SWERY氏と二木幸生氏が『The Good Life』のKickstarter成功の秘密を語る、とはいえ「本当の地獄はこれからだ!?」【BitSummit Volume 6】

ここでは会期2日目に行われた『The Good Life』のセッションをお届けしよう。当日は、White Owls のSWERY氏とグランディングの二木幸生氏が登壇し、“クラウドファンディングとインディーゲーム”をテーマにトークを行った。

 2018年5月12日、13日に京都勧業館 みやこめっせにて開催されたインディーゲームの一大祭典BitSummit Volume 6。ここでは会期2日目に行われた『The Good Life』のセッションをお届けしよう。当日は、White Owls のSWERY氏とグランディングの二木幸生氏が登壇し、“クラウドファンディングとインディーゲーム”をテーマにトークを行った。

SWERY氏(右)と二木幸生氏(左)。

 「Kickstarterが成功して、バッカーの方、ひとりひとりにハグをしたいくらいくらいです。やっとスタートラインに立てました」と感慨深げに語るSWERY氏と二木氏。その感慨も無理からぬところで、ご存じの通り『The Good Life』は、2017年9月に、Fig.coで挑戦して失敗。その後、今年3月にKickstarterで再挑戦して成功したという経緯がある。

 そんなクラウドファンディングでの日々に対して二木氏の「正直きつかった」との言葉には実感がこもる。SWERY氏も、これからクラウドファンディングでの資金調達を目指すクリエイターに対してSWERY氏も、「覚悟してください。40日間毎日マスターアップのようなものです。日々公開していくものも、ウソの素材ではない、本当のものを露出していかないといけないので」と語る。

 Kickstarterに関していうと、「Kickstarterの中の人とつながるのが大事だが、それが難しい」とSWERY氏。だが、それには端的な道が用意されていて、UKにあるとあるコンサルティング企業が、Kickstarterとつながりがあって、その人たちを雇うべきだという。「餅は餅屋」ということで、そのコンサルティング企業のアドバイスにしたがって、プランを練っていったのだという。

 たとえば、露出する動画ひとつとってもテクニックがあって、“最初に画面をだして、どんなゲームなのかわかるようにする”、“開発者の顔を出す”、“なぜクラウドファンディングが必要かと説明する”ようにしたのだとか。「雰囲気ではダメ」(二木氏)というわけだ。また、ページを構成するときも止め画だけではなくて、アニメーションGIFで動きを見せるようにしたという。「これは必須ですね」とSWERY氏。

[2018年5月15日]表記に一部誤りがあったため訂正しました。

 もちろん金額の設定も大事で、Twitterなどのフォロアーから、何人がバッカーになってくれそうかを推測。そこでひとりあたり何人出資してくれるかを計算して、目標値を出したという。「こちらの欲求を100%出してやると失敗します。それが私たちのFig.coだったわけですが……」と二木氏も苦笑いする。

 リワードの金額の設定も工夫が必要だ。高額のお金を提供してくれるバッカーさんに対してのりワードは、ネタ出しが重要だと思い、“SWERY氏とのディナー”といったアイデアを出したそうだが、「高額の援助をしてくれるバッカーは、応援したいから出資しているだけであって、ディナーを設定しても、多くの人はこないですよ」と言われたらしい。つまり、「一般的な資金提供をしてくれる人に充実した設定をして、お得感を感じていただいたほうがいい」(SWERY氏)というのだ。

SWERY氏がおなじみパートナー、シャラポワと戯れるひとコマも。

 ところが……。これだけの努力をしても、Kickstarterでの達成が難しいという雰囲気もあったようだ。「正直出資のカーブが右肩上がりになると思っていたら、横ばいだった」(SWERY氏)、「達成しなかったらどうしようとSWERYさんと話しました」(二木氏)と、そのころの不安を口にする。

 突破口になったのは、体験版の配布。ちょうど、そのとき、Kickstarterで成功させた人たちと話をする機会があり、「体験版を出さないとダメだ」と説教されたのだという。SWERY氏も二木氏も、「開発中のものは出したくなかった」とのことだが、「失うものはなにもない」ということで体験版の提供を決意したという。

 さらには、流れを掴むためにSWERY氏は、お付き合いのあるYouTuberやメディア関係者にコンタクトを取って、露出のタイミングなどを図ったという。その結果、最後の5日間で数字が伸びて、目標金額を達成できたという。さらには、「体験版を配布したところ、変な写真をユーザーさんがアップしてくれて、それがバズったのも大きいです」と二木氏。写真の中にはバグに相当する箇所もあったようだが、「バグを楽しめる人が、クラウドファンディング界隈にはほとんど」と二木氏。

 2019年第3クオーターの発売を約束して、やっとスタートラインに立ったという『The Good Life』は、グランディング福岡オフィスの精鋭が開発に臨む。「少数精鋭でオープンワールドが作れるとの意気込みのもとに取り組む」(二木氏)という。2019年年明けにはゲーム部分のコアなパートができて、「来年のBitSummitではかなり遊べるものをお届けできると思っています」と二木氏は見通しを語る。

 最後に、SWERY氏の『ドラゴンボール』ベジータの「“本当の地獄はこれからだ”という言葉が頭の中にリフレインしています」との言葉に実感が籠もるが、地獄の果てに天国を見てほしい!

BitSummitの会場では『The Good Life』の試遊台が出展。日本語版をお披露目するのは今回が初めてで、GDC終了後に帰国して1週間で日本語版のシナリオを書いて、その後ダッシュでPAX EASTに向かったというハードスケジュールぶり。