『三國志13 with PK』と『三国志大戦』がコラボ! 両社のキーマンが『三国志』を語るインタビュー完全版

週刊ファミ通2017年6月8日号に掲載された、コーエーテクモゲームス越後谷和広氏と、セガ・インタラクティブ西山泰弘氏のインタビューを、加筆、再編集してお届け。

●アツい『三国志』愛がほとばしる!

 週刊ファミ通2017年6月8日号(2017年5月25日発売)において、コーエーテクモゲームスの歴史シミュレーションゲーム『三國志13 with パワーアップキット』と、セガのアーケードトレーディングカードゲーム『三国志大戦』のコラボをが発表された。
 この施策は、週刊ファミ通がコーエーテクモゲームスとセガ・インタラクティブの両社に持ちかけたもので、同号を購入すると、『三国志大戦』の武将イラストが『三國志13 with パワーアップキット』の全機種で使用できるようになる。
 本記事では、週刊ファミ通2017年6月8日号に掲載された、コーエーテクモゲームス越後谷和広氏と、セガ・インタラクティブ西山泰弘氏のインタビューを、加筆、再編集してお届けする。

▲越後谷和広氏(写真左)と西山泰弘氏(写真右)。

▲『三國志13 with パワーアップキット』は、先日プレイステーション Vitaが発売されたばかり。武将たちの中からひとりを選び、その武将として三国時代を生きていく。

▲アーケードで稼動中の『三国志大戦』。魏、呉、蜀、群雄の各勢力からカードを選び、デッキを作って全国のライバルたちと戦う。

●お互いを意識し刺激し合う、よきライバル関係

――まずは、おふたりの『三国志』のルーツについて教えていただけますか?
越後谷 やはり、横山光輝先生の『三国志』を読んだ影響が強いですね。
西山 僕もそうです。最初は横山光輝先生の漫画を読んで、そしてコーエーテクモゲームスさんのゲームをプレイしてと、だんだんと熟成されていった感じです(笑)。

――まさに『三国志』フリークの王道ですね!
西山 横山光輝先生の『三国志』関連の作品では『史記』も読みました。
越後谷 『三国志』が本当にお好きですね(笑)。
西山 僕はこれまで、長くアミューズメント畑でやってきたのですが、『三国志大戦』を作るまで、こうして大好きな歴史ものでゲームを作れることになるなんて、まったく思ってもいませんでした。

――『三国志大戦』がリリースされたのが、いまから12年前の2005年でした。
越後谷 ちょうど『真・三國無双4』が発売されたころですね。
西山真・三國無双』シリーズが道を切り拓いてくれたおかげで、僕らも『三国志』IP(知的財産)の作品を作ることができたんですよ。『真・三國無双』が売れる前と後では、上の反応もまったく違いましたから(笑)。

――『真・三國無双2』が100万本を超えるセールスを記録してからは、『三国志』という題材がよりメジャーになった気がします。
西山 『三国志大戦』の開発を始めたきっかけは、『真・三國無双』を遊びながら「そう言えば、アミューズメントでは『三国志』ものってなかったよな」ということに、ハタと気が付いたことなんです。「これはやれるんじゃないか」と思いましたね。
越後谷 確かに、当時アミューズメントでは、『三国志』IPのタイトルはあまり聞かなかったような記憶があります。
西山 ただ、『三国志』もののゲームを作るときに高いハードルとなるのが、『三國志』や『真・三國無双』シリーズのイメージが強すぎて、何をやってもコーエーテクモゲームスさんと比べられてしまうということです。同じことをやったら正直難しかったですね。それで考えついたのが、トレーディングカードを使ったゲームシステムです。
越後谷 『三国志大戦』は、デジタルTCGモノの先駆けですよね。
西山 当時はほとんど競合もなかったこともありましたし、ゲームの性質上いろいろなイラストレーターさんに参加してもらうことができました。講談社さんとのタイアップ企画なんていうのもやりましたね。あれはいい経験でした。
越後谷 まさにあのタイアップのおかげで、『三国志』で何かをやろうと思ったとき、ものすごくビジュアル面の幅が広がったと思いました。
西山 たくさんのイラストレーターさんのキャラクターが見られるということで、注目もそちらに移ってくれまして……。

――有名な方々のオリジナルの絵柄がバンバン出てきましたからね。
西山 そのころには、『三國志』や『真・三國無双』の絵とも比べられなくなって、ホッとしました。もともと、僕が『三國志』や『真・三國無双』の大ファンだったからこそ、とにかく何につけてもコーエーテクモさんの存在を意識していましたね。

――越後谷さんにうかがいたいのですが、コーエーテクモゲームスでは、『三国志大戦』が出てきたときはどんな反応がありましたか?
越後谷 いちばん衝撃的だったのは、フラットリーダー上でカードを動かして遊ぶシステムでした。それまでゲームというのは、コントローラーだったりマウスだったりというデバイス(入力装置)を使ってやるものだ、というイメージがあったので。当社でも、多くのスタッフがハマっていて、昼休みに遊びに行く者もいました。社内で身内の大会を開催したりもしていたようです。
西山 それはうれしいですね!
越後谷 あとは西山さんのお話にも出ていた、たくさんのイラストレーターさんを起用していること。ファンの幅も広がるし、これはいいなと思って見ていました。当社の作品は、イメージを作るという意味でもずっと同じ系統の絵で続けてきているんですよ。いまさら大きく変えるわけにもいきませんし、ゲームシステムの面も含めて「ウチにできないことをやっている」という印象がいまでも強いです。

――西山さんから『三國志』や『真・三國無双』に大きな影響を受けた、というお話が出てきましたが、反対にコーエーテクモゲームスの作品で『三国志大戦』に影響されたところはあるのでしょうか?
越後谷 ずっと開発チームにいたわけではないので、実際のところはわかりませんが、社内で見ていても『三国志大戦』に影響されたところはあると思います。当社にも『三国志大戦』好きはかなりいますし、「うらやましい」と思っているところはあるはずです。たとえば、リアルタイムで動く要素を取り入れた『三國志12』の戦闘は、『三国志大戦』の影響も受けていると思いますね。

●『三國志Internet』で合宿!?

――先ほどから、おふたりの熱い『三国志』愛を感じているのですが、好きな武将などをうかがえますか?
越後谷 いちばん好きなのは張飛です。横山光輝先生のマンガでも最初から登場していて、主役級の扱いを受けているのですが、とにかく活躍ぶりがカッコいいんですよ。ときどきお酒で失敗するのも、人間臭くて好感が持てますし。本当に、キャラクターが際立っていると思います。張飛と比べると、関羽は優等生然としすぎているように感じられて。やはり張飛は親しみやすい人物でしたね。
西山 横山光輝先生の張飛は見た目もカッコいいんですよ。ほかの作品だと、もっと赤ら顔で“悪”っぽいイメージがあるのですが、どこかオシャレな感じさえ漂っていますから。
越後谷 ただ、個人的には好きなのですが、『三國志』だと個性を出すために、知力を落とさざるを得ないのがちょっと残念ですね。『真・三國無双』でもパワータイプなので足を遅くせざるを得ず……という。しかも、どちらも上位互換的な存在として呂布がいるので……。
西山 そうなんですよね。どうしても。
越後谷 ですので、『三國志』では呂布と違って、ものすごく義理堅くて裏切らない、とかそういった特徴をつけたりしています。
西山三国志大戦』でも、張飛の能力設定ではスタッフとモメたことがありますよ。

――ちなみに、西山さんの好きな武将は?
西山 僕は以前から公言している通り、趙雲です。彼は長生きして、『三国志』の中でも天寿をまっとうした数少ない武将になっています。関羽や張飛などと違い、大きな過ちを犯すこともなかったからこそ寿命まで生きられたんでしょうね。そういうところはすばらしいと思っています。ツッコミどころがあるとすれば、長坂の戦いで“青釭の剣”を手に入れるというエピソードで、「でもお前槍使いじゃん! この先どうするの?」というところくらいですか。ゲームでもあの話は使いづらいんですよね(笑)。
越後谷 確かに。いい話なんですけど。

――おふたりとも蜀の武将がお好きなんですね。
西山 横山光輝先生の『三国志』から入った世代ですから、どうしても蜀の武将をひいき目で見てしまいます。『蒼天航路』から入っていたら、魏の武将が好きになっていたかもしれません。
越後谷 いまの若い世代の人たちは、入口となる作品がたくさんあるので、好きな武将も多様化しているんじゃないかと思います。

――先ほどの張飛の話ではありませんが、武将の好きなところがゲームに影響したりはするものなのでしょうか?
越後谷 少なからずあるとは思います。ゲームに限らず、登場人物には自分のイメージを投影するものですから。
西山 とくに見た目には反映されやすいかもしれませんね。ただ、僕の中にある『三国志』のイメージは、かなりの部分コーエーテクモさんのゲームの影響を受けているとわかっているので、ゲームクリエイターとして“じゃないほう”に舵を切るようにしています。ある意味、やりやすいのかもしれませんね。

――西山さんは、『三國志Internet』がとてもお好きだった、と聞いたことがありますが……。
西山 いえ、いまも現役ですよ(笑)。
――えっ!? もうサービスは終わっていますよね?
西山 サーバーは閉じちゃっていますが、身内でネットワークにつないで遊んでいます。2000年くらいから始めて、ずっと続けているんですよ。いまだに「ここのマップを作り替えたい」とか思っているくらい、こだわりが強いです。
越後谷 それはかなりの通ですね(笑)。
西山 コンシューマーのチームと、僕らアーケードのチームそれぞれに、『三國志Internet』の大ファンがいて。彼らとは、いまでも年に2回くらい集まって、『三國志Internet』の合宿をするんです。旅館などに、LANケーブルとハブを持っていって、それで皆のPCを繋いで、延々とゲームをやるという(笑)。

越後谷 すごい話ですね(笑)。
西山 しかも、2泊3日とかの旅行なのに、昼飯以外はほとんど外にも出ないんです。
越後谷 それだけ楽しんでいただけたら、当時開発したスタッフも、開発者冥利に尽きます。『三國志Internet』は、私が入社して4、5年後くらいの作品です。その前から社内ではとあるリアルタイムストラテジーの作品が流行っていて、そういった作品を自分たちでも作りたい、ということでできたのが『信長の野望Internet』。それで、それをさらに熟成させたのが『三國
志Internet
』なんです。オンラインゲームとして、かなりのこだわりを持って作られた作品なのは間違いないと思います。
西山 まだまだ、新たな戦術が生まれていますからね。本当に奥が深いゲームですよ、『三國志Internet』は。