2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。ここでは、会期2日目に行われた、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』のプレゼンの模様をお届けしよう。

 『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』といえば、プレイステーション4で展開する“中国屈指のIPの大型ゲーム化プロジェクト”として注目を集める1作。今年のChinaJoyでは2019年初頭に中国でリリースされることが明らかにされ、「日本での展開はどうなるのだろう……」と思っていたところに、先日正式に日本でも2019年中に発売されることが決定。記者もなんとなくほっとしたものだ。

『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』の“これじゃない感”を出さないための妥協を許さないこだわりぶり【TGS2018】_01
原作となる『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』は、2015年当時中国で歴代最大の182億円の興行収入を挙げた、大ヒット作。

 今回のメディアブリーフィングは、そんな日本発売決定を受けて行われたもので、いわば日本のメディアに向けての初お披露目の場。登壇したプロデューサーのソニー・インタラクティブエンタテインメント 北川竜大氏とディレクターのヘキサドライブ 服部達也氏の口からは、『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』が、中国市場でプレイステーション4というプラットフォームをさらに普及させるための、“中国発IP”としての重点タイトルであることなどが改めて明らかにされた。原作が十月文化社、中国でのビジネスパートナーとしてOasis Games、開発がSIEとヘキサドライブという、“日中共同”となる本作は、まさにビッグプロジェクトと言えるだろう。

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 服部氏の説明で興味深かったのが、本プロジェクトの話が決まったときに、ゲームの世界観にリアリティーをもたせるために、「めちゃくちゃロケハンした」とのこと。これは、海外映画が日本を描くときにありがちな、いわゆる「“これじゃない映画”のようにはしたくなかった」とのことで、映画好きらしい服部氏の表現だが、なるほどその気持ちはよくわかる。ロケハンのほかにも、専門家の人に時代考証を確認したりと“これじゃない感”を出さないための努力は惜しまなかったようだ。『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』の原作はいうまでもなく『西遊記』だが、オリジナルの『西遊記』は岩波文庫版でも10冊に及ぶ大著。『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』はそのごく一部を抜粋したもの。服部氏は『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』を作るにあたって、『西遊記』全10冊を読破し、『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』の前後のつながりをしっかりと確認したそうだ。モノづくりのために必要な努力とはいえ、その姿勢には恐れ入る。

 そんな努力の甲斐があってか、ChinaJoy 2018で『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』を出展したときは、「中国人の考えていることをよくゲームに入れてくれました」、「本物っぽいです」、「中国のIPをしっかりとゲーム化してくれてありがとうございました」といった感想が寄せられたという。開発者冥利に尽きるというべきだろう。

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 リアリティーという意味ではさらに興味深いお話も。本作では派手なアクションを実現するために、服部氏がこよなく愛するジャッキー・チェンの動きを参考にしているのだが、香港カンフー映画的な動きをしっかりとゲームで表現するために、谷垣健治氏(『るろうに剣心』などを担当)を始めとするアクション監督にコンタクトを取り、特定のシーンを渡して、演出を依頼したのだという。Vコンテという形で動きを撮影して、それをモーションに載せたそうだ。いま香港映画では、ドニー・イェンに代表される動きが早いリアルファイトが主流になっており、ジャッキー・チェンに代表されるクラシックな動きはあまりやっていない。谷垣さんに「1980年代のジャッキー・チェンのようなアクションを思い出してやってほしい」とお願いしたところ、ノリノリでやってくれたらしい。

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 一方で、『MONKEY KING: HERO IS BACK(仮題)』では最新の動きなども取り入れていて、「アクションに詳しい人が見ると、いろいろなエッセンスが入っていることがわかっていただけるのではないか」という。映画好きな服部氏らしいこだわりぶりで、このあたりの話、もう少し聞いてみたいところ。

 もちろん、北川氏が補足したように、本作はジャッキーの動きをパクったというたぐいのものではない。ジャッキーの動きをモチーフに、それをゲームに取り込んでしっかりと昇華したもので、果たして大聖(孫悟空のこと)が、ゲーム中でどのような動きを見せてくれるのか、楽しみだ。

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ソニー・インタラクティブエンタテインメント 北川竜大氏(右)と、ヘキサドライブ 服部達也氏(左)。

※[2018年9月22日午後21時20分]一部事実関係に誤りがあったため、記載を修正させていただきました。