秘蔵の設定資料も公開!
DMM.com POWERCHORD STUDIOとブラウニーズによるスマートフォン向けRPG『エグリア~赤いぼうしの伝説~』のファンイベント“エグフェス!”が、2017年7月1日に“Theater Café&Dining STORIA池袋西口店”にて開催された。
開発元のブラウニーズといえば、ファンコミュニティーを大切にするスタジオとしておなじみ。『エグリア』のリリース前も全国6ヵ所で体験会を実施し、好評を博していた。今回の“エグフェス!”は、そんなブラウニーズ 代表取締社長 亀岡慎一氏の「ファンの皆さんとフェスを開きたい!」という熱烈な要望により実現したもので、会場には約50名の『エグリア』ファンが参加した(世間では“エグリスト”というらしい)。関東圏以外だと、北海道や仙台、福井、鳥取からの参加者もおり、ブラウニーズには熱心なファンが多いことをうかがわせる。出席者の7~8割が女性というのも、ブラウニーズのタイトル属性らしいといえるが、興味深かったのは、半数近くが初めてイベントに参加したファンの方であること。どうやら、『エグリア』からファンになったという方も多いようで、「うれしいですね」とは関係者の方のお言葉。
ちなみに、今回のフェスは以前のイベントでの「フェスをやりたい」という亀岡氏の発言が実行に移されたもの。これに味をしめたのか、今回のイベントでも冒頭で亀岡氏が「(フェスも)全国を回るかもしれない?」と、配信元であるDMM.com POWERCHORD STUDIOの広報さんのほうを見ながら猛烈にアピールすれば、それに乗っかるようにグラフィックデザイナーの津田幸治氏も「47都道府県を回ります?」とコメント。さすがに47都道府県はないような気がするが、今後のフェスの展開なども期待できるのかもしれない……。
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気になる“エグフェス!”の内容も、「ファンの方に喜んでいただこう」というブラウニーズのおもてなし精神に溢れており、3時間にわたり三部構成で行われた。その内容はというと、『エグリア』の最新情報をお届けする“第一部 エグリアの野望”、ブラウニーズのスタッフと直接交流ができる“第二部 ブラウニーズたちと戯れ”、未公開イラストなどをお披露目する“第三部 ブラウニーズ デザイナー トーク”という大充実のプログラム。以下、その概要をリポートしていこう。
ファンにとっていちばん気になるであろう『エグリア』の新情報でまず紹介されたのが、ペンキ屋の実装。つい先日“マイホーム訪問”機能が発表されたばかりの『エグリア』だが、それに呼応するかのように、ペンキによって家の色が変更可能に。よりバラエティーに富んだ家造りができるようになる。それに合わせて新たな住人としてペンキ屋さんのフェンネルも発表された。フェンネルは、尻尾で色を塗っていくのだという。
また、会場では4月に行われたリリース記念パーティーで明らかにされた英語版『EGGLIA~Legend of The Redcap~』の最新映像も特別公開された。イベント当日の朝8時に完成した(!)という映像は、全編英語で構成されており(当たり前か)英語版『EGGLIA』の魅力を伝えるもの。ローカライズには相当こだわっており、「フォントひとつとっても凝っている」(亀岡氏)とのことだ。名称も海外に合わせて一部変更されており、たとえば“アロエちゃん”は、ストーリーなどにかけて“アロエリー”になっているという。英語版は、端末などの制約はあるかもしれないが、日本でも遊べるとのこと。英語版の配信は2017年夏が予定されている。
おつぎは拡張コンテンツの最新情報。2017年夏の実装を目指しているという拡張コンテンツだが、新たなたまごや新たな種属“ゴブリン族”などが発表。ゴブリン族はコトミヲとハルシロのふたりで、姉弟とのこと。それに合わせて新フィールド“ゴブリンの森”も紹介され、「見たことにないモンスターが登場します。新しい精霊も登場しますよ」とのお言葉も。さらに追加家具も続々と登場することが明らかにされ、会場ではキッチン風や公園風などが紹介された。
そして、ある意味で会場をいちばんわかせたのが、『エグリア』サントラリリース決定の情報。ハーモニクス・インターナショナルより、2017年秋ごろにオリジナルサウンドトラックがリリースされることがアナウンスされたのだ。『エグリア』といえば、下村陽子氏と弘田佳孝氏による味わいのある音楽が大きな魅力となっているが、サントラとして心ゆくまで聴けるのはうれしいようだ。
“第二部 ブラウニーズたちと戯れ”では、ブラウニーズたち(開発陣)が来場者と歓談。サインあり、記念撮影ありという、いかにもユーザーライクなブラウニーズらしい試み。亀岡慎一氏、津田幸治氏、プランナーの宮川真理氏、杉田霞氏、松本沙紀子氏、デザイナーの平野まあこさん、佐々木麻里氏(くあぞー)、井戸佑太氏(アイドゥ)が参加。ファンの皆さんと心ゆくまで語りあった。
“第三部 ブラウニーズ デザイナー トーク”では、ファン必見の『エグリア』開発時の秘蔵設定が披露された。まず紹介されたのは、亀岡氏による“ヒルダ&ヨルダ初稿”。「思い入れのあるキャラクター」(亀岡氏)というヒルダとヨルダだが、“毒のあるキャラクターにしよう”ということで、初期設定から少しずつ変更が加えられていったようだ。おつぎに紹介された“初期のチャボ”は、いまのチャボと相当変わっており、会場からはどよめきが。チャボのアイデアは古くから温めていたようで、さまざまな試行錯誤の末に、いまのチャボが完成したようだ。
津田氏の秘蔵資料は“初期のタオチンとテカテ”。テカテは『ネバーエンディングストーリー』のロックバイターに引っ張られたとのことだが、「それならばそれでいいか」(津田氏)ということで素直にデザインしたという。タオチンは当初は男性キャラクターだったらしいが、途中で女性に変わったという。津田氏からは“フィールドイメージボード”も公開された。“おかしな城”では、“お菓子”を想定した津田氏が、お菓子好きということでノリノリでイラストを完成。一度亀岡氏にチェックを通して「オーケー」となったハズだったのに、後日「おかしそのものはダメ」とNGを出されることに(「事前に見てない」とは亀岡氏の言い分)。そこで、「後で手が空いているときに直す」と返事をした津田氏だが、けっきょくその時間が取れず、そのままで製品版になってしまった……と語られた。さらに、“ニーベルエッグ案”では、“マイタウン”のにーベルエッグをデサインしたところ、「マイタウンにニーベルエッグ案はない」と言われ、のけぞったといったおもしろエピソードも。
会場を大いに沸かせたのが、まあこさんの“バル族”。当初バル族をパル族が変身した姿だと思っていたというまあこさんは、“怒り”を表現。がんばって“怒り”を表現しようとしたようだが、これが、「怒っているようには見えない」(亀岡氏)とのことで、ボツになってしまったのだという。まあこさんいわく「怒っているときは、笑っているように見える」とのことで、いずれにせよ、表情の表現は難しいようです。
くあぞーの産みの親である佐々木麻里さんこと、くあぞーさんはUI担当。秘蔵資料では“UI決定への道”が紹介された。それは、“購入”アイコンのデザイン案。「アイコンひとつにこれだけ手間暇かけるのか!」というのが記者の率直な感想だが、そこはこだわりの亀岡氏のこと。むしろアイコンにこそ、いちばんボツを出したようだ。『エグリア』開発のこだわりの一端がうかがえる秘蔵資料だった。ちなみに、決定稿は左側の上から4番目。また、“くあぞー丸太”では、当初“くあぞーがついてきた木材”という注釈を見逃して丸太だけを製作。それでオーケーになったものの、後で注釈を見つけて書き直したらしい。けっきょく、“くあぞー付き”は採用されることはなかったようだが……。「なめじくみたい」とはスタッフの皆さんの言葉。
最後に紹介されたのは井戸佑太氏が作った“宝箱案”。プランナーの宮川真理氏から「宝箱を作って」と言われた井戸氏が作ったデザインだ。けっきょく全ボツをくらい、完成形は別モノになったようだが……。井戸氏がデザインしたものとしては、どこか見たことのあるような王冠と髭をつけたくあぞーと、泣いているアロエちゃんが紹介された。泣いているアロエちゃんは、『エグリア』の開発に参加した井戸氏が、まだ敵キャラクターができていなかったので、仮でアロエちゃんを敵キャラクターとして組み込んだところ、プランナーから「ダメージを受けたときのモーションをつけてほしい」と言われて泣き顔を作ったのだという。ゲーム中では絶対に見られないレアな表情と言える(でも、どこかかわいい)。
イベントの最後には、豪華景品があたる抽選会も開かれ、大盛況のうちにイベントは終了。『エグリア』ファンにとっては大満足の1日となったようだ。『エグリア』の今後の展開からも目が離せません!