SWERY氏との立ち話をお届け、「『The Good Life』Xbox One版はとにかくやりたかった」

2018年11月20日に、日本マイクロソフトオフィスにて、ID@Xbox プログラムの1000タイトル達成をきっかけとしてプレスセミナーが行われた。会場にあのSWERY氏がいたので、何となくふらっと話を聞いてみた。そんな立ち話をちょっとお届けしたい。

 2018年11月20日に、日本マイクロソフトオフィスにて、ID@Xbox プログラムの1000タイトル達成をきっかけとして行われたプレスセミナー。その詳細に関してはすでにアップ済みのリポート記事をご確認いただきたいのだが(下記リンク先をご確認のこと)、同セミナーにてひときわ注目を集めていたのが、ゲストとして登壇したSWERY氏。

『The Good Life』の新情報も! 新配信タイトルも3本発表されたID@Xboxプレスセミナーが開催

2018年11月20日、日本マイクロソフトはID@Xboxプレスセミナーを開催。マイクロソフトのビジョンやID@Xboxの現状、新作タイトルの発表などが行われた。ここでは、その模様をリポートしよう。

 SWERY氏がなぜID@Xboxのイベントに登場したかというと(上記リポート記事をご一読いただければ詳らかなのだが)、先日メキシコで行われた“X018”にてSWERY氏の新作『The Good Life』がXbox Oneでもリリースされることがアナウンス。その発表を受けてSWERY氏より、「日本のメディアに改めて、『The Good Life』がXbox Oneでリリースされることを報告したい」との思いから実現したものなのだ。

 『The Good Life』といえば、ファミ通ドットコムでも適宜追いかけているタイトルということもあり、ご存じの方も多いかと思うが、SWERY氏が自身のスタジオWhite Owls設立後に初めて発表したタイトル。2度目の挑戦にしてKickstarterの目標をクリアーするなど、SWERY氏のゲーム人生を象徴するかのような、なかなかに劇的な来歴を持っているタイトルだ。Xbox One版のリリースが決定したのも、ある意味で『The Good Life』らしい展開と言えるだろうなあ……などと思わず感慨にふけりつつ、プレスセミナー後の試遊会の会場で、SWERY氏にちょっとだけお話をうかがうことができた。以下に紹介するのはそのやり取り。

おなじみSWERY氏。インタビュー時に気づいたのだが、シャツはピーナッツ。おしゃれ!

――プレスセミナーでおっしゃっていましたが、Xboxというハードとは縁があるみたいですね。

SWERYそうですね。海外で僕の名前が知られるきっかけになった『レッドシーズプロファイル』(英語タイトル『Deadly Premonition』)は、それこそ海外ではXbox 360でしかリリースされなかったんですよ。

――ああ、そうなんですね。

SWERY日本では、プレイステーション3版も出たのですが、海外ではXbox 360だけだったので、ファンベースはXboxファンの方がけっこう多いんですね。そのあとに、『D4: Dark Dreams Don’t Die(以下、『D4』)』につながっていますので。僕が新しい会社(White Owls)を作ったときに、海外の皆さんからは『D4』はもう出ないと思われていて、「Xboxファンを見捨てないで!」というメッセージをたくさんいただいたんです。それが、先日リリースされた『The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島』(以下、『The MISSING』)がXbox Oneに対応したことに続いて、今回の発表があったことで、「ありがとう!」というメッセージをたくさんいただきまして、「Xboxユーザーは僕にとって重要なファン」ということを改めて認識しました。

――なるほど。とくに海外においては、SWERYさんにとってXboxはなくてはならないプラットフォームだということですね?

SWERYそうですね。Xboxがなかったら海外で『Deadly Premonition』はそんなに遊ばれていないと考えると、運命めいたものがありますね。

――『The Good Life』のXbox One版は、そんなユーザーに対する恩返しの意味合いもあるということですか?

SWERYもちろん、そういう意味あいもありますが、やはり作り手としては、プラットフォームを問わず、できるだけ多くの皆さんに遊んでもらいたいというのが願いです。ただ、Kickstarterというファンディングの兼ね合いで、目標値を高く設定できないので、最初は絞ったプラットフォームで展開せざるを得なかったのですが、この先についてはできるだけ多くのプラットフォームで出したいという気持ちは、ずっとあります。

――クリエイターさんなら、それは当然の思いですよね。

SWERY実際のところ、『The Good Life』に関しては、Kickstarterを達成した直後から、僕のほうから「何かいっしょにやりたいですね」と、ずっと相談していたんです。BitSummitのときも直接打ち合わせをしておりますし、PAX EASTの会期に合わせてレドモンド(マイクロソフト本社の所在地)にもうかがっていました。どう実現させるか……ということで、時間をかけて打ち合わせを重ねていたんですね。それがきれいにまとまったので、“X018”で発表させていただいたんです。

――Xbox Game Passのタイトルに選ばれたんですよね?

SWERYそうです。Xbox Game Passに入るタイトルは数が絞られているので、光栄なことですね。入ることでユーザーさんの目に触れる機会も増えますし、ありがたい話です。

――それだけ評価されたということなのでしょうねえ。そんな『The Good Life』ですが、現状の進捗は順調ですか?

SWERYと思います。ただ、ゲーム作りというのは、この先から。アルファ版以降ですよね。アルファ版でゲームのメカニクスが見えたところでこなすべき物量が決まってきて、そこから作るのですが、そこは慎重にやっていきたいという感じですね。

――たしかBitSummitのときに、それまでは試行錯誤していたが、ようやく方向性が見えてきて、年内にある程度形が整いそう……といった主旨の発言をされていた記憶がありますが、それが現在完成しているアルファ版?

SWERY氏と二木幸生氏が『The Good Life』のKickstarter成功の秘密を語る、とはいえ「本当の地獄はこれからだ!?」【BitSummit Volume 6】

ここでは会期2日目に行われた『The Good Life』のセッションをお届けしよう。当日は、White Owls のSWERY氏とグランディングの二木幸生氏が登壇し、“クラウドファンディングとインディーゲーム”をテーマにトークを行った。

SWERYそうです。

――ということは、もう方向性は見えているということですね?

SWERYそうですね、道筋は見えています。実際に実装してみて、遊んでみて、理論が正しいかどうかを確認するのがアルファ版なので、そのプロセスをいまやっています。理論が正しいのかどうかは、感覚とかレスポンスとか、音楽とかいろいろなものがあるじゃないですか。そういうものが、ちゃんとミックスされるかどうかを試しているところです。

――プレゼンでは、自転車や犬、猫などの動きが動画で紹介されていました。「開発がリアルな動きにこだわって」とのことでしたが、SWERYさん的にも細部にこだわる?

SWERYそれもありますし、インディーゲームの流儀にならったというのもあります。というのも、インディーデベロッパーは、皆さん週末とかに“スクリーンショットサタデー”といって、作りかけの絵をSNSにアップしたりとか、開発の進捗状況を逐一報告するんですね。それで、開発プロセスからユーザーさんにタイトルになじんでもらって、あたかもいっしょにゲームを作っているような感覚を味わってもらう。それが大事だと思っています。

――ああ、今回もその一環ということですね。今回披露した映像もどこかで公開するのですか?

SWERYはい。Kickstarterのバッカーさんにアップデートとして月一でリポートをお送りしているので、その機会にお見せする予定です。

とにかくこだわったという犬と猫の動き。

――ところで、いま開発でいちばん大変な部分はどこなのですか?

SWERYそれを言うと、犬や猫って自然に見せるとなると、異常にアクションが多いんですよ。立った状態のアクションを全部作ったとしても、ではつぎは座った状態ではどうなんだろうって感じで、また(作業が)倍加していったりするので、開発的にはそこが一番しんどいところですね。僕自身は、シナリオがしんどいです。僕の仕事だから(笑)。

――シナリオはまだ終わっていないのですか?

SWERYシナリオは、開発が終わる間際までずっと書きますね。全作品そうですよ。

――シナリオが完成しないとゲーム作れないのでは?

SWERYぜんぜんそんなことないです。僕のスタイルだと、先に“世界”があってシナリオは開発の中盤以降です。ですので、シナリオが出来上がるまでは、みんなは世界を作っています。

――シナリオができたら、開発陣はそれに則って一気呵成に作り上げるという感じですか?

SWERYゲームのコアメカニクスとか、遊びを作ってそれを使ってストーリーでつなぐのがシナリオだと思っているんです。

――なかなかおもしろい作りかたをしているのですね。

SWERY僕の中で最初にシナリオがあったのは『スパイフィクション』だけで、以降はどうやって遊ぶかとか、どういうアクションをするかというが先に決まったうえで、それをつなぐシナリオを書いていました。『レッドシーズプロファイル』も先に町にいるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)を作って、「じゃあ、この人を殺そう」、「犯人はこいつにしよう」という感じでシナリオを作ったんです。『D4』はシナリオが大事でしたけど、同じスタイルを踏襲しています。

――ということは、『The Good Life』は、いま結末が見えていない状態で、何となく「どうしようかな」と考えている状態ですか?

SWERY大筋のプロットはあります。でもシナリオは状況次第で変えられるようにしないといけないので……。たとえば、膨大なシナリオを書いたけど、「締め切りがきました。ゲームを発売できません」となったら困るじゃないですか。そういう意味での、頭から最後までの押さえるべき基本となる“箱”はありますね。

――最終的にはちょいちょい調整して……という感じですか?

SWERY基本全部変えています。まあ、ほかのクリエイターとはアプローチが違うんだと思います。

――たしかに独特な開発スタイルのようですね。ちなみに、いまシナリオ作業はどれくらいの状態なのですか?

SWERY箱があってキャラクターもいて、その人の性格とか喋りかたも全部決まっています。「だいたいこんな風に動く」というのも決まっています。

――それって、もしかしていちばん楽しい状態でもあり、いちばん苦しい状態でもあるということですか?

SWERYめちゃくちゃしんどいです! いま新幹線での移動中に必死で書いています。これが半年くらいはずっと続きます。

――では、気になる発売日は……?

SWERY発売は、2019年の第3クォーターを目指しています。そのタイミングで、クオリティーや対抗作品とかをパブリッシャーさんと相談しつつ、いつがベストかを判断する予定でいます。

――以前お話をうかがったときは、「これくらいの開発規模でオープンワールドのゲームを作るのは、ありえない」とおっしゃっていましたが、開発は順調そうですね。

SWERY開発を担当するグランディングのメインプログラマーの方とてもしっかりされていて、そのへんは助かっています。その方はきっちりとした仕様書を、作業のように作っていくタイプではなくて、いっしょに考えてくれて、それをプログラムで実現していくタイプの方なので、そういう意味でのスピードアップというのはありますね。

――その開発スタイルは、SWERYさんに合っていそうな感じですね。きっちりと作業のような作りかたをする人だったら、ストレスが溜まってしまいそうだ。

SWERYきっちり決めちゃうと、15年くらいかかりますね(笑)

――『The MISSING』のリリースは早かったですし、本来はスピード感溢れる作りかたを身上とするのかしら?

SWERY本当は、そうですけど、やはりモノによると思います。『The MISSING』は新しさが見えていたタイトルだったので、それが表現できていれば、我慢できるところは我慢できたんですよ。ただ、『レッドシーズプロファイル』や『D4』のころは、新しく表現しなければならないものの難易度がすごく高かったんです。そのために、時間がかかってしまいました。今回は犬猫がいるので、そういう意味では“勝ち筋”が見えているので、たぶん大丈夫だと思いますよ。

――なるほど。それだけ犬猫の動きが重要ということですね。ところで、動物は犬猫以外に登場するのですか?

SWERY犬猫以外の動物もたくさん出ます。本作のために視察でイギリスに実際行ってきて、その自然を見たら、「(『The Good Life』が構築する)自然の中で、動物たちのかわいいさまを写真に収めたいだろうなあ」と実感したんです。皆さんのご期待にお応えすべく、ゲームに登場します。まあ、プレイヤーキャラにはならないですが、自然の動きを満喫していただければ……と。