TT Gamesのプロデューサー、マット・エリソン氏にプレイステーション4とNintendo Switchに移植が発表されたばかりの『レゴ シティ アンダーカバー』についてあれこれ聞いてみた。

●「ベストなタイトルとの評価を受けて、さらに多くの人に遊んでほしかった」

 先日、ワーナー ブラザース ジャパンより、2017年6月29日に『レゴ シティ アンダーカバー』がプレイステーション4とNintendo Switch向けに発売されることが明らかにされた。同作は、2013年にWii U向けに発売されたアクション・アドベンチャーの移植作。警察官であるチェイス・マケインは、ならず者であるレックス・フューリーの犯罪を阻止すべく、オープンワールドの“レゴシティ”で捜査していくことになる。その確かなゲーム性が高い評価を集め、国内で10万本を超える販売本数を記録したのは記憶に新しいところ。

 スマッシュヒット作のプレイステーション4&Nintendo Switchへの移植ということで注目が集まる『レゴ シティ アンダーカバー』だが、先日行われた“ワーナーラインナップ発表会”に合わせて、開発元であるTT Gamesのプロデューサー、マット・エリソン氏が来日。取材陣を対象に、『レゴ シティ アンダーカバー』のプレゼンと質疑応答を行った。さらにファミ通ドットコムには単独インタビューにも応じてくれるという至れり尽くせりぶり。というわけで、プレイステーション4&Nintendo Switch『レゴ シティ アンダーカバー』を丸裸にさせていただきます!

[関連記事]
PS4&Nintendo Switch『レゴ シティ アンダーカバー』発売日が6月29日に決定、マルチプレイにも対応
『レゴ ワールド 目指せマスタービルダー』に高橋愛さんも感激 ワーナー ブラザース ジャパンが2017年のラインアップ発表会を開催

 プレゼンでは、マット・エリソン氏がプレイステーション4版の日本語バージョンをみずからプレイ。主人公であるチェイス・マケインが久しぶりにレゴシティに帰ってくると、かつて彼が捕まえた犯罪者のレックス・フューリーがアルバトロス島刑務所から脱獄して、レゴシティに潜伏中であり、街は犯罪が急増中であることを知らされる……といった導入部が紹介された。つまり、脱獄したレックス・フューリーを捕まえるのが、本作の目的となるわけだ。

▲主人公のチェイス・マケイン。

 ここで、エリソン氏は、誰もが気になるであろう、Wii U版とプレイステーション4&Nintendo Switch版との違いを「グラフィックが格段によくなっていますし、乗り物の数も増やしています」と説明。さらに、もっとも大きな違いとして、ふたりが協力してのマルチプレイを挙げた。マルチプレイでは、画面が上下に分割して、それぞれ自由にプレイできるようになるようだ。なお、本作のマルチプレイはオフライン対応のみとなる。

 さらにプレゼンでは、本作には8つの衣装が用意されていて、それらの衣装をまとうことで異なる効力を身につけられることや、300種類もの変装が用意されているといった主人公マケインの特徴が改めて紹介。さらに、レゴシティ警察署署長のダンビーやおっちょこちょいの新米警察官フランク、かつてレックスを逮捕する際に情報提供をしたことで、いまは証人保護プログラムを受けるナタリアなど、多彩な登場キャラクターの一端も明らかにされた。

 また、冒頭のミッションとして、箱を壊して部品をゲットし、その部品でタンスを作成。その中から制服を入手する……といった一連のアクションも披露された。

 25分あまりの冒頭部分のデモに続いては、マット・エリソン氏への質疑応答に。そもそも今回なぜプレイステーション4版とNintendo Switch版をリリースすることにしたのか? それに対してエリソン氏は「Wii U版は私たちが作ったベストゲームという評価をいただいていました。そんな同作を、新しいプラットフォームで提供して、より多くの方にプレイしていただきたいと思ったんです」とコメント。

 プレイステーション4版とNintendo Switch版をリリースするにあたっては、もちろんWii Uユーザーのフィードバックを取り入れたとのこと。第一はロード時間の改善。Wii Uユーザーの「ロード時間が長い」との意見を受けて、「ローディングを一括して行うのではなくて、少しずつ分割する感じにしました」(エリソン氏)という。

 『レゴ シティ アンダーカバー』でとくに評価が高かったのは、やはりストーリー。「本作は、『レゴ』ゲームとしては、(ゲームプレイが)いちばん長いゲームです。“ストーリーを作ることに専念したゲーム”ということは言えるかもしれません。複数のストーリーが交差しますし、登場人物間で交わされる会話も楽しみ甲斐があるかと思います」とのこと。

▲随所に盛り込まれたユーモア。

 一方で、エリソン氏によると、ストーリーに関していえば、「ストーリーに含まれているユーモアがユーザーさんに共感していただいた」という。本作にはさまざまなタイプの笑える要素が取り入れられており、“ユーモアの幅が広い”ということでユーザーから評価されたという。ユーモア感覚というのは『レゴ』シリーズ共通のモチーフとなっているが、本作の秀逸なストーリーと相まって、ユーモア感覚にもさらに磨きがかけられているようだ。とくに際立つのがパロディ。本作はとにかくパロディが満載で、冒頭だけでも『タイタニック』を思わせるシーンがあったし、警察署内では、シャーロック・ホームズやコロンボ刑事、ハリー・キャラハンっぽいキャラが確認できた。映画ファン、刑事ドラマファンにはたまらない要素と言えるだろう。『レゴ』ゲームの対象年齢は幅広く、小さいお子さんには刑事コロンボや『ダーティー・ハリー』はわからないような気もするが、「そこは、お父さんお母さん世代に楽しんでいただければ……」とのこと。幅広い層に訴求するための要素がふんだんに盛り込まれているということだろう。

 なお、Wii U版からプレイステーション4版&Nintendo Switch版に移植されるにあたっての追加ポイントとしては、前述の通りマルチプレイが挙げられるが、エリソン氏はプレイステーション4版とNintendo Switch版の違いも教えてくれた。それはパロディにあたる部分の扱いで、Wii U版ではほかの任天堂キャラクターに触れている箇所があるが、プレイステーション4版ではそのくだりはないという(もちろんNintendo Switch版はそのまま)。なお、本作はSteam版も開発中だという。

 また、少し細かいネタになってしまうかもしれないが、マルチプレイに関しては、本作は画面分割での対応となるという。『レゴ』ゲームのほかのタイトルでは、ときに画面分割、ときに一画面で……といったふうにゲームプレイに応じて適宜変更するタイトルもあったようだが、本作ではそのスタイルは採用しておらず、画面分割は固定だ。「本作では、ふたりがすれ違うという状況もあるのですが、そこでどうやって画面を切り換えるのか……というときに、そのまま分割にしていくほうがいいだろうという判断になりました」(エリソン氏)という。

 本作の舞台となるのは、いうまでもオープンワールドのレゴシティ。サンフランシスコからインスパイアを受けたというレゴシティだが(ゴールデンゲートブリッジやアルカトラズ島も登場しますからね)、「『レゴ』ゲーム史上、いちばんオープンワールドなゲームだと認識しています」とエリソン氏は自信満々で語る。

 最後に日本のゲームファンへのメッセージをお願いすると、「私たち開発陣にとっても、本作はとても思い入れの深いタイトルです。だからこそ、今回別のプラットフォームでお届けしたいと思ったわけですから。とにかく楽しんでください!」とのことだ。

▲ちなみに画面写真とインタビュー内容は、あまり関係ありません。

■ストーリーへの注力と、職人によるこだわりの表情作りと

 プレゼントと合同インタビューを経て、『レゴ シティ アンダーカバー』の魅力は、ストーリーとユーモア、そしてオープンワールドといったことがわかっていただけただろうか。最後に、ファミ通ドットコムのために提供していただいたマット・エリソン氏への単独インタビューで、さらに気になる点を聞いてみた。

▲TT Gamesのプロデューサー、マット・エリソン氏。

――とても評価の高い『レゴ シティ アンダーカバー』ですが、どのような経緯でプレイステーション4版とNintendo Switch版が開発されることになったのですか?

マット 本作で私たちがいちばん注力したのはストーリーです。私たちが語りたいストーリーがあって、それをこの世界で実現しているんです。Wii U版をものすごくたくさんの方がいいとおっしゃってくださいましたので、もっとたくさんの方にエンジョイしていただこうということで、今回別のプラットフォームでもリリースすることにしたんです。

――語りたいストーリーのコンセプトとは?

マット コンセプトとしては、“いろいろなところに行く”というのがありました。そもそも本作のモチーフとなったレゴブロックの“レゴシティ”には、警官だったり消防士だったり、宇宙飛行士だったりといったモチーフがあって、お子さんが憧れるような職業が入っているんですね。その要素を取り入れたかったというのがあります。もうひとつ入れたかったのがユーモアのセンス。これは絶対に欠かせないと思っていました。とくに、映画やポップカルチャーにひっかけたユーモアのネタは入れたいなと。

――ストーリー作りに力を入れたとのことですが、シナリオライターさんはひとりで?

マット メインのライターがひとりいます。ほかの人も少し手伝ったかもしれませんが、基本的にはひとりで書いています。

――本作の開発期間は3年間だとうかがっていますが、シナリオの執筆には長い時間をかけたのですか?

マット そうですね。ストーリーラインを考える時間も必要だったのですが、それと同時にシティそのものがすごく大きいので、そこに何を入れるのか、そして入れたものをきちんと動くようにするためのテクニカルな作業なども必要ですので、それにも時間がかかったということはありますね。

――街の構築とシナリオ作業はほぼ同時だったのですか? 「街のこの要素があるから、シナリオをこうしよう」といった。

マット そうです。シナリオライティングと街作りは同時進行でした。お互いに影響しあっていますね。そうはいっても、最初に「こんなストーリーで行こう」というドラフトがあって、それにもとづいた街作りをするのですが、街作りの結果、「こういうストーリーも行けるんじゃないか?」みたいなアイデアがでてきたりしました。逆もあったりという形で開発を進めています。

――本作はサンフランシスコをモチーフにしたとのことですが、「要素的にサンフランシスコにこれはないけど、ストーリーの要請から盛り込もう」といった建物はありますか?

マット 本作は、サンフランシスコをモデルにしたというよりも、サンフランシスコにインスパイアされて街を作ったという言いかたがいちばん適切かと思います。当然サンフランシスコということで、ゴールデンゲートブリッジがあったり、アルカトラズのような刑務所があったりします。とはいえ、たとえばゲームの中で重要な役割を果たす警察署の位置は、必ずしもサンフランシスコにならっているわけではありません。それよりも、すばやくアクセスできることのほうがゲームのストーリー上では大切でしたので、そちらを優先して置いています。あと、警察署をでてちょっとドライブしたら、農場に行ける設定になっているのですが、これもサンフランシスコとは関係ありませんね。本来のサンフランシスコでは住宅街であるはずの島が、ゲームでは商業地区になっていたりとか。サンフランシスコに……というよりも、さまざまな要素を組み込んでいます。

――街はサンフランシスコにインスパイアを受けたとして、キャラクターはいかがですか?

マット 誰か特定の俳優さんにインスパイアされたということはないのですが、プレゼンでお話したとおり、本作では随所に特定の映画のシーンだったり、会話だったりを思わせるシーンが登場します。そういった意味では、いろいろな映画にインスパイアを受けていると言っていいかもしれませんね。

――『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の開発者にお話をうかがったときに、それぞれのキャラクターにアニメーション(動き)をつける専任の担当がいると聞いたのですが、本作でも同様ですか?

マット 当然本作にもアニメーターがいて、「このキャラクターはどう動かしたらいいだろう?」ということを専任で考えてくれています。たとえば、『スター・ウォーズ』の場合だと、ゲームの中のキャラクターの動きは映画の動きに合わせないといけないと思うんです。ですので、そこにある程度の制約がありますし、そこに難しさもあると思います。これが『レゴ シティ アンダーカバー』の場合だと、ある程度アニメーターがあるんです。特定の人がいて、その動きを真似しないといけないということではないので。ですので、作品によってアニメーターの役割やアニメーターが達成しないといけないことも、ちょっと違ってくると思います。

――デモを拝見していて改めて思ったのですが、キャラクターの表情がとても豊かですね。表情作りの秘訣は?

マット キャラクターに個性を持たせて、愛着を持ってもらうという点において、表情作りはとても重要です。表情を魅力的にすることで、ユーザーさんも、「このキャラクターを動かすと、つぎは何をしてくれるんだろう」と、ゲームをどんどん進めてくれるモチベーションにもつながっていくわけです。ですので、そういった表情作りであるとか、さまざまなやりかたで個性を持たせるというのも、アニメーションを通じてということになりますので、アニメーターの仕事がすごく重要になります。

――表情もアニメーターの仕事なのですねえ。表情作りも手付けで?

マット カットによるかとは思いますが、基本的にはアニメーションで表情も作っています。

――ということは、アニメーターがキャラクターの個性をわきまえて、「これは彼に適した表情だ」ということで作っているのですね?

マット そうですよ。各アニメーターはそれぞれのキャラクターの個性をしっかりと把握したうえで、表情をつけているわけです。

――職人芸に近いですね。

マット TT Gamesには才能のある開発者がたくさんいますが、目立つ場所だけに才能溢れる人材がいるわけではなくて、人目につかないところでも、才能を駆使して着実に仕事をしているということは言えるかもしれません。

――そのへんが、『レゴ』シリーズのクオリティーコントロールの秘訣でしょうか?

マット やはり私たち自身も自分のたちの作品にものすごく誇りを持っていますし、熱意を持って作っています。私たちがクオリティーの高いゲームを作り得ているとすれば、まずはそれが第一にあるかと思います。それと同時にパートナーであるレゴ社のほうも、非常に高いクオリティーの基準を持っていますので、私たちとしてもそれを満たすだけというよりも、満たした上を目指したいという強い思いがありますので、そういったところから、高いクオリティーのタイトルが生まれてくるのだと思います。

――レゴ社もけっこう求めるところは相当高いのですね……。本作においてはどうだったのですか?

マット たとえば、さきほどのデモでもお見せしたのですが、変装ブースというのがありました。あれも本作から追加された新しい機能なのですが、それを取り入れるにあたって、レゴ社のほうから、「それが変装ブースだということが、ユーザーにちゃんとわかるような見せかたにしてください」というリクエストをいただいていました。あと、今回ふたりプレイを実装しているのですが、これに関してもレゴ社からリクエストが来ていましたね。

――どんな?

マット たとえば、ふたりゲームがプレイできるということで、街のなかのぜんぜん違う場所にふたりがいるということがよくあると思うのですが、そこからひとつのミッションを遂行しないといけないというときに、お互いがどういうふうに行動してどういうふうに会えばいいのかが、きちんと道がわかるようにしてくれというリクエストがレゴ社のほうが来ていました。私たちも、それはきっちりとしないといけないとは思っていたのですが、レゴ社さんからもいただきましたね。

――ほう。けっこうゲーム内容に関してもきっちりと言ってくるのですね。

マット そうですね。レゴ社とは、極めていい関係を築いていますよ。

――ところで、今回移植作業はスムースだったのですか?それともたいへんでしたか?

マット 移植自体はたいへんではありませんでした。ちょうどいいタイミングでリリースできると思っています。あとは、開発のときにいちばんたいへんだったのは、ふたりプレイをどうするのかということでしたね。もうひとつが、コントローラーですね。Wii U版ではGamePadがあって、『レゴ シティ アンダーカバー』では、一部の設定をGamePadで行っていたのですが、プレイステーション4やNintendo Switchにはそれがありません。その点で、調整したくらいでしょうか。まあ、新ハードは何によらずチャレンジではありますね。新しい取り組みには新しい試練がありますので、そういう意味では「簡単でしたよ」と言うつもりはないのですが、そこは“学びの機会”ということで、この機会を経て、自分が学んだことをどう最大限活かしていくかということをつねに考えながら開発しています。プレイステーション4に関しては、すでに経験がありますし、今回任天堂さんとは、非常に緊密なやり取りをさせていただいて、いい関係を築きながら開発できましたので、よかったと思います。

――最後に……ちょっと気の早い話ですが、今回プレイステーション4版とNintendo Switch版が発売されるということは、続編に対する足がかりなのかな……とも思ったりするのですが、いかがです?

マット ノーコメントにさせてください。いまの段階では続編の可能性のお話はできないのですが、今回のプラットフォームを変えてのリリースは、「さらの多くの方に遊んでいただきたい」との思いによるものです。ぜひとも楽しんでいただるとうれしいです。