オランダは良質なゲームの宝庫!? 気鋭のクリエイターたちが日本のゲームファンに寄せる7つの証言【TGS2017】

東京ゲームショウ2017に出展していたオランダ大使館ブースの模様をお届けしよう。良作がざっくざくです。

 2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉の幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。海外スタジオが積極的に東京ゲームショウに出展しているのは、先日ご紹介した記事で言及した通り。その展開の仕方にはいく通りかあって、自社で単独するケースもあれば、海外ゲームを積極的にリリースしている日本のパブリッシャーが招くこともある(レイニーフロッグのように)。そんななか、注目すべき動きを見せていたのがオランダ大使館だ。東京ゲームショウには今年で4回目の出展となるというオランダ大使館は、自社からクリエイターを招待し、7タイトルをお披露目した。国を挙げて、自社のコンテンツを日本市場にアピールしているというわけだ。

 「これは極めて興味深い……」ということで、オランダ大使館ブースに直撃取材を敢行した次第。迎えてくれたのは、オランダ大使館 経済部 商務補佐官 ライテ・ダウマ氏。日本語が流暢なダウマ氏に通訳もしていただきつつ、ブースに出展している7タイトルをガイドしてもらった。まあ、ちょっと芸がないかもしれないが、プレゼンの順番通りにご紹介しよう。

「わいわいと楽しいタイトルを!」

『Jewel Academy』CoolGames

 「オランダのゲームメーカーで日本にオフィスを構えている会社は少ない」というライテ・ダウマ氏だが、その数少ない例外がCoolGames。毎年オランダ大使館が東京ゲームショウに出展するたびに声をかけてもらっているという同社は、東京ゲームショウに皆勤賞の4年連続で参加しているという。CoolGamesがフォーカスしているのは、HTML5向けのゲームで、Yahoo!ゲームやFacebook、LINE向けにタイトルを提供しているという。

 「カジュアルゲームを提供しています。わいわいして楽しいタイトルを遊んでいただきたいと思っています」とは、MD Japanの菊池奈那氏。タイトルは50本以上を配信しており、すべてフリー・トゥ・プレイ。マネタイズは広告だという。タイトルの中には、タイトー『アルカノイド』とコラボしているものだったり、バンダイナムコエンターテイメントとコラボしてのタイトルもあるというから、そのへんは日本にオフィスを設立したことによる成果のひとつと言えるのかもしれない。

 「イチオシタイトルは?」と聞いてみたところ、菊池さんいわく『Jewel Academy』とのこと。ただし、試遊できたのは『テトリス』で、「本当は『Jewel Academy』を推したいのですが、皆さんが遊びたいというから『テトリス』にしています」とニッコリ。そんなあっけらかんとした感じに思わずこちらも笑ってしまったが、これもなんとなくオランダ流と言えるのもしれない(牽強付会かな)。

CoolGames MD Japan 菊池奈那氏。

※CoolGames公式サイト

「新しいゲーム体験を提供したい」

『Stormbound:Kingdom Wars』Paladin

 「チェスみたいに、集めたカードが軍隊となってバトルするゲームです」と、iOS/Android用ゲームアプリ『Stormbound:Kingdom Wars』の概要を紹介してくれたのは、開発元であるPaladinの最高経営責任者 デレク・デ・ヘウス氏。「カードコレクションの一面と、ボードゲームの戦術的な要素が組み合わさったゲームです」。本作では、4つの王国に挑む“キャンペーン”と、世界中のプレイヤーと戦う“戦闘”を楽しむことができる。本作はフリー・トゥ・プレイでアイテム課金となっている。そして日本語対応!

 Paladinという会社の方針を聞いてみたところ、「とにかくゲーム好きが多くて、イノベーションなゲームを作ることを目標としています。新しい体験をもたらすゲームメカニズムの構築に情熱を燃やしています」とのことだ。オランダのスタジオは「イノベーションとクリエイティビティにすぐれた小さいインディースタジオが多い」とのことで、まさにPaladinはその一角と言えるのかもしれない。

Paladin 最高経営責任者 デレク・デ・ヘウス氏

※『Stormbound:Kingdom Wars』iTunesサイト
※『Stormbound:Kingdom Wars』Google Playサイト

「“ケイブスタイル”と“板野サーカス”に刺激を受けたシューティング」

『Phoenix II』Firi Games

 「日本のシューティングと西洋のシューティングの影響を受けてミックスした」と開発元であるFiri Gamesの共同創設者&ゲームデザイナーのエル・ドライバー氏が語る『Phoenix II』は、画面上をこれでもかとばかりに弾幕が飛び交うiOS用シューティング。影響を受けたシューティングを聞いてみると、「90年代のシューティングですね。日本だと『怒首領蜂』に代表される“ケイブスタイル”」ときっぱり。iOSならではの特徴と言えるのは、ショットボタンがないこと。自機をタッチして移動させているだけで、自動的にショットが発射されるようになっているのだ。プレイヤーは機体ごとに異なるふたつの特殊能力を駆使して敵機を蹴散らしていくことになる。用意されている機体は60機で、それぞれにユニークな特殊攻撃が用意されている模様。そのときドライバー氏は「“板野サーカス”みたいな……」という表現を使っていたので、大いに感動。“板野サーカス”は世界でもおなじみの表現技法であったようだ。

 『Phoenix II』で興味深いのは、機体のガチャとタイムアタックによるリーダーボードという、ソーシャルゲームを思わせる運営方法を取り入れている点。とくにリーダーボードに関しては、毎日2回ミッションが更新され、ランキングの順位によってリワードが異なるので、けっこうアツいらしい。

会場ではiPad版が展示されていたが、もちろんiPhoneでもプレイ可能。ただし、Android版は出ておりません。

 そんなわけで、2016年7月に配信された同作は、日本でも好評を博しており、「『Phoenix II』のダウンロード数は、アメリカ、中国に次いで世界で3番目」(ドライバー氏)とのこと。続けて、「日本にもコミュニティーは存在しますが、もっと大きくしたいと思い、東京ゲームショウに来ました」という。オランダ発の弾幕系シューティング。気になる方はどうぞ。ちなみに、Android版の可能性を聞いてみると、「技術的には問題ないのですが、スタッフはふたりなので、手がまわりません」(ドライバー氏)とのことだった。

Firi Games 共同創設者&ゲームデザイナー エル・ドライバー氏

※『Phoenix II』iTunesサイト

「アニメのキャラクターも作れるのが日本のファンにも好評」

『Staxel』Plukit

 “Sprout Edition”が先行で配信されている『Staxel』は、いわゆるところの牧場シミュレーション。プレイヤーは島をまるごと自分の好みにあった農場に作り上げていくことになる。同作はキャラクターもカスタマイズ可能で、それが人気の一端にもなっているよう。「『Staxel』は、日本のユーザーさんも多いのですが、好きなアニメのキャラクターを取り入れて楽しんでくださっています」と、開発元であるPlukitのディレクター、バート・ヴァン・デル・ワーフ氏。ニコニコ動画での実況配信も好評なようだ。

 本作は、自分で作った島に友だちを誘って、いっしょにその世界でのプレイを楽しめる。プレイ人数に関しては、「最適なのは4~5人ですが、技術的には20人まで可能ですよ」(ワーフ氏)とのこと各自がもちよったアニメのキャラクターで“競演”するというのも楽しそう。正式配信は2018年1月予定とのことだ。

Plukit ディレクター、バート・ヴァン・デル・ワーフ氏(左)とスタッフの方。

※『Staxel』公式サイト

「『Rusty Lake』シリーズにはチャンスを感じています」

『Rusty Lake Paradise』Rusty Lake

 日本にも根強いファンを持つ『Rusty Lake』シリーズは、奇妙なテイストが魅力の脱出タイプのアドベンチャーゲーム。『Rusty Lake Paradise』はシリーズ12作目にあたり、18世紀の人里離れた小島を舞台に、プレイヤーは家族と協力して呪いを解いていくことになる。モチーフとなるのは、旧約聖書でもおなじみの“十の災い”で、ゲーム本編の10のチャプターは、それぞれ“十の災い”に対応しているようだ。

 ポイント&クリック型のパズルタイプの本作は、とにかくその独特な世界観が魅力。クリエイターのロビン・ラス氏によると「『ツイン・ピークス』からインスピレーションを受けています」というから納得。

 この独特の世界観ゆえか、冒頭で述べた通り本シリーズには日本のファンも多く、記者が取材した日の前日には、ファンが大挙してオランダ大使館ブースに押しかけてきたという。それでも「いまは中国と韓国ではダウンロード数が多いのですが、それに比べると日本は少し少ないかな……という感じです。日本は『レイトン』シリーズの人気が高いことからもわかるとおり、この手のゲームが好きだと認識しているので、『Rusty Lake』シリーズにはチャンスを感じています。それで、去年に続いて今年も東京ゲームショウに来たんですよ」とラス氏は語る。奇妙なテイストの『Rusty Lake』は一度プレイすれば、プレイヤーを惹き付けそう。『Rusty Lake Paradise』は、iOS、Android、PC向けに2017年末に配信予定とのことだ。

Rusty Lake ロビン・ラス氏(右)とスタッフの方。

※『Rusty Lake』公式サイト

「日本のゲームファンの反応を見たくて東京ゲームショウに来た」

『Antegods』Codeglue

 『Antegods』は、エネルギーを集めて自機を強化し、敵を倒していくというアリーナタイプのアクションゲーム。赤と青のチームに分かれて、最大4 vs 4のマルチプレイが可能だ。取材に応じてくれたのは、開発元であるCodeglueのCEO&共同創業者のピーター・デ・ヤング氏で、本作開発の経緯については、「この前に『Rocket Riot』という世界が壊せるゲームを作ったのですが、アーケードライクでちょっと単純でした。それで、もうちょっと複雑で、マルチプレイのシューティングゲームを作りたかったんです」とのこと。

 本作は、PCのほかにプレイステーション4とXbox Oneで開発中。「発売は2018年。おそらく夏になるんじゃないかな……。まずはSteamが来て、そのあとにコンソールを予定しています」とのこと。「作っているゲームを世界中のゲームファンに遊んでほしい」との方針から、本作ももちろん日本語対応を予定。「日本の方の反応を見たくて、東京ゲームショウに来ることにしたんです」(デ・ヤング氏)という。東京ゲームショウでの感触を聞いてみると、デ・ヤング氏は「たくさんの方が遊んでくれました。ハードコアなゲームなので、たくさんの女性がプレイしてくれたのが意外でした。もうちょっと簡単なモードも作ったほうがいいのかな……と思いましたね」と答えてくれた。

Codeglue CEO&共同創業者のピーター・デ・ヤング氏

※『Antegods』公式サイト

「コントローラを握れば誰でもすぐにプレイできるようなゲームを」

『Kingdom:Two Crowns』Noio

 2015年にPC版がリリースされるや、世界中の数多くのアワードを受賞した『Kingdom:New Lands』(日本語対応版が発売中)。そのふたり対戦を可能にしたのが2018年発売予定の『Kingdom:Two Crowns』だ。開発者であるトーマス・バンデンバーグ氏は同シリーズを「リアルタイムストラテジーとタワーディフェンスを融合したゲームです。プレイ自体はとても簡単で、お金を与えること」と紹介してくれた。お金を与えて村の人たちに建物を作ってもらったり、軍隊を雇うことで、夜になると襲ってくる敵の襲撃を防ぐのが、本作の目的となる。

 極めて斬新な発想の本シリーズだが、インスピレーションのもとをバンデンバーグ氏に聞いてみると、「最初はコインを与えて王国を作るというシミュレーションゲームでした。でも途中で“敵がいないとゲームらしくないな”と気づいたんです。チャレンジがない。そこで敵も入れようと思ったんです。そこからタワーディフェンスになりました」とのこと。

 さらに本作の大きな特徴のひとつに、すべての操作をひとつのボタンでまかなおうとした点が挙げられる。「全部の操作をひとつのボタンでやるのはけっこう大きなチャレンジでした。でも、そういうメカニズムにしたかったんです。なぜ、ひとつのボタンにしたかですって? 私は操作しやすいゲームが好きなんです。コントローラを握れば誰でもすぐにプレイできるような……。難しさは操作方法ではなくて、ゲームプレイの中に求めるべきです」とバンデンバーグ氏。なるほど、『Kingdom』シリーズのコンセプトの根幹という感じ。

 『Kingdom:Two Crowns』は、各種コンソールで2018年初頭に発売予定だ。

広大なインディーゲームコーナーで出会った、小さな気になるゲームたち【TGS2017】

2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。ここではインディーゲームコーナーの出展タイトルの中から記者が注目したタイトルを紹介する。

Noio トーマス・バンデンバーグ氏

※Raw Fury(パブリッシャー)公式サイト

「オランダのスタジオはいずれも発想がユニーク」

 というわけで、長い旅路の果てに(ブースツアーのことね)、オランダ大使館 経済部 商務補佐官 ライテ・ダウマ氏にお話しをうかがってみた。

――オランダ大使館が東京ゲームショウでブースを展開する理由を教えてください。
ライテ おもな目的は、日本でビジネスを展開したい企業のサポートです。“経済部”として主眼に置いているのが、オランダと日本のパブリッシャーのマッチメイクです。

――東京ゲームショウに出展してみていかがですか?
ライテ ビジネスデイはBtoB、一般日はBtoCと、いろいろな立場の方からのフィードバックをいただけるのがうれしいです。出展していると、日本でもどんどん西洋のゲームが受け入れられているということを実感します。PCゲームにしても、以前だと「ローカライズされてないPCゲームにはチャンスがないので、諦めたほうがいい」と言われていたのですが、いまはSteamの需要が増えていることなどにより、日本語化されていないゲームでもチャンスがあるように思います。

――とはいえ、今回出展しているタイトルは、ほとんどが日本語化されていますね。オランダのゲームは日本語化される割合が高いのですか?
ライテ 一般的にはそこまで多くないような気がしますが、東京ゲームショウに来てくれるようなスタジオは、日本展開に対する意識は高いかもしれません。実際のところ、ほとんどのスタジオは日本に事務所がないわけですが、いまはインフラが整っているおかげもあり、現地にオフィスがなくてもソフトが売れる。『Rusty Lake』シリーズにしても、『Kingdom:New Lands』にしても、日本に熱心なファンのコミュニティーができているのはうれしいです。

――オランダのスタジオならではの魅力は?
ライテ オランダには大きなスタジオは少ないです。いちばん大きいのは、『Horizon Zero Dawn』でおなじみのゲリラゲームズかな。大きなスタジオはないですが、小さなインディーメーカーは多いです。いずれも発想がユニークで、奇妙なテイストのおもしろいゲームがたくさんあります。あとは、教育用途や社会に貢献するシリアスゲームも盛んですね。日本のファンの皆さんにも、ぜひともオランダのゲームの触れていただきたいです。