2017年3月3日に、Nintendo SwitchとWii Uで発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。ファミ通.comでは『ブレス オブ ザ ワイルド』をいち早くプレイした編集者、ライターによる記事を2本掲載。こちらの記事では、『ブレス オブ ザ ワイルド』全体のインプレッションをお届けする。

●シリーズのアタリマエを見直して到達した、新たな姿

 2017年3月3日に、Nintendo SwitchとWii Uで発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。“『ゼルダ』のアタリマエを見直す”というコンセプトのもと、広大なオープンワールドタイプのゲームに姿を変え、これまでのシリーズの流れを一新した内容になっている。今回、ファミ通.comでは『ブレス オブ ザ ワイルド』をいち早くプレイした編集者、ライターによる記事を2本掲載。こちらの記事では、『ブレス オブ ザ ワイルド』全体のインプレッションをお届けする。担当者4人による序盤の冒険記もあるので、合わせてお読みいただきたい。

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 「ハイラル王国の歴史は、ガノンという名の厄災に見舞われてきた歴史」(『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』3rd トレーラーより)と言うのなら、『ゼルダの伝説』シリーズは、『時のオカリナ』という名作に悩まされてきた歴史なのだと思う。1998年11月21日に発売された『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は、3Dアクション・アドベンチャーの礎を作り出すとともに、非常に高い完成度を誇り、全世界で大きな反響を呼ぶことになった。しかし、その高すぎる完成度は、以降のシリーズ作へのハードルにもつながっていく。トゥーンシェードの技術で、ネコ目リンクを生み出した『風のタクト』を始め、以降のシリーズにもさまざまな発明があった。だが、『時のオカリナ』が生み出した3Dアクション・アドベンチャーというフォーマットからはどの『ゼルダ』も抜け出せず、シリーズのファンはもちろん、『ゼルダ』の開発者にとっても、『時のオカリナ』を超えたかどうかというのは、避けられないキーワードになっていたように思う(事実、『ゼルダ』シリーズの開発者インタビューでも、『時のオカリナ』は高いハードルの例として挙がることがたびたびあった)。

 その後、『スカイウォードソード』で、フィールドにも謎解きを盛り込んだ“濃密『ゼルダ』”を作ったり、『神々のトライフォース2』でアイテムの入手順やダンジョンの挑戦順を撤廃したりと、『ゼルダ』シリーズは“アタリマエを見直す”をテーマに、多くの試行錯誤を重ねてきた。そして、2017年。編集部でひと足先に『ブレス オブ ザ ワイルド』をある程度プレイしたとき、ジワジワと感じていた感覚は、強い確信に変わっていった。『ゼルダ』の開発チームは、ついに『時のオカリナ』の呪縛を乗り越えたのだと。

 2016年のE3。“ゼルダの伝説 最新作”という名称で呼ばれていたシリーズ最新作は、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』という正式名称とともに、その姿を現した。独自の“オープンエア”という用語で呼ぶ、広大な世界で好きなように行動できる自由な世界。本作に初めて触れたとき、あまりの変化と全貌の見えなさに混乱した。オープンワールドタイプのゲームだということはわかる。『ゼルダの伝説』シリーズ特有の“『ゼルダ』らしさ”も感じられる。しかし、知っているそれぞれを掛け合わせた想像のものとは大きく違う。当時は、原稿を書くために、あらゆる事柄を覚えながらプレイしていたため、おそらく、いろいろと頭の中で処理しきれなかったのだろう。自分で書いた記事の最後にも、下のような感想が記されている。


 かつて、『時のオカリナ』を初めてプレイしたとき、初の3D『ゼルダ』という変化に戸惑いつつも、謎解きに頭を悩ませる感覚や、冒険をしているプレイ感に、“ゼルダらしさ”を感じたのを覚えている。『ブレス オブ ザ ワイルド』も、戸惑いは覚えつつも、いろいろなことを試したくなる楽しさや、やってみたら謎解きにつながっていく発見などは、まさに“ゼルダらしさ”が感じられる。

[引用元記事]
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 E3から帰国した後、いろいろな人に「『ブレス オブ ザ ワイルド』はどうだった?」と感想を聞かれた。だが、そのときは「今度の『ゼルダ』はすごい……と思う」といった、断言していいのだろうかという戸惑いを感じながら話したのを覚えている。今度の『ゼルダ』は新しくなっている、すごいものができあがっている、そういう片鱗をビシビシと感じつつも、どこか未知のものに触れる畏怖のような感覚があり、“すごい”と言い切れなかったのだ。

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 そして、Nintendo Switch体験会を経て、2017年2月某日に、編集部にROMが到着。はやる気持ちを落ち着かせつつ、プレイをしてみた。

 目の前に広がるのは、どこか見たことがあるようで、まったく知らない生まれ変わったハイラル。ゲージが続く限り、どこにでも行ける代わりに、ハイラルの自然はきびしく、気軽に踏み入った雪山では寒さに体力が削られ、突如現れた強敵に襲われ、あっという間にゲームオーバーになる。しかし、ただ難しくなっただけではない。体力の回復はもちろん、寒さの克服も、攻撃力や防御力のアップも、プレイヤーの工夫しだいであらゆる対策を講じることができる。この、予備知識なしで進む世界の過酷さと、それを工夫で克服する冒険感。これまでの経験がそのままでは通用せず、ちょっと考えることで、新たな対策を生み出す感覚は、まさに、『時のオカリナ』で感じた3Dに生まれ変わっても続く“『ゼルダ』らしさ”と同じ、姿を変えても受け継がれる“『ゼルダ』らしさ”なのだ。

 『ブレス オブ ザ ワイルド』は、『時のオカリナ』を超えたのか。その感想は、人によって違うだろうし、時代背景などを見ても、単純に比較できるものではない。だが、これだけは断言できる。初代『ゼルダの伝説』や『神々のトライフォース』が生み出した“2Dゼルダ”のフォーマット、そして『時のオカリナ』が生み出した“3Dゼルダ”のフォーマット、『ブレス オブ ザ ワイルド』は、いずれとも違うまったく新しいフォーマットを作り出している。

 ここ数年、“ゼルダの伝説 最新作”の名前で最新作の発表が行われてから、たびたびプロデューサーの青沼英二氏のインタビューをさせていただく機会があった。そのたびに、最新作の開発状況などをうかがったのだが、そのときどきの発言を、『ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイした後に読むと、「なるほど! こういうことだったのか」と改めて納得できるようになっていた。下記に発言の一部をピックアップさせていただくので、『ブレス オブ ザ ワイルド』のプレイ後に、改めて読んでみてほしい。


青沼 「こんな敵が出てきたらどう倒すの?」というものをやろうとしていて、E3ではその片鱗をちょっとお見せしたくらいです。あとは、“『ゼルダ』の当たり前を見直す”というテーマで、いろいろなお約束を変えようとしています。無理に変えるものではなく、でも、ことあるごとに、「違うやりかたがある。答えはひとつじゃないよねと」話をして、みんなに考えてもらっています」(『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D』インタビューより)

[引用元記事]
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青沼 キーワードをひとつ明かすと、“新しいモノ”ができているかなと。『時のオカリナ』から3Dの『ゼルダ』を作っていますが、3Dの『ゼルダ』はベースにずっと『時のオカリナ』という秘伝のタレがあったと思うんです。それが、今回は和食が洋食になるくらいテイストが変わっています。きっとユーザーの皆さんにも驚いていただける、『時のオカリナ』のときのような“新しいモノ”ができていると思うので、ご期待ください」(『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD』インタビューより)

[引用元記事]
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 2011年11月18日に発売された『スカイウォードソード』から約5年とちょっと。あらゆる体験を新鮮に感じる、新たな『ゼルダ』がついに発売を迎える。こういった記事を書きながら、そして、メディアの人間という立場でありながら、こんなことを言うのはどうかと思うのだが、今回の『ブレス オブ ザ ワイルド』を楽しみにしている人は、なるべく予備知識を得ずにプレイをしてほしい。初めて見る世界で、どうすれば進めるのか、攻略できるのか、生きられるのか。自分の考えを判断を信じてプレイをすれば、自然と道は開けるはずだ。

 ちなみに、2017年3月3日に発売された週刊ファミ通2017年3月16日号では、本作の特集を42ページにわたって掲載している(詳細は→コチラ)。手前味噌だが、発売日にソフトを買った人にはいろいろと役立つ記事になっているのは間違いない。だが、待ってほしい。特集記事のトップにも書いたのだが、本作を楽しみにしている人は、いきなり記事を読むのではなく、まずはプレイをしてほしい。目の前に広がるハイラルを、事前情報では出なかった数々の驚きを、そして世界を旅する冒険の楽しさを、ある程度味わってからでも遅くない。それから記事を手に取ってもらえれば、きっとあなたの冒険を助ける助力になるだろう。せっかくの新しい『ゼルダ』をまっさらな状態で楽しめるチャンス。新たな伝説を切り拓いた『ゼルダ』を、ぜひ体験してみてほしい。

▲週刊ファミ通2017年3月16日号(2017年3月3日発売)の『ブレス オブ ザ ワイルド』特集より。表紙にも使われている描き下ろしイラストは、往年のファンほどグッとくるはず。