ここ数年恒例となっている、ID@Xboxのショウケースの模様をお伝えしよう。気になる6タイトルを紹介。

●魅力的なタイトルが続々

▲サンフランシスコのイベントスペースで行われたID@Xboxのショウケース。中央にはフィル・スペンサー氏の姿も。2時間以上にわたって会場を丹念に視察していたのだが、本当にゲーム好き!

 2017年2月27日~3月3日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコ モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターの技術交流を目的とした世界最大規模のセッション、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2017が開催。GDCにおける、ここ数年の記者の恒例となった取材と言えば、マイクロソフト主催によるID@Xboxのショウケース。会期中に、会場近くのイベントスペースを借り切って、豊富なID@Xboxタイトルがお披露目された。記者にとって悩ましいのは、個性的なタイトルがとにかく多いこと。「紹介すべきタイトルはどれだろう?」と悩みつつ、会場を右往左往してしまう。そしてついこちらのスタッフにおすすめを聞く……といったことも度々。

 今年もどうしようかな……とぼんやりしていたところに、ふと兆してきた思いが“人生一期一会”。ここで会ったのも何かの縁。この出会いを大切にしたい! ということで、直感で選んだ6タイトルをピックアップ(ちなみに出展タイトルは22本)。

■『Fable Fortune』(Flaming Fowl Studios)

 直感でタイトルをセレクトする……と冒頭で言いながらも、とにもかくにも目に止まってしまったのが、このタイトル。『Fable Fortune』……って、『Fable』シリーズの開発元であるライオンヘッドスタジオは解散したのでは? と疑問に思われる方もいるかと思うが、もともと『Fable Fortune』は、ライオンヘッドスタジオ解散前から動いていたプロジェクトとのこと。スタジオの解散にともない、『Fable Fortune』のプロジェクトがなくなるのを残念に思ったクレイグ・オマーン氏がマイクロソフトと交渉し、自身が立ち上げた新スタジオ、Flaming Fowl Studiosでリリースする権利を取得したのだという。そこで、カードゲームの開発ノウハウを持つMediatonicとコラボして、完成を目指すことにしたのだとか。ちなみに、タイトル自体は2016年6月に発表されている。

▲Flaming Fowl Studiosのクレイグ・オマーン氏(右)と、Mediatonicのジェフ・・タントン氏。

 さて、改めてご紹介すると、『Fable Fortune』は、『Fable』シリーズをモチーフにしたカードゲーム。シリーズおなじみのキャラクターが登場するのがファンにとってうれしいところだが、さらに『Fable』らしさが感じられるのは、“善悪”の概念があること。ゲームを進めていると、適宜“善”か“悪”かを選択可能で、どちらを選ぶかでポイントが貯まり、こなせるクエストが決まっていくという。キャラクターのアバターも、善か悪かでビジュアルが変わるようになっている。ただし、 Mediatonicのクリエイティブ・ディレクター、ジェフ・タントン氏によると、善と悪どちらかの道を突き進むよりも、「バランスよく両方の立場を変えていったほうが、クエストがアンロックされやすいです」とのことだ。

 さらにタントン氏がプッシュしているのが協力プレイ。本作では、オンラインプレイは、PvPのほかに協力プレイが可能で、「PvPが盛り上げるのはもちろんですが、協力して敵を倒すのも間口が広くておすすめです」(タントン氏)とのことだ。

 本作は、ただいまクローズドベータテストが行われており、その結果が順調ならば、ひと月後ででも正式配信の運びになるという。日本での展開は未定ながら、『Fable』ファンには見逃せない1作だ。

Flaming Fowl Studios公式サイト

■『Full Metal Furies』(Cellar Door Games)

 会場を見渡して、「どこかで見たことあるなあ……」と思ったら1度取材していた! 『ローグ・レガシー』でおなじみのCellar Door Gamesのテディ・リー氏とケニー・リー氏だ。おふたりによる最新作が、最大4人で協力して楽しめるベルトスクロールアクションの『Full Metal Furies』だ。

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▲左からケニー・リー氏とテディ・リー氏。本作でサウンドと担当するジョーイ・ヴァン・アルテン氏。

 本作を開発した経緯について、「子どものころにこの手のジャンルには親しんでいたのですが、新しい風を呼び込みたいと思ったんです」とのこと。つまりいまふうにアレンジされているというわけだ。どこがいまふうかというと、たとえば、これまでのベルトスクロールだと、自キャラの位置によっては敵に攻撃しても外れてしまうことがあるが、本作では「マグネットのように」(ケニー氏)、確実に敵に攻撃できるという。さらには、「これまではボタンを連打することを競うような傾向がありましたが、本作は考えながら遊べるようになっています」という。本作では、みずからがコンボを決めたり、味方どうしで連携してのコンボも可能。ひとりが敵を投げて、もうひとりが射撃するといったこともできるのだ。最大4人によるコンボもあるらしい。

 本作は、まずはXbox OneとWindows 10で発売予定。マイクロソフトにプレゼンしたところ評判がよく、「ぜひに!」との話になったという。日本での展開について聞いてみたところ、「やりたいと思っていますが未定です。ローカライズにも時間がかかりますので……。ただ、『ローグ・レガシー』は日本語版の発売までに1年半かかってしまったので、今回はもうちょっと早く出したいなあ」とのことだ。

[2017年3月2日午前0時30分]一部表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

Full Metal Furies公式サイト

■『Ooblets』 (Glumberland)

▲Glumberlandのレベッカ氏(右)とベン氏(左)。自然体のおふたりでした。

 会場に視察に来ていた、Xboxヘッド フィル・スペンサー氏がいたく気に入った1作。Glumberlandのレベッカさんとベンさんがおふたりで作り上げたゲームだ。どんなゲームかというと、レベッカさんいわく「『ポケットモンスター』と『牧場物語』、『どうぶつの森』が好きで、その3作に刺激を受けて作りました」と、日本人にはうれしい言葉。つまり、モンスターのコレクションとファーム系が合体したゲーム性のようだ。具体的には、フィールドで遭遇したモンスターの“Ooblets(ウーブレット)”と戦って勝利すると、種をくれる。そこで、その種を植えて大きくするとウーブレットが生まれてくるので、仲間にして育てる……といった内容とのこと。ウーブレットはレベルアップするようだ。

 ウーブレットは現時点では17体存在するそうだが、リリース時には60体くらいまでにしたいとのこと(ゲームの開発がスタートしてから、まだ6ヵ月しか経っていないらしい)。気になるリリースは、「2018年の半ばには出したい」という。日本のゲームにインスパイアを受けたという本作は、アートワークもどこか日本人にとって安心できるデザインに。日本での展開も期待したい。

『Ooblets』公式サイト

■『Tokyo 42』(SMAC Games)

 タイトル買い(?)してしまったのが、こちら。日本のメディアとしては注目しないわけにはいかない『Tokyo 42』だ。本作開発の経緯について、パブリッシャーであるMode7の共同創設者、ポール・キルダフ-テイラー氏は「本作はオープンワールドアクションで、1作目の『グランド・セフト・オート』に刺激を受けて制作が開始されました」とのこと。『アサシン クリード』シリーズや『メタルギア ソリッド』シリーズの影響などもあるようだ。

▲パブリッシャーであるMode7の共同創設者、ポール・キルダフ-テイラー氏。

 本作を開発したSMAC Gamesは兄弟によるスタジオで、ひとりがゲームデザイン、もうひとりがアートデザインを担当。ふたりで何度も東京に遊びに行っていることから、東京を舞台にすることがすんなり決まったようだ。本作のフィールドは、東京の建物に刺激されている部分もたくさんあるという(なぜタイトルに“42”がついているかは、テイラー氏いわく「兄弟が教えてくれない」とのこと)。

 本作では、犯罪の濡れ衣を着せられた男が主人公。主人公は、隠された陰謀を暴くために、東京の街を探索していくことになる。主人公は特殊スキルをいくつか持っており、攻撃方法は銃や刀など多彩。『メタルギア ソリッド』シリーズの影響を色濃く受けたステルスアクションも実装されている。

 ちなみに、本作では“死”という概念は存在しない。死んでもドラッグを飲めば快復できるという。ドラッグを開発している会社のバッグボーンが、ストーリーの中心になってくるという。ゲームプレイ時間は、メインストーリーはおおむね6~8時間程度を想定しているが、そのほかにもサイドミッションがふんだんに用意されているという。コレクション要素もあるのだとか。ゲーム性に関していえば、ちょうど開発中に『The Witness』が評判になったので、同作のパズル要素もどんよくに取り入れたらしい。

 本作はすでに2年以上開発に取り組んでおり、「数カ月以内にはリリースしたいですね」(テイラー氏)とのことだ。

『Tokyo 42』公式サイト

■『>observer_』 (Bloober Team)

▲パブリッシャーであるAspyrのケイレン・キンカイド氏。

 ひときわ美麗なグラフィックがひと目を惹く『>observer_』は、探偵を主人公としたサイコホラー。コンバット(戦闘)はなく、主人公は“サイバネティック”というツールを使って他人の頭の中に侵入し、ヒントを得ながら事件の謎を解いていくことになる。「主人公は警察関係者で、息子から連絡があったので足を運んでみると、ミステリアスなことがいろいろと起こります。その謎を解き明かすのが本作の目的ですね」と、パブリッシャーであるAspyrのケイレン・キンカイド氏。

 開発を担当するBloober Teamはポーランドのスタジオで、ホラーゲームだけを作っているのだという。とくにサイコホラーには大きな関心があって、前作は『There is a Fear』を制作。それをさらにアップグレードしたのが『>observer_』だという。「人間の存在の意味、テクノロジーとの関係、さらに人々を怖がらせたり、不安にさせたりするものに興味があるようです。それらのものがミックスされてこのゲームに至りました」とキンカイド氏。

 なお、本作の開発スタッフは60人(!)というから、インディーゲームデベロッパーの規模からはみ出しているような気もするが、「前作はもっと少人数のチームだったのですが、『>observer_』は力を入れているので、人を増やしています」(キンカイド氏)とのこと。本作はBloober Teamにとって、スタジオの存在感を増すための勝負作なのかもしれん……というのは、記者の個人的な感触。

 本作は2017年5月もしくは6月の発売を予定している。

Bloober Team公式サイト

■『Tacoma』(The Fullbright Company)

▲The Fullbright Companyのスティーブ・ゲイナー氏とカーラ・ジモンジャ氏。なんか独特の雰囲気があるんだよなあ。

 最後は『Tacoma』を取材。『Tacoma』というと、記者もE3 2016で個別取材しており、その世界観が極めて印象的だった1作。今回会場に出展されていて、「あれ、まだリリースされていなかったっけ?」と思ってしまったわけだが、まあ、せっかくなので取材させていただこうかと足を運んだ次第。取材対応してくれたのは、The Fullbright Companyのスティーブ・ゲイナー氏とカーラ・ジモンジャ氏のおふたりで、前回取材したときにも感じたけど、ロックグループのアーティストみたいでとても雰囲気があるんです。

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 さて、本作の舞台となるのは、宇宙ステーションの“Tacoma”。宇宙ステーションには6人のクルーが共同生活していたのだが、ある日こつ然として姿を消してしまう。主人公のエイミーは、単身“Tacoma”に乗り込み、事件の謎を解明する……というのがストーリーとなる。事件解明のカギとなるのが、“Tacoma”に残されていた、クルーたちの行動を保存した“デジタルエコー”。エイミーは、宇宙ステーション内を探索してこれらの“デジタルエコー”を閲覧することで、“何が起きたか?”のピースを埋めていくことになる。独特なグラフィックとあいまって、どこか惹きつけられる1作だ。

 『バイオショック』シリーズにも関わっていたというふたりは、「ふつうの人たちが、シチュエーションにいるというのが好きなんです」とカーラ・ジモンジャ氏。本作は、映画で言えば『エイリアン』やダンカン・ジョーンズ監督の『月に囚われた男』などの影響を受けているようだ。

 本作は2017年半ばのリリースを目指して開発中だ。

『Tacoma』公式サイト