鯉沼久史氏(こいぬまひさし)
コーエーテクモゲームス代表取締役社長。前作『進撃の巨人』に引き続きプロデューサーを務める。
鈴木英生氏(すずきひでお)
コーエーテクモゲームス所属。前作『進撃の巨人』ではプランナー。本作ではディレクターとして開発に携わる。
登場キャラクターがメチャ増えるらしい
2017年9月21日〜24日まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。コーエーテクモゲームスブースにて、『進撃の巨人2』の鯉沼久史プロデューサーと鈴木英生ディレクターに話を聞いた。
――『進撃の巨人2』は、ドイツのゲームショーであるGamescomでの発表でした。やはり、『進撃の巨人』が世界で人気だからこそ、あの場を選ばれたのでしょうか?
鯉沼ひとつは、原作では明言されてはいないものの、ファンのあいだで「『進撃の巨人』の舞台が、ドイツ近辺なのではないか?」と、噂になっていることですね。それと、前作のゲーム版『進撃の巨人』も、じつはGamescomで始まったんです。ですから、前作を踏襲するのがいいかなと。
――前作の反響はいかがだったのでしょう?
鯉沼前作はアニメ版のファンに向けて作りました。おかげさまでたくさんの方に遊んでいただけたのですが、発売時期にアニメの第1期が終わっていたこともあり、『進撃の巨人』のファンの方に買っていただいたという印象です。一方、びっくりしたのが欧米の反応で。
鈴木海外向け、国内向けと意識して作ったわけではないのですが、想像以上に海外の方からの反応がよかったんです。
鯉沼海外のアニメ系のイベントに行くと、『進撃の巨人』のコスプレをしている人がいることは聞いていました。ですが、『進撃の巨人』のゲームが発売されていなかったので、ゲームを遊んでくれるかどうか、わからなかったんです。こんなに反響がよく、多くの皆様に遊んでいただけるとは思わなかった、というのが正直なところでした。
――蓋を開ければ、海外でも『進撃の巨人』の人気は非常に高かったと。
鯉沼国内のユーザーにも幅広く受け入れられたと考えているのですが、想定以上に数多くの欧米のユーザーに遊んでいただけた結果となりまして、非常にびっくりしました。
――なるほど。それでは、ここからゲームの中身についてうかがっていきたいと思います。今回は、立体機動装置のアクションが多彩になる、というところがウリだそうですが。
鯉沼それは“結果として”ですね。もともと『進撃の巨人2』で何がやりたいのかというと、よりリアルな『進撃の巨人』世界を描くということなんです。そのために、敵となる巨人の動きを、前作よりも多彩にしたかった。ボーッとしているやつもいれば、建物の陰から覗き込んでいるやつもいたり、あるいは四つん這いになって突っ込んできたっていいだろうと。
鈴木シチュエーションに合わせて巨人の動きは変わってくるはずだということで、まずはそこを重視しました。
鯉沼そこをがんばってくれというリクエストを出して、実現できるとなったときに、「じゃあ、それに対抗するプレイヤーの動きはどうする?」と。であれば、テレビアニメや原作マンガのような、カッコいい動きを実現したいよね、自分でやれたら気持ちいいよね、という話になったんです。だから、結果として進化することになった。
鈴木巨人の動きと、プレイヤーが取れる行動がどちらも多様化したことにより、戦闘の奥深さは前作よりも確実に増しています。
鯉沼まあ、最初は現場が“プレイヤーの動きの多様化”だけをやろうとしていたので、すぐツッコミを入れたんですけど(笑)。
――そんなことがあったのですね(笑)。前作では、巨人のうなじを斬ると一撃必殺、というような動きがありましたが、根幹としては、そこは変わらない?
鈴木巨人たちはうなじが弱点、という設定があるので、そこは変わりません。一撃必殺に至る過程が増えている、というイメージです。
鯉沼前作における立体機動装置のアクションは非常にがんばって作っていて、そのおかげで評価もされましたし、レビューサイトの点数も高かったので、アクションの気持ちよさはちゃんと残そうということで作っています。
――“アクションを多様化・複雑化する”というところと、“間口を広く取る”というところは二律背反というか、なかなか相容れない要素なのかなと思いますが、ディレクターとしては悩みどころなのでは?
鈴木確かに、そうなんです。前作はふだんゲームを遊ばない方もターゲットにしていて、操作をなるべく簡単にしたのですが、それでも「難しい」という声がありました。
鯉沼社内で『進撃の巨人』が好きなスタッフが前作を遊んだとき、ふだんアクションゲームを遊ばないためか、途中で行き詰まってしまったと言っていて。そういった方でも遊べるように作ったつもりでしたが、そこは誤算でした。
鈴木とはいえ、先ほどのふたつを同時に追うのはなかなか難しいので、まずは“アクションの多様化”というところに重点を置いて開発を進めています。そのうえで、今後はどうやって間口を広げていくかを考えたいなと。
鯉沼いま社内でテストも行っているので、その結果も見つつですね。
――続いて、ストーリー面ですが、テレビアニメSeason 2を再現しつつ、原作者の諫山創先生が監修したシナリオになるとうかがいました。
鈴木諫山先生に監修していただいたのは、エンディングに関わる部分ですね。前作でも、最終盤はオリジナルストーリーになっていて、そこを諫山先生に監修していただいたので、それと同じような形です。
――では、マンガ版『進撃の巨人』はいまも連載が続いていますが、ゲーム版『進撃の巨人2』では、エンディングで物語が何らかの区切りを迎えると。
鈴木そうですね。完結というか、決着がつくような形になっています。
―――ストーリーでテレビアニメSeason 2の部分が描かれるのにともなって、操作できるキャラクターも大幅に増えるようですが……。
鯉沼これ、数を増やしすぎじゃない? 大丈夫?(笑)
鈴木大丈夫です!
――前作のプレイアブルキャラクターは10人で、ユミルなどはNPCとしての参戦でした。今回はそのあたりのキャラクターも……?
鯉沼テレビアニメSeason 2で活躍したキャラクターは拾いたいなと思っています。あと、『進撃の巨人』は人気のキャラクターが多く、10人ではぜんぜん足りなかったという反省もあるので、そこは増やしたいと。
鈴木ユーザーの皆さんに期待に応えられるようなキャラクターが出てくると思っていただいて大丈夫です。
――追加キャラクターの中には、変身ギミックを持っている人もいたりするのかな、みたいなことも思いますが……。
鈴木仮にそのキャラクターがプレイアブルになれば、当然対応します!
鯉沼『進撃の巨人』だと、私はハンジが好きなんですが、ファンの方によって好きなキャラクターがやっぱり違うんですよ。だから、そういったキャラクターたちと交流するために、前作ではキャンプという場所を作ったんです。
鈴木ただ、正直なところ、前作では立体機動装置のアクションのほうにかかりきりになってしまって、キャンプをそこまで深掘りできなくて。
――では、『進撃の巨人2』ではキャンプももっと作り込みがなされる?
鯉沼前作でやりきれなかった部分ですからね。たくさんのキャラクターがいるんですから、よりコミュニケーションを楽しめる作りにしたいと思っています。
――楽しみです。それと、おふたりが出演された生放送(2017年9月23日に実施)では、“●●●●が作成可能”、“●●●●モードが実装”と伏せ字の表記があったのですが、これは……?
鈴木その辺は、まだ少々お待ちください(笑)。
鯉沼テレビアニメ版で、“現在公開可能な情報”というのが出ますよね。あれをマネしてみました(笑)。
――わかりました(笑)。今回、発売ハードはプレイステーション Vita、プレイステーション4、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)、PC(Steam)となっています。前作よりも対応機種が増えましたね。
鯉沼前作海外版はSteam版もあって、今回も作る予定なのですが、国内でもPC・Steamでゲームを楽しまれるユーザーの方が増えていることもあり、日本でも出そうと。また、ニンテンドースイッチも国内外で人気ですので、こちらでも対応することにしました。
――今後の情報が楽しみです。
鈴木いま開発陣が奮闘中ですが、前作よりもいいゲームになると確信しています。皆様、ぜひ楽しみにしてください。
鯉沼テレビアニメのSeason 2に合わせて、『進撃の巨人2』を出します。ストーリーはもちろん、アクションを始め、いろいろなところをパワーアップさせるべく、鋭意製作中です。ぜひ、来年初頭の発売を期待してお待ちください。