2017年9月21日(木)~9月24日(日)まで、千葉県・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ 2017(21日・22日はビジネスデイ)。最終日となる9月24日、Wargamingブースで『World of Tanks Console』(以下、WoTC)では初の公式オフライン大会となる“Japan Arena 2017トーナメント決勝戦”が開催された。

『World of Tanks Console』電撃的な試合運びで日本王者が決定! “Japan Arena 2017トーナメント決勝戦”リポート【TGS2017】_01
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決勝戦の司会進行は声優の井澤美香子さん(左写真)、解説はクランNorthern Lightsのぼーず氏(右写真)が務めた。ぼーず氏は、PS4版『World of Tanks』の公認ユーザー大会“JUCC”を運営していた経歴を持つ。

 8月に開催されたオンライン予選を勝ち抜いてこのステージに上がったのは、“TOG CAT”と“TBOX”の2チーム。いずれもアジア地域全体で見ても最高クラスの実力を持ち、また日ごろから精力的にオンラインマッチにも参加している。『WoTC』プレイヤーの間では、もはやおなじみの強豪だ。

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試合前には両チームともに「かなり緊張している」とコメントしていた。『WoTC』で大勢の観客の前で対戦するのは初なのだから、当然といえば当然。
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大勢の応援と観戦客が詰めかける中には、応援するゴリラの姿も? ぼーず氏いわく、その正体はTBOXのサブマスターだとか。

 今大会の基本ルールは、5対5のBO3(2本先取で勝利)。PC版の7対7と比べて人数が少ないぶん、プレイヤーひとり当たりの責任と重圧はかなりのものだ。試合時間は7分と短く、決勝戦のマップはかなり狭い“鉱山”なので、試合直後に全軍がぶつかり合い、一瞬で勝負が決まることもあり得る。

 また、「『WoTC』にはほかのプラットフォームの『WoT』にはない仕様がいくつかある」と、ぼーず氏は語る。

 その中でもとくに大きい違いが、スキル“第六感”の表示についてだ。敵に発見されたことを教えてくれる“第六感”の表示は、ほかの『WoT』タイトルの場合、敵の視界から外れても、少しの間は表示されたままになる。だが、『WoTC』では敵の視界から外れた瞬間に表示が消えるため、敵から見えなくなったことが即座に分かる。この仕様のおかげで、より迅速につぎの行動へとつなげられるのだ。

 また、占領ポイントが1ヵ所しかない遭遇戦のため、各選手のアグレッシブな動きが、さらに加速しそうなレギュレーションである。

 さらに決勝戦で使われるマップ“鉱山”にも、ほかとかなりの違いがある。このマップの定石である、高台へ味方を押し上げて高所を確保する“山登り”が、『WoTC』ではできないのだ。

 このように、全体的に前線で積極的に動くことが推奨されるのが『WoTC』の特徴だ。決勝戦ではほかの『WoT』シリーズと比べ、より電撃的な戦いが観られると予想された。

『WoTC』の王座をかっさらった嵐のような連携!

 両チームともに1分の準備時間を終えたところで、いざ対戦開始。第1戦はTOG CAT側が南側、TBOXが北側からのスタートとなった。

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車輌構成は、両チームともまったく同じ。万能型の重戦車IS-3を3両、オートローダーによる高火力を誇る重戦車AMX 50 100を2両投入していた。

 開始直後、南側のTOG CATは定石通りに中央高台の確保へ向かう。占領ポイントが近い北側のTBOXも3両を占領ポイントに侵入させて占領を開始した。

 占領を放置すれば当然負けるため、南スタートのチームが多少の被弾は覚悟のうえで止めに行くのもまた定石だ。TOG CATは焦ることなく、分かれていた5両を集めてから一気に強襲をかけ、占領終了直前のところで妨害に成功した。

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▲焦って少ない車輌数で止めに行っても、返り討ちで車輌数を減らされる。3両による高速の占領に対して、TOG CATは全軍そろってからの突入をしっかり間に合わせた。

 そのままTOG CATは占領ポイント内のTBOXを包囲する形を取る。かなりダメージを追ったAMX 50 100が、それでも粘りに粘った成果もあり、TOG CATは数の有利をつねに保ち続けた。それを活かしてTBOXの車輌を各個撃破することに成功し、第1戦はTOG CATの勝利となった。

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▲TOG CAT側はAMX 50 100が粘って囮になったりと、相手を誘導する戦法が巧みだ。囮役を撃つために顔を出したTBOXのAMX 50 100を撃破して、相手側の火力をどんどん下げていく。

 続く第2戦。今度はTOG CATが北側、TBOXが南側からのスタート。ただし、今度はそれぞれのチームが、占領ポイントにいちばん近いポイントに出現することとなった。全10車輛が開始直後から近場に集結。これはとんでもないことになるかも……?

 北側スタートのTOG CATは、全5両で一気に占領を狙った。これに対して、高台付近を2両で警戒していたTBOXは少し出遅れるも、TOG CATの全5両が占領ポイントに入っていることはすぐに判明。この状態では、今度はTOG CATが先の試合のような2方向からの挟撃を受けかねない。

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▲車輌名がオレンジになっているのが、敵に発見されている証拠。見ての通り、このときはTOG CAT側は全5両が見つかった状態だったが、TBOX側には見つかっていない車輌がある。敵は南側と西側のどちらにいるのか。これではTOG CAT側はうかつには動けない。

 だが、占領ポイントの南側に3両、西側に1両の敵がいることを発見した瞬間にTOG CATが動いた。占領を捨てて、全車両を南側に殺到させたのだ。これで最悪でも5対4、運がよければ5対3になると判断したのだろう。

 突撃開始と同時に相手の作戦に気付いたTBOXは、西側にいた2両もフォローのために突撃させる。TOG CATはこれにも即座に対応し、AMX 50 100を1両、隠れながらのけん制に回す。TBOXの西側にいた2両は、その高火力を警戒して足を止めざるを得ない。

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▲突撃しただけでは挟撃を受けてしまう。TOG CATはとっさの判断と役割分担で、この挟撃を見事に阻止してみせた。短時間のうちに、南側にいたTBOXの3輌はすべて撃破された。

 最後まで数的有利を保ちつづけ、そのままTOG CATが第2戦でも勝利を収める。TOG CATは2本先取を達成し、“Japan Arena 2017トーナメント”初代優勝の栄冠に輝いた。

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▲優勝したTOG CATには賞品に加え、初の公式オフライン大会のトロフィーも贈られた。

 『WoTC』の頂上決戦は、とにかく展開が早く、劇的だった。足が遅い重戦車しかいないはずだったのだが、リーダーの素早い判断と、それに即座に応えるチームメイトの動きにより、まるで中戦車同士の機動戦を見ているかのように感じられた。

 積極的に前に出つつも、無理はせず、しかし好機は見逃さない。試合時間は短かったものの、戦いは濃密だった。TOG CATが一瞬でも判断を間違っていれば、どんな結果になっていたか分からない。このスピードと緊張感は、ほかの『WoT』シリーズよりもスポーツ寄りと言えるかもしれない。

 東京ゲームショウ以降も、『WoTC』のユーザー主催大会や、公式大会は続いていく。『WoT』大会の常識を塗り替えてくれるのかどうか、各試合に注目していきたいところだ。

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▲決勝戦は嵐のような速さで終わったものの、予選では7分の試合時間をオーバーした長期戦も多くあったという。多様な戦略性も持つ『WoTC』のおもしろさを教えてくれた、トーナメント出場選手一同に感謝を!