「2週間以内に新たな“神話構想”を発表します」 竹安佐和記氏が『エルシャダイ』のいままでとこれからを語る【TOKYO SANDBOX 2017】

2017年5月10日から14日まで、“TOKYO SANDBOX 2017”が開催。11・12日には、開発者向けのサミット“PUSH”がTKPガーデンシティ渋谷で開催された。ここではそのサミットの中から、竹安佐和記氏による講演“エルシャダイの世界”をリポートする。

●『エルシャダイ』に関する創作活動はまさにインディーズ

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▲竹安佐和記氏

 2017年5月10日から14日まで、“TOKYO SANDBOX 2017”が開催。11・12日には、開発者向けのサミット“PUSH”がTKPガーデンシティ渋谷で開催された。ここではそのサミットの中から、竹安佐和記氏による講演“エルシャダイの世界”をリポートする。

[2017年5月12日 23時50分 記事修正]
記事の一部に誤字があり修正いたしました。

 “エルシャダイの世界”と題された今回の講演。『エルシャダイ』のクリエイター・竹安佐和記氏が登壇し、知られざる『エルシャダイ』の歴史や世界を、ユーモアたっぷりに語ってくれた。
 ちなみに“TOKYO SANDBOX 2017”に竹安氏が参加するというニュースが出たとき(※ファミ通ドットコムの記事はこちら)、「『エルシャダイ』の続編に関する発表があるかも?」とあったが、それについて「神の時間では一瞬だが、人の時間ではあと365年はかかるかもしれない」と会場を笑わせた。


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▲講演にあたり、PRのために早めに写真を提出してほしいと言われ、何枚か提出したら「これになった(笑)」。運営曰く「ロックスターみたいだから」だとか。

 ご存じの通り、カプコン在籍時、『デビルメイクライ』や『鉄騎』、『大神』などの開発に携わってきた竹安氏。カプコンを退社して、「何のあてもなく東京に出てきた」そうだ。竹安さんには“0円で東京に出てくる”夢があったが、親戚の家にお世話になるはずがにべもなく断られ、さっそく頓挫。すぐ親に電話して、50万円ほど借金し、とりあえず住居を確保したそうだ。また、『大神』の評価が高かったこともあり、仕事の依頼は多かったと振り返る。


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▲カプコン時代から現在まで、竹安氏が開発に関わった作品の数々。

▲とくに『エルシャダイ』に関して、竹安氏が“神”と言って感謝しているのが、Vijay氏と竹下和広氏のふたり。

 紆余曲折を経て完成した『エルシャダイ』は、ビジュアルや演出などで話題を読んだ。また、2010年の東京ゲームショウではフューチャー賞を受賞し、EDWINとのコラボジーンズも大ヒット。世界最長CMとしてギネス記録に登録されたり、「そんな装備で大丈夫か?」でネット流行語大賞も受賞した。


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 しかし、2010年のTGS開催時点では、スタジオの閉鎖が決定していたそうだ。まさに、リーマンショックにスタジオが巻き込まれ、「まさか自分のスタジオが巻き込まれるとは」と思ったという。そして、その時に強く感じたのが「ゲームは世に出さないと無になる」ということ。名作だろうが、クソゲーだろうが、竹安氏はとにかくゲームを出すことにこだわったと振り返る。
 『エルシャダイ』をプレイしたユーザーからは「話が未完だった」という指摘が多かったそうで、とくにラスボスがいなかったことを不満に思っていたらしい。しかし、そもそも『エルシャダイ』というのは、“10年続けられるコンテンツ”として作られた壮大なSa-gaであり、「ゲームで描かれたのは9時間、残り730年の物語がある」(竹安氏)。そもそも『エルシャダイ』は惑星創生の物語で、天地創造に立ち返る壮大なストーリーだったのだ。「そんな装備で大丈夫か?」が独り歩きしていたが、竹安氏は、そういった設定はいつか出さないともったいないと考えていたという。


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●チャンスは気まぐれに訪れる

 竹安氏によると、準備ができていなくてもチャンスは気まぐれに訪れるものなのだそうだ。「そのチャンスが与えられたら全力でやろう、そうすれば後悔はない」と考え、そういった気持ちで完成させたのが、550ページにも及ぶ原作小説。
 じつは竹安氏は小説が大嫌いで、体調を崩しながらも身を削って完成させた。評判も上々で、ファンからも「これで納得した」という声もいただいた。
 小説がヒットし、「続きを書かないか」という話を出版社からもらったが、会社がなくなったので書けないという状況だったのだが、新たなチャンスが訪れる。それは、『エルシャダイ』の権利取得というもの。


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 もう小説は書きたくないと思っていた竹安氏は、原作小説の前文にあたる物語をマンガにした。このマンガを書き上げ、「これで『エルシャダイ』でやり残したことはなくなった」と感じたそうだが、こういった一連の仕事がいわゆる“インディーズ”。竹安氏の考える“インディーズ”は、決して弱小・零細ではなく、自由で高い独立性があるもの。また、インディーズは止まらない世界。作り続けていると、大きなチャンスが訪れることがあり、チャンスに「いつも通りまたつくろう」がインディー精神なのだ。

 作品を作り続けるのは『エルシャダイ』終了後も続けているが、それを“神話構想”と名付けた。分かりやすい例えでは、『クトゥルフ神話』のように広がっていくのが神話構想の世界だそうだ。


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 また、今回の講演にあたり、チャリティーで何か出してほしいと言われたそうで、最近力を入れている“マッキーアートの複製原画”を作ることに。現代のゲーム開発とは正反対の原始的な創作活動だが、月1枚くらいのペースで描いているそうだ。


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▲『エルシャダイ』の世界を凝縮したという“マッキーアート”。会場からは「おお!」という歓声が上がった。

 インディーっぽい盛り上がりとして、ニコニコ動画で有名な動画があり、じつに600万再生もの人気を集めている。その動画に「腹が立った」という竹安氏だが、その理由は「画質が低いから」。ならば、みずからHD版を作り、講演で公開してくれた。


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▲「HD版を公開できてうれしい」と竹安氏。

 竹安氏のインディー的活動でつぎにやりたいのが、ギャラリーエルシャダイでの“梅雨のルシフェル展”。ファンのあいだでは、6月4日はルシフェルの記念日として認知されていることから、6月3日~17日に開催するそうだ。
 ちなみに、ギャラリーエルシャダイは信者の聖地であり、竹安氏がインディー的活動をする際の開発拠点が欲しかったことからできた場所。

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 『エルシャダイ』は長い期間ファンでいる人が多いことから、そのファン向けのブログで手伝ってくれる人を募集したところ、15人以上の応募があったという。そのうちの何人かは、竹安さんに会うだけで泣き、手が震えていたそうだが、「涙を流しながらいっしょにがんばりたい」という姿にはすなおに感動したと振り返る。ファンならずとも、ぜひ訪れてみたいギャラリーだ。


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 そして、最後にサプライズが! なんと、「2週間以内に新たな“神話構想”を発表」するというのだ。しかし、この発表は「インディーズではなく、メジャーなものなので、強く口止めされているが、楽しみにしていてください」と笑い、講演を締めくくった。


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