吉田修平氏ら豪華顔ぶれによるパネルディスカッションで語られた、いかにゲームを遊んでもらうかの試行錯誤【PGW2017】

2017年11月に行われたParis Games Week 2017に合わせる形で、10月30日に実施されたソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ(SIEE)主催による“PlayStation Media Showcase 2017”。新情報が飛び交った同カンファレンスの詳細はリポート記事をご覧いただくとして、イベントが終わった熱気も醒めやらぬ会場で、プレイステーションゆかりのクリエイターが参加してのパネル“Gaming is for Everyone”が行われた。

プレイステーションゆかりの豪華クリエイター陣が語る

 2017年11月1日~5日の会期で行われたParis Games Week 2017に合わせる形で、10月30日に実施されたソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ(SIEE)主催による“PlayStation Media Showcase 2017”。新情報が飛び交った同カンファレンスの詳細はリポート記事をご覧いただくとして、イベントが終わった熱気も醒めやらぬ会場で、プレイステーションゆかりのクリエイターが参加してのパネル“Gaming is for Everyone”が行われた。

“Playstation Media Showcase 2017”まとめ 『Ghost of Tsushima』や『Concrete Genie』などの新作を発表しタイトルの充実ぶりが鮮明に【PGW2017】

2017年11月1日~5日まで(現地時間)、フランス・パリにてゲームイベントParis Games Week 2017が開催。同イベントに先駆けて10月30日に、“Playstation Media Showcase 2017”が行われた。その詳細をお届けする。

 パネルとは、日本では“パネルディスカッション”と呼称されることが多いが、要は複数の登壇者が集まって議論を戦わせるトークイベントである。カンファレンス後にクリエイターによるパネルが実施されるというのはあまり例がないが、“Gaming is for Everyone(すべての人々のためのゲーム)”をテーマに、今後のプレイステーションプラットフォームの道筋を、聴講者である取材陣に向けて提言したといったところだろうか。

 登壇者は、PlayStation Accessのホーリー・ベネット氏司会のもと、Supermassive Games エグゼクティブプロデューサー サイモン・ハリス氏、SIE ロンドンスタジオ ディレクター・オブ・エンターテインメント リズ・ワイリー氏、バンジー 『Destiny 2』デザインディレクター ルーク・スミス氏、Media Molecule 共同創業者&スタジオディレクター シヴォーン・レディ氏、そして、SIEワールドワイドスタジオ プレジデント 吉田修平氏といった、そうそうたる顔ぶれ。5人の論客たちの意見が飛び交った、1時間以上にもおよぶパネルの全容をお伝えするのはなかなかに難しいところだが、本稿ではせめてそのエッセンスだけでもお伝えできればと思う。

右から、司会を務めたPlayStation Accessのホーリー・ベネット氏、Supermassive Gamesのサイモン・ハリス氏、SIE ロンドンスタジオのリズ・ワイリー氏、バンジーのルーク・スミス氏、Media Moleculeのシヴォーン・レディ氏、SIEワールドワイドスタジオの吉田修平氏。

 まず、ベネット氏の「今日(カンファレンス)で見たような、バラエティーに富んだゲームはどのようにしたら作れるのか?」との質問には、吉田修平氏が、「クリエイティブな人たちが驚くべきコンテンツを作っているので、彼らの情熱にできるだけ対応する努力をしています。ゲーム開発で、“新たな対象を見出せる”、あるいは“新しいテクノロジーにつながる”といった重要なイニシアティブがあれば、スタジオとともに、何ができるか、どういう方向に進むべきかを話し合います」とコメント。バラエティーに富んだゲームを出せているのであれば、それは「ほとんどが現場から出てくるもの」(吉田氏)だという。

SIEワールドワイドスタジオ プレジデント 吉田修平氏。

 “PlayStation Media Showcase 2017”で発表された、バラエティーに富んだタイトルの1本が、PlayLink対応の『Erica』だが、具体的な一例として同作が生まれた経緯についてSIE ロンドンスタジオのリズ・ワイリー氏は、「ロンドンスタジオは新しいテクノロジーとコラボレーションして来ましたが、『Erica』はとてもそれに合っていました。ライブ・アクションで何ができるかを模索して来た結果ですね。『Erica』では、スマートフォンのタッチ機能を使って、世界とインタラクトできます。ゲーム中では引き出しを開けたりもできるのですが、社内でも“どうやって作ったのか?”と聞かれます」という。

『Erica』はスマホで操作することで臨場感がいやがうえにも高まるPlayLink対応のライブアクションドラマ【PGW2017】

ここでは、『Erica』のプレゼンテーションの模様をお届けする。前日行われた“PlayStation Media Showcase 2017”で新規発表された、PlayLink対応タイトルだ。

 おつぎは、「幅広い対象や従来のゲーマーに向けてゲームを作る際のチャレンジは?」(ベネット氏)との質問。これに関しては、バンジー デザインディレクター ルーク・スミス氏が、「バンジーでは、プレイヤーがその中に入りたいと思うワールドを作ります」といかにもバンジーらしい回答。「『Destiny』では、ユーザーから歓迎されていると感じます。いろいろなキャラクターやヒーローがいるので、プレイヤーはその中に共鳴する存在や、あるいは自分自身を見つけられるわけです。ここから始めて、より多くの人に受け入れられるメカや関連性を見出してもらえるストーリーを導入していくんです」(スミス氏)と、世界観重視の姿勢をうかがわせた。さらに、「テレビや映画が教えてくれるのは、私たちはみんな、すぐれたストーリーや何かを感じさせるストーリーに惹かれます」(ワイリー氏)というから、ストーリーはゲーム作りにおいても大きな柱となるようだ。

 引き続いては、「多様性のつぎのステップは?」(ベネット氏)という、切れ味鋭い質問。それに対するMedia Molecule 共同創業者&スタジオディレクター シヴォーン・レディ氏の返答は、「いろいろなステップがあります。まずは、多様性が重要であるということを認識するのは大きな1歩です。このパネルもその一例ですが、いろいろな人たちの意見が見えることはとても重要であり、業界に女性が増えているのは重要な変化です。女性も小さいころからテクノロジーを学び、ゲームにも親しみます。異なることに興味を持つ人がまわりにいれば、多様なコミュニティーに対応できるわけです。とはいえ、まだまだ進行中です」というもの。つまり、現実の多様化がクリエイティブの多様化につながるということであり、その後のシヴォーン・レディ氏からは「女性が増えたり、より難しいテーマに取り組んだりすることが多様性に寄与します。そして多様な人々が惹きつけられるわけです。それが成功につながるわけです」とより、直截的なコメントも聞かれた。

Media Molecule 共同創業者&スタジオディレクター シヴォーン・レディ氏。

 パネルのテーマは、ゲームを遊んでもらうための取り組みについて。具体的にいうと、ゲームに触れたことがない人にとっては、コントローラーに触ること自体がプレイ自体の“大きな壁”になり得るわけだが、その壁を取り除こうとしたのが、スマートフォンによる操作を実現した『Erica』だ。これに対してリズ・ワイリー氏は、「PlayLinkでは、プレイヤーがスマートフォンでゲームをコントロールできるようにしましたが、これは非常に大きなステップでした」とコメントした。さらに言えば、『Erica』はライブ・アクション(実写)なので、身近なスマートフォンで操作することで、より臨場感が高まることになる。

SIE ロンドンスタジオ ディレクター・オブ・エンターテインメント リズ・ワイリー氏。

 では、一方でプレイステーション VRに代表されるVRデバイスはどうなのだろうか?と、ベネット氏は議論を進めた。おそらくは、VRデバイスも直感的な操作が可能なことから、ゲーム未経験者にも敷居が低いのでは……との判断だ。これに対して、サイモン・ハリス氏は、「オーディエンスの幅を広げて、すばらしい経験を作る機会であることは確かです。装着するとゲームの中に自分がいると認識できるので、没入感が高まります。その世界とインタラクトできる。これほどの没入感が達成できるとは想像もしていませんでした」とコメント。さらに、シヴォーン・レディ氏も「VRにはとてもワクワクしています。これほど、我が家にたくさんのお客さんがいらっしゃって、遊びたがったデバイスはありません(笑)。みんなが求めているのは没入感。“どこかほかの場所にいる”という感覚であり、VRではそれが得られるのです」と賞賛を惜しまない。

Supermassive Games エグゼクティブプロデューサー サイモン・ハリス氏。

 ここで吉田氏が引き合いに出したのが、Media Moleculeの最新作『Dreams』。「『Dreams』のVRをプレイしたのですが、とてもよかったです! 子どものころ、ゲームの世界に入ることを夢見ましたが、まさにそれが実現したかのような感覚です」という。吉田氏の『Dreams』に対するアツい思いが溢れてしまったかのようなコメントだが、「VRのような新しいテクノロジーは、クリエイティビティの幅を大きく広げてくれます」とは吉田氏の言葉だ。

 さて、テーマの筋から言うと本流ではないが、「バンジーはどちらかというと、従来型のゲームを作っているが、非常に創造性溢れる人たちがたくさんいます。バンジーはイノベーションに貪欲なのではありませんか?」という、何やら知らないが僕たちではなかなかできないようなエッジの効いた質問も飛び出したので、せっかくの機会なので、その答えも掲載しておこう。ルーク・スミス氏いわく、「最初に大きな壁があって、宇宙空間を動く中で(壁を乗り越える方法を)マスターしていくという意味では従来型ですね。どうやってイノベーションを取り入れるかを検討する際には、どんなゲームを作りたいのかを明確に考えます。まずはプレイヤーの方の利便性を第一に、どんな経験を提供すれば、プレイヤーがいっしょに楽しめるのかを考えた上で、テクノロジーのイノベーションに取り組んでいくんです」とのこと。まあ、つまり、イノベーションを突き詰めるにしても、まず第一にあるのはユーザーの遊びやすさということであろうか。

バンジー 『Destiny 2』デザインディレクター ルーク・スミス氏

 最後に……ホーリー・ベネット氏からの「これから1年間でいちばん楽しみにしていることは?」という楽しげな質問に対する5人の返答をもって、本稿を締めくくるとしよう。

サイモン・ハリス氏 まずは、つぎの2本のタイトルを出荷すること。ほかの人たちが何をしているのか見たいです。おもしろいことが起きていると思います。

リズ・ワイリー氏 映画とゲームの融合。とても興味深いエリアだと思います。とくに新しいオーディエンスを考えるとワクワクします。私たちのスタジオでも、いくつか考えていますが、(作っているコンテンツを)どのように呼んだらいいのかわかりません。映画ではないし、ゲームでもない……、何か新しいものが生まれているんです。すばらしいストーリーを愛する人たちには、(ゲームプラットフォームは)とても楽しい遊び場になりますね。

ルーク・スミス氏 『Spider-Man』のクリエイティブ・ディレクターのブライアンは、いちばんの親友なので、彼がやって来た仕事を見せてもらうのが楽しみです! ゲームを見るたびに感動します。待ちきれない気持ちですね!

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シヴォーン・レディ氏 『Dreams』完成させることです。このゲームは長くかかっているので、コミュニティーのみんなが何をしてくれるのか楽しみです。創造性の爆発が起きると期待しています。ジャーニーの始まりです!

吉田修平氏 今日のショーケースではすばらしいゲームがたくさん紹介されました。過去1年間も大型ゲーム、すぐれたゲーム、VRタイトルがたくさん発売されましたが、これからの1年はさらに大きく、さらにすぐれたおもしろいが発売されます。個人的には早く『Dreams』を皆さんの手に渡し、皆さんに創造性を発揮していただきたい。とにかく、デベロッパーはテクノロジーを使って、まったく新しいものやワクワクするもの、見たこともないものを作り出しますよ。