TGS会期中に行われた、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのPS4用ソフト『Detroit Become Human』のセッションをリポートする。

 2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。本記事では、会期中に行われた、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのPS4用ソフト『Detroit Become Human』のセッションをリポートする。

 2015年のParis Games Weekで発表されて以来、少しずつ情報が公開されていった本作。発売時期が2018年上期に決まり、ゲームの詳細もだんだんと見えてきた。今回、Quantic DreamのエグゼクティブプロデューサーGuillaume de Fondaumiere氏が行ったセッションで紹介された内容は、過去の海外イベントで披露されたものと重複する部分もあるが、東京ゲームショウをきっかけに本作に興味を持った人も多いと思うので、改めて、ゲーム概要から紹介していこう。

Quantic Dream
エグゼクティブプロデューサー
Guillaume de Fondaumiere氏

 『Detroit Become Human』では、近未来のデトロイトを舞台する物語が展開。Guillaume de Fondaumiere氏は、本作は“ネオ・ノワール・スリラー”であると位置づけている。このデトロイトでは、高性能のアンドロイドが、あらゆる場所で利用されている。見た目もなにもかも人間にそっくりだが、あくまで“モノ”に過ぎない。

 アンドロイドは公共の場で働いているほか、プライベートな空間でも使われ、子守りやドライブ、料理などを行うが、一方で、移動範囲は厳しく制限されている。また、アンドロイドであることを明示する服装を義務付けられており、胸にある三角形のサインや、右のこめかみの円形のLEDは、彼らがアンドロイドであることの証だ。アンドロイドのおかげで、人間は単純作業から解放されたが、同時に高い失業率も生み出したという。

 また、物語が始まった時点で、デトロイトには、異常な兆候を示すアンドロイド“変異体”が存在している。失踪したり、持っていないはずの感情を見せたり……。この変異体が、物語に大きく関わってくる。

 本作では、プレイヤーは3体のアンドロイド、“コナー”、“カーラ”、“マーカス”を操作する。コナーは交渉人であり、変異体を追うハンター。ある特別な目的のために作られたアンドロイドのプロトタイプであるという。カーラは、この物語の源ともいえる存在で、Quantic Dreamが2012年に手掛けた『Kara』という映像作品に登場しているアンドロイド。彼女についてはまだ謎が多く、今後、続報を発表していく予定とのこと。

 マーカスは、みずからの所有者から逃亡しているアンドロイド。変異体のグループに加わり、仲間と協力して、人類に対してメッセージを送ろうと試みる。そのメッセージは、“アンドロイドはモノではなく、生命である”というものだ。今回Guillaume de Fondaumiere氏が行ったデモプレイでは、マーカスの物語の中盤のシーン(Capitol Park)が披露された。

 本作では、プレイヤーの行動によって、物語全体が大きく変化する。Guillaume de Fondaumiere氏は、同じシーンを2度プレイすることで、その変化を紹介した。

 仲間のノースとともに、ある任務を持って、デトロイトの中心街に向かうマーカス。ここでGuillaume de Fondaumiere氏がR2ボタンを押すと、アンドロイドの内面とも言える“マインドパレス”が表示され、その時点での目的がテキストで示される。また、このマインドパレス時は、プレイヤーが干渉できるオブジェクトが黄色く見えるようになっており、ゲーム進行を助けてくれる。

マインドパレス画面。“サイバーライフのショップを見つける”、“ノースについていく”という目的が表示されている。

 たとえば、ひとり佇むアンドロイドの男性も、干渉できる存在のひとつ。マーカスは、触れることでほかのアンドロイドを変異体にする力を持っており、プレイヤーが接触すれば、彼を変異体にすることが可能だ。

 さて、先ほど述べたマーカスの“ある任務”とは、アンドロイドのショップに突入し、彼らを解放することだ。初回のプレイでは、店の警報システムを無効化したが、警備ドローンに見つかってしまい、その場から逃げることを選択。本作ではプレイヤーキャラクターが死ぬこともあるので(死んでも物語は進む)、マーカスの身を危険にさらさないように逃げた、とGuillaume de Fondaumiere氏。マーカスの命は助かったが、店にいるアンドロイドを救うというミッションには失敗してしまった。このことが後のストーリーにも影響を及ぼすという。

ボタンやアナログスティック、タッチパッドを使ってキャラクターやオブジェクトに働きかける。Quantic Dreamの作品らしい操作だ。

 仕切り直して、Guillaume de Fondaumiere氏は同じシーンをプレイ。今度は、ドローンの無力化を試みる。ここで、ドローンの移動ルートを測定し、“特定の位置からドローンに飛び掛かったら、どういう未来が待っているか”をシミュレート。マーカスは、“未来をシミュレートする特殊な能力”を持っており、それを利用して、飛び掛かるのに適切な場所を探していく。

ここから飛び掛かると、タイミングが遅すぎるらしい。
一方、この位置からなら、ドローンをうまく捕まえられそうだ。
ドローンに飛び乗り、無効化するマーカス。

 ドローンを無事破壊したマーカスは、トラックを操縦して店のガラスを割り、突入(もちろん、ドローンや警報装置を排除しないまま突入することもでき、その場合は違う未来が待っているとか)。アンドロイドをつぎつぎと変異体に変えていく。

 そして、彼らを自分の味方として、革命のシンボルとなるマークやメッセージを街中に刻んでいく。ここで刻むマークのデザインや、メッセージの内容は、プレイヤーに委ねられる。平和的な内容にしてもいいし、暴力的な内容にしてもいい。プレイヤーが行動するたび、画面にはPACIFIST(平和主義者)とVIOLENT(暴力的)を示すゲージが表示され、いま、どちらの主義に寄っているかがわかる。仲間のアンドロイドはマーカスを模倣するため、行動を慎重に選ばないと、やがてマーカスが制御できない状況になるかも……とのこと。なお、かなり平和的な行動を取った後でも、暴力的な方向に転換できるそうだ。

どのようなメッセージを刻むのかを選択。
行動するたび、PACIFIST(平和主義者)とVIOLENT(暴力的)の度合いを示すゲージが変動する。
▲ノースは過激派のようで、街を破壊すべく火炎瓶を渡してくる。どうするかはプレイヤー次第。

 ひと通りの活動を終えた後、何者か(警察?)がやってくる兆候を感じ、移動するアンドロイドたち。プレイヤーも彼らのほうに移動すると、なんと何人かの仲間たちが殺されているのを発見。その犯人と思しき存在を、生き延びた仲間たちが取り囲んでいる。マーカスはその存在に銃口を向け……というところでデモは終了した。これは続きが気になる……!

 プレイを終えたGuillaume de Fondaumiere氏は、“ひとりのキャラクターのときに選んだ選択が、他のキャラクターの物語にも影響を与える”と解説。今回のマーカスの行動が、カーラ、コナーにも影響を与えるというわけだ。3人が相まみえる日が来るかもしれないし、まったく会わないかもしれない。物語の250人以上のキャラクターが登場するそうだが、一度のプレイで、何人かには会うだろうが、会わずに終わるキャラクターもいるだろう、とGuillaume de Fondaumiere氏。“プレイヤーに、本当にそのシーンの主人公のキャラクターになってもらう”という作りかたをしていると語った。

 なお、デトロイトを舞台に選んだ理由については、もともとアメリカを舞台にしたいと思っており、“大規模な製造業が成立する都市”を探したところ、過去のデトロイトの歴史に興味を引かれたからだという。過去に製造業で栄光ある歴史を経験し、“モーター・シティ”と呼ばれたデトロイト。しかし、その後、大きな没落を迎える。「このような場所でアンドロイド産業が誕生するのはおもしろいと思った」、「これから数ヵ月後、数年後に小さな企業からアンドロイド産業が興隆していくというのはあり得ることだ」とGuillaume de Fondaumiere氏は語る。また、デトロイトには熟練の労働者がいて、市自身が再生しようと努力しており、20年後、デトロイトがどのようになっているか想像するのはおもしろいことだとも述べた。

 また、マーカスは未来をシミュレートする力を持っており、コナーは過去の状況を再現する力を持っていることがすでに明らかになっているが、カーラにはどのような能力があるのか? と聞くと、それについてはいまは答えられないとしつつ、「彼らはそれぞれスペシャルなアンドロイドモデルで、カーラにももちろん特殊な能力がある」と教えてくれた。3人はそれぞれ、アンドロイドが置かれた状況を代表するキャラクターであるという。過去、未来とくれば、現在に関わる能力なのでは、と推測できるが……?

 ストーリー分岐の種類については、詳しい数は言えないが、テキスト量は『BEYOND: Two Souls』の2倍以上。すべての分岐について、それが成立するかをテストするために、特別なシステムを作らなければいけないほどのボリュームだったという。

 また、エンディングもかなりの数があるが、そこにいたるまでにキャラクターがどのような体験をするかについても相当の分岐があるため、“エンディングの数よりももっと多くの種類の体験がある”とのこと。たとえば、海外イベントや今回のTGSでは、コナーが変異体に捕らわれた少女を助けるシーンが試遊できたが、プレイヤーによっては、少女を救って誇らしい気持ちになれるかもしれないし、救い出せても、ある種の罪悪感を抱くことになるかもしれない。同様に、たとえ同じエンディングを迎えても、違う気持ちになっているかもしれない……とGuillaume de Fondaumiere氏は語った。

 今回披露されたマーカスのシーンや、コナーの人質救出シーンだけでも、多数の分岐があることがわかる本作。何度もプレイしたくなる、魅力溢れる作品であるのは間違いない。2018年上期と、発売はまだ少し先だが、楽しみに待ちたいと思う。

SIEブースリポートでも紹介しているが、『Detroit Become Human』コーナーには、アンドロイドのような振る舞いをする、素敵なスタッフさんたちがいる。そのなりきりっぷりは必見!