ゲーム体験はプレイヤーを中心とした視野に

 2018年11月20日、東京・品川の日本マイクロソフト本社にてID@Xboxのプレスセミナーが行われた。その模様をお届けしよう。

 セミナーではID@Xboxシニアディレクターのクリス・チャーラ氏が登壇。まずはマイクロソフトのゲーミングのビジョンについて解説した。

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ID@Xboxシニアディレクターのクリス・チャーラ(Chris Chara)氏。「Xboxの互換性は誇りに思っている」

 氏によるとビジョンは非常にシンプルで、「遊びたいゲームを、遊びたい人と、遊びたいデバイスでプレイしてもらう」とのこと。そのためにマイクロソフトは、XboxやXbox Live、PlayFabなどさまざまな分野に投資しているという。

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マイクロソフトのゲーミングビジョン。
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「ビデオストリーミングサービス“Mixer”を、プレイヤーやコンテンツクリエイター向けに発信。分割画面で4人のプレイヤーが共通のチャットを楽しめる」とチャーラ氏。

 昨年マイクロソフトファミリーとなった、PlayFabについても言及。これはクラウドゲーミングのサービスで、スマートフォンでXbox Oneのゲームが楽しめるProject xCloudも改めて紹介された。

 「我々がコンソールゲームに注力していくのは、E3でも述べたとおり。だが視野はプレイヤー中心の世界へ移した」とビジョンを語る。その結果、PCやNintendo Switchなどほかのコンソールでプレイできる、いっしょにプレイできるクロスプラットフォーム展開、といった戦略につながっていく。『フォートナイト』や『マインクラフト』などがいい例であろう。「モバイル端末からXboxにゲーム機を切り替えても、そのまま続きを遊ぶことができる」(チャーラ氏)。

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クラウド技術を用いて、ストリーミングでXbox Oneのゲームをスマートフォンで楽しめる“Project xCloud”。

 ID@Xboxにもこの“プレイヤー中心”の思想があり、幅広い種類のゲームが遊べるようになっている。チャーラ氏は「すばらしいコンソールとゲームを提供すると同時に、いつでも遊びたいときに遊べることも提供していきたい」とコメントした。

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ID@Xboxの特徴。2台の開発キットが無償で提供されるほか、世界に向けても配信可能。
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インディー開発スタジオがXbox Oneでゲームを配信するまでの流れ。

 単にリリースできるというだけではなく、マイクロソフトよりテクニカルサポートが提供されるし、E3やgamescom、GDCといったイベントでインディーゲームのプロモーションが行われることもある。

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ID@Xboxのこれまでの実績。プレイ時間は40億時間以上で、インディーゲームスタジオに支払われたロイヤリティは10億ドル以上という。

 また、『アルバスティア戦記』、『サリーの法則』、『Forgotton Anne』の3タイトルが、日本で配信されることも決定した。これら3作を含めたインディーゲームは、記事の最後で紹介する。

注目のインディー作品『The Good Life』の新情報も!

 続いて、ゲストとしてWhite OwlsのSWERY氏が登壇。先日Xbox Oneへの配信が決定した『The Good Life』を紹介した。

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SWERY(スエリー)氏こと末弘秀孝氏。代表作は『レッドシーズプロファイル』や『D4: Dark Dreams Don't Die』など。

 まずは本作の概要について。主人公はニューヨーク出身の写真家ナオミで、イギリスの田舎町で借金の返済を目指す。ただし、この町には謎があり、あるタイミングで住人たちや主人公が、犬や猫になってしまうそうだ。また殺人事件に巻き込まれることもあるとか。こうした事件に巻き込まれつつ町の謎を解明し、生活を楽しめるゲームとのこと。「不思議な世界を楽しむゲームです。言葉で説明するのは難しい(笑)」とSWERY氏。

 本作は元々、Kickstarterを用いてPC版とプレイステーション4版の開発が行われてきた。だが先日メキシコで開催されたイベント“X018”にて、Xbox Oneへの展開が発表された。「Xbox Oneにも対応したいと、マイクロソフトとずっと協議を重ねてきて、やっと話がまとまった」とその経緯を語るSWERY氏。

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開発中の画面も公開。「本作は羊などに乗って移動できるのですが、現在は自転車を開発中。取材で行ったイギリスでは自転車に乗っている人がかなり多くて、インスピレーションを受けた」(SWERY氏)
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犬や猫の動きも研究中。「犬の脚がずれず、キレイに動くよう実験中。犬は走り回る可愛さを出さなくてはならず、異常にこだわっているポイントのひとつ」とSWERY氏。ちなみに犬はスタミナがあるので遠くへ行くときに便利だったり、猫は壁を登れるなどのメリットがあるとか。

 ちなみにXbox Oneへの対応を発表したとき、日本時刻では日曜日の朝7時ぐらいで、氏もストリーミングで中継を見ていたとのこと。そのような時間帯であるにも関わらず、すぐTwitterやFacebookで大勢のファンが「Xboxのことを考えてくれてありがとう!」とメッセージを送ってくれたそうだ。「『レッドシーズ プロファイル』は最初Xbox 360でリリースしましたが、その頃からのファンが異常に興奮してメッセージをたくさんくれたので、やってよかったなあと実感した」とSWERY氏も感慨深げ。

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開発中の町の様子。イギリスを取材して、ほとんどが羊を閉じ込める石垣で区切られていることに驚いたとSWERY氏。その石垣や道幅、坂道などを再現しながら、「歩き回って楽しく、よく見える町並みかどうか」ということに注意して開発しているとのこと。そのため画面はまだまだ荒いのだとか。

 また定額で対応のゲームを無制限にプレイできるサービス“Xbox Game Pass”(現状日本では未展開)への対応も行われ、発売日から遊べるとのこと。「これらを通じて、発売日には世界中の人々に遊んでもらえることを期待している」(SWERY氏)。

 SWERY氏のゲーム開発者としてのキャリアは、あるゲームメーカーの社員としてスタートしたが、2002年に独立してアクセスゲームズを立ち上げた。そこでは商業的な作品を多く手掛けてきたが、『レッドシーズ プロファイル』や『D4: Dark Dreams Don't Die』、『スパイフィクション』などクリエイティブな作品を作り上げるうちに、「これこそが自分のやりたかったことなのでは」と思うようになったそうだ。

 そして2016年に再び独立し、White Owlsを設立。『The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -』を手掛け、本作『The Good Life』のKickstarterに成功し、今回はXbox One版の発表も行えた。SWERY氏はこうした自身の歩みを振り返り、「いま、自由を手に入れたという気持ちです」と率直な気持ちを語ってくれた。

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リリース予定のID@Xboxタイトルを紹介!

 会場ではID@Xboxタイトルの試遊台が設置されプレイを楽しめた。ここでは発売準備中の各タイトルを紹介していこう。

『ドラゴンファングZ 竜者ロゼと宿り木の迷宮』

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ローグライクのRPG。倒したモンスターの牙を装備すると、その能力が使えるようになる。

『BackSlash (バックスラッシュ)』

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1対1のドット絵対戦アクション。ふたつの流派を組み合わせることで、さまざまな戦闘スタイルでバトルできる。

『ライバル・メガガン』

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縦スクロールの対戦シューティング。敵を連続で倒して溜めたゲージを使い、ライバルに攻撃できる。ゲージを最大まで溜めると、自分がボスとなって相手のエリアに行き、直接攻撃することも可能。

『LA-MULANA 2 (ラ・ムラーナ 2)』

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遺跡探索アクションアドベンチャー待望の第二弾。謎解きは難しいけれど、なんとか自力で解きたいと思わせる作り込みが特徴。

『アルバスティア戦記』

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ドット絵が可愛らしいRPG。仲間は100人以上、パーティは最大13人で組める。

『サリーの法則』

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アクションパズルゲーム。父親と娘のサリーを交互に操作して、トラップを突破していくパズルアクション。父と娘が織りなす物語にも注目。

『フォーゴットン・アン』

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美しいアニメで描かれた主人公を操作する、アクションアドベンチャー。イベントシーンもアニメーションで描かれている。

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