュレートできるシステムが存在しうる世界を描いており、世界の動きをゲームのようにコントロール、つまり“セーブ&ロード”できる可能性が存在する。主人公は、とあるきっかけでこの能力に目覚め、世界へのハッキングを開始する……。

ポロンや仲間たちの物語が展開する本作。だが、その物語やゲームシステムに関しては謎の部分が多く、続報が待たれる。

暗躍する300人委員会

 科学アドベンチャーシリーズでその名がよく聞かれるのが、300人委員会という組織。彼らは世界中で暗躍しており、世界の調和を保つために人口を削減したり、人類を家畜化するといった計画を目論んでいる様子。世界層の異なる作品でも彼らの存在が確認されているため、その影響力は想像をはるかに超えそうだ。

奇妙な事件の裏には300人委員会の影が

300人委員会は、世界を裏から操る存在として描かれている。直接対決の日は来るのか?

 科学アドベンチャーシリーズの振り返りは以上。シリーズ最新作となる『アノニマス・コード』をはじめとする、今後の展開に注目だ!